国会質問

第189回通常国会 決算委員会(2015年5月11日)

「空き家・空きビルの福祉施設転用」に関する課題について質問

  5月11日、決算委員会において、「空き家・空きビルの福祉施設転用」に関する課題および今後の住宅政策のあり方について、太田国土交通大臣や政府関係者に質問しました。

  「空き家・空きビルの福祉施設転用」に関する課題については、昨年の5月19日に私が参議院行政監視委員会において質問し、「課題を調査した上で対応を検討する」主旨の答弁があったことを踏まえ、この質問から1年が経過した現在までに政府としてどのような対応を行ってきたのかを質問しました。また、太田大臣に対して、空き家・空きビルの再生・活用を含めた今後の住宅政策のあり方について質問しました。

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○加藤敏幸 民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。

  本日、決算委員会におきまして、空き家あるいは空きビル対策という視点から、また、それらを福祉施設に転用していくという、こういう観点から質問を行っていきたいと思います。

  今、一般企業などで働いて自立していきたい、しようという障害者の方々が増えておりますし、また、一般企業の方も障害者を積極的に受け入れるという機運が高まっています。これは大変喜ばしいことでありまして、お配りをいたしました資料1のカラーのグラフを御覧ください。就労移行支援事業、それから就労継続支援、これはA型の、そして右の緑がB型の事業ということで、御覧になっていただきますと、平成19年から25年まで、これ結構いい感じに右肩上がりで伸びているということでございます。

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  これらの就労支援事業は社会福祉法人や営利法人、NPOなどが施設の設置主体となってきているわけでございます。そして、これらの事業者は、設置コストを控えるために既存の施設、特に障害者が移動しやすい駅周辺の空き店舗、空き事務所などを改装、改築して施設を造りたいと、このように考えているようでございます。

  しかし、既存の建築物を福祉施設として使用する場合には、建築基準法に基づき特殊建築物として建築確認申請と建築主事による確認の手続、これが生ずると、こういうことでございます。さらに、消防法やバリアフリー法などの様々な法的規制や行政指導によって、結果的に福祉施設への転用が認められないケース、あるいは転用に係る負担、これはいろんな意味で、設備を強化するとか、そのことにおきましてコストが増えるということが、家主さん自身がそれは耐えられないということで同意をしないと。こんなことで前に進まないという事態も現実あるということでございます。

  そこで、この問題に関しまして、昨年の5月19日、本院の行政監視委員会においても、国土交通省並びに消防庁に対し、宿泊などを伴わない就労支援事業では福祉転用について一定の規制緩和が必要ではないかと、このような視点から質問を行いました。国土交通省の住宅局長からは、建築基準法関係では、既存ストックの活用を図る観点から、厚労省等関係省庁とも連携して、まず、具体的にどのようなものがどういう改修を要望されていて何が引っかかるのか、これらの内容をよく調べた上で対応を考えていきたいと、こういう答弁をいただきました。

  ほぼ一年がたちました。この間、国土交通省として関係省庁とどのような調整をされ、あるいは省内でどのような検討をされたか、この内容についてお伺いをいたします。

○松本公博国土交通省住宅局長 お答え申し上げます。

  昨年5月に加藤委員から御指摘をいただきまして、昨年6月末に、国土交通省と厚生労働省が連携をいたしまして、全国の都道府県、政令市、中核市、112の団体の福祉部局に対しまして、既存の建物を用途変更して障害福祉施設を設置する際に法令等で支障となった実態があるかを把握するための調査を行いました。

  調査の結果、97の団体から回答をいただき、具体的に35件の物件について支障となった事例があるとの回答をいただいたところでございます。このうち、法律に支障があるとの回答が19件、建築基準法に関連するものは7件で最も多うございました。建築基準法に関連する回答のうち、更に最も多かったのが、建築確認の検査済証がないことから用途変更自体が困難であるという回答が4件あったところでございます。

  これにつきましては、昨年7月に、検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドラインという、いわゆるガイドラインを出しまして、検査済証のない物件の増改築の手続を円滑化するなどの運用改善をまず図りました。

  次に、前回委員の御指摘をいただきました、用途変更しようとする場合に防火規制が支障となるという御指摘でございますけれども、これにつきましても、既存ストックの活用を促進する観点から、昨年7月に建築基準法施行令を改正をいたしまして、空きビルを障害者の就労移行支援事業所等に用途変更した場合の防火上主要な間仕切り壁に係る規制の合理化をいたしました。具体的には、間仕切り壁が従来は天井まで防火壁でなきゃいけなかったものにつきまして、200平米以下でスプリンクラーを設ける場合、あるいは100平米以下で直接屋外に面していて火災報知装置等が設けられているなど避難が極めて容易である場合には、間仕切り壁の規制を緩和したところでございます。

