○大江康弘・国土交通委員長 引き続き、国土の整備、交通政策の推進等に関する調査を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次ご発言を願います。
○加藤敏幸 民主党・新緑風会の加藤でございます。久しぶりの質問でございますので、皆さん方のご支援、ご協力もお願いしたいと思います。
1、国土交通行政の基本課題について
○加藤敏幸 冬柴先生が国土交通大臣に就任をされましてお祝いを申し上げたいと思います。しかし、国土交通政策、国土交通行政というのは大変幅も広いし、多くの課題を抱えているということも事実でございますので、是非ともご奮闘をお願いしつつ、私としては幾つかご質問をさせていただきたいと、このように思います。まず初めに、先ほどの所信表明をお聞きしながら、国土交通行政、何が課題なのか、私は4つの課題を中心にいろいろとらえておるわけであります。
一つ目は、国土開発と環境保全、このバランスをどう取っていくのかという視点での問題です。
二つ目は、膨大な累積赤字を抱えている国家財政、このことから我々は非常に政策的にも苦しんでおるわけですが、その中でどのように公共事業を展開するか、見直していくか。これは午前中の中島委員のご質問とも関連をしてくることですけれど、そういう視点があると思います。
三点目は、これは藤本委員も質問されておりましたが、経済のグローバル化が更に進んでいくという中で、国際競争力を高める、維持する、そういう意味での産業インフラ等の整備、この分野も大きな課題があると思います。私はかねて、「ものづくり日本」、日本の製造業こそがこの国の最も大事な産業ではないか、観光も含めまして多くの大切な産業はございますけれども、1億2800万人がしっかり生活をするために、将来の子供たちのためにも、これは大切な産業だと。そういう意味で、国際競争力を維持するという視点から国内の工業立地、製造業の立地を支えるということで、港湾、空港、それから高速道路、JR含めまして大変大きなインフラ自身の競争力を保持する、こういうテーマがあると思います。
四点目は、正にこれは冒頭掲げるべきだとは思いますけれども、安全、特に大臣が所管されている範囲でいえば交通の安全、建物の安全、また災害からの安全、こういう視点に立っていかに安心感を持って生活をしていくことができるのか。
私が関心を持っている分野でいえばこの四つになります。
そこで、午前中にも質問がありましたのでやや質問の中身を絞り込みますと、特に公共事業の関連につきましては、今日の朝の議論も聞いておりまして、安倍内閣の経済運営の基本というのは私はやはり成長路線というところをとらえておられると思うし、それはそれで一つの見識であると思うわけであります。しかしながら、一方で公共事業というものが冒頭お話にあったように毎年3%、少しずつ減らしていくということの中から、これはやはり成長路線と公共事業の関係ということについてもある程度整理をしておかないと、私は国民に対する説得力がなかなか成立しないんじゃないか。こういう視点で、「一段の工夫をされる」と言われていますけれども、そこはどういう工夫なり、国土交通省としての政策の展開の余地があるのかということを中心に、概略的な質問ですが、大臣としての所信をうかがいたいと思います。
○冬柴鐵三・国土交通大臣 日本の財政が本当に国、地方とも逼迫をして、このままいけば子や孫にそのツケを回さざるを得ないというような状況にありますから、何としてもここは我々の世代でそのようなことが少しでも軽減できるような、また子供や孫にツケを回さないようにするために頑張ってきているところでありまして、具体的に2011年には国、地方合わせたプライマリーバランス、これをプラスにする。これは大変な仕事でございまして、そのときのこの差額は16兆5000億円と計算されております。
これだけを全部歳出でカットするということは幾ら頑張ってもこれは無理だろうと思いますが、一方、この5年間という間に今の経済成長というものを確実なものにし、持続してやっていけば、これはやはり歳出カットと税の増収というものを合わせれば何らかの処方は見いだし得るんではないかと思います。
その意味で、内閣の一員といたしまして、この歳出、聖域なき歳出カットということには協力をしなければならない。具体的に、公共事業ということになれば、前年度比3%のカットということが言われております。しかし、それをどういうふうに続けていくかということは、その年その年の経済情勢なり成長なりあるいは緊急の必要性なりを考えながら決めていかなければならないと思いますが、3%というものをこの発射台である来年はこれはもう入れざるを得ない。もう身を切るような痛みではありますけれども、私も内閣の一員としてこの大きな流れには沿わなければならないと思っています。
