国会質問

第189回通常国会 経済産業委員会(2015年6月16日)

電力・ガスシステム改革後の「保安要員の確保・育成」「使用者の利益確保と公共の利益および環境保全との関係」などについて確認

  6月16日、経済産業委員会において、「電気事業法等の一部を改正する等の法律案」に対する審議が行われ、40分にわたり宮沢経済産業大臣および政府関係者に質問しました。

 質問では、使用者の利益確保と公共の利益増進、パイプライン整備への国や地方自治体の支援、保安要員の確保・育成・雇用の確保、環境保全との関係などについて説明・見解を求めました。

 なお、質疑終了後、法律案は賛成多数で可決されました。また、民主党、自民党、公明党、維新の党、次世代の党の5会派による附帯決議案を私が代表して提案し、賛成多数で採択されました。

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○加藤敏幸 民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。

  電気事業法等一部改正等の改正ということで、この議題もいろいろと議論が進んでまいりましていよいよ最終局面に至っていると、こういう認識の中で、午前中は総理に御出席いただきまして、各会派から質問がなされました。この改正案を最終的に審議するに当たり、いろいろな視点から、国会としてなすべき議論というものについてはしっかり押さえておく必要があるし、またそれも非常に重要なことでありますので、引き続き幾つか御質問をしたいと思います。

  最初に、余り議論はされませんでしたが、需要家の利益とか需要家保護という言葉がよく使われてきたと思っております。今回、法文上は、前回、前々回の改正で使用者の利益の保護という条文が明記されました。ガス事業法につきましても同様の言葉が使われております。例えば、ガス事業法改正案の第八十五条では、一般ガス導管事業者及び特定ガス導管事業者は、他のガス導管事業者と相互に協力して、ガス導管事業者が維持し及び運用する導管と他のガス導管事業者が維持し及び運用する導管との接続その他のガスの使用者の利益を増進し、及びガス事業の健全な発達を図るための経済産業省令で定める措置を講ずるよう努めなければならないとしておるわけでありまして、また、他に公共の利益の増進という規定も見られるということであります。

  ライフラインあるいは社会インフラと言われておりますこの電力、ガスにつきまして、自由化、規制緩和あるいは法的分離というシステム改革を行うということでございますけれども、一定の経過措置がとられた後は完全な自由競争状態になるということの中で、法案の中で言われています使用者の利益あるいは公共の利益というのは結局何を指し、それぞれの利益とするのか。それぞれの者の立場を含めまして、どういうことであり、かつ政策としてそれを支えていく理屈といいましょうか、そのことについて、一応ここは政府の見解をお伺いしたいといます。

○宮沢洋一経済産業大臣 電気につきましてもガスにつきましても、小売の全面自由化後におきましても、まさに国民生活や経済社会における電気事業、ガス事業の重要性、また公共的な色彩があるというところは変わらないと思っております。そうした意味で、総論的に申し上げますと、需要家保護、電気、ガスの使用者の利益の保護を徹底し、これらの事業が社会全体の利益、いわゆる公共の利益に資するものであることが必要だと考えております。

  一つ目の御指摘の使用者の利益につきましては、例えば、電気事業法第二条の五第一項第四号におきまして、小売電気事業に係る登録拒否事由として、小売供給の相手方の電気の需要に応ずるために必要な供給能力を確保できる見込みがないと認められる者その他の電気の使用者の利益の保護のために適切でないと認められる者という規定を設けておりますが、この規定の意味するところは、小売電気事業者が需要家の需要に見合った十分な供給力を確保することにより電気の安定供給が確保されることや、小売電気事業者が需要家に対する説明義務などを適切に果たすことにより需要家が契約内容を正しく理解した上で契約を締結できることなどと考えております。

  また、二つ目の公共の利益の増進につきましては、例えば改正後の電気事業法第十八条第三項第六号におきまして、託送供給等約款に係る認可基準として、前号に掲げるもののほか公共の利益の増進に支障がないことという規定を設けております。この規定における公共の利益の増進の意味するところは、例えば、広域的な電力流通を阻害しない託送料金が設定されていることにより適正な競争関係が確保され、最終的には我が国全体の需要家利益に資することなどということであります。

  最後に、委員から御指摘のありました改正後のガス事業法第八十五条第一項におけるガスの使用者の利益の増進とは、需要家の選択肢が拡大することや、卸や小売の競争が進むことによりガス料金の値上げが抑制される、あるいはガス料金が低下することなどを意図しております。

  使用者の利益と公共の利益といいますと、若干恐らく公共の利益の方が広い概念、使用者の利益を含む広い概念だと思っておりまして、じゃ、その隙間に来るものは何かと担当者と先ほど議論をしておりましたけれども、例えば先ほど言いました送配電網の整備といったものにつきましては、それ自体は公共の利益に資するけれども、託送料金に反映するといった意味では消費者の直接的な損失からいうと若干高くなる、ただ、最終的に送配電網が安定することによって最終的に消費者にも還元されると、こんなことなのかなというような議論を実はしておりました。

○加藤敏幸 予想よりも丁寧な答弁をいただきまして、ありがとうございます。

  実は、最後に大臣がお答えになった辺りから少し議論に走り過ぎてもという思いを持っているんですけれども、これは非常に議論すべきところがあるし、これからも引き続きやるべきと思っています。

  今言われたように、送配電網をきちっと整備し確保するということは最終的には公共の利益につながるということはそのとおりで、ガスでいえば導管網をどのように整備をしていくのか、これは単に需要があるからつなぐとかでなく、国の最終的なセキュリティーを含めた大きな部分を支える、災害に対する強靱化、国土強靱化のお話も午前中ありましたが、それにもつながる話であって、そこのところは完全自由化という概念とはやや違ったニュアンス、味付けが残ってきますねと。それは電力、ガスというのは、公共的、言わばライフラインの重大なものであって、そこはそこでナショナルミニマムにつながるところがある。

  電気製品を買いに行ったら、品切れと言われたり、いつ入荷するかわかりませんと言われることがありますが、これは駄目だということですよね。電気が欲しい、ガスが欲しいと言えば、出す以上は安定的にガスを供給しなければならないという意味で、非常に供給責任ということに大きなウエートが置かれたマーケット自由化であるということだと思いますので、またこのことは機会があれば議論をしていきたいと思います。

  次に、パイプライン整備の支援ということでございますけれども、これも午前中御質問もございましたし、結構いろいろと御答弁がありました。同様に、天然ガスの広域パイプライン整備というのは、言わば災害リスクを軽減するということで、未曽有の震災を経験した今日、いろんな意味で、ある重要性を高めていると思います。

  また、石油からCO2排出量の少ない天然ガスというものを再評価していこうということを含めまして、いろいろと製造業等の需要に応えながら、企業誘致、地域産業振興、こういうふうな政策目標に沿っていろいろと計画があるのではないかと思います。