  今後とも、既存ストックの有効活用に資する建築基準の合理化につきまして不断の取組を進めてまいる所存でございます。

○加藤敏幸 今お答えをいただいた視点でいろいろな対応をしていただいたということで、評価をしたいと思います。

  なお、今お話しをいただいたこと、また更に努力をされていくということも多々あると思いますから、引き続き是非そのことをお願いしたいということと、これが大事なんですけれども、これをどうやって、今お話しいただいたことを周知していくかということなんです。

  ほかのことも含めてここで議論をして、ある一定の結論で、ではやってください、よろしいですねと、これはあったとしても、それが日本列島全体の、この件に携わっている皆さんのところにその情報が行かないと、せっかくの努力が水泡に帰すということもあるんです。これは社会的に障害者を普通の企業で受け入れていくという非常に重要な事業なんです。そのことを支えるためにも、周知徹底の方をいろんな場面を通じてやっていただきたいし、地方自治体も是非そのことを更に連携をしてやっていただきたいと思います。

  決算委員会ということで、プラン・ドゥー・チェック・アクション、このことを考えたときに、チェック、ここを決算委員会としていろいろやっていくと。この場で、国が行っていく障害者自立支援法が更に成果を出すために、いろいろな局面においてチェックし、いいことは更にアクションにつないでいくということが必要であると思いますので、是非、国土交通省の大臣始め皆さん方には、更なる徹底と、これが成果に結び付くということをお願いしたいと思います。

  そこで、本件について、実は100平米の壁という言葉が関係の皆さん方の間にあるんです。100平米の壁が一体どういうふうにそのことを評価するかということについては、直接それを申し上げることではない。むしろ、関係する皆さん方が100平米の壁があると、こういうふうに認識されていることが一つのこれは壁なんですよ。本当にそれが壁であるのかないのか、一体どういう具体的な事実を指摘して壁であるのかということもあろうかと思います。

  皆さん方に少し御説明をさせていただきますと、建築基準法では、さきに述べましたように、福祉関係施設は特殊建築物となり、床面積が100平方メートルを超える場合は用途変更の建築確認申請の義務が生じるのです。就労移行支援事業や就労継続支援事業、先ほどグラフで見ていただきました事業、これらの施設では、日常的に大体20名以上の方々、障害者がお集まりになって、いろいろとパソコンの更なる、例えばエクセルをもうちょっとやるとか、そういうふうなことを含めてやっておられるわけですけれども、どうしても20名以上の方々が集まると100平米を超えるスペースが必要になってくると。

  そこで、空室になっているビルを利用しようとしてもこの100平米に直面することになって、先ほど言ったように壁にぶつかっているということで、ストレートに言えばこの100平米の壁を何とかしてほしいと、こういうふうな要望があることも事実であります。ただ、これが101と99とどこが違うのかねと、こういう議論をしますと、これはこれでややこしい議論になりますし、またちょっと趣旨が違ってきますけれども、このことについてまず御認識をいただきたい。

  もう一つ、障害者の就労支援事業での課題は、お手元の資料2をご覧ください。この資料は実は、大阪市都市計画局、ここのホームページ、建築基準法上の手続等についてという案内のホームページから抜粋をさせていただきました。

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  これによりますと、特殊建築物となる福祉関係施設の例といたしまして、そこにございますように、児童福祉施設から障害福祉サービス事業、これは実は、生活介護、自立訓練、そして就労移行支援又は就労継続支援を行う事業に限る、の用に供する施設ということで、これを見れば、就労移行支援事業をやるとすればああここだ、障害福祉サービス事業ということで特殊建築物だと、こういうふうな区分けになるわけであります。

  そこで、この児童福祉施設等として一くくりにされているということですけれども、就労支援事業というのは実際は学習塾や小さなオフィス的な感じで運営されているというふうに、実態的にはそういう内容でございまして、いわゆる児童福祉施設等趣が違ってきているし、一般企業に就職をしていくということの支援ですから、そのレベルにあるということでございました。特殊建築物として一律に扱うということには少し厳しい要請を求めているのではないかと思います。

  この100平米の基準の、神学論争的に余りみりみりしたことは申しませんけれども、この辺のところは、現状に合わせて規則との関係を考えていくという視点からいろいろあるのではないかということで、国土交通省の見解をお伺いしたいと思います。

