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report──国会質問 会議録
参議院経済産業委員会での会議録
大臣所信に対する質問
2004年11月2日
[目次]
1.新潟県中越地震の被害対策について
■地震被害の中小零細企業に対して万全の対策を
■ガス復旧活動に対して公的支援を
2.中小企業対策について
■中小企業経営の現況と鋼材不足について
■中小企業の経営力の問題
■中小企業の地域における産学連携について
3.日本のモノづくりの復権・インフラ整備について
4.新エネルギー政策について
■新エネルギー導入のインセンティブ政策について
■発送電のエネルギー効率化について
佐藤昭郎・経済産業委員長──ただいまから経済産業委員会を再開いたします。休憩前に引き続き、経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
1.新潟県中越地震の被害対策について

■地震被害の中小零細企業に対して万全の対策を
加藤敏幸──民主党・新緑風会の加藤でございます。
 最初に、度重なる台風や今回の新潟中越地震の犠牲になられました方々に心より御冥福のお祈りを申し上げますとともに、被害を受けられました方々に心よりお見舞い申し上げます。
 さて、今回の震災で多くの中小零細企業が被害に遭っておりました。それぞれ今、操業再開に向けて努力をされておりますけれども、大きな障害を抱えていることも事実であります。経済産業省として、そういった方々、また流通、インフラなどの被害をどのように把握されているのか、また被災地の個々の企業のニーズをどのように把握され、またされようとしているのか、この点について最初にお伺いします。

保坂三蔵・経済産業副大臣──御指摘いただきましたとおり、台風23号及び新潟中越地震、大変な被害が出ているところでございます。台風に関しましては既に災害救助法が発動されまして、六府県、既に実態調査も進み、またそれぞれ対策打っているところでございますが、中越地震に関しましてはまだ地震が終息しておりません。
 非常に厳しい状況下にございますが、いずれにいたしましても中小企業の復旧支援には全力を挙げなくてはいけないということで、政府系中小企業金融公庫を始めといたしまして三公庫、現地で頑張っております。地元関係機関並びに自治体と密接な関連を取りながら、まずは実態の把握を努め、そしてその結果、現地に特別相談窓口を設置しておりまして、そこに既に台風23号関係ではもう275件の御相談がございます。それから、早いものでございまして、地震でも110件のもう既に相談がございまして、金融を始め向後の問題につきまして血の通った御相談に応じているところでございます。これからも一層実態の把握に努めまして、復旧支援に向けまして全力を挙げる決意でございます。

加藤敏幸──ただいま御答弁の中でも、融資等精力的に対応をされるとのお答えがございましたけれども、阪神・淡路大震災のときと同様に、私はきめ細かい対応が必要であると思います。もちろん、阪神大震災では中小企業信用保険、無担保無保証人融資も行われましたし、また神戸地区は履物産業やファッション産業など、地域を代表する産業についても個々、復興支援策も取られました。新潟におきましても、被災企業や工場が着実に立ち直りができる支援政策について早急に策定をされたいと、このように思います。
 また、これはこの段階でとやかくということでは、まだ少し状況が早いかも分かりませんけれども、補正予算を編成して国を挙げて、全力を挙げて支援をすると、こういうふうな必要もあろうかと思いますけれども、この点について決意、気持ちも含めまして、中川大臣にお答えをいただきたいと思います。