  経産省におかれましても、関東から九州までのいわゆる広域ガス導管設備方針というものを持っておられると思いますし、前々回の委員会で、広域パイプラインの整備には膨大な費用が掛かるということを指摘いたしました。政府が想定されている4ルート、横浜―知多、姫路―北九州、長岡―桶川、長岡―彦根の建設だけれども、大規模地下貯蔵施設などを含む建設投資額は1兆9,600億円、このように推定されております。

  整備コストの負担の在り方について、現在のところ、ガスシステム改革においては、基本的に導管等で総括原価主義を維持し、受益者が負担すべきだということの考えには立たれていないということでございます。しかし、今後、導管事業者のみがこの事業を一手に引き受けることは、幾ら建設費を託送料金に上乗せしたとしても、大きな負担になります。導管網を整備して天然ガス供給できる地域を増やせばセキュリティー向上やCO2削減効果は生まれるというわけでありますけれども、ガスパイプラインそのものは公共性を持った産業インフラではあるということになってきて、単に利益を追求するという立場だけではやはり議論はしきれないということから、そういう個別導管事業者の利益を超えて負担すべき役割という部分について、これは国であるとか地方自治体が負担するということも一つ考えられることではないかと、このように思っております。

  いろいろと現在も、茨城県の日立、栃木県の真岡、この辺でもパイプラインの敷設が行われているし、これは首都圏の言わばガス供給力を大いに支えるということで意味があるということでございます。

  パイプライン整備に関する費用負担について、国、自治体、事業者間の役割分担を明確にしていく必要があると考えますけれども、改めて政府の所見をお願いしたいと思います。

○山際大志郎経済産業副大臣 委員御指摘のように、このガス導管、非常に敷設しようとすると多額の料金が掛かるということもございまして、経済合理性とのバランスを取りながら先に進めていく必要があろうと、このように考えてございます。

  今、国、地方自治体等々の役割分担というお話ございましたが、国といたしましては、これまでもこの導管整備に関しましては一定の利子補給等々をやってございます。また、今回の法案におきましては、これも委員御指摘のとおりでございますけれども、一般ガス導管事業につきましては地域独占そしてまた料金規制を維持いたしまして導管整備費用の回収を制度的に担保しておりますが、さらに、これまでにない措置といたしまして、全てのガス導管事業者に導管の相互接続に係る努力義務を課すとともに、国が導管整備に関する事業者間の協議を命令、裁定できる制度を創設してございます。

  また、今回のシステム改革の一環といたしまして、建設後一定の期間について高めの事業報酬率を設定できる措置や、あるいは新規に敷設した導管の託送料金を他の導管と遜色ない水準に設定できるような託送料金の設定ルールの柔軟化措置なども講ずること等検討しております。

  こうした措置を活用いたしまして事業者において経済合理性も踏まえながら必要なパイプラインの整備が進められるよう、環境整備に努めていくことが重要である、このように考えてございます。

○加藤敏幸 今御説明されましたお考えの対策について、これは異論があるということではないんです。

  ちょっと話が同じことを言っているようですけれども、やはり完全自由化と言われていることから発生する課題と、それからもう一つは、国レベルとして、いわゆる市場原理に基づく企業の行動、ビヘイビア、それとまた違った視点からやはり手当てをすべきことというのはおのずから本件についてはあり得るという問題意識は、これは共有できていると思うんです。ここのところを余り今の段階で精密にすると、なかなかこのシステム改革そのものが、導管事業者、送配電事業者の中立性とか、結構いろんな意味での要素がある中で話がややこしくなってくると思うんです。

  例えば送電網も、非常にネットワークとして整備されているように思われますけれども、これよくよく見ると決して面的ではなくて、結構ライン、そしてラインの中に幾つかのループ、小さなネットがこぶのようについているというのが日本の送電網の特徴なんです。一か所が短絡したときに周りでカバーしてということもうまくいく場合といかない場合とか、これはいろんな意味で、電力網のセキュリティーという観点から大きな課題があるということですから、ここは御意見として、今後そういう視点から本件についてはお考えをいただきたいということを要望しておきたいと思います。

  次に、特定ガス導管事業への規制ということでございます。

  この改正におきましては、中圧、高圧の導管のみを維持運用する導管事業者については、特定ガス導管事業という区分を設けられました。この中で、大手の国際石油開発帝石株式会社(INPEX CORPORATION)と石油資源開発株式会社(Japan Petroleum Exploration Co., Ltd. 略称:JAPEX)の二社は、東北、上越、関東に非常に長いパイプラインを敷設し、製造拠点を持っておられます。例えば国際石油開発帝石は、新潟から長野を通り群馬、埼玉、東京、あるいは富山、甲府、静岡に天然ガスを供給する約1,400キロメートルのパイプラインを持っております。また、石油資源開発は、新潟―仙台ラインを始め、826キロメートルにわたるパイプラインを持っているということであります。

  これ、衆議院の審議の中では、この大手二社について、特別ガス導管事業者には入れずに、製造部門や小売部門との法的分離の対象としない方針が示されたということで、政府答弁では、販売量や需要家件数などを基準にして大手三社と区別したと、このようにされております。ただ、そのことについて衆議院の議論を聞いておりますと、十分に説得力を持った説明とはなっていないような気がいたしました。

  再度、特別ガス導管事業者となる基準について説明をいただきたいし、この基準については、今後情勢の変化や自由化の進展の中で変更されていくのかどうか、この辺のところを御説明いただきたいと思います。

○上田隆之資源エネルギー庁長官 この特定ガス導管事業者、これを法的分離の対象にするのかどうか等々に関するお尋ねでございます。

  衆議院でも大分御議論をいただきましたけれども、私ども、この一般ガス導管事業者、これは東京ガス、大阪ガス等々でございます。これは、特定ガス導管事業者とともに、これは導管部門についてはひとしく中立性を求められているということであると考えておりまして、法律上、法文上におきましては、いずれも法的分離の対象となり得るという構成にしているわけでございます。そして、その対象基準は、具体的には政令で定めることとしておりますけれども、これも両者で同一とすることを今は想定をしております。

  じゃ、どういう基準にするのかということでございますが、これにつきましては、やはり導管の総延長というものが長い事業者は、その事業者の規模あるいはガスの供給量、需要家数等々も多くなるわけでございまして、客観的、安定的に判断が可能なそういうデータということで、導管総延長を判断基準としたいと考えております。

  具体的には、高圧管、低圧管、それを全て含めました導管の総延長、この全国のシェアが一割以上であるということを想定をしておりまして、こうした基準に該当するのが東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの都市ガス大手三社ということでございます。

  御指摘のありましたINPEX、JAPEXは、特定ガス導管事業者には該当するわけでございますが、低圧管を持たないため、一般ガス事業者と同じ導管の総延長で判断いたしますと法的分離の対象とはならないと考えておりますし、INPEX、JAPEXそれぞれの需要家数あるいは小売販売量、卸売販売量という販売量で比べても、東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの三社とは大きな差があるということでございます。したがって、あえて特定ガス導管事業者についてより厳しい基準を設定をしまして法的分離の対象に加えるということは、特定ガス導管事業者が地域独占を認められた事業者でないということを考えますと、バランスを欠くのかなと考えておるわけでございます。

