国会質問

第177回通常国会 経済産業委員会(2011年5月17日)

震災の影響を受けても、外貨を獲得し、国の利益を生み出している多くの部分を製造業が担っていることには変わりはない。

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5月17日、参議院経済産業委員会における「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法一部改正案」(以下、「産活法」と略)の法案審議にあたり、民主党・新緑風会を代表して質問を行いました。

今回、国会に提出された法案は、1999年に施行された「産活法」の4度目の改正にあたり、とくに今日、国際競争が一段と激化する中で、競争力を強めるための組織再編・事業統合などを促進する環境整備、あるいは中小企業者に対して革新的新商品の開発・生産を支援する措置などを組み込んでいます。

質問としては、①公正取引委員会に対しては、とくに国際競争下に晒されている産業・業種の企業統合には柔軟な審査が必要であること、②大震災によって明らかになった我が国製造業のサプライチェーンやジャストインタイム生産方式の脆弱性をどのように克服するのか、③雇用と地域経済を守るための国内立地促進のために、電力供給をはじめ産業インフラをどのように充実させるのか、③原発事故を契機にした「エネルギー基本計画」の見直し論は早急ではないのか、④実際の企業の競争力の強化という視点から、「産活法」の実効性はどのように評価されるのか、また労働者保護がきちんと担保されているのか--、などの点について、竹島公正取引委員会委員長や海江田経済産業大臣などに問い質しました。

 

質問1.大震災とわが国製造業の課題――サプライチェーンの問題

質問2.大震災とわが国製造業の課題――ジャストインタイム生産方式の問題

質問3.大震災とわが国製造業の課題――製造業の国内立地の問題

質問4.大震災とわが国製造業の課題――エネルギー基本計画の見直し問題

質問5.「産活法」の総括

質問6.事業再編と労働者保護

 

 

○加藤敏幸 おはようございます。民主党・新緑風会の加藤でございます。

今日は、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法の一部を改正する法律案について御質問をいたします。

まず初めに、公正取引委員会の委員長にお伺いをしたいと思います。

自由主義経済でございますから、独占禁止法、この法律自体の存在意義というものは不動のものであると思います。そういう状況の中にあって、経済のグローバル化、国際競争が一段と厳しくなる中で、事業支配力の過度の集中を防止して一般消費者の利益を確保するという独禁法の理念、このことについてもいろいろと内実変化も来してくるのではないかと、そのように考えております。

また、第一条にうたわれています、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇用及び国民実所得の水準を高めること、このことは自由な企業合併や事業統合によって達成される場合も多々あると、このように思います。特に激しい国際競争にさらされている産業においては、迅速な企業統合、事業再編が求められており、今回の法律改正、衆議院で修正が行われたように、産業政策と競争政策の適正なバランスを取るためにも、当局間の情報交換を密にする点は大変評価できるし、過日の参考人の御意見もほぼ同一であったと、このように思っております。

 

私の質問点というのは、公正取引委員会としても、このような国際競争の下に置かれている産業や業種について、国の利益、雇用を守る、生活を守るということのために何が必要なのか、そういうことの御認識と、一段と柔軟な競争政策を取っていかれるのか、その辺のところの、まさに法律改正が求めている内容等について委員長自身の現時点における認識なり今後への対応というところをお話いただきたいと。

学者先生の中には、こういうグローバル競争下における業種、産業については独禁法の審査については余り必要ないのではないかという、まあある部分極端な御指摘の部分もありますけれども、そういう御意見もお伺いをいたしましたけれども、その点についてお考えを伺いたいと思います。