中川昭一・経済産業大臣──正に、今年は度重なる台風、大雨、強風、そして、それから連続してのこの地震ということで、実は台風23号の方もまだ冠水している地域もあるということで、この復旧もまだ、当面の復旧もまだ現在進行形という状況でございますし、そこにこの中越地域に強い地震が襲ってきたわけでございます。
 そういう中で、今、保坂副大臣からも答弁がありましたように、経済産業省としては、総理の御指示で、政府一体となってという強い御指示がございますが、それを前提といたしまして、経済産業省としては、まず一義的には救援物資の支援ということを経済産業省として関係業界にお願いをして大変御協力をいただいているところでございますし、その前に既におにぎりとか水とか、自主的にもう翌日には届けていただいているような企業、業界もあるわけでございますが。
 特に今の御質問は中小企業という観点に際してでございますが、今副大臣からも答弁がございましたように、あそこの中に、電子産業等大手の企業のダメージもあるわけでございますから、それの関連、あるいはまた商店街、中小企業が相当ダメージがあって、先ほど加藤委員も言及されておりましたが、その交通網が遮断をされていると。したがって、必要なその物資なり人の移動にかなり困難を伴っているという状況でもありますから、中小企業を中心とした地場の経済の復旧には相当困難を今伴っている状況でございます。だからこそ、人的なパワーを最大限結集し生かすということで、特別相談窓口、あるいはまた特別の貸付け、あるいは災害に基づく補償制度もできるだけ早く結論を出したいと、こういうふうにも思っております。
 何といっても、日本、特にこの地域もそうですが、を支えているのは地場の中小企業でございますから、そういう意味で一日も早い経済活動ができますように、災害復旧そして経済活動の復旧という面につきまして、我々も対策本部の設置を翌日からしておるところでございますけれども、全力を挙げて、私あるいは副大臣、大臣政務官を中心に一体となって、特に中小企業対策について取り組んでいきたいというふうに考えております。

■ガス復旧活動に対して公的支援を
加藤敏幸──ただいまの大臣答弁の中にもありましたけれども、いわゆる物流を確保すること、それからインフラですね、特にライフラインをいかに早急に復活させるかというのが大変大きなポイントだと思います。
 実は、私、9年前の阪神・淡路大震災のときも、某団体の組織担当で、その日のうちに現地に行って支援活動の先遣隊をやったわけでありますけれども、そのときに、多少の感想を申し上げさせていただければ、テレビに映るボランティアの皆さん方は非常に国民の皆さん方からも高い評価と応援をいただいている。しかし、一番大切なのは、一刻も早く国道を通すとか障害物を排除するとか、そして電気、ガス、水道、それから医療機関、そして学校。また、地方自治体の職員の皆さん方が生活全般にわたって被災者の面倒を見ていくと。
 そういった、私は正に社会の当たり前の機能、これを一刻も早く展開をするということが大切であったというのが私自身の体験でありまして、午前中、同僚議員の方も、電気、ガス、どうなっているんだと、こういうふうなお話がありまして、特に関連する業種、同企業の皆さん方が手を携えて、他企業のことではあるけれども真剣に助け合いをやっていると。具体的に申し上げますと、ガス協会も、今回、900名近い応援を既に展開をされて、朝昼晩と頑張っておられるわけであります。
 そこで、私は、そういったライフラインの復旧に不休不眠で頑張っておられる皆さん方に対して、やっぱり国全体としても、私はそれに対して敬意を表する、今日お言葉がありましたけれども、そういう気持ちも大切であるし、正に小泉総理が支援者のための支援をやるべきだと、こういうふうなことを言われたわけでありますし、大臣も所信表明で、ガス等は既に動員をしていますと、そういうふうなことをお話されたわけであります。  したがって、私は、正に政府としてこういった地味なところ、縁の下の力持ち、こういう支援活動をしている人たちに対して、私は、どうされるのか、支援することがあるのかないのか、この辺のところを少しお話を聞きたいと思いますけれども。

小平信因・資源エネルギー庁長官──ただいま先生からお話のございましたガス事業の関係でございますけれども、11月1日現在で、被災をされましたガス事業者の約600名の方に加えまして、ほかのガス会社からも約900百名が参加をされておられまして、総勢1500名で復旧に取り組んでいるところでございます。これによりまして、長岡市、見附市では11月7日ごろ、その他の地区では、被害の著しい川口町を除きまして、11月7日ごろの復旧を目指していると聞いております。  こういうガス事業の復旧に要します費用、それからほかのガス会社等によります復旧支援に要します費用につきましては、基本的には被災ガス事業者が負担をするということになっているわけでございますけれども、被災をされましたガス事業者の負担を軽減いたしますために、ガス業界全体といたしまして、救援に赴いております他のガス会社の人件費につきましては、それぞれ行っておられるガス会社が負担をされると。それから、その他の費用、具体的には交通費、宿泊費、資機材費、工事会社の人件費等でございますけれども、これにつきましては、あらかじめ日本ガス協会の会員が積み立てた基金がございまして、その中から一部支出するというような支援措置を講じる予定であるというふうに聞いております。
 政府といたしましては、従来から被災資産の原状回復に支出をいたします費用を修繕費として扱うというようなことによりまして、法人税法上の損金算入として認める特例措置が設けられております。これによりまして、被災事業者に対する支援が実施をされることとなるわけでございます。  今後とも、被災地の状況をよく見ながら、ガス事業の一刻も早い復旧・復興に向けて、政府といたしましても適切に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

