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report──国会質問 会議録


答弁する二階経済産業大臣 

 
経産省の決算審議において、貸付事業での不良債権対策の再検討、国家戦略として模造品・海賊版対策の徹底を求める。
(決算委員会)

2006年5月15

 経済産業省の決算審議で質問に立ちました。
  一つめに取り上げた課題は、「中小企業高度化事業」についてです。中小企業の振興策として、各地の事業組合や振興組合に低利で国が貸付を行ってきた事業ですが、不良債権が膨らんでいます。会計検査院は昨秋の検査報告で、18都道府県の調査を行い、債務残高の実に19%、1286億円が不良債権になっていると指摘しました。今日の中小企業庁長官の答弁では、不良債権は全都道府県で2,254億円に上ることが明らかにされました。この事業が、中小企業の経営革新の一助になってきたことは評価しつつも、そのあり方についての再検討を求めました。
  続いて「模倣品・海賊版」対策を取り上げました。海外での日本製品の模造品の横行が日本企業に大きな被害をもたらしている事をふまえ、政府として強い決意をもち、国家戦略として対策をとるよう要請しました。
  そのほか、原子力発電所の耐震対策、産業再生機構の今後の課題について取り上げました。

 

[質問要旨] (クリックすると該当の箇所にジャンプします)

1、中小企業高度化事業の不良債権問題
2、模倣品・海賊版対策について
3、原子力発電所の耐震問題について
4、産業再生機構の運営と今後の課題

○加藤敏幸 民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。
  本日は、経済産業省を中心にいろいろご質問をさせていただきたいと思います。

1、中小企業高度化事業の不良債権問題
○加藤敏幸  まず第一に、中小企業高度化事業の不良債権問題についてお伺いしたいと思います。
  この中小企業高度化事業の不良債権問題に関しましては昨年も取り上げさせていただきました。今回、会計検査院の方で18都道府県について厳密な調査を実行されて、その結果が報告書に詳細に記載されております。ここを中心にご質問申し上げたいと思います。
  まず、中小企業高度化事業に関する全体的な問題点として、一、延滞債権の管理期間が長期化し、その保全も不十分である。二、都道府県の債権管理の体制が不十分である。三、中小企業基盤整備機構と都道府県の連携が不十分である、こういった点が指摘をされました。18都道府県で不良債権となっている債権残高は、報告によりますと1,286億円となっていることが明らかにされています。この18都道府県における融資残高は3,661億6,805万円ということでありますので、計算すれば実に19%が不良債権と、こういう計算になると思います。
  不況が長期化したとはいえ、この検査結果はやはり不良債権比率が高いという意味で異常としか言いようがないと私は思います。この融資資金に国としても出資金として多大な金額を拠出しているわけであり、不良債権額が大きくなっている事態は深刻に受け止めるべきだと考えます。元々融資につきましてはリスクがある、そういう事業であるということではありますけれども、それであるなら、そのリスクを最小限にする仕組みや事業の主体となる都道府県の努力の在り方、そういうふうなことをきっちり枠組みを決めておくことが必要であった、こういうことであります。
  経済産業省としては、この不良債権が膨らんでいった原因を含め、この検査結果をどのように受け止められておられるのか、お伺いをしたいと思います。長官にお願いします。

