国会質問

第189回通常国会 経済産業委員会(2015年3月31日)

拉致調査が順調に進んでいない現状において、北朝鮮に対する今後の「対話と圧力」政策の進め方、現在実施している輸出・輸入の禁止措置の実効性などについて質問

  3月31日、経済産業委員会において、北朝鮮に対する制裁措置として2年間にわたり政府がとってきた輸出・輸入の禁止措置の延長を承認する審議が行われ、20分にわたり政府関係者に質問しました。

  まず、宮沢経済産業大臣に対しては、この2年間の制裁措置の実効性について、また外務省に対しては、①拉致調査が順調に進んでいない現状のもとで北朝鮮に対して「対話と圧力」の政策をどのように進めていくのか、②制裁における人道面を配慮した「スマート制裁」を今後どのように展開していくのか、③北朝鮮との交易を拡大している中国との今後の連携の在り方――などについて質問しました。

  なお、政府の措置の「承認」については全会一致で議決しました。

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○加藤敏幸 おはようございます。民主党・新緑風会、加藤敏幸でございます。

  本日は、北朝鮮制裁に対する国会としての承認ということでございます。

  冒頭、北朝鮮につきましては、やはり核開発、ミサイルの発射、そして拉致というこれらの問題に対して、更に真摯に国際世論並びに我が国の声を聞くべきだということで、冒頭、これは本当に真剣に対応すべきであるということを申し添えたいと思います。

  既に国会では、衆議院、参議院それぞれ過去9回にわたって本会議の決議を行ってまいりました。直近の決議であります2013年2月15日の参議院本会議での決議を引用申し上げますけれども、「政府は、国連安保理決議による『重要な行動をとる』との決意表明を踏まえ、リーダーシップを発揮し国連安保理理事国に対し行動を促すべきである。さらに政府は米国、韓国をはじめ、中国、ロシアなど国際社会と連携し、引き続き対話による努力と北朝鮮に対する新たな制裁を含め断固かつ実効性のある制裁措置を実施することを通じて、北朝鮮による拉致・核・ミサイル問題等の早急な解決に向け、総力を挙げて対処すべきである。」と、このように決議の中にございます。

  まず、経産大臣には、これらの国会決議を受け、これまで経済産業省が担当されてきた各種の経済制裁について現時点でどのように総括されているのか、この点についてお伺いしたいと思います。

○宮沢洋一経済産業大臣 北朝鮮をめぐる拉致、核、ミサイルといった諸懸案に対して国会において累次の決議が行われており、今御質問にありましたように、今回の措置の直前の平成25年2月には三度目の核実験に対する抗議決議が行われております。

  経産省としましては、これらの国会決議を踏まえ、政府全体の北朝鮮措置の一環として、対北朝鮮輸出入禁止措置を厳格に実施してきております。北朝鮮から日本への輸入額は平成17年には約150億円でありましたけれども、平成18年に開始した輸入禁止措置によりまして平成19年以降の輸入額はゼロとなっております。また、日本から北朝鮮への輸出額は平成17年には約70億円でありましたけれども、平成21年に開始した輸出禁止措置によりまして平成22年以降の輸出額はゼロとなっております。

  対北朝鮮輸出入禁止措置は、武器などの輸出入禁止を定めた国連安保理決議を超える全ての貨物を対象とした日本独自の強い措置でありまして、日本の毅然とした姿勢を示すものであると考えております。北朝鮮の厳しい経済状況の下で、政府のほかの対北朝鮮措置と相まって、一定の効果を上げているものと認識をしております。経済産業省といたしましては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決のため、引き続き関係省庁と密接に連携し、対北朝鮮輸出入禁止措置を厳格に実施してまいりたいと思っております。

  なお、本日、北朝鮮をめぐる諸般の情勢を総合的に勘案して、本措置を来月14日以降2年間延長することを閣議決定したところであります。

○加藤敏幸 ありがとうございました。

  次に、拉致調査に関する現状認識と今後の対応の在り方について、外務省にお伺いをしたいと思います。

  昨年5月下旬の第三回日朝政府間協議において、北朝鮮側が、全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施し、最終的に、日本人に関する全ての問題を解決する意思を表明し、これに対し、日本政府は、これまでとってきた独自の制裁措置を昨年7月に解除いたしました。

  しかし、その後の北朝鮮の調査の進捗状況は御承知のとおりでありまして、現在、政府としても、従来の船舶の入港禁止や輸出入禁止措置の2年間の継続に加え、一旦解除した制裁措置の再度の発動を行い、さらには送金禁止など、より強力な制裁措置を検討しておられると、このように伝える報道が一部ありました。

  これまで北朝鮮には対話と圧力という原則で対応してこられたわけでありますが、この拉致調査の問題などに直面する中で、政府として、今後の対応の基本をどこに置くのかお伺いをしたい。特に、制裁の再発動や制裁強化がもたらすであろう様々な影響の見通しなどもあれば、聞かせていただければと思います。

○宇都隆史外務大臣政務官 お答え申し上げます。

  拉致問題に関しましては、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、安倍政権の最重要課題というふうに認識をしております。