2.中小企業対策について
■中小企業経営の現況と鋼材不足について
加藤敏幸──業界団体が正に自分たちの力で助け合っていくというこのシステムは、私は大変すばらしいことだし、これからも大切にしていかなければならないということと同時に、こういう民間の力だけを頼りにするのではなくて、そのことに対して私は、政府もやっぱり想いが通じる施策ということも考えていただきたいという要望でございまして、この点は大臣、副大臣ともに気持ちが分かっていただけると思いまして、次の質問にまいります。
 中小企業対策、特に地域に根差した産業の育成という視点から二、三お話をお伺いしたいと思います。
 まず第一は、この十年間デフレで苦しみました。多くの中小企業も正に廃業の瀬戸際ということで随分苦しんできたわけであります。そういうようなことで、経済産業省もいろんな形で御努力をされてきたわけでありまして、昨今、大企業を中心に、輸出産業を中心に回復の傾向が出てきたと、こういうふうに政府の認識がございますけれども、中小零細企業を取り巻く環境について、現時点で私どもは、なおなお厳しい、ととらえておりますけれども、経済産業省のこの点についての認識をお伺いしたいと思います。

望月晴文・中小企業庁長官──先生おっしゃいますように、大企業を中心として景気回復の状況にございますけれども、中小企業につきましては、各種業況調査を見ましても、これもまた緩やかに回復途上にあるということであろうかと思っております。ただ、小売業などの非製造業などに典型的に表れてまいりますように、業種、業態によってはやや足踏みが見られるというような状況にもあるのではないかと、あるいは地域によっても回復の度合いにおいて大いに差があるというようなばらつきのある状態にあるんではないかと思っております。私どもといたしましては、今般のこの景気回復のすそ野を広げるためにも、金融セーフティーネット対策だとか、あるいは中小企業の再生支援策などに万全を期してこの景気回復を幅広いものにしていきたいというふうに考えておるところでございます。

加藤敏幸──万全を期したいと、こういうふうなお答えを受けつつ、正に中小企業の経営というのはいろんな形での困難性があるということで、実はこの5月に私は佐世保地区を回っておりまして、中小造船業の社長さんから直接お話を聞きましたが、五月時点で、加藤さん、もううちは受注活動をやめています、営業活動ストップなんですと。何でですかと言ったら、いや、鋼材の手当てが付かないんですと。鉄が手に入らないからもう受注活動はやめるという、こういうお話を聞きました。そして、もう既に5年間満杯に受注を抱えているという中堅企業は、もう利益が出ないだろうと、今のまま鋼材が上がっていけば、せっかく取った5年分がこれはもう不利益の要因になる、赤字の原因になるのではないかという、こういうふうな思いも持っておられるという現地でのお話をお伺いしたわけであります。
 鋼材だけに限らず、ステンレスだとか銅線だとかあるいはエポキシ、そういった原材料が随分不足し、かつ値段も上がっておるという、こういう状況が起こっているということであります。これが正に現時点における、業種によっては大変な厳しい状況があるという現実でありまして、このような状況に関しまして経済産業省として正にどういうふうにとらえておられるのかお伺いしたいと思います。

