1.建築物の安全確保は道半ば
○加藤敏幸 建築法改正案についていくつか質問させていただきたいと思います。まず初めに、この法改正の意義と国民が抱えている不安、この問題に対してどう問題を解決していくのか、この展望等について冒頭大臣にご質問を申し上げます。
姉歯元一級建築士による耐震構造偽装事件が発覚してはや一年が経過をいたしました。昨年の今ごろも国会で議論があったわけですが、事件の背景にあったものや問題点あるいは課題があぶり出されて、再発防止に向けた施策がいろいろ取られつつある。さきの国会での建築基準法の改正に続き、今回の建築士法の改正もまたその一環であると思います。さらに、消費者保護の立場に立った賠償保険加入の問題、また建築業界の体質改善の問題など、解決を急ぐべき重要案件もまだまだ残されています。
最大の課題は、私は施工段階におけるいわゆる手抜き工事や不良工事にどのように対応していくかだと思います。さきの建築基準法の改正で3階建て以上の共同住宅には中間検査が義務付けられ、今回は工事監理業務の適正化措置が行われることになりますが、これで完全に手抜き工事や不良施工を予防できるという保証はないわけでして、依然として道半ばと私は感じている次第です。
そこで、建築物の安全確保と建物の安心、安全、これを確保するという究極の政策課題の実現に向けて、今回の建築士法改正に続き、今後の国土交通省としての施策なり法改正の展望、大まかなスケジュールとか方向性とか含めて、冬柴大臣の大臣としての決意も込めてご答弁をいただきたいと思います。
○冬柴鐵三・国土交通大臣 今回引き起こされた問題を契機といたしまして、種々の問題が指摘をされ、国民の間には大変な不安が醸成されました。
これに対処するために今般、建築士法、建設業法等を改正いたしまして、建築士の資質、能力の向上というものを図る、それから建築士の育成、活用、しかも、これは特殊な構造計算とか設備、そういうものについて専門家としての育成や活用を行うということで、一級建築士の中からも選別をするというようなこともいたしました。
そしてまた、高さが20メートル超の鉄筋コンクリート造りの建築物など一定規模以上の建築物の構造設計、設備設計へこの人たちの関与を義務付ける。多くのマンションがたくさん建っているわけでございますが、そういうものはほとんどが20メートル以上の高さを持っておる鉄筋コンクリート造りが多いわけですが、そういうものについて非常に高度な技術を持っている人たちの関与を義務付けるということで、国民の安心というものを担保しようとしております。
そして、それらの人が、関与した人が、今まで元請設計が安易に下請設計を使うということで責任の所在が非常に不明確になっていたわけでございまして、こういうものを防止するために関与した設計士のすべての人たちの名前を明記し、記名、押印をさせるというようなことで責任を明確化するということも配慮いたしました。
あるいは建築士事務所の業務の適正化ということを通じまして、建築士事務所に所属する建築士に対する講習を義務付けるとか、あるいは工事監理や受託契約の締結前に管理建築士、先ほども問題になりましたけれども、そういう人たちに重要事項説明、施主さんに重要事項を説明させるという義務を明らかにするとともに、それを書面にしまして、そしてそれを交付するというような義務付けもいたしました。
また、マンションなど一定の建築物の設計については、一括委託、いわゆる設計を一括して丸投げしてしまうということももちろん禁止をいたしたわけでありますし、それから建築工事の適正化ということで、建設業法も一部改正をいたしまして、こういう建物について一括して下請負を禁止するという措置も講じました。
それから、一定の民間工事におきましても、監理技術者資格証明書というようなものも作りまして、これに監理技術者の講習の受講を義務付けるとともに、その証の裏にきちっとそういうものが明記されると。そして、こういう人たちに、資質の高い技術者に工事現場への専任配置も徹底をするというようなことも配慮をいたしました。
それから、さきの国会で成立いたしました建築基準法の改正で、高さ20メートル超の鉄筋コンクリート造りの建築物など、高度な構造計算をする一定の高さの建築物について構造計算適合性判定、いわゆるピアチェックと通称していますけれども、もう一度、一級建築士に審査をさせるということも、二重にチェックをするということもいたしました。建築確認申請のときにはそういうものもすべて提出をいたしまして、そしてそれを担当したすべての建築士の名前も明らかにするということを義務付けました。