一方、我々の子供や孫のことを考えれば、彼らが自信と誇りを持てる美しい国日本というものをつくっていくのもこの国土交通省の大きな使命でもございます。そういう意味で、非常に苦しい台所ではありますけれども、それを工夫をし、そして都市部とか地方とか区別することなく真に必要な社会資本の整備というものを重点化、効率化というものを徹底をしながら進めていかなければならない、このように思うわけであります。
工夫というところでは、例えば高速道路、今まで残っている部分を、有料高速道路でございますが、20兆円を必要とするということがほぼ普通に認められていたものでありますけれども、道路公団改革等の作業を通じていろんな工夫がそこにされました。例えば、田舎でそんなに片道4車線を走らせる必要はないんじゃないかと。そういうところをそれを2車線にするとか、そういうことによって、トンネルのボリュームあるいは橋梁のボリュームというものを小さくするという工夫もされたわけでありまして、こういうことを通じて、現在は20兆と言われたのを10兆5000億まで圧縮してもできるという計算ができているわけでございます。
そのほか、非常に恥ずかしい話ですが、入札に関しまして談合というようなことが行われ、これが本当にいろんな国の事務に対する国民の信頼を損ねました。こういうものは、談合は、本来、例えば見積額の80%でできるものが95%で落札されているということになれば、15%というものが余分に使われている、国民の税金がそのように使われているということを意味するわけでございますから、こういうものを厳しく、例えば一般入札というものを限りなく広い範囲で採用するとか、あるいは総合評価方式というようなものを取り入れて、安かろう悪かろうは駄目だと。しかしながら、極限までこういうものを、大切な財源というものを有効に使っていこうという、あるいはボンド制度の導入とか、要するに入札制度の合理化によって所要経費の圧縮をするとか、そういういろんな工夫をしながら大胆に進めていかなければならない、このように思うわけでございます。
公共事業を進める問題につきましては、先生もご指摘のように、私は、一つは安全、安心の国土を形成しなくちゃならない。それは、言われましたように、災害に強い国土をつくらなければならないという意味で、河川やがけ崩れ等に配慮したそういうようなものもやっていかなければならない。建物も、いろんな不祥事がありましたが、国民の信頼を回復するような法制度もつくって回復していかなければならない。また、交通関係については、陸海空を問わず、この安全ということが、社長、一番上のトップから末端に至るまで、これが運輸の生命線なんだと、いろんな利益を上げるとか、あるいは定時に発車するとかいうようなこともあるけれども、しかし何よりも安全であるということを徹底する、こういう国土をつくっていかなければいけない、これが一つです。
二つ目は、先生もおっしゃいましたけれども、今少子高齢社会を迎えながら、なお経済成長を続けていくためには、近隣のアジア諸国との一体的な成長、すなわち日本で製造するものを例えば安い人件費の海外で製造する。そしてそれが、でき上がった品物を日本の市場だけではなしに広い大きな市場で、海外の市場でこれを消費していただくことにより、日本の一つの経済発展の資にしていく。こういう観点からこのゲートウエー、すなわち国際港湾・空港、あるいはそこと拠点とを結ぶ道路や新幹線等のネットワークを整備する、こういうようなことが一つ。
もう一つは、頑張る地方ですね。これを、国土形成計画に従って、地方がこういうふうにしてもらいたい、我々の歴史や風土あるいは伝統、自然環境等々を踏まえて、こういう地域をつくっていきたいという部分について応援を、きちっとした支援をしていかなきゃならない。こんな感じであるわけでございますが、何しろ大変身を切るようなこの予算の圧縮でございますが、頑張っていきたいという決意でおります。
○加藤敏幸 ありがとうございました。
今日は最初ですから、各論についてはこの後また議論の機会があると思います。
ただ、「ものづくり日本」。この考え方の中には、もちろん適地生産ということで中国でおつくりになるのもいいでしょう。しかし、私は電機産業に所属していますけれども、今行われていることは、マザー工場は日本につくるんだ、目の前で物つくって、そこで初めて分かることが一杯あるんです。だから、研究開発、設計は日本列島でやって、簡単なものづくりは中国、ベトナムという考え方は通用しないですよ。やっぱり一気通貫で、自分たちが全部つくってみることから初めて本当にすばらしい製品ができてくる、このマザー工場を日本列島の中にしっかり残していくということを、国土交通省におかれましても、是非大臣の頭の中に置いていただきたいというのが私の要望であります。