○松本公博国土交通省住宅局長 建築基準法におきましては、多数の者が利用される建物につきましては特殊建築物という位置付けをいたしまして、特に防火とか構造とかについてはその他の建築物よりは厳しい規制を掛けているのは御指摘のとおりでございます。100平米を超える建物につきましては、新築であっても用途変更であってもやはり必要な安全性等は変わらないと思っておりまして、用途変更の場合も100平米を超える場合には建築確認等の手続をかけて、かつ規制も他の建築物よりは高いものを求めるというのは事実でございます。

  ただ、一方で、そもそも建築基準法というのは安全性等の確保のために必要最小限の規制を規定をしておるものでございまして、現在では、求められる性能さえ満たせば技術開発や研究の視点に応じて規制緩和を可能とするいわゆる性能規定の考え方を採用し、規制の合理化を進めております。確かに、先ほど申し上げました間仕切り壁の規制緩和等もこれの一環でございます。

  御指摘の就労移行支援事業所等について、その利用の実態等も踏まえながら、従来のいわゆる仕様規定的な規定ではなくて、例えば避難安全について個別の建築物あるいは用途について検証する等の、そういうある意味特殊解を幾つか積み重ねながら、我々としては今後の規制緩和にもつなげていきたいと思います。

  それからもう一つ、100平米の壁と言われる中に地方公共団体の建築確認の手続の問題がございます。というのは、必要以上に書類をたくさん求めたり、それから、ある意味どちらかというと圧力的なことをしている団体もあります。こういうことがないように、用途変更に関して必要最小限の手続は何かということをガイドラインで示す等で、そういう意味での促進にも努めてまいりたいと考えております。

○加藤敏幸 大変丁寧な答弁をいただきまして感謝いたします。

  非常に細かなポイントだと捉えられるかも分かりませんけれども、しかし、ここがやっぱり一つのポイント、ここをしっかり議論をして努力をして進めていくということが私たちの仕事の大きな部分でもあると、このように思っていますので、これから大臣のよろしき御指導もお願いをしたいと思います。

  最後に、空き家ということの考え方ですけれども、空家等対策の推進に関する特別措置法が制定されまして、2月26日から施行ということで、危険・不衛生空き家の除去対策というのは道筋が付いたと。ただ、やっぱり増えますよね、空き家は、これから先、全国的に。ある部分もったいない資産だと、資源だと。

  私の世代は、持家政策ということで、もう会社に入ったときから住宅取得預金だとか、いろんな意味で財産形成と持家とがセットになるようなことでずっとやってきた世代ですから、やっぱり自分のための持家を造るということから全て発想しているところがあるんです。しかし、もう自分の親の空き家も家内の親の空き家もとかいう形で、子供はまた違うところへ行っているということで、一生懸命造った住宅が資産から地域においては邪魔者になってしまうというようなある意味悲しい現実もあるし、同時に、国にとって決してそんなにいいことではない。

  国力が伸びていくときならともかく、ある程度、1,000兆円もの借金を抱えて始末をしなければならない時代に入ったときに、この空き家をこれからどのようにやっていくのか、それから、100年住宅、200年住宅という新規のものについての耐用性だとかリフォームだとかいろんな視点から、空き家のこの問題についてこれからどのように考えていかれるのか、是非大臣のお考えをお伺いして、終わりたいと思います。

○太田昭宏国土交通大臣 昨年の秋の臨時国会で、議員立法によりまして空き家への対策ということで法律を成立させていただいて、いよいよ今年それがスタートを切るということになりました。利用できるものは利用する、そして除却すべきものは除却していくという二つだと思います。

  この利用するものという中には大都市部のこともあるでしょうし、最近、観光とかそういうようなことから地方においても利用できるということは十分あるということだと思いますし、今先生御指摘のような介護とか福祉施設、あるいは障害者へのいろんなものも、中身をいろいろ変えてやるということがもう少し柔軟に行われていかなくちゃいけないというふうに思います。

  火災等があって介護施設等が大変なことになったりするということもありますものですから、しっかり監視をしていかなくてはならないとは思いますが、急にこういう高齢社会が来てということの中での空き家をどう利用していくのかということは、まちづくりだけでなく、高齢社会あるいは介護、様々なことの中から大事なことだというように思っておりまして、これを更に具体化するという、大事な大事な今年はそのスタートになっていくんだと、このように思っているところでございます。

○加藤敏幸 ありがとうございました。質問を終わります。