それから、今回の建築士法、建設業法改正によりまして建築物の安全性の確保と建築士制度への国民の信頼の回復を図りたいと考えておりまして、建設工事への適正な施工を確保するための、いわゆる建築士事務所に対する立入検査とか、適正に事務が処理されているか、あるいは報告徴収を行うことができるというようにし、それから、それに対する担保として厳正な監督処分を行うことも規定をいたしました。
そのようなことから、現在の醸成された不安というものは一応は担保されたと思うんですが、先ほども出ましたように、瑕疵担保責任ですね、十年間に及ぶ売主の瑕疵担保責任が売主の倒産とか資力不足で十分な瑕疵修補とかあるいは建て替えということができなくなるということを慮りまして、これに対する保険制度とかあるいは供託制度というものを鋭意検討しているところでございまして、次期国会には必ずこの法律を提出したいということを皆様方にお約束することにより今回引き起こされた不安を、解消に全力を尽くしたいというふうに思います。
2.耐震構造偽装事件の背景にあるもの
○加藤敏幸 私はやはり総合的な政策展開の中で今回の建築士法の改正というものの位置取りがあって、そこからどういうふうに展開するのか、どういう議論ができていくのかだと思います。
そこで、この建築士の在り方を議論する場合に、今回の耐震構造偽装問題の本質はどこにあったのかということを少し考えてみる必要があるのではないか。
私は、第一には、姉歯元建築士を始めとする建築関係者の職業倫理の欠如という問題があった。ここは非常に大事なことではないかと。裁判の判決では今回の事件が組織的犯罪であったということは否定されていますが、しかし単なる姉歯元建築士個人の問題では済まされない側面は、これは依然として残っていると考えております。
第二には、建築確認制度の問題、これはさきの通常国会でも議論されてきたテーマですが、基本的には確認機関の民間開放の問題、あるいは構造計算プログラムの問題、さらには特定行政庁の審査体制の問題など、政府、自治体には、いろいろと多くの課題がまだ残っていると考えております。さきの建築基準法の改正と今回の建築士法の改正によって設計段階での偽装はある程度防止できると、私はそのようには展開できているとは思いますけれども、安全性を満たしていない建築物や欠陥住宅を完全になくするというところまで行けるかどうかについては、なお課題は残っていると思います。
そして、第三には、コスト削減を優先する業界の体質の問題、やっぱりこれが本質的にあるのではないかと。あわせて、後ほど質問しますが、構造計算を行う建築士を始め、建築士の労働報酬がやっぱり安定化していない。こういうことも、事件の根っこにはあったのではないか、以上、三つの基本的な問題意識を持ちながら、順次質問をさせていただきたい。
3.法改正の目的と行政管理の強化について
○加藤敏幸 今回の法改正は建築士制度の在り方を問う二つの側面があると思います。一つは、姉歯事件を教訓に建築士の倫理意識の向上とその職業倫理を担保する資格制度そのものの改革、それからもう一つは、従来からの建築士団体の取組課題であった職能としての建築士の地位向上と社会的評価の向上という、こういう視点があると思います。両者は相互関連するものでありますけれども、今回の法改正においてはきちんとした目的意識を持って議論をしないと、二つの目的とも中途半端に終わってしまうことになると思っているわけです。
そこで、今回の政府案の目玉と言われている施策は、まず建築士の資格を機能別に分けて構造設計一級建築士や設備設計一級建築士という上位資格的なものを新設して設計段階での安全性の精度をより上げる、こういうところを目指していると思います。一方で、建築士、建築事務所の登録制度や建築士への研修制度を導入することで建築士のレベルアップを図り、この二つの政策目的を同時に達成されようとしております。しかし、これらの施策が日常的な設計業務や工事監理において、本当に現場が変わっていき、安全性確保の実効性が上がっていくのか、なかなか現段階ではストレートに具体像が見えてこない。