○竹島一彦 政府特別補佐人公正取引委員会委員長 お答え申し上げます。

公正取引委員会というのは、まさに独禁法、一般名詞、競争法でございますが、これをきちんと施行するというのが役目の役所だと心得ております。

今、いろいろな雇用の問題とかおっしゃいましたが、確かに国政全般で見ますと大変大事なことでございますが、そういうもろもろの要請なり必要性というものを公正取引委員会が総合判断して決めるというのではなくて、世の中にはいろんな政策がある、産業政策も競争政策もある。競争政策を預かる立場からは、きちんと時代に合った法律の運用をしていくということに尽きる。それは、その心といいますか一番大事なところは、どのように厳しい経済状況になっても、市場経済、資本主義経済を選んでいる以上、公正でかつ自由な競争秩序というものを守るということが、これが競争にも、企業の国際競争力にも資するんだと、それとバッティングするものではないという、ひいては一般消費者の利益につながるんだと、まさにこれが核心の部分だというふうに思っていまして、これは欧米諸国においても同じ考え方に立っているということをまず申し上げさせていただきたいと思います。

そこで、我々は、じゃ具体的にどうするのかということでございますが、その企業結合がその企業が活躍している市場における競争を実質的に制限するかどうかということでございますので、その判断をどうするかということが一番大事なことでございます。どのようなマーケットの広さを世界市場で取るべきなのか、アジア市場なのか国内市場でいいのか、それをそれぞれの商品なりサービスに応じてきちんと設定するということがまず大事でございますし、それから、仮に企業が集約されることによりまして独占力を働かせることが、そういう気持ちになっても、現実には、代替品があるとか輸入品があるとかいうことによりましてそういう勝手なことができないということが見通せれば、そういう企業結合にストップを掛ける必要はないわけでございます。

逆に言うと、同じような似た者同士が一緒になって、それでプレーヤーの数が減りましたねと、その結果価格支配力が強くなりますと、国内で価格を上げますと、そのお金でもって海外で事業展開に回しますということになりますと、独禁法が目的で、第一条で言っている、本当にひいては国民経済なり一般消費者の利益になるのかと。当該会社の利益にはなるでしょうけれども、もっと広い利益になるのかと、こういう問題がございますので、国際競争力というスローガンの下に全般的な企業結合審査を緩めるべきだという考え方はいかがかなというふうに思っております。

○加藤敏幸 緩めるべきではないと、もうその御主張はよく分かるんです。しかし、現実、この企業結合の審査を受けてきた当該の企業の皆さん方が持っている問題意識なり、やはりもう少し理解をしてほしいということにおいて、公正取引委員会の皆さん方がされてきた審査というこの現実に、やっぱり一つの言わば心、気持ちの通わない部分もあったんではないかと。

だから、公正取引委員会が云々ということは申しませんけれども、そこの満足度というのはやっぱりお互いに詰めていく努力があると思うんですよ。あくまでも審査を申請する企業サイドは、十全なる説明と説得力を持たなきゃならない、当たり前のことだと。しかし、受け止めて審査をする、独禁法上与えられた権限の下で権限を行使する立場も深く理解をしていくということで、経産大臣の意見書がなくともやっぱりそういうところはしっかりやっていけると。あらゆる政策を公取が手のうちに入れてするというそんな機能はないことは分かっていますけれども、しかし最終的に消費者の利益であり国民の利益ということを考えるときには、やっぱり総合的な視点もこれもまた必要だということもあると思います。

今日は公取に対して意見を言う気はありませんので、法律改正が成った暁には更にそういうようなところも含めて御努力をお願いしたいという要請にとどめておきたいと思います。ありがとうございました。

次に、今回の大震災を受けて、私は、物づくり日本、やっぱりこの国が製造業をベースにして言わば外貨を獲得し、それで資源、エネルギー、その他のものを購入することによって一つのビジネスあるいは経済を成立させているということに変わりはないし、これからも大切なことであると。そういう視点で、国の利益、国民のための利益を生み出している部分の多くのところがやっぱり物づくりであり、製造業が担っているということも事実だと思うんです。

そういう視点で、今回の大震災の結果何が起こったかということをつぶさに見たときに、三つの問題点、特に産業政策にかかわって三つの問題点があったと思います。

一つ目は、サプライチェーンの脆弱性をどう克服していくかという課題だと思います。

経産省の皆さん方にサプライチェーンの脆弱性云々ということをこれ以上申し上げることはないと思います。しかし、まさに日本の物づくりのこの大きな体系の中で、東日本大震災によって拠点が被災をしたことによって、たったこんな小さな部品一つが止まったために西の方も東の方も世界の企業もラインを止めざるを得ないという、もうここのところに日本のみならず世界の物づくりのある脆弱性が発現しているという、ここのところが非常に大きいと思います。サプライチェーンの脆弱性を今後どのように克服していくのか。