石毛博行・製造産業局長──お尋ねの厚板の値段についてですが、今先生おっしゃいましたように、厚板のみならず鋼材の価格全般につきまして、中国に端を発する資源インフレというような形で世界的に鋼材の価格は上昇しております。特に、その厚板の最大の需要部門であります造船業ですけれども、国際的なタンカーについての規制だとかということによりまして世界的な造船ラッシュに今なっております。日本におきましても9月末の造船業の手持ち工事量は、これは先ほど先生、5年分というようなケースをお話しされましたけれども、平均で3年分を超える分量の工事量が確保されているというような状況にございます。そのほか、中国向けの輸出が非常に好調な産業用機械におきましても、8月の生産は24か月連続でプラスになっていると、さらに、民間設備投資が増加をしてより多くの工場、商業店舗の建設が立ち上がってきていると、で、首都圏中心にプロジェクト物件も立ち上がり始めているというようなことで、厚板の需要が非常にタイトになってきております。
 そういうことから、鉄鋼メーカー各社は昨年末以来、厚板の生産ラインを24時間体制にして、そういう体制に移行しまして増産努力を継続しているところであります。今後も可能な限り生産を高める努力をするというようなことを伺っております。それから、国内のそういう事情を考慮いたしまして、できる限り輸出向けを絞り込みまして国内向けに回しているというような状況であると認識をいたしております。
 経済産業省といたしましても、こういうような需給状況でございますので、鉄鋼メーカーそれからユーザー団体相互に密接なコミュニケーションを取って計画的な供給・調達を行うよう要請しておりますし、それからメーカーに対しましても、中小企業を始め国内ユーザーに鋼材が回るように国内優先の供給を行うよう要請をしております。また、先生御指摘のように地方でいろいろなケースがございますので、地方経済局に対しては、地場の鋼材のユーザー、それから中小企業に関する状況をよく把握するように指示をしているところでございます。

■中小企業の経営力の問題
加藤敏幸──私が一番申し上げたいのは、グローバルコンペティションと、もう本当に国際競争の厳しい中で日夜苦労されておる、せめてこの日本で鋼材不足で中小造船が店をたたまなければならない、こんなことのないように、ここだけは是非しっかりと守っていただきたいというふうなことをお願いしたいと思います。
 さて、引き続いて、この中小企業経営を取り巻く環境の中で私も全国いろいろなところを訪問させていただきました。私がずっとやってきました電気組立ての状況からいきますと、お手元にも資料がございますけれども、中国の人件費が安いということで中国に工場を建てていった。国内の関連企業、協力会社、ここは中国に付いてくるのか、それとも勝手に残って自力でやるのか、こういうふうな状況を迫られたということがここ5年間の現実であったわけであります。
 そういうことの中で、昔は発注元が新しいラインを作るからこういう技術を入れるぞ、自挿機を入れるからと言ったら、班長からエンジニアまで全部来てくれて、手取り足取り協力会社のラインの指導をしていただいたと。金の借り方まで教えてくれたと。だから、余り考えずに発注元の言うことさえ聞いておけば、○○電機の言うことを聞いておけば何とかやっていけたという時代が結構長かったんです。それがこの5年前から、中国に行くとなった。行くも地獄、残るも地獄。おまえが勝手に判断しなさい、自己責任だと。こういうふうな状況で今起こっているのは、中小企業の問題は資金繰りだとかいろいろありますけれども、一番大きいのは経営能力、頭の部分の欠如というところに大きな課題を今抱えている、と私は全国を回って感じた次第でございます。
 ややもすると、資金、技術、設備と、こういうふうなところに議論が集中してきたわけでありますけれども、私は今、中小企業経営を、特に経営能力、ここのところを中心にどう立て直していくのかと、こういう視点で中小企業振興策も考えていただかないといけない。そういう時代に入ったのではないかと、こういうふうに思っておるわけです。自己責任ということで野に放り出された状態になっている状況の中で、大臣はどういうふうな感想とこれからの方策を考えられるのか、お答えをいただきたいと思います。

中川昭一・経済産業大臣──中小企業は総じて、私も、景気回復の中で回復が遅れている部門であると同時に、日本経済の一番の土台として大きな役割があるわけでありますが、そういう中で、やっぱり頑張っていただけるところに頑張ってもらえるように、政策的に誘導できる部分、例えば人材とかネットワークとかいったもの、特にこの両方ともその企業ごとではなかなか難しい、限界がございますので、連携をさせていくと。これは地域あるいはまた業種、いろいろな連携の仕方があると思います。そういう意味で、地域におきましては、自治体あるいは商工会議所とか商工会とかいったところとの連携を密にしていく、あるいはまた、人材あるいは研究開発といったものも大いにそのネットワークの中で、一足す一が三にも五にもなっていくようなふうに政策誘導していくことが我々経済産業省・中小企業庁としても一番大きなポイントだと思っております。
 さらに、地域に、まあ眠っていると言ったら失礼ですけれども、ある技術、例えば大学の中にあるとか工業学校の中にあるとか、そういった技術、あるいは地方の中には観光の資源とか、いろいろ人が来る、人が移動するような要素というものもありますので、そういうものも含めてトータルで中小企業を更に頑張っていただけるようにしていく施策をこれからも強力に進めていくことが大事だろうと思いますし、加藤委員はその辺のことは御事情をよく、深い知識をお持ちだと思っておりますので、当委員会でもいろいろ御議論をいただいたことを政策の面でも取り上げさせていただいて、実現させていただきたいというふうに思っております。