  それから、一般ガス導管事業と特定ガス導管事業の区別でございますけれども、これは実は現行法の区別を踏襲をしているものでございます。現行法におきましては、一般ガス事業とガス導管事業というのを区別をしているところでございます。

  特定ガス導管事業というのは、自らが維持運用する導管を用いまして特定の供給地点において託送の供給を行う事業でありまして、現在のガス導管事業を引き継ぐという形でございまして、現在のガス導管事業でございますが、一般ガス事業者、御案内のとおり、地域独占、総括原価ということでございますが、ガス導管事業そのものは、地域独占が認められていると申し上げました一般ガス事業とは異なりまして、総括原価ではございません、また地域独占も認められていないということでございまして、そういったことの中で自由に営業活動を行ってきたという者でございます。したがいまして、現行のガス導管事業制度の下では、託送料金につきまして届出制ということでございますけれども、その届けられた託送料金の約款が需要家の利益を著しく阻害するというような場合には経産大臣はその変更を命じることができると、こういう仕組みにしているところでございます。

○加藤敏幸 そういうことで、政令で定めている基準ということでございました。

  取りあえずガス導管の総延長を基準にということで三社と、これは大体うまい具合に三社にある程度収まったというふうな感想もあるかと思いますけれども、需要家戸数だとかいろんな要素を含めて、今後柔軟にお考えいただくケースも必要ではないかと、このように申し上げたいと思います。

  次に、雇用の確保、保安要員の人材交流、それから人材の確保、育成というこの視点から御質問いたします。

  法的分離が行われるということで、これは企業分割ということです、法人が別になったと。そういうことで、従業員に対しましても行為規制による二社にまたがる兼職が禁止されたと。それから、当該の従業員にとっては、会社が別ですから、移るときには転籍になるとか分社先への再雇用と、そういったことで、これは余り変わらないということもありますけれども、形式的に法人が別になると、これ、雇用契約を含めていろんな意味で変わってくるんです。

  例えば、私の専門ですから申し上げますけれども、労働組合は、それぞれどういう組織形態にするかは、それは勝手にやっていいということなんです。ただ、多くは企業別に編成した方がある意味やりやすい、それから使用者もある種やりやすい。それはそれで、デメリットも主張されていますけれども、当然メリットも多々あり、経験的に過去何十年それを中心に日本の労働組合はやってきたと。もちろん他の組織形態を取るところも多々あるということはありますけれども。

  そういう状況の中で、企業分割をしていくことで、雇用契約とか就業規則をどうするのか、先ほど言った労使関係をどのように構築をしていくのか、労働条件の問題を含め例えば健康保険組合は連合会で行くのかどうかとか、福利厚生面での共通設備の問題など、いろんな意味で経験的にいろいろな課題が発生するんです。実務的に結構これは、従業員たる皆さん方、組合員たる皆さん方、それぞれ不安とか持っているということであります。原則は、これはお伺いするまでもなく、やはり労使協議の場が十分に機能されて、非常にいいコミュニケーションの下で、最終的にはモラルとモラールが維持される形で決着を図っていくことが非常に大事だと考えております。

  ここのところ、労使自治、労使の自律的関係ということを大切にしたいし、この対象となっている業界は過去、歴史的にいろいろな課題を抱えて努力をされてきましたけれども、結果的に労使自治はうまくいっている。なかなか労使の団結が強過ぎてどうかなという感想をお持ちかも分かりませんけれども、しかし、よくよく考えてみると、ライフラインを担っていくし、それから一旦災害が起これば一致団結して事に当たる、場合によってはお隣の企業からも応援がもらえると、そういうふうなことは非常に大事だし、それから労働安全という面についても、そういう意味では職場の団結とか皆さん方の仲間意識ということは非常に大切な業界、産業であると思います。

  小林委員がよく言われていましたけれども、送電線の事業というのは相当数が活線事業なんですね、活線工事。これ27万ボルト入った状態で作業をすると。足が地に着くほど背の高い人はおりませんけれども、地に着けば感電するという状況で、これはもう大変厳しい状況です。ガスについても、今は減っていますが、ガス漏れが何かの原因で引火すると直ちに爆発ということで大惨事、過去にもありましたけれども、そういう環境の中であります。特に安全、それから保安、これは訓練、それから問題が起こったときの指揮命令を現場でする人間というのは、ガスの製造も小売も導管も一気通貫で心得た人でないと的確な指揮命令をやることはできないし、電力もそういうことであったと思いますので、その辺のところを含めて事業者をどのように御指導いただくのか、お考えがあればよろしくお願いします。

○多田明弘資源エネルギー庁電力・ガス事業部長 お答え申し上げます。

  まず、労使協議の関係でございます。

  まず、一般論として申し上げますと、当然のことながら、労使協議につきましては労使間の交渉で進められるべきものだと思っておりまして、私ども監督官庁であります経済産業省として、何かその中身の個別個別に一つ一つ口出しをするということは適当ではないと考えております。

  したがいまして、今般の法的分離の実施に伴いましても、今先生の方から御指摘のございました従業員の方々が抱えます不安、これどのように対応していくのか、どのように向き合っていくのかという点につきましては、基本的には健全な経営者の、モラルとモラールというお話ありましたけれども、健全な経営者の御判断に期待したいというのが基本的な立場ではございます。

  他方で、やはり御指摘るるございましたように、雇用契約の位置付け等々、不安を抱えておられる従業者の方々がいらっしゃるということはこれ十分想定されるわけでございますので、経済産業省といたしましても、従業員の方々の不安を払拭するための取組がどのように行われているのか、しっかり適切になされているかどうか、そこは注視をしてまいりたいと思っております。その上で何らかの問題が生じているということであれば、その問題の所在を適切に把握いたしたいと思いますし、その問題が行政として関与すべきだということでありましたらそれは関係省庁とも連携して対応するということになるかと思っております。

  また、二点目に御指摘のございました作業員の方々の安全を含めた保安という観点でございます。これも大変重要な御指摘であろうかと思います。

  行為規制の中で、人事交流については人材育成の観点も含めて適切な規制の内容にしていくといったことはここでも御議論させていただいたかと思っておりますが、私ども、この法的分離に伴って現場での安全あるいは保安の確保に問題が生ずるということはあってはならないと思っておりまして、この行為規制に関しましても、保安の確保に不可欠な現場力の維持向上を妨げるような設計とはしないように心掛けていきたいと思っております。

  また、ガスの面につきましては、更に加えまして、今回の法案の中で全てのガス事業者に対しまして保安の確保に係る連携あるいは協力の義務というものを課すことにいたしております。

  いずれにいたしましても、今後の詳細設計に当たりまして、法的分離後の保安の確保、あるいは作業員の方々の労働安全の確保、こういったところに悪影響を及ぼすことがないようにしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