また、一方で、公的な規制強化、例えば国家試験の資格をより厳密化したり登録制度を徹底など、どうも公的機関による、行政による管理強化的な側面がやや前面に出てきている。そういう状況は致し方ない側面もありますけれども、そのことが本当に本質的に職業倫理の向上と建築士の社会的な地位の向上ということにつながっていくのかどうか。
そこで、職能団体としての地位の向上や報酬を含めた資格の社会的認知の向上を図る方法はほかにもいろいろ考えられるわけです。特に、団体主義の下に自律的規制や自主的事業をもって職業倫理を大いに高め、また建築士という職能を高めていくことが本来の姿だと思います。つまり、自治において、自分たちのことは自分たちでしっかりやりますと。行政からガリガリやられるからやるというのでは、本当の意味でこの法律が目指すところには到達しないのではないかと私は思っておるわけです。この辺、やはり他の弁護士だとかいろんな資格団体がそれぞれ努力しながら自らの職能の倫理、それから地位の向上を図ってきたということも含めまして、大臣のお考えを是非お伺いしたい。
○冬柴鐵三・国土交通大臣 今、加藤委員から指摘されたような思想の下に今回の法案は組み立てられていると思います。具体的には、建築士の資質、能力の向上とか、あるいは建築士事務所の業務の適正化を図るということを通じてこのような問題を解決していきたいということであります。
建築士の倫理意識と地位の向上を図るためには、建築士自らの資質を高めるということとともに、その属する団体自らが建築士の資質向上に資するという制度、あるいは建築士事務所の業務の適正化に取り組むことによってその倫理意識とかそういうものも高めるような、そのような制度を考えようということが今回の骨子であります。
建築士会あるいは建築士事務所協会というものに対して、所属する建築士、建築士事務所の開設者に対する研修の実施を義務付けたというのはその一環でございます。そしてまた、建築士事務所協会あるいは建築士事務所協会連合会というものを今回法律上、認知をきちっとして、それらにユーザーからの苦情相談等の業務を担っていただくということです。それぞれの団体で建築士の資質や能力の向上とかあるいは建築士事務所の業務の適正化に積極的に取り組んでいただくことによって、団体による自律的な監督体制の強化を図り、そしてまた、そのような団体に入らない建築士というものが社会から疎外されていくだろう、すなわち団体へ加入するという建築士がやっぱり増えてくるだろうということも期待しているわけでして、このような一連のものを通じて建築士個人の倫理の向上、そしてまた、建築事務所に対する一般社会の信頼というものを高めたいと思っている次第でございます。
4.建築士制度の公的管理の拡大について
○加藤敏幸君 最終的にはそういう協会とか団体への加入率が上がっていくということでしか見えないということも事実であって、精神論だけではなかなかその実態は分からないということも言われるとおりだと思います。
そこで、私はここで、「ものづくり」の現場をやってきた人間として非常にこだわるのは、今、教育改革特別委員会をやっていますが、教育の問題がいろんな形で火が噴いている、嫌な事件がいっぱい起こっているという状況を考えますと、いろいろな解決策があると思うんです。私は、一人一人の国民は、やはり職業、仕事を通じて社会参加をしていくというのが近代あるいは現代における一つの形だと思うんです。そのときに、職業倫理をどうとらえていくのかという問題、例えば金もうけだけなのか、稼ぎだけなのかではなく、やはり世の中に対する務めということを果たしていくことによって社会の秩序が維持されていくという根本原則があると思うんです。だから、そういうときに、職業倫理を守るというのは、守らされるという思想では駄目であって、やっぱり社会の一員として誇りを持って、それぞれ職業人が自分たちは自分たちでしっかりやっていく、これが大切だなと思います。
そこで、各種公的機関のかかわりとの関係でいきますと、まず建築士試験の受験資格にかかわる教育機関への関与、これは間接的でありますけれども、文部科学省によって科目がどうだこうだと、いろいろな規定がされてくる。二つ目に、建築士の国家試験を実施する財団法人建築技術教育普及センターというのがあり、この機関は建築士法第15条に基づき国から指定を受けた機関である。三つ目は、新たに公的管理として登場するのが建築士の登録をする中央指定登録機関並びに指定事務所登録機関。四番目として、講習を実施するために指定される講習機関があり、五番目として、現在の建築士会、建築士連合会、建築士事務所協会、建築士事務所協会連合などの職能団体への監督強化が図れると、こういうふうなことであります。これらの団体は一般社団法人という公益法人であることから、現在でも行政から管理監督を受けているわけですが。