■中小企業の地域における産学連携について
加藤敏幸──まだまだ申し上げたいことはたくさんありまして、これからまた機会をとらえていろいろと申し上げたいというふうに思いますけれども、中小企業の持つ雇用吸収力、こういうふうなことをしっかりとらえて、また、そこを元気にするということが日本再生の一番大きな方策ではないかという、こういう考え方でいろいろ御質問させていただいております。
 先ほど大臣が、地域にもいろいろ技術があるんだと、こういうふうなことをお話いただきましたけれども、私、先日、NHKのテレビを見ておりますと、地域新生コンソーシアム研究開発事業へ経産省として助成をされていますけれども、山口県の宇部において宇部工業高等専門学校と地元の企業、県の産業技術センターが下水汚泥から燐を再生するという、こういうようなことが放送をされておりました。大変、リサイクル、環境対策、そして中小企業振興、地域振興も含めて、すばらしいアイデアだなと、こういうふうに感じたわけであります。
 この事業には国から7000万円の委託費が支給されたということで、これは非常に成功事例ではないかと、このように思っておりますし、この地元工業高専の教授が非常に地域振興ということに熱を持っておりまして、地域企業の技術力向上と地域経済の発展に貢献したいと、こういうふうな意欲も成功の一つの要因であったのではないかと、このように思っています。
 そういうような意味で、いい事例はありますけれども、しかし、産学連携の問題というのは、研究共同体をいかに組織するか、あるいは膨大な申請資料を作成しなければならないという大変しんどい事前の作業があるということであります。例えば、地元の中小企業が新しい技術や製品を開発しようとそのアイデアを地元の大学や県の工業技術センターに持ち込んでもなかなか相手にされないケース、門前払いのケースも多々あるというふうに聞いております。中央のお考えは大変すばらしく、その成功事例もあると。しかし、地域で起こっている現象というのは、なかなかそこに足を運ぶにしても、運んでも難しいと、こういうふうな状況があるというふうなことです。また、苦労して研究共同体を作って、事業のプロジェクト準備に膨大な労力を割いて受託研究の申請をしてもこれが不採用になると。こういうようなことによって、では今までやってきた努力は何だったんだと。中小企業として何時間も何時間も、何百万も掛けて申請書類を出したけれども、駄目ですという一言でそれがパアになってしまう、こういう経営的なリスクを経営者が背負うということになると、魅力はあるけれどももうやめておこうと、こういうふうなことになるわけであります。
 産業技術実用化助成事業並びに研究開発型ベンチャー技術開発助成事業では、本年の16年度第1回公募において、申請148件に対し採用は28件にしかすぎない。中でもコーディネータ参加コンソーシアム型に関しては申請12件に対して採用はわずか1件であると。不採用のロスが現実としては大きいのではないかと、このように考えておりまして、審査の的確性あるいは予算の大幅増額というものが必要ではないかと、このように思いますけれども、助成制度の大幅改善の必要性というふうなことを私は思いますけれども、経産省についての本件の見解をお伺いしたいと思います。