加えて、「一段の工夫」といったときに、これはもう簡単でないと思うんです。二律背反、予算が減るから身が切られるんじゃなくて、正に二つの違う方向のベクトルを、これを実現をしていく、制御していくということは相当に胆力も要るし、本当に力の要る仕事だと思うんです。
その中で、特に民間のメーカーは、バリュー・アナリシスとかバリュー・エンジニアリングということで、これは簡単に言うと、会社の中で例えば放射線を使って非破壊検査とか膨大な設備が要るときに、これ放射線を遮へいするために厚さ1m以上のコンクリートの巨大な建造物が要る。何10億ものお金が掛かるときに、じゃ土塁を造ろうと。要するに盛土をするだけなんです。幅は3m。そうすることによって1mの厚さのコンクリートに代わる遮へい物ができる、水平方向については。ということで、何10億円も掛けなくてもいいというような形で、予算執行については命懸けでやっているわけですね。
公共事業だって国民のニーズはいろいろやっぱりあるわけですよ、これは。増えることはあっても減ることはない。そういう中で、本当に今言ったようなバリュー・エンジニアリングだとかいうことも考えられ、本当にそういう努力をしなければ、予算は減る、ニーズは増える、それから安心、安全を守る、この三つのベクトルをかなえることはできないんじゃないかと。一言、アイデアを申し上げさせていただきましたけれども、よろしくお願いしたいと思います。
2、鉄道事故対策について
○加藤敏幸 次に、鉄道事故対策について、鉄道の安全確保という点でお伺いをしたいと思います。
通常国会では、運輸の安全性向上のための鉄道事業法等の一部改正ということを行いまして、10月1日をもって施行されました。安全対策における経営トップの意識改革と各社における体制整備、ヒューマンエラーの防止という視点が強調されたわけでありますけれども、我ら参議院で附帯決議を付けまして、第4項、「ヒューマンエラー発生の背景と指摘されているヒューマン・マシン・システムを含む労働条件・労働環境の改善、安全に関する技術継承や人材育成のための環境整備、必要な要員の確保などが図られるよう、運輸事業者に対して継続的に指導・監督・支援を行うこと。」と、こういうことを付けさせていただきました。
10月1日施行ということで、現時点で総括的な評価を下すのには少し時間的に早いかもしれませんけれども、これらの立法趣旨あるいは参議院での附帯決議の意図をどのように生かされているのか、お伺いをしたいということと、あわせて、改正鉄道事業法に基づき、10月18日から、JR西日本の経営幹部に対し、運輸安全マネジメント評価のための聞き取り調査を開始されたとお伺いしましたので、この内容についてご報告いただきたいと思います。
○冬柴鐵三・国土交通大臣 前半の部分について私から、後半は政府委員の方から答弁をさせていただきます。
参議院で誠に適切な附帯意見を付けていただきました。このご指摘を受けまして、国土交通省としては、三つの措置を現在とっております。
一つは、鉄道事業の乗務員の資質についてでありますが、運転士の技能、適性、知識の保持向上を図り、必要な訓練や教育指導を行う責任者として、乗務員指導管理者という制度を創設をいたしました。
二つ目は、運転者のヒューマンエラーによる事故防止を図るために、運転者の心身状態及び運行状況のモニタリング技術を開発するとともに、その技術の普及のためにガイドラインを作成してまいります。これは18年、19年で、今年度と来年度でこれはきちっとやります。このモニタリング技術ですけれども、例えば運転士がちょっと居眠りといいますか、そういうことをすればすぐにアラームがきちっとそれをとらえるという、そういう技術も開発をしております。そういうことが二つ目でございます。
第三には、安全統括管理者等の安全管理に係る要員を対象に、事業者の安全管理体制のリーダーとなるべき人材の育成を支援する研修等を実施してまいります。これは19年度から始めることにいたしております。
今後とも、このご指摘の附帯決議の適切な対応も含めて、輸送の安全確保に向けて努力をしてまいるつもりでございます。私からは以上でございます。
○杉山篤史・運輸安全政策審議官
それでは私の方から、先日行いましたJR西日本に対します安全マネジメント評価につきましての概要をご報告させていただきたいと思います。
先週の18,19の二日間にわたりまして、JR西日本の本社におきまして、同社の安全管理体制の構築状況等につきまして、社長、それから副社長、これは安全統括管理者兼務でございますが、それから安全関係の部長からヒアリングを実施したところでございます。