  北朝鮮との交渉に当たっては、従来より、委員おっしゃったように、対話と圧力、そして行動対行動の原則に基づいて臨んでいるところです。また、その上で、政府としては、北朝鮮側から諸懸案解決に向けた前向きな具体的行動、これを引き出す上で何が最も効果的かという観点から、不断に検討を行っているところであります。

  対話と圧力の圧力の部分につきましては、国連安保理決議に基づく制裁に加えて、我が国独自の対北朝鮮措置を実施しているところでございます。

  一方、対話につきましては、昨年3月に1年4ヵ月ぶりに北朝鮮との対話を再開して以降、5月のストックホルムでの日朝政府間協議、7月の北京での日朝政府間協議、9月に瀋陽で開催された日朝外交当局間会合、10月の平壌での特別調査委員会との協議といった日朝間の協議の機会に、拉致問題が最重要課題である旨を北朝鮮側に対して繰り返し伝えるとともに、迅速に調査を行い、速やかにかつ正直に結果を日本に通告することを強く求めてきているところでございます。

  我が国といたしましては、引き続き、全ての拉致被害者の帰国に向けて対話と圧力、行動対行動の原則を引き続き貫き、あらゆる機会、あらゆるレベルにおいて全力を尽くしていく所存でございます。

○加藤敏幸 もうこれは、与党、野党関係なく、国全体を挙げて、国民の意思として、特に拉致された家族の皆さん方の思いを共有しながら対応していきたい、我々もできることは御協力をしていきたいと思いますので、御尽力を重ねてお願い申し上げます。

  次に、制裁における人道的措置の在り方ということでございまして、人道的例外措置につきましては、国際的な人道機関などにおいて、制裁措置について高齢者や子供、障害者、難民などの社会的弱者が不本意に悪影響を被る、そういう問題について懸念を表明しております。

  そこで、今日では、制裁におけるこのような側面への配慮から、安全保障理事会の決議の中にも人道的例外事項を入れるとか、また制裁の対象をより明確にし、マイナス影響を緩和する方法が取られているということでございます。この方法はスマート制裁と、このように言われておりますけれども、権力の座にある人々、経済社会に大きな影響力を持っている個人や団体に個別の圧力を加えていくという方法が取られているということでございます。

  2013年3月8日の国連安保理の2094決議は、このスマート制裁の性格を一段と強めております。これに基づき我が国やアメリカが行っている北朝鮮への制裁措置も、兵器の輸出入企業や核開発担当者などエリート階級の金融資産凍結や入国禁止などの措置をとっているわけでありますが、一方で、このようなスマート制裁が本当に実効性を持つかどうかという議論もなお残されております。

  そこで質問をいたしますのは、昨年7月の北朝鮮制裁措置の一部解除においては人道目的の北朝鮮籍船舶の入港を例外的に認めることにしたわけでありますが、制裁の再発動をする場合にこのような人道的な措置についてどのように配慮されていくのか心配するところでもございます。

  日本と北朝鮮との関係でいえば、例えば北朝鮮に住む日本人妻への家族、親戚からの生活支援という問題も残されておりまして、こういった人道的措置への配慮について今後どのように対応されるのか御意見を伺い、あわせて、スマート制裁を今後どのように強化し、実効性あるものにするのかというのについてもお考えあればお伺いをしたいと思います。外務省、経産省のそれぞれ質問といたします。

○滝崎成樹外務大臣官房参事官 お答えいたします。

  我が国は、対北朝鮮措置として、北朝鮮からの全ての品目の輸入禁止措置及び北朝鮮に向けた全ての品目の輸出禁止措置を実施してきております。しかしながら、人道目的などに該当するものにつきましては、今委員からの御指摘のあったように、措置の例外として取り扱われているというような状況にございます。また、北朝鮮籍船舶の入港禁止措置につきましても、今委員からの御指摘にもありましたように、昨年7月以降、人道的観点から、特別の事情がある場合に北朝鮮籍の入港を認める例外措置を実施してきております。

  対北朝鮮措置につきましては、政府としては、北朝鮮側から諸懸案解決に向けた前向きな具体的な行動を引き出す上で何が最も効果的かという観点から、引き続き不断に検討を行っていく考えであります。

○宗像直子経済産業省貿易経済協力局長 輸出入禁止措置に関する人道上の配慮といたしましては、食料、医薬品、衣類、その他の人道目的上妥当な物資を一定の場合に輸出禁止措置の例外としております。

  具体的には、次の二つの場合を例外と認めております。第一に、国際連合、国際赤十字等の北朝鮮にある機関に無償で提供されるもの、第二に、国際郵便で送付される小包であって、北朝鮮内の個人が荷受人となっており、一定期間に個人的使用のために消費すると認められるものでございます。

以上でございます。

○加藤敏幸 ありがとうございました。

  さて、国連安保理決議をベースに各国連携をして北朝鮮へ制裁措置を加えてきたわけでありますけれども、これがなかなか、実際どこまで効果的なのかという課題を抱えていると思います。瀬戸際外交を繰り返しながら、しぶとく対応しているというのが感想であって、本当に我々も制裁の効果を上げていくということを悩むところでもございます。