薦田康久・地域経済産業審議官──今、先生から御指摘がございましたように、この地域コンソーシアムその他、中小企業の技術開発のための補助金というのはいろいろ用意をしているのですけれども、随分倍率が高くて、先ほど先生が例に挙げられました地域コンソーシアムでいいますと、平成16年度、今年度につきましては、採択件数130件、倍率は5倍に上っております。したがいまして、六百数十件の申請があったわけでございます。
 当方といたしましては、非常に役に立っているということから、できるだけ多くのものが採択できるようにこれからも必要な予算の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。
 また、この申請に当たりまして、共同体を作るとか、あるいは申請のためにはやっぱり役所に対していろいろ細かな手続が一杯要るということは存じております。この辺りにつきましてはなかなか中小企業に大きな負担になっているということも聞いておりますので、従来からこの辺りにつきましては地方の経済産業局が小まめにネットワークを作りまして、そこでお伺いをし、必要に応じて助言をしてきておるところではございます。正に今のような実態があることは十分に把握しておりますので、更に今まで以上にこの辺りをきめ細かく指導していくように、この通産局の方を指導していきたいと思っております。
3.日本のモノづくりの復権、インフラ整備について
加藤敏幸──きめ細かく御指導いただくということでありますけれども、これは出前式個別相談会という、テクノキャラバン四国というのが四国経済産業局の方でやっておられるわけですね、一番小さいところですけれども。経済産業省がもう既にやっておられるのです。私は、こういう現場型、そして、こっちへ来いじゃなくて私たちが行きますと。中小企業は大変なんだから、社長のところへ皆なが行って、それは経済産業局、県も市も、行政は正に力を合わせて出向いていくと。私は、この姿勢こそ新しい経済産業省の、まあ売りと言うとおかしいですけれども、これは方策ではないかと。エールのようでございますけれども、四国だけに限らず全国津々浦々で良いことはやってほしいということでお願いをしておきます。  さて、三つ目が物づくり日本の復権ということです。私はもう、物づくり物づくりと、ソフトウエアも含めて物づくりということを言っておりますし、物づくり教の教祖にでもなろうかと、こういうふうに思っているわけであります。
 先ほど見ていただきましたこのグラフですけれども、これは2000年ということで、日本興業銀行が、もう前の名前ですけれども、お作りになったものです。これはテレビとかPC、パソコン、エアコン、携帯電話の日中のコスト比較をやっているわけです。人件費比率は40対1だ、ひどいときは80対1だということでありますが、組立て品の人件費というのは総コストに占めて10%以下ですから、大体20%を超えることはありません。したがって、その範囲に人件費の格差というのは圧縮されるということであります。もちろん、部材と言われている部品等については、その中にも人件費が紛れ込んできますから簡単に言えない点もありますが、しかし、最終的に言って、この当時で20%の格差があったわけです。この20%の格差をもって中国に工場進出という意思決定をされた企業もたくさんあったわけであります。
 しかし、この後、この何年間の間、例えば電機業界でいえば、労使が苦しみの中で総額人件費の圧縮という視点から相当努力をしてきて、会社の中のコストについては相当削減を実現しております。あるいはまた、中国ではできないメリット、技術力だとかマーケットとの対話だとか、そういうふうなところに着目し、あるいは早くお客さんのニーズを展開させる開発との一体化とか、そういうようなことを含めて、幾つかの企業は国内回帰をやっております。そして液晶工場なんかも、どこに立地するんだ、世界のどこに立地するんだとありましたが、最後は三重県がいいんだということで、三重県に決めた企業もあるということであります。
 私が申し上げたいのは、中国で使うものを中国でお作りになるのはいいじゃないか、それはそれで。ただ、日本でもしっかり物をつくろう、そして物をつくることが雇用を確保し、そして雇用を確保するということは、その人から所得税と住民税と社会保険料をいただくことができる。そして地域経済を支えることができる。そこが非常に大きな効用がある。だから、みだりに海外に工場を出すということは国にとってマイナスだ、我々にとってマイナスなんだという意味で、できる限り帰っておいでと、日本で物づくりができるような条件を国全体としてどうするんだということが重要と思います。
 そこで、会社の中は労使が主体的にやるべきです、命懸けで。問題は、工場の外のコストです。日本列島インフラのコスト、日本列島自身の競争力が問われているのじゃないですか。国際競争力というのは会社の中だけじゃないのです。会社の外はどうなっているんだ。水も高い、工業用水も高いし、エネルギーコストは今努力されていますが、物流の問題もあれば行政コストもあるじゃないですかと。そういうふうなことを含めて、私は、日本の工場立地、製造業の立地条件改善を、塀の外のこの改善をどうしていくのということが大きな課題じゃないかと思います。
 そういうようなことでいえば、かつての株式会社日本と悪口を言われた通産省、今、経済産業省ですが、私は、こういう視点をしっかり持って日本の再生のために、日本列島自身の、列島の競争力改善のために努力をしていただきたいと、こういう思いであります。私が演説してもこれはしようがありませんので、この点について御答弁をいただきたいと思います。