○加藤敏幸 本当によろしくお願いをしたいと思います。

  続きまして、天然ガスの安定確保に係るある種国家戦略といえば話が大きくなりますけれども、これについてお伺いしたいと思います。

  午前中の質疑の中で、総理答弁で天然ガスの確保等につきましては相当に明らかになって、まあまあそこは納得ができるということであります。しかし、この天然ガスをどのように安定的に確保していくかということは極めて重要な問題であると同時に、変動要因が多々あるということも現実だと思います。これは産出国の事情もあれば、需要国は日本だけではないので、当然、中東の石油だとかを含めてそれとの相対関係ということがございます。

  また、産出国から見た日本のいわゆるマーケットとしての価値も関係してくると。日本には原子力発電があり、これは電力でも三割近く担っているということが、いわゆる天然ガスを買いに行ったときの交渉的力を支えていたということは何度も聞きました。それがなくなってしまったらどうするの、あなたのところ何もないなら言い値で天然ガスを買いなさいよというこのポジションもつらいものがある。

  しかし、コージェネだとか、それから燃料電池、天然ガス由来のそういうものを膨らませていく、発展させていく、拡大させていく、これは非常に必要であると、この議論も午前中ありました。ただ、需要を拡大することのデメリットもこれはまたあるわけですし、小さ過ぎる需要にするということのデメリットもあるしということで、これは意外と難しい部分もあると思います。

  なので、簡単に、単純な言い方で天然ガスシフトとか、これも言い切らない要素もあるし、では、そのこと自体が他の燃料系に対する違った意味でのプレッシャーを掛けていってということで、相対的に非常にお互いが関連し合った構造になっているという難しい状況であると。またシェールガスにつきましては、これは水圧破砕という技術が環境的に非常に注目をされていますし、ガスの漏えい、メタンガスはCO2の80倍の温暖化効果を持つと言われています。これも将来ちょっとリスクが感じられるということで、なかなかこの天然ガスの将来見通しも難しいわけですけれども、ここはひとつ、天然ガスの安定確保、また国内での天然ガスの利用拡大、これはコージェネとか燃料電池、もちろん発電含めてあるわけですけれども、この辺のところのお考えをお聞かせください。

○宮沢洋一経済産業大臣 天然ガス、LNGにつきましては、アメリカとかヨーロッパの国は、生といいますかガスそのものが使えるというのに比べて、日本等アジアの国はLNGという形で輸入をしてくるということで、価格的にかなり差を付けられている。一方で、LNG価格自体も高止まりをしているという指摘があるといった問題点があって、安価なLNGを安定的に確保するということは我が国にとって大変大事な政策でございます。

  政府といたしましても、米国からのシェールガス、LNGの輸入の実現や、また日本企業の上流権益の確保などを通じた供給の多角化、またLNG産消会議というものを日本で産出国と消費国両方来ていただいてやっておりまして、昨年が三回目、今年が四回目、秋に予定をしておりますけれども、こういう産消会議などを通じまして、消費国間の連携強化といったような価格競争力を高めるというようなことを今までやってきております。

  特に、アメリカからのいわゆるシェールガスにつきましては、今、日本勢、五つのプロジェクトに参加しておりますけれども、2016年以降、順番に我が国への輸出が開始される予定でございます。そして、アメリカのLNG調達は、石油価格に連動した契約ではなくて米国の天然ガス価格指標に連動しておりますので、昨年度のLNG平均輸入価格に比べ三割程度安価に調達することが可能になると見込まれております。

  また、民間部門におきましても、今年に入りまして、中電と東電が燃料・火力部門の包括的アライアンスを結びまして合弁会社を設立しておりまして、こういう価格競争力の強い企業を育てていくということも大事だろうと思っております。

  また、おっしゃいますように、使う側につきましても、コージェネを始めとして、エネルギー基本計画におきましてもこの天然ガスについては位置付けをしておりますので、そういう方向で天然ガスの使用というものを多くする努力といったものを政策的にもしていきたいと考えております。

○加藤敏幸 今後とも力強い取組を是非お願いをしたいと思います。

  最後に、環境保全との関係ということでお伺いいたします。

  システム改革が温暖化対策とのどういう相対的な関係を持つのかということは、これは非常に重要なポイントでありまして、午前中、特に石炭火力の新設等の現下の状況を踏まえて、環境省の報道された対応等について議論がありました。スポット的にあれはどうした、これはどうした、ということだけではなく、自由化をするということは、お客様の価格志向が強いと、どうしても電源に、それからエネルギー源に安いものを選択するという非常に大きなムーブメントができてくるということはもう仕方がないと思うんです。また、そのことが今回のシステム改革を支える一つの考え方だと思っています。

  しかし、一方で26%CO2削減のこういう目標の中で、どこまで行ってもこの排出量というのはずっとこうされると。そのことについては、いわゆる環境アセスメントとそれから省エネの二つの仕組みでいろいろな形でオペレーションができるというお話がありましたが、最終的に、この地球環境対策、環境対策とこのシステム改革というものはどこかできちっと折り合いを付けていくというこの仕組みを政府なりにいろんな場面で持っていただいて、そのことを適宜国民に情報公開をする。これは非常に大事なことで、コンセンサスを取りながらやっていくんだということが国のレベルとしても大切だと思いますので、その点について御見解をいただきたいと思います。

○上田隆之資源エネルギー庁長官 この点、午前中も御議論いただきました。確かに、一方で電力の自由化を進めていく中で、発電であれ小売であれ、どの事業者も言わば自由に発電所を造ることができることになると。そういうことの中で、他方でCO2の問題もあると。どのようにしていくかということでありますけれども、午前中も御議論ございましたけれども、我々、電力システム改革が進んだという場合におきましても、このエネルギーだけで全ていいというエネルギーはないと考えております。したがって、全体として弱みが補完され、柔軟かつ多層的な供給構造を構築をしていこうということで、単に市場任せということでなくて、様々な政策を講じていかなければいけないと考えております。

  石炭火力につきましては、午前中の御議論もありましたように、事業者の枠組みというものの構築、自主的な枠組みの構築を促進するとともに、省エネ法の規制であるとか技術開発の推進であるとか、様々な政策ツールを活用していきたいと考えておりますけれども、今委員御指摘のような、一方で自由にしていく、一方でCO2の問題を始めその制約条件をしっかり達成していく、その辺りのかみ合いにつきまして、今申し上げましたような私ども様々な政策手段を総動員をしたいと思っていますが、そういった考え方、その手法等々につきましては、十分に情報公開をしながら、また多くの方々のコンセンサスをいただきながら進めていきたいと考えております。

○加藤敏幸 最後に、この法案の賛否については大変悩みました、実態のところ。それで、特に、例えば電力事業者の自主的な枠組みというふうなことを言われて、それについての意見も午前中いろいろ出たので同じことは言いません。