○望月晴文・中小企業庁長官 お答えいたします。
  独立行政法人の中小企業基盤整備機構の高度化事業につきましては、先ほど先生のご指摘の18都道府県分の会計検査院の調査と実態的には同じでございますけれども、独立行政法人を監督する立場から私どもが持っております、把握しております調査結果を申し上げますと、平成16年度末の貸付残高、トータル総額6,862億円のうち、貸倒れ懸念債権と破綻更生債権を合わせたいわゆる不良債権額は、独立行政法人の会計基準というものを適用いたしますと、2,254億円であると承知いたしております。
  不良債権の増加の背景といたしましては、マクロ経済環境の変化というのはもちろんあるわけですけれども、それ以外にも幾つかの要因が複合的に影響をしていると考えられますが、その中で高度化事業の特性と関係するものとして以下の二点をちょっと申し上げておきたいと存じます。
  すなわち、そもそもこの高度化事業は、直接的には基盤整備機構が都道府県に貸し出し、都道府県が同額ほぼ用意いたしまして中小企業組合に貸している仕組みになっているわけでございます。したがいまして、中小企業組合との直接の貸手でございます都道府県が回収見込みがないということを証明した場合に限って不良債権の処理を行うということでございまして、都道府県自身のご判断としては、そもそもが中小企業の支援を最大の目的とした制度であることから、軽々にその償却処分をするということができずに、償却処分をしないで保有したまんまある部分が、額があるということで、長年にわたってまだそういう処理がされずに積み上がっている額があるということが第一点でございます。
  第二点は、融資先の多くが組合でございます。この場合、一部の組合員の返済が滞った場合でも当該組合に対する貸付債権全体が貸倒れ懸念債権に区分される、つまり一部以外のその他の組合員の方々が計画どおり返済をしていても、それらを含めた全体をもって貸倒れ懸念債権というふうに区分されるというのが、制度の性格上どうしてもそうなっているようでございます。
  したがって、この二点から、不良債権額が、民間の金融機関がとらえておりますいろいろな不良債権に比べて実態上、あるいは形式上と申し上げた方がよろしいのかもしれませんが、過大に計上されている可能性があるというのも事実でございます。しかしながら、こういった制度固有の要因も考えられますけれども、いずれにいたしましても大変大きな金額であることも事実でございまして、かかる事態を厳粛に受け止めて、不良債権の発生の抑制には努めなければならないということで私どもとしては努力している最中でございます。
  具体的には、現在この中小機構において、不良債権の発生抑制のために、現在の貸付先について経営状況をより頻繁にかつ定期的に把握をし、専門家の派遣などを通じて経営状況に即した経営指導を行う、それから延滞先などからの回収を促進をするため都道府県に対する債権管理アドバイザーを派遣するなど債権管理の強化に努めているところでございます。
  今後とも、引き続き、都道府県との緊密な連携ということも、ご批判されることのないよう、図りながら適正な債権管理に努めてまいりたいと考えている所存でございます。

○加藤敏幸 ただいまご答弁をいただいた中の数字で、2,254億円というのは、これは47都道府県全体で発生している金額でしょうか。

○望月晴文・中小企業庁長官 全体、すべてでございます。

○加藤敏幸 先ほどご答弁の中で、組合を対象に貸付けをしておるわけでありますけれども、組合員の一部が返済を滞ったという場合には全体金額がいわゆる対象の不良債権というジャンルに入ると、こういうことですが、じゃ具体的に、2,254億円のうち、そういう言わば見掛け上膨らんでいる不良債権というのはどの程度、どの規模あるのか把握されているんでしょうか。

○望月晴文・中小企業庁長官 これは、一つ一つの債権について、実際は、一部その債権が滞っているやつについての中身を本当は詳細に見ないと、たまたまその分少なかったのか、あるいは元々もう駄目なのかというところの判断が非常に困難なのでございますが、2,254億円のうち、どう考えても破綻更生債権というか不良債権として処理しなければいけないものというのは実は861億円でございます。その差額がそういった意味での無理して破綻更生債権としなくてもいいようなものではないかと推測されるのでございますけれども、ただ、その差額は正常債権の部分でございますときちっと申し上げるには、一本一本の組合員の返済についての調査を詳細にしないと申し上げられませんものですから、胸を張ってその他は大丈夫でございますと言うにはいささかいかがかと思います。ただ、そういった要素があるということだけをお含みおきいただければというふうに思っているところでございます。