まず、概括的に申し上げますと、JR西日本は福知山線における脱線事故を踏まえまして、昨年の5月に、安全性向上計画を定めたところでございまして、この計画に基づき教育制度あるいは情報伝達体制の見直し、さらには外部有識者から成る安全諮問会議の設置、安全研究所の設立等、各般の安全対策を進めてきているところでございまして、安全管理体制の構築に係る一連の取組は一定程度評価できるという具合に考えている次第でございます。
ただ、一方におきまして、安全風土を構築しまして定着させるためには、この安全管理体制の更なる改善に向けまして課題も見いだされたところでございますので、幾つかの点につきましてより一層の改善を求めるということで助言を行ったところでございます。
幾つか具体例を申し上げますと、一つはやはり経営トップの継続的なリーダーシップの発揮ということでございます。それから二点目は、企業の安全風土、安全文化の定着の程度を把握するための評価手法を利用する、そういうものを検討してもらいたいということ。それから、いわゆる事故には至りませんが、事故の芽の情報というのがございます。この事故の芽の情報の今収集体制を一生懸命JR西日本では構築しているところでございますが、この収集しました情報の今後の具体的な活用方策を確立してほしいということ。それからさらには、社内に関する更なる社内コミュニケーションの充実。こういった点を幾つか改善事項として指摘をさせていただいたところでございます。
JR西日本におきましては、今回の私どもの助言、指摘を踏まえまして、より一層の安全管理体制の充実改善に向けた努力を継続していただきたいと考えている次第でございます。
○加藤敏幸 非常に、ごく最近のことでありますけれども、しっかりとした報告をいただきまして感謝いたします。
明るく優しく、しかし、しつこく。やっぱり安全の問題はしつこくしつこくやっていかないとこれは定着をしないと思います。厳しくということも必要ですけれども、継続は力、そして国会は常に関心を持っていると、忘れないと、このことをやっぱり事業者の皆さん方、そしてかかわる皆さん方にメッセージを送り続けることが大切ではないかと、このように思っておりますので、これからもまた質問させていただきたいと思います。
次に、先週、西日本鉄道で運転士の飲酒検査の不正が発覚をして、ショックなことがあったということであります。今、全国的に飲酒運転の撲滅ということでいろいろと議論がされておりますけれども、こういった公共交通機関での飲酒運転はこれは許されないことだと、当然のことであります。国土交通大臣として、鉄道、バス、航空機、船舶、そしてハイヤー、タクシー業界も含めて、公共交通機関における飲酒運転の防止について当然徹底した対策を講じるべきだと思います。今後の方針についてご説明をいただきたいと思います。
○望月義夫・国土交通副大臣 まずもって、実は加藤先生は自動車衝突防止センサーの開発に取り組んでこられたその道のプロであるということで、大変敬意を表したいと、このように思います。安全の分野でのプロでございますので、私が本当に適切に答えられるか心配でございますけれども、お答えさせていただきたいと思います。
交通分野におけるこれはもう安全確保は最も基本的な問題でございまして、正に飲酒運転、公共交通でこれはもう許されるべきものではないと。これはもう我々国土交通省としては最も最重点課題として、許されるべきものでないと、取り扱っていきたいと思っておりますが、この運転禁止については、鉄道、バス、タクシー、航空旅客機、それぞれのモードごとに、法律としては、鉄道営業法、道路交通法、道路運送法、航空法、船員法等の法令によって禁止されておりまして、自動車運送事業者に、実は9月15日に、死亡重大事故の発生を受けて、交通対策本部がなされ、周知徹底が図られたところでございます。
実は、国民の公共交通に対する信頼の根本をなすものとして、国民の皆様に安心して利用いただけるサービスを日々に確実に提供できるように、飲酒運転の根絶に向けて監査、行政処分の更なる強化等によって交通事業者への指導を徹底してまいりたいと、このように思っております。
○加藤敏幸 30年前の話を言われると私もちょっと顔が赤くなりますけれども、これからもよろしくお願いしたいと思います。
そこで、お手元にこういう資料を用意させていただきましたけれども、これは私の事務所で、新聞報道等を中心に、4月から9月まで、不通時間が1時間を超える首都圏での鉄道事故ということで挙げさせていただきました(資料提示)。やっぱり多いなというのが率直な感想でございます。 |