  結局、システム改革というのは、やっぱりある種我が国の成熟度を表現していると思うんです、これはこういう形で。というのは、余りにもこの関連する項目が多過ぎて、結構複雑系ですよ。簡単に、最大限、価格、これを抑制するということだけ、そこに結び付くためにはいろいろな問題が、あるいは原子力の問題だってあるし、環境問題だってあるし、資源の調達だってあるし、いろいろいろいろあるということの中でこの議論ができるということは、我が国のエネルギーに関わる、電力に関わる世論がある意味で成熟しているということは評価しつつも、しかし足らないところもあると。

  だから、そのことは是非心して、特に国民、皆さん方との対話にこれから努力をしていただきたいということを強く要請いたしまして、質問を終わります。

  ありがとうございました。

○加藤敏幸 民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。
電気事業法等一部改正等の改正ということで、この議題もいろいろと議論が進んでまいりましていよいよ最終局面に至っていると、こういう認識の中で、午前中は総理に御出席いただきまして、各会派から質問がなされました。この改正案を最終的に審議するに当たり、いろいろな視点から、国会としてなすべき議論というものについてはしっかり押さえておく必要があるし、またそれも非常に重要なことでありますので、引き続き幾つか御質問をしたいと思います。
最初に、余り議論はされませんでしたが、需要家の利益とか需要家保護という言葉がよく使われてきたと思っております。今回、法文上は、前回、前々回の改正で使用者の利益の保護という条文が明記されました。ガス事業法につきましても同様の言葉が使われております。例えば、ガス事業法改正案の第八十五条では、一般ガス導管事業者及び特定ガス導管事業者は、他のガス導管事業者と相互に協力して、ガス導管事業者が維持し及び運用する導管と他のガス導管事業者が維持し及び運用する導管との接続その他のガスの使用者の利益を増進し、及びガス事業の健全な発達を図るための経済産業省令で定める措置を講ずるよう努めなければならないとしておるわけでありまして、また、他に公共の利益の増進という規定も見られるということであります。
ライフラインあるいは社会インフラと言われておりますこの電力、ガスにつきまして、自由化、規制緩和あるいは法的分離というシステム改革を行うということでございますけれども、一定の経過措置がとられた後は完全な自由競争状態になるということの中で、法案の中で言われています使用者の利益あるいは公共の利益というのは結局何を指し、それぞれの利益とするのか。それぞれの者の立場を含めまして、どういうことであり、かつ政策としてそれを支えていく理屈といいましょうか、そのことについて、一応ここは政府の見解をお伺いしたいといます。
○宮沢洋一経済産業大臣 電気につきましてもガスにつきましても、小売の全面自由化後におきましても、まさに国民生活や経済社会における電気事業、ガス事業の重要性、また公共的な色彩があるというところは変わらないと思っております。そうした意味で、総論的に申し上げますと、需要家保護、電気、ガスの使用者の利益の保護を徹底し、これらの事業が社会全体の利益、いわゆる公共の利益に資するものであることが必要だと考えております。
一つ目の御指摘の使用者の利益につきましては、例えば、電気事業法第二条の五第一項第四号におきまして、小売電気事業に係る登録拒否事由として、小売供給の相手方の電気の需要に応ずるために必要な供給能力を確保できる見込みがないと認められる者その他の電気の使用者の利益の保護のために適切でないと認められる者という規定を設けておりますが、この規定の意味するところは、小売電気事業者が需要家の需要に見合った十分な供給力を確保することにより電気の安定供給が確保されることや、小売電気事業者が需要家に対する説明義務などを適切に果たすことにより需要家が契約内容を正しく理解した上で契約を締結できることなどと考えております。
また、二つ目の公共の利益の増進につきましては、例えば改正後の電気事業法第十八条第三項第六号におきまして、託送供給等約款に係る認可基準として、前号に掲げるもののほか公共の利益の増進に支障がないことという規定を設けております。この規定における公共の利益の増進の意味するところは、例えば、広域的な電力流通を阻害しない託送料金が設定されていることにより適正な競争関係が確保され、最終的には我が国全体の需要家利益に資することなどということであります。
最後に、委員から御指摘のありました改正後のガス事業法第八十五条第一項におけるガスの使用者の利益の増進とは、需要家の選択肢が拡大することや、卸や小売の競争が進むことによりガス料金の値上げが抑制される、あるいはガス料金が低下することなどを意図しております。
使用者の利益と公共の利益といいますと、若干恐らく公共の利益の方が広い概念、使用者の利益を含む広い概念だと思っておりまして、じゃ、その隙間に来るものは何かと担当者と先ほど議論をしておりましたけれども、例えば先ほど言いました送配電網の整備といったものにつきましては、それ自体は公共の利益に資するけれども、託送料金に反映するといった意味では消費者の直接的な損失からいうと若干高くなる、ただ、最終的に送配電網が安定することによって最終的に消費者にも還元されると、こんなことなのかなというような議論を実はしておりました。
○加藤敏幸 予想よりも丁寧な答弁をいただきまして、ありがとうございます。
実は、最後に大臣がお答えになった辺りから少し議論に走り過ぎてもという思いを持っているんですけれども、これは非常に議論すべきところがあるし、これからも引き続きやるべきと思っています。
今言われたように、送配電網をきちっと整備し確保するということは最終的には公共の利益につながるということはそのとおりで、ガスでいえば導管網をどのように整備をしていくのか、これは単に需要があるからつなぐとかでなく、国の最終的なセキュリティーを含めた大きな部分を支える、災害に対する強靱化、国土強靱化のお話も午前中ありましたが、それにもつながる話であって、そこのところは完全自由化という概念とはやや違ったニュアンス、味付けが残ってきますねと。それは電力、ガスというのは、公共的、言わばライフラインの重大なものであって、そこはそこでナショナルミニマムにつながるところがある。
電気製品を買いに行ったら、品切れと言われたり、いつ入荷するかわかりませんと言われることがありますが、これは駄目だということですよね。電気が欲しい、ガスが欲しいと言えば、出す以上は安定的にガスを供給しなければならないという意味で、非常に供給責任ということに大きなウエートが置かれたマーケット自由化であるということだと思いますので、またこのことは機会があれば議論をしていきたいと思います。
次に、パイプライン整備の支援ということでございますけれども、これも午前中御質問もございましたし、結構いろいろと御答弁がありました。同様に、天然ガスの広域パイプライン整備というのは、言わば災害リスクを軽減するということで、未曽有の震災を経験した今日、いろんな意味で、ある重要性を高めていると思います。
また、石油からCO2排出量の少ない天然ガスというものを再評価していこうということを含めまして、いろいろと製造業等の需要に応えながら、企業誘致、地域産業振興、こういうふうな政策目標に沿っていろいろと計画があるのではないかと思います。
経産省におかれましても、関東から九州までのいわゆる広域ガス導管設備方針というものを持っておられると思いますし、前々回の委員会で、広域パイプラインの整備には膨大な費用が掛かるということを指摘いたしました。政府が想定されている4ルート、横浜―知多、姫路―北九州、長岡―桶川、長岡―彦根の建設だけれども、大規模地下貯蔵施設などを含む建設投資額は1兆9,600億円、このように推定されております。