二つ目は、大変よく似た問題でありますけれども、一つは、ジャスト・イン・タイムという言い方をしていますけれども、日本の生産の今最新のやり方というのは在庫ゼロで全て組むわけですね。コンビニエンスストアに代表されるように、流通も含めて全ての物流をずっと精密に仕組み上げていくということは御存じのとおりだと思います。ある意味、生産性からいえば非常に究極の仕組みであって、ここ15年間、製造業において随分普及されてきました。

しかし、このジャスト・イン・タイムというものは、言ってみるとノー在庫ですから、どこかで止まると明日の分をどうするのかと。だから、生産ラインがスイッチ入れても物が入ってこないから進まないという、このジャスト・イン・タイムという仕組みそのもの、非常に先進的な仕組みそのものが持つ大きな課題、日本の製造業自身に課題を抱えているということ、このことが、例えば環境問題を含めて気象状況が非常に凶暴化していると、台風の勢力だって強くなっているんじゃないか、降水量も増えているんじゃないかと、そういう状況の中で国土が寸断されるということになったときに物づくりが全面的に影響を受けるということについて、さてさてこれは今後どういうふうに考えていくのか、経産省として今後、そういう皆さん方に対してどういうサジェスチョンができるのかということ。

それから三つ目は、我が国内立地、製造業の国内立地の促進問題ということがございます。先ほど言ったサプライチェーンの問題、それからジャスト・インという製造方式における問題、加えて電力供給が今後、先々夏場に向けて、来年に向けて非常に窮屈になってくると、こういうふうなことで、我が国における製造業の国内立地の点数が非常に低くなっている。ジェトロの調査によると、国内における立地と韓国における立地の各比較をしたときに、ほとんどの項目において韓国の方が優勢であると、そういうデータも出されておりますけれども。

そういうことの中で、国内に製造拠点を最後までキープする。そのことによって、地域経済なり雇用なり、それから地方自治体も含めた税収の確保、雇用保険を支えるためにも、やはり国内で雇用し働く人たちの数を守り切る。それが子供たち、若者の就職先を確保するということにつながるわけですから、そういうようなことで、これから先も国内立地をどう強化していくかという視点で経済産業政策というのは相当行われてくる。私、7年間同じことを言い続けてきたわけでありますから、これもやっていただきたい。

そういうようなことの中で、2005年以降、毎年100社から130社の外資系企業が日本から撤退をしております。理由はいろいろあるわけです。日本国内マーケットが縮小するのではないかとか、代替の拠点ができたとか、あるいはアジアにおける生産拠点の集約化だとか事業拠点の集約化、山のようにいろいろ理由がありますけれども、しかし、総体的に見て日本国内に事業所を設置することの優位性なりメリット、これは単なる人件費だとかそういうことじゃなくて、いろいろな側面での支援を得られるのか得られないのか、産学協同はどうだとか、あらゆることを含めて、国内の企業の競争力は減っていないんですよ。工場の中の競争力は、これは必死になってやっているんです。この工場が乗っかっている日本列島の競争力自身が、社会の制度だとか法律だとか規制だとかいろんなことを含めて、物流、エネルギー、そういうことを含めて落ちているというところが日本の抱えている大きな問題という、これもずっと2004年から言い続けておりますけれども。

そういうようなことで、国内立地の促進ということで、物づくり力を一段と強めて国内の工場立地を維持拡大させ、産業の空洞化を防ぐ政策を強力に推進していただくということを認識していただきまして、三つまとめて質問いたしましたけれども、適切に御答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○海江田万里 経済産業大臣 今加藤委員から今度の東日本大震災を契機にと申しますか、日本の持っておりました脆弱性と申しますか、そういうことについての指摘があったかと思います。