中川昭一・経済産業大臣──加藤委員、大変いいお話を、今、演説じゃございませんで、講義をしていただきまして、ありがとうございました。
 正に、我々経済産業省も、やっぱり日本が世界の中で、資源がない、しかし少しでも豊かな生活水準を国民にしていただくためには、やっぱり産業というものがしっかりしていく、そしてそのコアはやっぱり物づくりだろうというふうに思っております。
 今御指摘のように、一時期はどんどんどんどん海外に企業が移転していく、特に、中国は安くて優秀な労働力が無限に確保できるという時期もございました。しかし、いただいた資料を拝見しますと、正に、人件費は確かに10分の1とか20分の1でありますけれども、元々の比率が少ないわけでございますから、もちろん中国で作った方がいいんでしょうけれども、そんなに人件費そのものがどんと全体に響いてきているのではないということをこのいただいた表にお示しになっているのだろうと、今、改めて勉強させていただいております。
 そういう中で、逆に日本に回帰してきている企業も、特に先端の企業もあるわけでございまして、それはやっぱりそのコスト面、コストというのは単に金額だけじゃなくて、今ちょっとおっしゃいましたけれども、時間とか、まあ無駄というか、省けるものに対しての広い意味のコストということを考えますと、やっぱり日本の中できめ細かく、そしてスピード感を持って生産ができる、あるいはまたニーズに対応ができるという面でも、先端産業がどんどん日本に回帰してきているということは、私は、産業政策上大変いいことだというふうに思っております。この流れはある意味では進めていっていただきたいなというふうに思います。それは、やっぱり日本の優位性というものを強調していくことによってそういうことになっていくんだろうと思います。
 例えば、これはあるメーカーでありますけれども、ちょっと名前は伏せさせていただきますが、ある国で日本の国内と同じものを作っているメーカーに先日行ってまいりましたが、どうせ安くできるんだから日本にも輸出するんですかと聞いたら、ちょっとした、これは性能以前の問題かもしれませんけれども、ちょっとしたところがやっぱり日本の消費者のニーズには応えられない、微妙なところでまだ日本には輸出できないという、その逆の例なんかも聞いてまいりました。
 そういう意味で、伝統的な技術あるいはまた日本人のいい面を大いに結集をして、日本の中で世界の競争に勝ち得るような物づくり産業が更に大きくなっていく必要があると思います。
 そのときに問題になってくるのがいわゆるコストでございまして、今お話ありましたように、電力とか、あるいはまた下がっているものもございますけれども、運賃コスト全体が、例えばシンガポールから上海に行く運賃と国内の短い距離の運賃と一体どっちが高いんだというような議論もよく例示として出てくるわけでありますし、そういういろんなコストをできるだけ安くしていく、例えばガソリンなんかも、アメリカは多分日本の半分、まあヨーロッパは、ドイツ、イギリス辺りは日本よりも高いというふうに私は理解をしておりますけれども。
 特にアジアの国々との運賃競争、コスト競争になると非常に不利な部分もあるわけでありますし、またアジア各国は中国、韓国を始めとしてどんどん産業も高度化しておりますので、競争の中で勝ち抜いていくために、日本の中で頑張っている、特に地方の、やっぱり先端技術も地方の中小企業が支えている部分が随分あるわけでありますから、例えば金型だとか溶接だとか、そういうものはだれにも負けないんだというような名人が日本じゅう至る所に私はいるというふうに思っております。そういう方々に対して、産業政策としてもそういう人材をもっともっと増やしていきたいし、またそういう人に対して産業として、ちょっと精神的な話で恐縮ですけれども、みんなが一目置くような、匠、名人という感じで、そういうような雰囲気作りというものも今後、産業政策の中に必要になってくるんじゃないのかなというふうに思っております。
 いずれにしても、日本の中で物づくりというものがコアである、そしてまたそれを今後ともなお一層強化をしていきたいということで、引き続き御指導をお願いいたします。
4.新エネルギー政策について
■新エネルギー導入のインセンティブ政策について
加藤敏幸──さて、少し視点を変えさせていただきまして、原油も上がったし、ウランの値段も上がっている。これから先、日本のエネルギーをいかに安定的に確保していくかということも、これも大変大きな課題でありテーマであります。そういうような視点で新エネルギーへの取組みがあったわけであります。ストレートに言って私は、太陽光発電に関して、1994年に個人住宅を対象とした太陽光発電補助金制度というものが創設をされまして、実はこれを契機に、国内の太陽光発電装置、パネルを作っているところは今大きく成長いたしまして、設備増産ということに今入っております。
 この太陽光発電というのは、単に送電が難しいということ、そういうことだけでなくて、自分自身を作るエネルギーを超えて発電することができるという、そういう意味で非常にプラスになってきているわけで、もっと申し上げますと、中国がこれから電力需要が増えたときに、電線を張り回わしてもしようがない、奥の地ではどうするんだということもある。それは、やはり太陽光発電が持つこの性格が非常にすばらしいことになるわけです。
 そういうふうなことからすれば、太陽光発電が将来の日本のある産業を支える大きな可能性を持っているということなるわけですが、私は、このインセンティブ政策がこれまで、太陽光発電をある一定のレベルまで成長させてきたと考えます。ただ、今ここでそれを外していいのか悪いのかということになると、ここまでせっかく育っているんだから、あともう少し補助ブースターでやる、更に軌道にしっかり乗せるということをしないと、中途半端に終わり、後でほぞを噛んでもしようがないなという思いです。このことを含めて、経済産業省の本件に関するお考えをお聞きしたいし、インセンティブということの在り方についても御意見をお聞かせいただきたいと思います。