整備コストの負担の在り方について、現在のところ、ガスシステム改革においては、基本的に導管等で総括原価主義を維持し、受益者が負担すべきだということの考えには立たれていないということでございます。しかし、今後、導管事業者のみがこの事業を一手に引き受けることは、幾ら建設費を託送料金に上乗せしたとしても、大きな負担になります。導管網を整備して天然ガス供給できる地域を増やせばセキュリティー向上やCO2削減効果は生まれるというわけでありますけれども、ガスパイプラインそのものは公共性を持った産業インフラではあるということになってきて、単に利益を追求するという立場だけではやはり議論はしきれないということから、そういう個別導管事業者の利益を超えて負担すべき役割という部分について、これは国であるとか地方自治体が負担するということも一つ考えられることではないかと、このように思っております。
いろいろと現在も、茨城県の日立、栃木県の真岡、この辺でもパイプラインの敷設が行われているし、これは首都圏の言わばガス供給力を大いに支えるということで意味があるということでございます。
パイプライン整備に関する費用負担について、国、自治体、事業者間の役割分担を明確にしていく必要があると考えますけれども、改めて政府の所見をお願いしたいと思います。
○山際大志郎経済産業副大臣 委員御指摘のように、このガス導管、非常に敷設しようとすると多額の料金が掛かるということもございまして、経済合理性とのバランスを取りながら先に進めていく必要があろうと、このように考えてございます。
今、国、地方自治体等々の役割分担というお話ございましたが、国といたしましては、これまでもこの導管整備に関しましては一定の利子補給等々をやってございます。また、今回の法案におきましては、これも委員御指摘のとおりでございますけれども、一般ガス導管事業につきましては地域独占そしてまた料金規制を維持いたしまして導管整備費用の回収を制度的に担保しておりますが、さらに、これまでにない措置といたしまして、全てのガス導管事業者に導管の相互接続に係る努力義務を課すとともに、国が導管整備に関する事業者間の協議を命令、裁定できる制度を創設してございます。
また、今回のシステム改革の一環といたしまして、建設後一定の期間について高めの事業報酬率を設定できる措置や、あるいは新規に敷設した導管の託送料金を他の導管と遜色ない水準に設定できるような託送料金の設定ルールの柔軟化措置なども講ずること等検討しております。
こうした措置を活用いたしまして事業者において経済合理性も踏まえながら必要なパイプラインの整備が進められるよう、環境整備に努めていくことが重要である、このように考えてございます。
○加藤敏幸 今御説明されましたお考えの対策について、これは異論があるということではないんです。
ちょっと話が同じことを言っているようですけれども、やはり完全自由化と言われていることから発生する課題と、それからもう一つは、国レベルとして、いわゆる市場原理に基づく企業の行動、ビヘイビア、それとまた違った視点からやはり手当てをすべきことというのはおのずから本件についてはあり得るという問題意識は、これは共有できていると思うんです。ここのところを余り今の段階で精密にすると、なかなかこのシステム改革そのものが、導管事業者、送配電事業者の中立性とか、結構いろんな意味での要素がある中で話がややこしくなってくると思うんです。
例えば送電網も、非常にネットワークとして整備されているように思われますけれども、これよくよく見ると決して面的ではなくて、結構ライン、そしてラインの中に幾つかのループ、小さなネットがこぶのようについているというのが日本の送電網の特徴なんです。一か所が短絡したときに周りでカバーしてということもうまくいく場合といかない場合とか、これはいろんな意味で、電力網のセキュリティーという観点から大きな課題があるということですから、ここは御意見として、今後そういう視点から本件についてはお考えをいただきたいということを要望しておきたいと思います。
次に、特定ガス導管事業への規制ということでございます。
この改正におきましては、中圧、高圧の導管のみを維持運用する導管事業者については、特定ガス導管事業という区分を設けられました。この中で、大手の国際石油開発帝石株式会社と石油資源開発株式会社の二社は、東北、上越、関東に非常に長いパイプラインを敷設し、製造拠点を持っておられます。例えば国際石油開発帝石は、新潟から長野を通り群馬、埼玉、東京、あるいは富山、甲府、静岡に天然ガスを供給する約1,400キロメートルのパイプラインを持っております。また、石油資源開発は、新潟―仙台ラインを始め、826キロメートルにわたるパイプラインを持っているということであります。
これ、衆議院の審議の中では、この大手二社について、特別ガス導管事業者には入れずに、製造部門や小売部門との法的分離の対象としない方針が示されたということで、政府答弁では、販売量や需要家件数などを基準にして大手三社と区別したと、このようにされております。ただ、そのことについて衆議院の議論を聞いておりますと、十分に説得力を持った説明とはなっていないような気がいたしました。
再度、特別ガス導管事業者となる基準について説明をいただきたいし、この基準については、今後情勢の変化や自由化の進展の中で変更されていくのかどうか、この辺のところを御説明いただきたいと思います。
○上田隆之資源エネルギー庁長官 この特定ガス導管事業者、これを法的分離の対象にするのかどうか等々に関するお尋ねでございます。
衆議院でも大分御議論をいただきましたけれども、私ども、この一般ガス導管事業者、これは東京ガス、大阪ガス等々でございます。これは、特定ガス導管事業者とともに、これは導管部門についてはひとしく中立性を求められているということであると考えておりまして、法律上、法文上におきましては、いずれも法的分離の対象となり得るという構成にしているわけでございます。そして、その対象基準は、具体的には政令で定めることとしておりますけれども、これも両者で同一とすることを今は想定をしております。
じゃ、どういう基準にするのかということでございますが、これにつきましては、やはり導管の総延長というものが長い事業者は、その事業者の規模あるいはガスの供給量、需要家数等々も多くなるわけでございまして、客観的、安定的に判断が可能なそういうデータということで、導管総延長を判断基準としたいと考えております。
具体的には、高圧管、低圧管、それを全て含めました導管の総延長、この全国のシェアが一割以上であるということを想定をしておりまして、こうした基準に該当するのが東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの都市ガス大手三社ということでございます。
御指摘のありましたINPEX、JAPEXは、特定ガス導管事業者には該当するわけでございますが、低圧管を持たないため、一般ガス事業者と同じ導管の総延長で判断いたしますと法的分離の対象とはならないと考えておりますし、INPEX、JAPEXそれぞれの需要家数あるいは小売販売量、卸売販売量という販売量で比べても、東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの三社とは大きな差があるということでございます。したがって、あえて特定ガス導管事業者についてより厳しい基準を設定をしまして法的分離の対象に加えるということは、特定ガス導管事業者が地域独占を認められた事業者でないということを考えますと、バランスを欠くのかなと考えておるわけでございます。
それから、一般ガス導管事業と特定ガス導管事業の区別でございますけれども、これは実は現行法の区別を踏襲をしているものでございます。現行法におきましては、一般ガス事業とガス導管事業というのを区別をしているところでございます。