まず最初のサプライチェーンでございますが、本当に今度の震災をきっかけに、多くの日本人が改めてやっぱりサプライチェーンという言葉を知った機会になったんではないだろうかというふうに思います。特に、今加藤委員からも御指摘ありましたけれども、このサプライチェーンが日本の国内だけでなく世界につながっているということを多くの日本人が認識をしたんではないだろうかというふうに思います。

このサプライチェーン、まさにチェーンでございますので、これがつながらなければお話にならないわけでありまして、現在何とかチェーンをつなげる努力を行っているところでありまして、これは関係の業界の方々、関係企業の方々、大変な努力をしていただいて、何とかこのチェーンがつながるところまでは参りました。しかし、まだ、例えば自動車の生産の台数を取ってみても大震災発災前には及ばない状況でございまして、まだまだ、そこに辛うじてつながったけれども、これが十全に機能していないという現実がございます。

ですから、私どもはやはりまずこのチェーンをつなげて、そして、まだ復旧という段階に行っておりません。国全体としては復旧から復興へというプロセスがあるわけでございますが、まだ復旧の事態に行っておりませんので、まずやはり復旧をさせるということに全力を注がなければいけないかなというふうに思っております。

そして、二番目のジャスト・イン・タイム生産方式の持つ強みと弱みと、これは今委員からも御指摘ありました、まさに日本の国のこれまで強みであったわけでございますが、そこから来る脆弱性と申しますか、やっぱりこれも今回あらわになりましたから、もちろん私はジャスト・イン・タイム方式というものを否定する考え方にはございません。やはりこの効率性というものは世界に冠たるものでありますから、これを引き続き継承していかなければいけない。しかし、そこにある程度のバッファーといいますか余裕もなければいけないということをつくづく実感をしたわけでございますから、そうしたジャスト・イン・タイムのその効率性とその余裕、言葉を置き換えれば余裕があることによる強靱性と申しますか、これをどういうふうにバランスを持っていかなければいけないかなということに今経産省としても検討している段階でございます。

それから、国内立地の問題性と申しますか、特に今加藤委員からは電力の供給の面からのお話ございましたけれども、この国内立地の問題性というのは、これは加藤委員御本人からもお話ありました、ここ数年、過去5年ぐらいですか、あるいはもっとその前から、やはりだんだん日本の国が世界の中心と申しますか、特に企業の立地がだんだん条件が悪くなってくると。これは都市間の競争力などにおいても、日本の都市が競争力でほかの国々、とりわけアジアの国々に後れを取っているというような状況がございました。

物づくりについてももちろん更に深刻な状況があるわけでございますが、これにつきましては、実は今朝内閣で、これは閣議で政策推進指針というものを改めて決定をいたしまして、特に日本の国内投資あるいは国内工場立地につきましては新成長戦略の中で位置付けがあったわけでございますが、この新成長戦略実現会議ですね、これもしばらく震災によってストップをしていたわけでございますが、これは19日からということですから、今日が17日ですから明後日、改めて新成長戦略実現会議を開いて、ここでしっかりと国内の立地促進のための議論をもう一回スタートさせようではないだろうかということが決まったわけでございます。

委員御指摘のような電力の供給の問題もございます。それから、どうしても原子力がストップのやむを得ない状況がございまして、これは東京電力が中心でございますが、そうなりますと、もちろん電力料金への安易な転嫁というのは防がなければいけないわけでございますが、ただ、燃料がやはりこれまでの原子力エネルギーから化石燃料あるいはそのほかの再生可能エネルギーということになりますと、どうしてもやっぱりそこが高くなってまいります。もちろん、将来的にこれを安くするための努力も行わなければいけないわけでございますが、今差し当たって足下のところではやはり電力料金も少し割高になってくるかなと。これまで、日本の電力料金、割高と言われていたものが、いろんな努力によって世界的にもかなり遜色のないところに位置をするようになってまいりましたが、これが高くなるというようなことになると、これもやはり特に物づくりの立地の条件のマイナス面になってくるのではないだろうかというふうに思っておりますので。