これらの団体は端的に言って顔が見えないなということもありますし、これだけ大事件になって国民の皆さん方が不安顔しているのに、そういう職能団体、職業団体が大きく社会的に運動を起こすとか発言をしているところがなかなか見えない。だから、国土交通省がいろいろ手取り足取り、ああしなさい、こうしなさいと、駄目ならこうだということで、管理的な手法でやられることになる。問題解決において、それでは間に合わないのじゃないか、もっと本気を出せよとか、そういう国民の声が出てくるという背景があると思います。
そこで、質問は、このように建築士に関する国の、自治体の関与がより拡大強化されていくことによって、設計や工事管理の業界なり建築士という業種、職種ががんじがらめに管理されるという印象を与えるのではないだろうか、ということです。もちろん、このことで建築士への信頼が増すという側面もありますけれども、一方で、業務がより複雑化、煩雑化したり、あるいは講習義務が課せられることに日常業務に差し障りが出てきたり、様々なマイナス面も予想される。このような懸念が持たれないように、行政として現場の実態を配慮した適切な運営をしてもらいたいという要望を込めながら、ちょっと長くなりましたが、国土交通省としての見解をお伺いしたい。
○榊正剛・住宅局長 今般の法律改正でございますけれども、先ほど大臣が申し上げましたように、一つは、姉歯さんに見られるように、建築士の資質能力に課題があったというようなことから、定期講習の義務付けなり受験資格につきまして学科主義から科目主義に改めるとか、そういったこともやっております。
それから、業としております建築士事務所については、管理建築士というのは全く実務経験がなくてもなれたということでしたので、実務経験と講習を義務付けまして、事務所もきちっとしていただくと同時に、設計契約、管理契約を締結する際には、今までと違って、重要事項説明すると同時に、それを書面化して消費者に明確になるようなことをやってきたわけでございます。
さらに、私どもとしては、職能団体としてきちっとした位置付けも必要だろうということで、審議会の中では加入を義務付けるというようなこともありましたが、組織率もいまだ低いということもあり、現段階では時期尚早だろうというようなことでした。それじゃ一体どうやって加入率を高めるのかということで、ここでは建築士事務所にきちっとした研修をやっていただくと同時に、紛争相談みたいなこともやっていただくと。場合によって講習もできるというような規定に改めまして、そういったことを通じて、言わば自律的な、団体の自律的監督体制の強化を図っていただけると思っております。
建築士会、事務所協会とも倫理憲章を既に持っておりますので、そういった倫理憲章を、きちっとした形で研修を実施していただくことを通じてやっていきたいと思っているところです。
5.建築士の登録と研修の一体化
○加藤敏幸 ただいまの答弁の中で、ちょっと講習の話も出てきましたので、建築家登録と研修の一体性という視点から少し質問をさせていただきたいと思います。
欧州などの事例を参考にすれば、基本的には建築家としての職業資質の認定と職業能力の維持、研鑚(けんさん)、そして紛争処理への支援というものは、一つの公認された職業団体が一貫して対応していく、これがやっぱり合理的な方策ではないかと私は考えております。
今回の制度改正においても、登録機関と講習機関とは、ある程度連携若しくは一体化をしていくのが望ましいのではないかと考えるわけであります。法改正では、団体による自律的な監督体制の確立として、建築士事務所協会等の法定化や苦情解決業務の実施、あるいは建築士会、建築士事務所協会等による研修の実施ということが掲げられておりますけれども、問題は、我が国においては建築士や建築士事務所で組織される団体が多岐にわたっており、今後統一的な対応ができるかどうかということであると思います。これらを束ねる上位の団体をつくるとなれば、これまた屋上屋を重ねることにもなります。
職能団体として、建築士の地位の向上、能力の向上、紛争の解決など職能を守る立場では、国土交通省ではなくて当事者団体が一貫してこの機能を担うことが望ましいと思いますけれども、今後の登録機関、講習機関などの認定における方針をお伺いしたい。