○加藤敏幸 まあ含みおきますけれど、先ほど、長官の方で、じゃそれらについてどういう対処策を取っているかとのお話がございましたけれども、その内容は、実は「平成15年度決算審査措置要求決議について講じた措置」の30番、中小企業高度化資金の運用状況という中に、「債権管理については、同機構が貸付先の経営状況を定期的に把握し、専門家の派遣等を通じて経営状況にあった指導を行うとともに、都道府県に対し、債権管理に関する研究会を開催する」「等により、適正な債権管理が図られるよう努めているところである。」と、参議院に対して答弁をいただいたということで、ただいまの長官のご答弁は、この措置に対する答弁内容と同じ内容であると、このように思っているわけであります。
  さて、先ほど2,254億円というものが言わばてんぷら状態、膨らんでいるんだと。実質中身、身の部分は861億円で、これは随分てんぷらの衣の部分が多いんじゃないかと。ただし、そのことについては長官自ら、いやいや、大きな声でこれですと大見えを切るというわけにはまだどうもはっきりしないなというところもあってということを言われたと思います。
  今日は、そこはそことして、ただ、措置についての答弁の中でるる今方向を言われたのが、「同機構が貸付先の経営状況を定期的に把握し」ということからいえば、今言った861億円が本当に身の部分なのか、衣がどのぐらいなのか、あるいは、それも民間が今マニュアルでやっているように第一段階、第二段階、まあ分類をしていくとか、そういう具体的措置も私はあってしかるべきではないかと。そして、既にこの不良債権というジャンルに入っているものは、もう随分長い期間このジャンルに入って、言わばフリーズしている、凍結状態になっている部分も間々ある、こういう報告の内容ですから、その辺のところは、私はやはりもう少し細かなデータ、実態把握を行うべきではないのかということと、同時に、「いや、あいだに都道府県が入っているからね」と、こういうふうなご答弁もございましたけれども、そこが私は言い訳にはならないと思います。都道府県が入っておるからしようがないんだというようなことは、言うべき状況ではないというのは、長官も重々ご承知おきいただいていると思います。そこで、この点についても後ほどご答弁をいただきたいと思います。
  あわせて、中小企業高度化事業というのは、現在の中小企業基盤整備機構の前身であった中小企業振興事業団の設立を機に昭和42年に設けられました。その後も中小企業振興に関して様々な公的融資制度がつくられてきましたが、長い歴史を持つ中小企業高度化事業への融資制度は、どちらかといえばよく生き長らえている融資制度と言ってもいいと思います。今年度の貸付金利は0.95%ですが、これから長期金利が上昇していくこと、あるいは製造業の国内立地が増加傾向にあることを考えれば、中小企業にとっては、この低金利融資は経営革新策の一助になるということでもありましょうし、組合をつくるというような具体的方策の中で中小企業等の今後の新しい発展を展望できる、そういうプラスの面も随分あると思います。
  しかし、この融資制度が本当に政策の目的にかなう支援策となっているのかという現実を、政策評価という視点からも私はやっぱりそろそろやる必要があるのではないかと。つまり、現実にお金を使って執行したことの是非の議論と同時に、融資制度そのものが政策目的に合致しているのか、そういう二つの視点で今、再度検討が必要ではないかと思います。
  簡単に言わせていただきますと、経済産業省のこれまでの中小企業の振興策というのは、事業組合、協同組合を基盤にした組織への融資制度に軸足を置き過ぎたのではないか。近年、融資の条件に関しても様々な改善がされてきておりますけれども、中小企業への支援融資に関する施策についてはきっちりとした個々具体的なレベルで政策評価を行い、また政策手段全体のブラッシュアップを図っていくべきではないかと、私は、こういう曲がり角に来ているとの思いもあるわけであります。
  したがいまして、前半の質問に関しましてはまず中小企業庁長官の答弁をいただき、その後、大臣の所見もお伺いしたいと思います。

○望月晴文・中小企業庁長官 中小企業の高度化事業というものは、先生ご指摘のとおり、全国各地における工場団地を始めといたしました様々な事業に対して、制度創設以来約40年間で3兆2000億円の貸付実績を有しまして、中小企業者だけではなく地域経済の発展に大変大きく寄与してまいったと思っております。
  現在、その組合制度の信頼性を高めてより使いやすいものとするための中小企業組合法の改正法案をご審議いただいているところでございますけれども、中小企業が組合をつくって相互に経営資源を補完しながら連携を強めていくということは、今後とも小さい中小企業のためには必要ではないかというふうに思っていることでございます。中小企業の抱える様々な課題に対応するために組合を通じて支援する高度化事業というものは、引き続き相当のニーズが存在するものとは考えております。また、必ずしも組合を組成しなくても、中小企業の新連携事業のように、任意のグループに対してもこの高度化事業が適用できるように措置をしているところでございます。
  今後、高度化事業の中で大きなニーズといたしましては、まちづくり三法の見直しに対応した中心市街地の再建などの場合の組合活動、あるいはアスベスト問題やCO2の削減対応などの環境対策面での取組、あるいは不測の災害対応など、必ずしも直接の投資が採算に結び付かない、利益を生まない投資というものがやはり数多くあると思います。そういうときに、個々の中小企業の固有の対応ではなくて組合でそういうものを対応し、かつ政策的にこういうもので支援をするという余地は引き続き多いんではないかと思っておるところでございまして、ご指摘いただきましたようなこの制度の抱える課題というものについては常に新しく見直しをしながら、私どもとしては現在抱えている課題の対応にも取り組んでいかなければいけないというふうには思っているところでございますけれども、引き続きご指導を賜りたいと思っておるところでございます。