そういうことを全体をくるめまして、あと委員の話を聞いておりまして、委員から三つ御指摘がありましたが、あと一つ付け加えるとすれば、やっぱり日本ブランドと申しますか、これまでの日本ブランド、これが大変高い評価をいただいていたわけでございますが、やはり一旦この日本ブランドにも傷が付きやしないだろうかという大変心配をしておりますので、改めて日本ブランドも磨いていかなければいけない。そのためには、今委員から御指摘のありました特に三つの点については経済産業省としてしっかりとした対応をしていかなければいけないと、そんな思いでおります。

○加藤敏幸 ありがとうございました。大変丁寧に受け止めていただいて、感謝をしたいと思います。ただ、先の質問まで大分お答えをいただいたので、先ほど大臣の方からエネルギーに関する供給の問題が問わず語らずいろいろと、今、多分お気持ちの中で非常に大きな宿題といいましょうか仕事になっているというふうに察しをいたしますけれども、ちょっと視点を変えて、エネルギー基本計画ということについて質問したいと思います。

何か、テレビを見ていますと、菅総理が2030年の原子力発電のウエート50%だとか、そういうことについての見直しをぽろっとこう言われたというふうに思うんです。ただ、このエネルギー基本計画ということがなぜ出てきたのかということを思い起こしますと、これたしか議員立法で、まあ言いますと、先ほど言ったのは、物づくりという視点から申し上げましたけれども、生活から見ても、例えば医療だとか生活のいろんな側面から見ても、エネルギー供給、わけても電力供給をどのように考えていくかというのは、先進国としても当然のことながら大きな課題なんです。その安定的供給というのは、十分な電力をという側面と価格はどうするんですかということなんですよね。べらぼうに高いということではこれ生活も成り立たないし、製造業だとか各種の産業も成り立たない。エネルギーをベースにして産業は展開されているという視点から見れば、このエネルギー供給、安定的供給と安定的価格という、この二つの要素をどう考えるか。

石油ショックが起こったら、エネルギー、電気代がばんと上がる、そういうことでは駄目ではないか。だから、先々をよく見ながらベストミックス、その時点その時点のいわゆるベストミックスをよく考えて、そこは政府も責任を持って計画を立てて、各事業者はそれを一つの方針に、羅針盤に、そして国民、それから事業者も民生、産業用にかかわらず、その基本計画をベースにして工場立地だとか新規展開だとか、いろんなことを考えていくということの基本的構造の中で、夏どうするんだ、来年どうするんだということがせっぱ詰まっているんです。

これはプロセス、例えば化学、それからプロセスの中でいったら半導体、これ電気止まると困るんですよね。そのロット全部、シリコンウエハ全部廃棄する、産業廃棄物をつくるということになるわけです。だから、ある種安定的な電力を供給するときの条件として大事なことは、圧倒的な供給力を持つということが品質なんですよ。かつかつでいくと、いや、そろばんさえ合っておればいいんだということではないんです。常に圧倒的な供給力がないと、電力というのはいつ止まるか分からない。電気というのはすぐスイッチ入れたらこっちでさっと、そういうものじゃないんです。送電網を通じて、発電所から事業所まで、非常に結構何十キロというところを通って電力が埋められますから。

そういうようなことを含めて、これは専門家が言われている潮流管理をどうするかとかを含めて大きな課題もあるということの中で、そして浜岡原発を止めた、中部電力としては2500億円の燃料費の増になると。この2500億円の燃料費の増は誰が賄うんですかという議論が出てくるし、今電力料金というのは原材料が上がれば上がりますよね。三か月計算で価格を決めていくという、そういうことを考えたときに、今ある基本的なベースラインである基本計画をやっぱり守っていく、そのことを大切にするということでないと回らないんじゃないかと。