特定ガス導管事業というのは、自らが維持運用する導管を用いまして特定の供給地点において託送の供給を行う事業でありまして、現在のガス導管事業を引き継ぐという形でございまして、現在のガス導管事業でございますが、一般ガス事業者、御案内のとおり、地域独占、総括原価ということでございますが、ガス導管事業そのものは、地域独占が認められていると申し上げました一般ガス事業とは異なりまして、総括原価ではございません、また地域独占も認められていないということでございまして、そういったことの中で自由に営業活動を行ってきたという者でございます。したがいまして、現行のガス導管事業制度の下では、託送料金につきまして届出制ということでございますけれども、その届けられた託送料金の約款が需要家の利益を著しく阻害するというような場合には経産大臣はその変更を命じることができると、こういう仕組みにしているところでございます。
○加藤敏幸 そういうことで、政令で定めている基準ということでございました。
取りあえずガス導管の総延長を基準にということで三社と、これは大体うまい具合に三社にある程度収まったというふうな感想もあるかと思いますけれども、需要家戸数だとかいろんな要素を含めて、今後柔軟にお考えいただくケースも必要ではないかと、このように申し上げたいと思います。
次に、雇用の確保、保安要員の人材交流、それから人材の確保、育成というこの視点から御質問いたします。
法的分離が行われるということで、これは企業分割ということです、法人が別になったと。そういうことで、従業員に対しましても行為規制による二社にまたがる兼職が禁止されたと。それから、当該の従業員にとっては、会社が別ですから、移るときには転籍になるとか分社先への再雇用と、そういったことで、これは余り変わらないということもありますけれども、形式的に法人が別になると、これ、雇用契約を含めていろんな意味で変わってくるんです。
例えば、私の専門ですから申し上げますけれども、労働組合は、それぞれどういう組織形態にするかは、それは勝手にやっていいということなんです。ただ、多くは企業別に編成した方がある意味やりやすい、それから使用者もある種やりやすい。それはそれで、デメリットも主張されていますけれども、当然メリットも多々あり、経験的に過去何十年それを中心に日本の労働組合はやってきたと。もちろん他の組織形態を取るところも多々あるということはありますけれども。
そういう状況の中で、企業分割をしていくことで、雇用契約とか就業規則をどうするのか、先ほど言った労使関係をどのように構築をしていくのか、労働条件の問題を含め例えば健康保険組合は連合会で行くのかどうかとか、福利厚生面での共通設備の問題など、いろんな意味で経験的にいろいろな課題が発生するんです。実務的に結構これは、従業員たる皆さん方、組合員たる皆さん方、それぞれ不安とか持っているということであります。原則は、これはお伺いするまでもなく、やはり労使協議の場が十分に機能されて、非常にいいコミュニケーションの下で、最終的にはモラルとモラールが維持される形で決着を図っていくことが非常に大事だと考えております。
ここのところ、労使自治、労使の自律的関係ということを大切にしたいし、この対象となっている業界は過去、歴史的にいろいろな課題を抱えて努力をされてきましたけれども、結果的に労使自治はうまくいっている。なかなか労使の団結が強過ぎてどうかなという感想をお持ちかも分かりませんけれども、しかし、よくよく考えてみると、ライフラインを担っていくし、それから一旦災害が起これば一致団結して事に当たる、場合によってはお隣の企業からも応援がもらえると、そういうふうなことは非常に大事だし、それから労働安全という面についても、そういう意味では職場の団結とか皆さん方の仲間意識ということは非常に大切な業界、産業であると思います。
小林委員がよく言われていましたけれども、送電線の事業というのは相当数が活線事業なんですね、活線工事。これ27万ボルト入った状態で作業をすると。足が地に着くほど背の高い人はおりませんけれども、地に着けば感電するという状況で、これはもう大変厳しい状況です。ガスについても、今は減っていますが、ガス漏れが何かの原因で引火すると直ちに爆発ということで大惨事、過去にもありましたけれども、そういう環境の中であります。特に安全、それから保安、これは訓練、それから問題が起こったときの指揮命令を現場でする人間というのは、ガスの製造も小売も導管も一気通貫で心得た人でないと的確な指揮命令をやることはできないし、電力もそういうことであったと思いますので、その辺のところを含めて事業者をどのように御指導いただくのか、お考えがあればよろしくお願いします。
○多田明弘資源エネルギー庁電力・ガス事業部長 お答え申し上げます。
まず、労使協議の関係でございます。
まず、一般論として申し上げますと、当然のことながら、労使協議につきましては労使間の交渉で進められるべきものだと思っておりまして、私ども監督官庁であります経済産業省として、何かその中身の個別個別に一つ一つ口出しをするということは適当ではないと考えております。
したがいまして、今般の法的分離の実施に伴いましても、今先生の方から御指摘のございました従業員の方々が抱えます不安、これどのように対応していくのか、どのように向き合っていくのかという点につきましては、基本的には健全な経営者の、モラルとモラールというお話ありましたけれども、健全な経営者の御判断に期待したいというのが基本的な立場ではございます。
他方で、やはり御指摘るるございましたように、雇用契約の位置付け等々、不安を抱えておられる従業者の方々がいらっしゃるということはこれ十分想定されるわけでございますので、経済産業省といたしましても、従業員の方々の不安を払拭するための取組がどのように行われているのか、しっかり適切になされているかどうか、そこは注視をしてまいりたいと思っております。その上で何らかの問題が生じているということであれば、その問題の所在を適切に把握いたしたいと思いますし、その問題が行政として関与すべきだということでありましたらそれは関係省庁とも連携して対応するということになるかと思っております。
また、二点目に御指摘のございました作業員の方々の安全を含めた保安という観点でございます。これも大変重要な御指摘であろうかと思います。
行為規制の中で、人事交流については人材育成の観点も含めて適切な規制の内容にしていくといったことはここでも御議論させていただいたかと思っておりますが、私ども、この法的分離に伴って現場での安全あるいは保安の確保に問題が生ずるということはあってはならないと思っておりまして、この行為規制に関しましても、保安の確保に不可欠な現場力の維持向上を妨げるような設計とはしないように心掛けていきたいと思っております。
また、ガスの面につきましては、更に加えまして、今回の法案の中で全てのガス事業者に対しまして保安の確保に係る
連携あるいは協力の義務というものを課すことにいたしております。
いずれにいたしましても、今後の詳細設計に当たりまして、法的分離後の保安の確保、あるいは作業員の方々の労働安全の確保、こういったところに悪影響を及ぼすことがないようにしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○加藤敏幸 本当によろしくお願いをしたいと思います。
続きまして、天然ガスの安定確保に係るある種国家戦略といえば話が大きくなりますけれども、これについてお伺いしたいと思います。