○二階俊博・経済産業大臣 今から約40年ぐらい前から中小企業高度化事業というものは全国各地で様々な工場団地等を形成し、制度創設以来それなりの実績を上げてまいりました。かなりの歳月が経過しておりますから、多少マンネリになるといいますか、創意工夫の面におきまして一段の努力が必要ではないかと思われる点も我々もよく理解するところでありますが、これから議員のご指摘等を踏まえて、今後、この中小企業高度化事業の目指す理想的な方向に向けて中小企業関係者の皆さんの一層の奮起を促しながら、中小企業庁としてもしっかりした対応を進めてまいりたいと考えております。

○加藤敏幸 これまた、引き続き見つめていきたいと思います。

2、模倣品・海賊版対策について
○加藤敏幸  さて、そういう制度を使って中小企業組合が団地を造り、日本の、我が国の物づくり、製造業の発展を図ってきたわけでありますけれども、そういう努力、一生懸命やってきたノウハウ、これが実に海外における模倣品、海賊版と、こういうふうなもので盗用されているという現実があるわけでございます。朝から晩まで汗水を流してやったその成果が、言わば模倣という形で海外に流出をしているということによって我が国の製造業が受ける被害はこれは甚大だと、こういうことです。
  まず第一に模倣品や海賊版による我が国の被害について、これは様々な試算がございますけれども、経済産業省としてどのように見積もっておられるのか、お伺いしたいと思います。

○石毛博行・製造産業局長 ただいま、加藤委員のご指摘のとおり、製造業がせっかくいい製品を作り、開発しても、それが模倣をされるということで被害を受けるということでは非常に問題があると思っています。私ども幾つかの調査を行っておりますけれども、まず、特許庁が日本企業8千社に対して実施したアンケート調査というのがございます。
  これ2003年度に行っておりますけれども、それによりますと、模倣被害のあった企業の割合というのは、回答した企業全体の27.4%ございました。その中で、中国で模倣被害があったと回答した企業が55.7%となっておりまして、特に中国における被害が深刻であるなと認識をしております。
  そういう模倣品、海賊版についての被害額でございますけれども、日本企業の被害が比較的多い、今言いました中国、台湾、韓国、タイ、そういう四か国を対象に特許庁が試算を行ったわけでございますけれども、約18兆円の被害があると。中国だけ見ても約9兆円という試算結果になっております。
  ただ、もう一つのケースとしましては、これは中国の国務院がデータを出しているわけでございますが、その中では約3兆円中国において被害が出ていると、そのようなデータもございます。

○加藤敏幸 言わばそういう被害があると、こういう状況の中で、先進国を含め国際的にいろいろと対策が取られておるわけでありますけれども、経済産業省として、ここ数年における取組経過、あるいは各国との交渉、啓発活動、情報収集対策など、大体どのぐらい捜査費というんですか、お金を使っているんですか。「熱意はある程度予算に表れるんじゃないか」という人もいます。この辺どうですか。