もう一つ突っ込みますけれども、九電力事業、これは沖縄を除いて、ここの収益に基本的に何が大事なのか。原子力発電所が安定的に稼働している電力会社の収益力は高いんです。逆に言うと、安い電力と言われていますけれども、原子力については最終的な廃炉、あるいは核廃棄物、放射性廃棄物の始末も含めるとコストは上がるんではないかといろいろと議論がありますけれども、今動いていた、定期検査をしている、この原子力発電所の中には燃料棒も全部入っているんです。いずれそれは使用済燃料としてその後もずっと長い時間を経て処理をされていくということですから、止めようが止めまいがこのコストはやっぱり発生をしてくるし、止めてしまうと安定冷却、これも外部電力を使って、そして震度3とか4以上の地震に見舞われると一応点検をする、そういうコストも発生するわけですから、そのことを含めて国民経済という視点と安全性ということを、二つのこのファクターを十分考える中でこのエネルギー基本計画は何のために作ったのかと。

これ、電力エネルギー政策が揺れると、気楽に工場の増設とか国内生産増ということには踏み切れないんですよ。何回も言いますけれども、電気が止まるとパアになる、それがプロセス技術であり、いつ止まるか分からないということを前提に物づくりはできないんです。それは日本ブランドを傷つける、品質の確保はできないということで、まあ先にお答えをいただいたんでどうしようかなと思いますけれども、そのことを含めてお答えを少しいただければと思います。

○海江田万里 経済産業大臣 今加藤委員から足下のやはり電力の需給の問題と、それから、少し先と申しますか、エネルギー基本計画のお話がありました。

このエネルギー基本計画につきましては、お隣の直嶋先生が大変御尽力をいただきまして、そして民主党政権になって初めての基本計画を策定をしたわけであります。2030年までという、その意味では中長期的な展望を開いていただいて、その中長期的な展望が必要だということは、まさに今加藤委員のお話で、その中長期的な展望がなければ、日本の国としてこれからの物づくり、産業、まあ産業だけじゃありませんで、本当に日本の国民の生活が成り立たないんだということ、よくお話がありました。

ですから、菅総理はこれを白紙でというお話ありましたけれども、やはりこれは言うはやすく行うは難しでございます。それから、この基本計画は、もう言うまでもありませんが、法律にのっとって本当に国民各層の意見を聞いた上で決めなければいけませんから、その意味では、見直しをするにしてもやはり法律にのっとって、そして本当に多くの国民各層、それから産業界各層、そういう方々の意見を聞いた上で決めなければいけないということは、私は菅総理の発言を受けてそういう思いを強くしていたところでございます。

それから、今の各電力会社の在り方の問題についても、今盛んにこれも議論がされております。これも実は言うはやすく行うは難しでありまして、現在のような体制になったのは、やはりそれは歴史的な必要性と申しますか、歴史的な経緯があるわけでございますから、それがどういうこの現在の状況、もちろんこの東京電力の福島第一発電所の大きな問題はございますけれども、それと同時に、やはり日本の社会の変化とどういうふうにこれがつながっているのかということも併せて考えなければいけないかなというふうに思っております。

電力の供給につきまして、これは本当に足下の点でどうやって、やはり余裕がこれもかなりなければいけない、かつかつでは駄目だということは全くそのとおりでありまして、余裕を持たせなければいけないわけでありますから、やはり差し当たって考えられることは、どうしても火力を復活をさせなければいけない問題が幾つかございます。火力を立ち上げるについては各種の規制もございますが、この規制についても見直しということも含めなければいけないかなという点が一つ。

それから、やっぱり他電力からの融通ということになりますと東西の問題がございますね。この東西の問題ということも実は、当面は東西の融通をなるべく円滑にするために幾つかの手当てを講じなければいけないわけでございますが、やはり東西の融通をどういうふうに今後しっかりと安定的に行っていくのかということは、まさにこれ研究課題であります。そう遠い将来の研究課題でありませんで、委員は先ほど、今年の夏の問題だけじゃなくて来年の夏のことも考えなきゃいけないよというお話ありましたけれども、まさに来年の夏ぐらいのことを考えたとき、東西の融通をどうするのかということはやはり議論をして解決をしなければいけない問題だと、そのように思っております。