  例えば、日本の制裁によって2007年から北朝鮮の対日本の輸出入は大幅に減り、先ほど来お話がありました、今日では実質的にゼロになっているということでございますけれども、その代わりに、中国等の輸出入が、代替しているというのでしょうか、少し増えているということでございます。

  制裁前の2001年が日朝間交易のピークでありますけれども、その輸出、輸入額の合計は、現在の為替レートで計算すると446億円と推計されます。一方、直近の推計、2013年で見ると、日本は輸出入禁止でゼロになっていますけれども、中国との間では現在為替レートで約7,800億円もの輸出、輸入が行われています。ちなみに、ロシアとは124億円、韓国とは約1,245億円の貿易額となっております。六ヵ国協議のメンバーの三ヵ国がそういう交易を続けているということでございます。言ってみれば、我が国だけの限界も見えますし、中国が国連安保理決議に基づき制裁をきちんとしてもらわなければ、国際的な制裁措置は効果がなかなか上がらないというふうにも言えるわけであります。

  これをどのようにクリアしていくのか、大変難しい大きな課題ではございますが、また、これまで外務省を始めとし、政府としては北朝鮮問題に対し中国との協力関係充実に御尽力されてきたと、このように思いますけれども、これからの対応も含めて見解をお伺いしたいと思います。

○滝崎成樹外務大臣官房参事官 中国と北朝鮮の関係ですけれども、その全体像は貿易の面も含めて必ずしも明らかになっているわけではございませんけれども、経済関係を含めて北朝鮮と密接な関係を中国は有しているということは御指摘のとおりかと思います。

  そのようなことも反映しまして、中国と北朝鮮の間の貿易も、2014年は2013年に比べて若干減少はしておりますけれども、依然として高い水準にあるというふうに承知しております。

  それから、中国は、国連安全保障理事会の常任理事国ということもありますし、それから六者会合の議長国を務めているということもありますので、北朝鮮に対しては大きな影響力を有しているというふうに考えております。

  我が国といたしましては、対北朝鮮措置あるいは北朝鮮の対応を考える上で、国際社会が一層効果的に北朝鮮問題に対応していくという観点から、引き続き国際社会に対して対北朝鮮の関連安保理決議の着実かつ全面的な履行を求めていくというのが基本的な考えであります。

  また、この関係で、中国とも北朝鮮問題については様々な機会を通じて意見交換を行ってきておりまして、引き続き、日米、それから日米韓の連携を堅持しつつ、中国を含む関係国とも緊密に連携していきたいというふうに考えております。

  なお、先週末の21日の日に行われました日中韓の外相会合においても、三ヵ国は、北朝鮮による核開発を容認することはできないということを再確認したほか、朝鮮半島の非核化の実質的な進展のため、意義のある対話再開に向けて共に努力するということで一致しておりますので、その点も御紹介しておきたいと思います。

○加藤敏幸 なかなか難しい課題もあって、これ言葉にならない難しさといいましょうか、政府挙げて大変努力をしていただいていると思います。一日も早くこの問題が解決されるよう、御努力の方もまたよろしくお願いいたします。

  最後に、迂回交易の取締りについて経産省にお伺いをしたいと思います。

  これはもう皆さん御存じのとおり、迂回輸出、迂回輸入ということがある種この制裁措置を脱法的に対応するという動きもございます。そういうようなことで、各機関、警察、税関など努力もいただきながら、幾つもの事件が摘発されてきましたし、不正行為をした個人、企業に対して刑事罰、行政制裁が行われていますけれども、ゼロにはならないと、このような状況でございます。

  不正な迂回交易の実態と今後の対策について御説明をいただきたいと思います。

○宗像直子経済産業省貿易経済協力局長 お答えします。

  外為法に基づきます対北朝鮮輸出入禁止措置におきましては、北朝鮮を最終仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入について、中国など第三国を経由するものを含めて禁止しております。

  輸出につきましては、本措置の導入以降、外為法違反等により、累計で26件の事案で違反者が検挙されております。これらの違反事案は、1件を除き、中国、韓国又は香港を最終仕向地と偽装していたものでございます。主な違反貨物は、中古自動車、中古タイヤ、中古パソコン、日用品などでございます。

  輸入につきましては、累計で7件の事案で違反者が検挙されておりまして、これらの違反事案は全て中国を原産地又は船積地と偽装していたものでございます。主な違反貨物は、マツタケ、アサリなどの食料品、衣料などであります。

  経済産業省は、こうした北朝鮮との間の違法な輸出入を行う事業者の取締りに当たりまして、従来から、警察、税関等の関係省庁と緊密に連携して厳格に対処しております。今後も、引き続き従来同様、厳格に対処してまいります。

○加藤敏幸 本件は、国民全体の意思が結集し、毅然ときちっと決められたことをやっていくということが大切ではないかということで、経産省、外務省始め各関係機関の御努力をお願い申し上げまして、質問を終わります。

ありがとうございました。