小平信因・資源エネルギー庁長官──新エネルギーの導入促進はエネルギー政策の一つの重要な課題でございまして、中でも新エネルギーに携わります産業、これは供給産業もあるいはメーカーも含めまして、しっかりとした産業として自立して国際競争力を持っていくということが大変重要であるというふうに思っております。
 先生から御指摘がございました住宅向けの太陽光発電の補助制度でございますけれども、この制度につきましては、最終的に、普及に当たりまして助成措置を必要としない水準までこのシステムの価格が下がるということを期待いたしまして、市場において産業として自立させるということを目的として作ったものでございます。
 メーカーに対しましてコストダウンの時間的な目標を与え、価格引下げ努力を引き出すためにも支援の期間を一定期間に区切りまして、コストダウンの状況に応じて補助限度額の見直しなどを行いながら制度を運用してきたところでございます。
 現在、17年度概算要求につきまして財務省と折衝中でございまして、来年度につきまして確たることを申し上げることは困難でございますけれども、いずれにいたしましても、今申し上げましたような実績を踏まえまして、またこの補助制度が平成17年度を終期ということにしていることも踏まえます一方で、太陽光発電の導入を積極的に推進していくべきであるという政策課題を今後どのように更に具体的に推進していくかということにつきまして、両方よく見ながら引き続き適切な対応を図っていきたいというふうに考えております。

■発送電のエネルギー効率化について
加藤敏幸──時間が迫ってまいりましたので、最後の御質問にしたいと思います。新エネルギーの導入という分野で頑張るということも大切ですけれども、私は、もう一つ大変大きな宝の山、エネルギー源をこの日本列島は抱えているではないかということを申し上げたいんです。
 それは、実は一般に、化石燃料などの一次エネルギーを利用した大規模な発電所から送電網を通じ家庭で電気を利用する際には、利用していない廃熱60%、送電ロス5%が引かれて、総合エネルギー効率は35%程度と、大体そういうふうに言われておるわけであります。つまり65%の熱が捨てられていると。だから、発送電効率、ここをしっかり見直して、1%、2%、3%効率を改善することによって、発電所の一個分や二個分がその都度どおんと賄われる。つまり、捨てているものの中に大きな宝の山があると。だから、新しい油田だとか新エネルギーいろいろやるということと同時に、この効率が悪いというところを改善努力する。つまり、ローテクと言われているところもしっかり力を入れることによってエネルギー源が出てくると、こういう視点も正に大事だというふうなことを申し上げて、最後に御見解をいただき、終わりたいと思います。

小平信因・資源エネルギー庁長官──先生、正に御指摘のとおりでございまして、発電効率それから送電効率を引き上げるということは基本でございます。これにつきまして事業者もこれまで努力をし、引き上げてきておりますけれども、あるいは送電効率も改善をいたしてきておりますけれども、今後とも事業者と一体となりながら、更なる改善に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。

加藤敏幸──ありがとうございました。
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