○榊正剛・住宅局長 指定登録機関の指定ですが、一級建築士ということになりますと全国に一つということですし、都道府県指定登録機関については各都道府県ごとに一つに限るとなっておりますので、事実上、やはり各都道府県に協会がないと駄目ということになります。
そういう組織は、実は一つしか今現存しておりませんので、そのことを念頭に置くことになりますが、法律の建前は団体からの申請に基づいてということになっております。 ただ、講習につきましては、各業界団体も講習をやってみたいと、こういうお話もございまして、これも登録基準に合致すれば、複数の団体ということで業界団体に限らず、例えば専門学校といったようなところも出てくれば、講習は受けられるということではないかというふうになっております。したがって、資格登録と講習を特定の一つの団体に行わせるという仕組みにはなっていないんですが、申請があれば、両方の基準が合致する場合には同一の団体で行うことも可能というような実は制度になっております。
私どもとすれば、委員ご指摘のような点もなかなか利点があるなと思っております。そういった方向で団体の方が前向きに対応してくれると、これはいいことではないかと思っているところでございます。
6.団体への天下り禁止
○加藤敏幸 そこで、国の指定機関が増えたり、一般社団法人の役割、機能が強化されているということですが、冬柴大臣は衆議院での委員会審議で天下りは一切認めないと、こう明確に非常に分かりやすく答弁されております。本当にこれを将来にわたってしっかりと担保できるのかどうか。
○冬柴鐵三・国土交通大臣 今回の改正によりまして、指定登録機関とか、あるいは登録講習機関、まあ登録講習機関ということになりますと、現在建築士さんが百万人いらっしゃるわけですから、相当な数がいるわけで、これを全部指定とかあるいは公でやりますと大変なことになります。そういうことから、要件を決めて、これを充足する人からの申請があれば、先ほど局長も答弁しましたように、いろいろな、例えば予備校のようなところも手を挙げてこられるだろうと思います。
そういうところがたくさんできるということを前提に、そこへまた国土交通省の役人が天下りするんじゃないかという疑問がわくのは当然でございます。しかしながら、私は、一連の今回の流れ、改革というものを踏まえまして、一切新たには天下りはさせないということを明言したわけでございまして、これは私の代だけではなしに、ずっと今後もこのことだけはきちっと、国会で答弁しているわけですから、国土交通省として引き継いでいきたい、引き継いでいくべきであると私は思っておることを披瀝申し上げたいと思います。
7.構造設計の二重チェックの問題
○加藤敏幸 目と目が合っての答弁ですから、しっかりとお願いをしたいというふうに思います。
さて、改正建築基準法と新しい構造設計建築士との関係について少し具体的な質問に入っていきたいと思います。
さきの建築基準法の改正によって、一定の建物、鉄筋コンクリート造りの場合は20メートル超について、都道府県ごとに設置される構造設計適合性判定機関による判定が義務化されました。この判定については、@建築構造分野を担当する大学教授、助教授、Aこの分野で高度な専門知識を持つ研究者、B国土交通大臣がこれらの者と同等以上の知識、経験を持つと認める者となっております。この三番目の要件ですが、構造設計、工事監理の経験を持つ建築構造士や構造専攻建築士、民間資格でございますけれども、などが想定されているとは聞き及んでおります。
まず、判定員については、現在こういう考え方でいくのかどうか、確認を含めてご説明いただきたいと思います。
○榊正剛・住宅局長 判定員ですが、要件自体は国土交通省令で定めたいと思っております。
具体的には、委員ご指摘のように、大学、短大、高専におきまして建築構造を担当する教授若しくは助教授、それから試験研究機関において建築構造分野の試験研究の業務に従事して高度の専門的知識を有する者、さらにBといたしまして、建築構造設計又は工事監理に係る業務に関して相当の実務経験を有し、専門的な知識を有する構造設計者というふうに書いておりまして、私どもの想定では、日本建築構造技術者協会の建築構造士、日本建築士会連合会の構造専攻建築士といったような方の中から、原則として7年以上の実務経験がある方ということです。ピアチェックということですので、20メートルを超えるような鉄筋コンクリート造りの建築物について複数年の実務経験がある方ということを想定しておるところでございます。