○加藤敏幸 エネルギーというのはまさに生活、そして産業、国の基本でありますから、このエネルギー基本法も民主党も賛成をしてやってきましたし、政権交代とは関係なく、関係なくと言ったら変ですけれども、エネルギーの基本政策というのは貫かれる部分があると、またそういう中身のものを作っていくということだと思いますので、是非とも野党の皆さん方も、政府も対話をしてほしいと思います。

あと二つ質問がありますが、時間の関係で省略をして一言で。産業活力再生法の総括ということで、最後の言葉は、申請手続は面倒であるが支援措置を利用して損はないという程度のものであれば政策論的に寂しいものがある、いま一度この法律の目的に沿った実効性というものを検証してみる必要があるのではないでしょうかというのは、産業活力再生法とは大きく看板を上げているけれども、現実、適用される施策のある種の効果性、あるいはあの手この手、弁慶の七つ道具とは言いませんけれども、やはり数としてももっと工夫し多彩な手だてを開発する必要があるのではないでしょうかという問題提起と、もう一つは事業再編と労働者保護と。

もう十何年前、この事業結合で、これは従業員、そして我々から組合員をやっぱりいろいろと異動させていく、このことに伴う不安をどう解消し安定化させるかということで努力をしてきたわけでありますけれども、まさにここのところの努力が必要だと思います。

二つの質問を一括しましたけれども、時間の中でお答えをいただきたいと思います。

○田嶋要 経済産業大臣政務官 お答えを申し上げます。

二つの御質問、一括でいただきましたけれども、この実効性ということに関しましては、まずこれ特措法ということで、過去に今回も含めまして四回の改正ということで、その都度その都度に、その時々に一番効果の出るように考えて改正をしておるわけでございまして、現にかつてあったルールをなくしていく、そういったこともやってきておるわけでございます。そして、10年間の期限を設けまして、今度は28年の3月末までの期限としてその効果と支援措置継続の要否等についても検証していくという、そういう仕組みになっておるわけでございます。

平成15年の大改正以来の数字で見ますと、おっしゃっていただきました、登録免許税が中心でございますが、360件の計画認定を行ってございまして、登録免許税による支援策が306件と。ただ、それだけではなくて、例えば現物出資の際の検査役調査の免除による会社法の特例ということが68件、あるいは税の関係では資産評価損の損金算入が46件、不動産取得税の軽減が35件、あるいは金融支援に関しましての債務保証に関しましてが13件ということで、産活法の認定を受けてこういった様々な支援策が活用されておるということも事実でございます。

この産活法で支援される計画は、生産性の向上に資する、あるいは高い生産性の向上が見込まれるものに限定をしておりまして、その結果として選択と集中が促進をされたと。実際に、その後3年間の計画ということでございますが、認定をされた計画、95%以上の高いパーセンテージでしっかりとその計画が発動されたと。それは全てということではないようでございますが、そしてまたリーマン・ショックで若干計画が狂ってしまったケースもあると聞いておりますが、そういうようなことで基本的に選択と集中を促進する役割は果たしてきたのではないかというふうに考えてございますが、引き続きしっかりと検証していかなきゃいけない。特に、今回のこの改正によって公取との連携の強化とか、あるいは中小企業対策という部分も強化されますので、更にフォローしていかなきゃいけないというふうに考えてございます。

後段の雇用に関しましてでございますが、これも従業員の地位を不当に害するものではないことということが計画認定の際に要件として求められておるわけでございまして、施行指針におきましても「労働組合等と協議により十分に話し合いを行うこと、かつ、事業再構築計画の実施に際して雇用の安定等に十分な配慮を行うこと」、こういうふうに規定をされております。十分な配慮義務ということであるというふうに思っておりますが、しかし、これもいろいろと確認をしてみますと、やはり100%の雇用が確保されているわけではございません。

ただ、こういった形で選択と集中を行わなければもっと厳しい状況に企業は追い込まれていたかもしれない、それを防ぐという意味では、こういった再編を行う、促すことがやはり雇用を守ってきたという側面もあろうかというふうに考えてございます。

以上です。

○加藤敏幸 更なる労働者保護については実態、現実的な対応をお願い申し上げまして、質問を終わります。

ありがとうございました。