○石毛博行・製造産業局長 はい、まず中国との関係でございますけれども、先ほど申しましたような被害の実態がございますので、近年、二国間協議だとか、それから中国への官民の合同ミッションの派遣、それからWTOの場での情報提供の要請だとか、そういうことで中国政府に対して模倣品、海賊版の取締りあるいは罰則の強化ということを働き掛けをしております。それに加えまして、中国の関係機関が適切に模倣品の取締りができるように、私ども知的財産権保護を中国政府が執行する上での強化のための支援を行っております。
  今、中国だけ申しましたけれども、今、経済連携協定ということでアジアの国々と、一部にはもう発効しているものもございますし、そういうものは進めているわけでございますが、そういう経済連携協定の中で、模倣品、海賊版対策についての実効あるエンフォースメントといいますか、執行について規定を盛り込んでいるケースもございます、これはマレーシアのケースでございますけれども。
  そういうことで、私ども、そういう啓発活動だとかあるいは情報収集だとか、そういうことで模倣品、海賊版の対策のための予算といたしまして、平成18年度のケースで言いますと14億9千万円、そういう予算を確保して実施をしてきているということでございます。

○加藤敏幸 約15億円のお金を使っているということですね。私は、この問題というのは、政府として毅然たる態度で対応する必要があると思っております。開発途上国がこういう特許が欲しいとかやり方を教えてほしいとか、そういうことについては私はいろんな形で、ODAも使ってやりようがあると。ただ、黙って盗むのはいかぬ。ガス油田にしたって何にしたって、そこは国家間のきちっとした約束、法律に基づいて対応するという態度を明確にしなければ、やっぱり製造業の皆さん方が非常に苦しんでつらい思いしながらここ数年間耐えてきた、その思いを受け止めるならば、別にけんかを売るわけじゃないんですけれども、それがこれから発展する国々にとっても大切なことではないかと、このように思いますし、一番うるさいアメリカはブッシュ政権になってから、2004年10月に組織的著作権侵害防止戦略(STOP)、ストップと言われるような方式も取って強い決意と適切な予算措置で対応していると伺っております。
  我が国政府としても国家戦略として位置付けるべきだと考えますので、決意などあればお話を聞かせていただきたいと思います。

○石毛博行・製造産業局長 今、加藤委員がご指摘になりましたように、アメリカがSTOPイニシアチブということで、そういう対策を国全体で取っているというのを私どもも承知をしております。我が国政府も、昨年6月に知的財産戦略本部の中で決定をいたしました「知的財産推進計画2005」というものの中で、模倣品、海賊版対策をその主要な柱と位置付けまして対策を強化をしてきているところでございます。
  具体的な点については先ほど述べましたようなことを累次行っているわけでございますけれども、一点付け加えて申し上げますと、先ほどは16年度の予算を申し上げたわけですが、平成18年度の予算におきましてはこれを更に増額をいたしまして18億3千万円という金額を計上して、そういう調査あるいは交渉、さらには、前回加藤委員から別の委員会でもご質問いただきました協議申立て制度、そういうものを適切に実施するための予算をしっかり確保して進めてきているところでございます。
  今後も、今まで以上に、そういう国内での産業界との連携強化、あるいはこういう問題について同じような問題意識を持っております欧米との連携強化、そういうものも念頭に置きながら、模倣品、海賊版対策をしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

3.原子力発電所の耐震問題について
○加藤敏幸 それでは次に、原子力発電所の耐震問題について二、三お伺いをしたいと思います。
  本日は経済産業省の省庁別審査ということで、大きく言えば我が国の総発電電力量の30%から40%は原子力でやっていこうという原子力政策大綱というものがございますし、現状況においては必要な方策である、そういう前提に立つとき、原子力発電推進政策というのは、やはり安全性の確保と同時に、国民の皆さん方に安心感を与える、これがなければなかなかうまくいかないということで、我が国は二重、三重の安全対策、つまり多重防護という考え方で今までやってきたわけであります。
  しかし、3月24日、金沢地裁において、北陸電力志賀原発2号機の耐震設計にかかわり運転差止めという衝撃的な判決が出たわけでありまして、原子力安全委員会は内閣府の所管でございまして、ガス、原子力発電政策の推進は主として資源エネルギー庁、また安全に関しては原子力安全・保安院であるということで、本日ここで質問をしたいと思います。
  原子力安全・保安院はこの判決に対して少し考え方が違っておると、こういう意見を出されておりましたけれども、現時点では、経済産業省として、あるいは原子力安全・保安院としてこの判決をどのように受け止められておるのか、見解をお伺いしたいと思います。