午前中の質疑の中で、総理答弁で天然ガスの確保等につきましては相当に明らかになって、まあまあそこは納得ができるということであります。しかし、この天然ガスをどのように安定的に確保していくかということは極めて重要な問題であると同時に、変動要因が多々あるということも現実だと思います。これは産出国の事情もあれば、需要国は日本だけではないので、当然、中東の石油だとかを含めてそれとの相対関係ということがございます。
また、産出国から見た日本のいわゆるマーケットとしての価値も関係してくると。日本には原子力発電があり、これは電力でも三割近く担っているということが、いわゆる天然ガスを買いに行ったときの交渉的力を支えていたということは何度も聞きました。それがなくなってしまったらどうするの、あなたのところ何もないなら言い値で天然ガスを買いなさいよというこのポジションもつらいものがある。
しかし、コージェネだとか、それから燃料電池、天然ガス由来のそういうものを膨らませていく、発展させていく、拡大させていく、これは非常に必要であると、この議論も午前中ありました。ただ、需要を拡大することのデメリットもこれはまたあるわけですし、小さ過ぎる需要にするということのデメリットもあるしということで、これは意外と難しい部分もあると思います。
なので、簡単に、単純な言い方で天然ガスシフトとか、これも言い切らない要素もあるし、では、そのこと自体が他の燃料系に対する違った意味でのプレッシャーを掛けていってということで、相対的に非常にお互いが関連し合った構造になっているという難しい状況であると。またシェールガスにつきましては、これは水圧破砕という技術が環境的に非常に注目をされていますし、ガスの漏えい、メタンガスはCO2の80倍の温暖化効果を持つと言われています。これも将来ちょっとリスクが感じられるということで、なかなかこの天然ガスの将来見通しも難しいわけですけれども、ここはひとつ、天然ガスの安定確保、また国内での天然ガスの利用拡大、これはコージェネとか燃料電池、もちろん発電含めてあるわけですけれども、この辺のところのお考えをお聞かせください。
○宮沢洋一経済産業大臣 天然ガス、LNGにつきましては、アメリカとかヨーロッパの国は、生といいますかガスそのものが使えるというのに比べて、日本等アジアの国はLNGという形で輸入をしてくるということで、価格的にかなり差を付けられている。一方で、LNG価格自体も高止まりをしているという指摘があるといった問題点があって、安価なLNGを安定的に確保するということは我が国にとって大変大事な政策でございます。
政府といたしましても、米国からのシェールガス、LNGの輸入の実現や、また日本企業の上流権益の確保などを通じた供給の多角化、またLNG産消会議というものを日本で産出国と消費国両方来ていただいてやっておりまして、昨年が三回目、今年が四回目、秋に予定をしておりますけれども、こういう産消会議などを通じまして、消費国間の連携強化といったような価格競争力を高めるというようなことを今までやってきております。
特に、アメリカからのいわゆるシェールガスにつきましては、今、日本勢、五つのプロジェクトに参加しておりますけれども、2016年以降、順番に我が国への輸出が開始される予定でございます。そして、アメリカのLNG調達は、石油価格に連動した契約ではなくて米国の天然ガス価格指標に連動しておりますので、昨年度のLNG平均輸入価格に比べ三割程度安価に調達することが可能になると見込まれております。
また、民間部門におきましても、今年に入りまして、中電と東電が燃料・火力部門の包括的アライアンスを結びまして合弁会社を設立しておりまして、こういう価格競争力の強い企業を育てていくということも大事だろうと思っております。
また、おっしゃいますように、使う側につきましても、コージェネを始めとして、エネルギー基本計画におきましてもこの天然ガスについては位置付けをしておりますので、そういう方向で天然ガスの使用というものを多くする努力といったものを政策的にもしていきたいと考えております。
○加藤敏幸 今後とも力強い取組を是非お願いをしたいと思います。
最後に、環境保全との関係ということでお伺いいたします。
システム改革が温暖化対策とのどういう相対的な関係を持つのかということは、これは非常に重要なポイントでありまして、午前中、特に石炭火力の新設等の現下の状況を踏まえて、環境省の報道された対応等について議論がありました。スポット的にあれはどうした、これはどうした、ということだけではなく、自由化をするということは、お客様の価格志向が強いと、どうしても電源に、それからエネルギー源に安いものを選択するという非常に大きなムーブメントができてくるということはもう仕方がないと思うんです。また、そのことが今回のシステム改革を支える一つの考え方だと思っています。
しかし、一方で26%CO2削減のこういう目標の中で、どこまで行ってもこの排出量というのはずっとこうされると。そのことについては、いわゆる環境アセスメントとそれから省エネの二つの仕組みでいろいろな形でオペレーションができるというお話がありましたが、最終的に、この地球環境対策、環境対策とこのシステム改革というものはどこかできちっと折り合いを付けていくというこの仕組みを政府なりにいろんな場面で持っていただいて、そのことを適宜国民に情報公開をする。これは非常に大事なことで、コンセンサスを取りながらやっていくんだということが国のレベルとしても大切だと思いますので、その点について御見解をいただきたいと思います。
○上田隆之資源エネルギー庁長官 この点、午前中も御議論いただきました。確かに、一方で電力の自由化を進めていく中で、発電であれ小売であれ、どの事業者も言わば自由に発電所を造ることができることになると。そういうことの中で、他方でCO2の問題もあると。どのようにしていくかということでありますけれども、午前中も御議論ございましたけれども、我々、電力システム改革が進んだという場合におきましても、このエネルギーだけで全ていいというエネルギーはないと考えております。したがって、全体として弱みが補完され、柔軟かつ多層的な供給構造を構築をしていこうということで、単に市場任せということでなくて、様々な政策を講じていかなければいけないと考えております。
石炭火力につきましては、午前中の御議論もありましたように、事業者の枠組みというものの構築、自主的な枠組みの構築を促進するとともに、省エネ法の規制であるとか技術開発の推進であるとか、様々な政策ツールを活用していきたいと考えておりますけれども、今委員御指摘のような、一方で自由にしていく、一方でCO2の問題を始めその制約条件をしっかり達成していく、その辺りのかみ合いにつきまして、今申し上げましたような私ども様々な政策手段を総動員をしたいと思っていますが、そういった考え方、その手法等々につきましては、十分に情報公開をしながら、また多くの方々のコンセンサスをいただきながら進めていきたいと考えております。
○加藤敏幸 最後に、この法案の賛否については大変悩みました、実態のところ。それで、特に、例えば電力事業者の自主的な枠組みというふうなことを言われて、それについての意見も午前中いろいろ出たので同じことは言いません。
結局、システム改革というのは、やっぱりある種我が国の成熟度を表現していると思うんです、これはこういう形で。というのは、余りにもこの関連する項目が多過ぎて、結構複雑系ですよ。簡単に、最大限、価格、これを抑制するということだけ、そこに結び付くためにはいろいろな問題が、あるいは原子力の問題だってあるし、環境問題だってあるし、資源の調達だってあるし、いろいろいろいろあるということの中でこの議論ができるということは、我が国のエネルギーに関わる、電力に関わる世論がある意味で成熟しているということは評価しつつも、しかし足らないところもあると。
だから、そのことは是非心して、特に国民、皆さん方との対話にこれから努力をしていただきたいということを強く要請いたしまして、質問を終わります。
ありがとうございました。