○加藤敏幸 そういたしますと、今回の建築士法改正によって構造設計一級建築士による構造計算、あるいは構造設計一級建築士以外の建築士によって行われた構造計算などに対して、構造関係規定への適合性の確認実施が新たに付け加えられますけれども、確認機関でのチェックも含めると、基本的に、機能的にも人材的にもダブるのではないかと、この点についてどのように調整されるのかお伺いをしたい。
また、このように機能的にダブるということは、構造設計一級建築士や設備設計一級建築士は試験による資格ではなくて実務経験と講習によって付与される資格であるので、更なるチェックが必要ということになるのですか。当然、安全確保において二重、三重の対策を講じることは、これはダブルチェックということで理解できますけれども、余りにも設計、構造計算に比重を置き過ぎるのではなかろうか。中間検査を徹底したり、個別の建材の安全性をより厳密にチェックするとか、施工段階における安全対策に重点を置くべきで、こういうことも必要ではないのかと。余りにも建築士に対する性悪説に立った施策が前面に出過ぎているのではないかと、こういう受け止め方もやっぱりあるのではないか。
○榊正剛・住宅局長 さきの通常国会で、指定構造計算適合性判定機関という制度、ピアチェックという形で入れさせていただきました。これは、言わば指定確認検査機関なり特定行政庁といったところが偽装を見逃したということもございますので、そういった見逃さない審査体制という意味で、ある意味で行政側の審査体制を確立するということでございます。
今回の改正は、むしろ、設計段階といいますか、建築をする以上は建築計画をまず作らなければならぬ。そうすると、その建築計画を作る人がきちっとした計画を持っていないと、幾ら厳密な審査をしてもそれはいかんのじゃないかという話がありまして、計画段階でもきっちりしようといった意味で制度改正をいたしております。これが今回の建築士法の改正ということでして、言わば申請者と受け手側というような形で、双方ともにチェックさせていただくと、こういうことになっておるところです。
それから、ご指摘の施工段階の安全対策といったようなことでございますけれども、さきの建築基準法の改正におきまして、3階建て以上の共同住宅については一律に中間検査を義務付けるということにいたしております。これ以外の建築物については特定行政庁が地域の実情に応じて対象となる建築物を指定もできるということになっておりますので、こういったような形で、特定行政庁で地域の実情に応じた中間検査をきちっと実施していただくというようなことをすれば、中間検査段階での施工段階の不良というのは防げるということと、完成検査につきましても、今どんどん率が上がってきておりますけれども、こういうものをどんどんやっていきたいと思っておるところでございます。
○加藤敏幸 やっぱり総合的に施策を展開していくということが当然大切であって、その中に基準法の改正、建築士法の改正、いろいろなものが組み合わされていくんだと、このように思うわけであります。
ただ、「羮(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」という諺がございます。いろいろやることは、それはそれでいいことなのですが、しかし、やり過ぎるとある部分やっぱり無駄になるところもあり、これは社会的にありますし、そのことが社会全体のコストを上げていくという要素もこれはまたある、ということも事実です。まあ質問するのは簡単なのですが、最適化というか、的確な対応というのは、それを実現することはなかなか難しいということはあります。
ただ、そこのところは、一言申し上げれば、行政としての「俺たちは全部やったんだ」と、悪い言葉で言えばアリバイづくりの法改正ではなくて、本当に国民にとって現実の安全、安心確保という、この目的を実現するための方法論なんですよ、ということを是非とも肝に銘じていただきたい。このことを要請申し上げまして、本日の質問はこの程度にいたします。どうもありがとうございました。
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