○広瀬研吉・原子力安全保安院院長 3月24日に、金沢地方裁判所での判決の主な理由といたしまして、志賀原子力発電所二号機の耐震設計において直下地震マグニチュード六・五の設定の妥当性など最新の知見が考慮されていないことが挙げられております。
  しかしながら、原子力安全・保安院では、原子力発電所の耐震設計に係る安全審査に当たりましては、耐震設計審査指針への適合性はもとより、最新の知見を踏まえて安全審査を行っておりまして、運転開始後も適宜その時点で得られた最新の知見を踏まえた安全確認を行っているところでございます。したがって、原子力安全・保安院といたしましては、志賀2号機を含め、稼働中の原子力発電所の耐震安全性は確保されていると考えております。今後とも、最新の知見を踏まえ、厳格に耐震安全性の確保に取り組んでまいります。
  なお、原子力安全・保安院では、事業者に対し、各原子力発電所の耐震安全性の確保について地元住民等に分かりやすい説明をより一層積極的に行うよう求めております。原子力安全・保安院としても、耐震安全性の確保の状況について地元を始めとする国民の皆様に十分に説明するなどにより、積極的に広報活動を進めてまいります。

○加藤敏幸 ただいまいただきました答弁は答弁として、間違っているところは一つもないと、こういうことでございます。
  ただ、今回の判決を見て考えなければならないのは、耐震設計審査指針の見直し作業がもう随分と遅れているんじゃないかと、ここにも私は一つ大きな問題点があると。国としては、1995年の阪神・淡路大震災、そして2000年の鳥取西部地震など直下地震の経験を踏まえて、正式には2001年から原子力安全委員会の耐震指針検討分科会が見直し作業を始められましたけれども、これが、なかなか難しいとは思いますけれども、進まない。さらに、昨年8月に宮城県沖地震で女川原発が3基とも自動停止するという事態になったと。こういうことを受け止めて、そしてあの判決を見て、いろいろな立場の人がおられますけれども、素朴に国民は、安心できるのかなと、こういうふうなやっぱり気持ちを持っておると。
  そして、大事なことは、原子力発電というのは国民の信頼感が、安心感が損なわれた段階から、これは本当に30%から40%、我が国の発電総量を賄い得るという供給責任を果たしていけるのかと、これを止めなきゃならぬというような状況になったときには、国民生活はもとより産業も含めて甚大なる打撃を与えるという意味で、私は、地元住民の理解を得られるということを今言われましたけれども、やはり最悪の事態を想定したクライシスマネジメントということと同時に、地震というものと原子力発電所及びその施設との関係をもっともっと、言葉で言えばクリアに、やっぱり国民の間に理解をしていただくような対応策をやっぱり今後十分取っていく必要があるし、また経済産業省として新しい基準に基づき安全確保のための施策をしっかりと講じていく必要がある、そういうことだと思いますけれども、ご見解はいかがですか。

○広瀬研吉・原子力安全保安院院長 先生ご指摘のように、耐震設計審査指針の改訂につきましては、原子力安全委員会の耐震指針検討分科会におきまして平成13年から検討が行われ、本年の4月28日に改訂原案が取りまとめられたところでございます。原子力安全・保安院としては、この間、同分科会において、地震学や地震工学などを専門とする各委員により慎重な議論が行われたものと考えております。
  新たに策定されます原子力安全委員会の耐震設計審査指針への対応のために、本年4月1日に原子力安全・保安院の中に耐震安全審査室を新設し、体制を強化しております。新指針を踏まえた基準類の整備等を積極的に進めるなどによりまして、新指針が策定された場合の円滑な運用を図り、国民の理解を得てまいる所存でございます。

○加藤敏幸 ただいま保安院としての安全対策についてお述べいただきましたけれども、原発、我が国にとっても大変大切だし、世界にとっても大切なエネルギー源であるこの原発を取り巻く問題というのは、廃棄物の処理、原子力施設の高経年化対策、それからバックエンドの問題など、いろいろな大きな課題が今メジロ押しであると。この耐震問題も私はその一つであるというふうに思っております。
  経済産業省として、また資源エネルギー庁としても、原子力発電における安全への国民の信頼をしっかりと得るためにも、今後、各電力会社と連携して十分な対策を講じてほしいと、こういう思いでこれからの努力をお願いをしたいと思います。

4、産業再生機構の運営と今後の課題
○加藤敏幸 最後に、産業再生機構の運営と今後の課題についてお伺いをしたいと思います。
  今日は、これは内閣府ということでお呼びをしておりますので、産業再生機構担当室長さんにおいでをいただきました。産業再生機構は、昨年の3月末に支援企業の債権買取りを終えて、現在、再生事業を推進しておられると、このように聞いておりますので、現状と今後の課題について簡潔にお答えをいただきたいと思います。
○広瀬哲樹・内閣府産業再生機構担当室長 産業再生機構の現状と課題というご質問がございました。
  産業再生機構は、表裏一体の関係にあります産業再生と金融再生を同時的かつスピード感を持って進めるために、期限を限って公正中立的な立場から事業再生を支援する組織として設立された経緯がございます。
  再生機構は、平成15年5月の事業開始以来、市場原理を尊重いたしまして、また民間の専門家の能力を最大限活用する形で、精緻な査定に基づきます抜本的なリストラクチャリングを行いまして、民間だけでは難しい案件にも取り組むなど、本格的な事業再生に取り組んでまいりました。
  平成17年3月末の債権買取り申込期限までに41件の支援決定を行っておりますが、現時点までに33件につきましては既に支援を終了しております。今後8件残っておりますけれども、一部上場企業もまだ残っておるような状況でございます。
  今後とも、事業再生を進める過程で、日本にこういった事業再生のメカニズムを定着させていくこと、それからこういう事業再生を担う人材を育成していくこと、そのようなことをマーケットに広めていくという役割を果たしながら、日本の産業再生に幾ばくかでも貢献できればと考えております。

○加藤敏幸 41件、33件は処理が終わって残り8件とのことですが、思い起こせば、この産業再生機構を設立する当時の議論は本当に鳴り物入りの大きな議論でありましたし、10兆円という資金をたしか用意をされて、なおかつ民間を含めまして大変優秀な人材を結集されたと、こういうことであったわけでありますけれども、結果としては大きなトラックに小さな荷物と、こんなふうな感想も否めません。
  私ども決算委員会ですから、いろいろと問題、イシューを討議すると同時に、こういうふうな大掛かりでつくったものが結果としてこういうことになったと、そこを、揚げ足を取るわけじゃないんですけれども、本当にそういうふうなシステムを用意する必要があったのかという点については、これから政策を真剣に考えるときの一つの事例として、私はしっかりと分析をし、評価していくことが必要だと考えております。もし室長の方でそうじゃないということなら、それも含めましてご感想があればいただき、それをもって質問を終えたいと思います。

○広瀬哲樹・内閣府産業再生機構担当室長 事業再生を中心にいたしまして産業再生を行うということが大きな目的でございました。同時に、金融システムの安定ということを図るという大きな目標もございました。そういったことをスピード感を持って進めるということを考えますと、本来、事業再生は基本的には民間で行うべきものでございますけれども、当時の日本を思い起こしていただきますと、デフレスパイラルに陥るのではないかとかいった経済状況もございました。金融機関におきましても、金融機関の間の、債権者間の調整が困難な状況もございました。
  振り返ってみますと、そういった3年あるいは4年前といったような状況では事業再生、事業にかかわります市場を担う担い手、それから法律あるいは公認会計士といった方々も、こういったマーケットで窮境に陥ったような企業を立て直すということができない状況でございました。
  そういった観点から、今、加藤委員がご指摘のように規模としてどうだったかということを考えます前に、産業再生機構が果たした日本の経済の再生、あるいは活性化といったものに対する影響あるいは効果といったことを併せてご検討いただければバランスが取れるのではないかと思います。
  機構が支援しました中には、先ほど申しましたような一部上場企業もございますけれども、地方の温泉旅館もございます。そういった中で、家族経営であったものを近代的な企業経営に移管する、目的意識を持って企業経営に参加する、そういったことを通じまして今こういった温泉旅館も4月末をもって支援が終了するといったような成果も上げております。
  そういった意味で、産業再生機構は5年に限った時限立法をもって設立された機構でございますので、終了した段階で改めてご議論いただければと思っております。

○加藤敏幸 終わります。

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