○加藤敏幸
民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。住宅瑕疵担保責任保険法案に関連しまして幾つかご質問をしたいと思います。
姉歯元一級建築士による構造偽装問題が発生してから1年半、この間の経過につきましては小池委員の方からも述べられたとおりで、私の方は省略をしたいと思います。この問題についての最終的な法案の処理ではないかと思います。私も昨年の臨時国会で、言わば被害者救済の保険的な制度の導入についてはいかがですかと、こう大臣にご質問を申し上げた際に、来年通常国会でやるんだとご回答されました。普通は検討するとかその程度でとどめるんでしょうけれども、随分決意を込めて、本国会での提案、審議ということを言われておりました。私も流れとしては必要ではないかという思いの中をもちながら、そういう制度がじゃあ、どういう形でできるのか、結構苦労されたんじゃないか、こんなふうに思います。大臣が期間を決めて新しい制度ですから、まず、非常に短い期間で法令改正を含めて各種対応、最終的には立法措置ということについて提案されたということについては私は一定の評価がされてしかるべきではないかと、こう思います。
しかし、立法府において最終的に法律を作っていくわけですから、いろんな角度からの議論が当然必要でありますし、参議院先議ということもございますので、いろんな視点から指摘をしていきたいとも思います。よろしくお願いしたいと思います。
1.偽装事件の底流にあるものと公的政策のあり方
○加藤敏幸 最初に、今回、姉歯元一級建築士が起こした、耐震構造偽装という事件の背景ということと、国土交通省が担当される公共政策との関係について、大臣にお聞きをしたいと思います。
そもそも事の発端は、年間120万戸、130万戸もの建築確認が行政的な事務として発生をしている中で、それがどの程度、質を含めてきちっとできていたんだろうかということです。行政の事務全般が、「お役所仕事」という言葉のように、能率の問題とか、あるいはサービスの質の問題とか、そういう批判を受けるようになり、土光臨調以来、民間の労働組合も行政改革という視点で問題提起をする、こういう大きな流れの中で、建築確認という仕事もやはり社会的な意味で効率化をしていこう、こういう流れになったと思うんですね。そして建築確認が民営化された。だから、一つは規制緩和ということについての議論もあるし、こういう公共的な業務を民営化することについての議論もあり、私はそう思うんです。
少し長くなりますけれども、単に規制改革が駄目であるとか民営化が駄目であるとかいうような議論は、私はこれは余り意味がないと思っています。私の所属する政党も、早いうちから規制緩和を標榜し、いろんな提起をしてきたわけですから、何でもかんでも二項対立概念的にとらえるということではないと思います。今回、措置としては罰則の強化、あるいは建築士の意識の向上だとかそのための研修、いろんな措置をとられた。また行政の監視、監督の強化と一連の措置をとられて、最後に保険という制度に到達をされたということで、そこは十分理解をしております。
しかし、もう一度ひるがえって考えましたときに、国民の安心・安全、そして「家」という一生モノの財産、この瑕疵、品質の保証、あるいは一戸の建物をしっかり守ることがその街区、地域全体の安全にもつながるという意味で、非常に相互関連性を持った社会財、公共財としての個人財である家の、品質をどう確保するか、このことは私がずっと担当しておった電気製品とはまるで違う品物、物件についての議論であると思うんです。
携帯電話は、「電池がおかしいぞ、発火するかも分からぬぞ」というミスがあると、リコールで何十万台全部を回収するわけです、何十億も掛けて交換をする、そのことで企業責任を果たしていくわけです。でも家は、「どうもおかしいぞ」「じゃ交換しましょう」というわけにはならい。そういう非常に違った性格を持った住宅というものに対する公共・公的政策の基本論議として、もう全部お役所がやってしまえという意見もありますが、今回、指定行政庁がやっても見逃した部分が一杯あったというのも現実ですから。私は、そういう議論を外れて、国土交通省が国民から頑張ってほしいと言われている、特に住宅行政をと。これから省としてどうしっかりやっていけるのかだと思います。
全体として規制緩和、民営化という風はいまだに衰えていないし、そのことが持つある種の正しさなり方向性ということも認めるものでありますが、その中にあって現実的な仕切りをして措置をしていくことが正に行政官としての私は力量を発揮する分野ではないかと思います。ちょっと長くしゃべりましたけれども、この様な事をお話をいたしまして、大臣のまた考え方なりご所存それから決意、ございましたらいただきたいと思います。
○冬柴鐵三・国土交通大臣 おっしゃるとおりでございまして、庶民というよりも国民にとって住宅を持つということは夢でもあります。そういうものが打ち砕かれることがないように我々はしなければならない。その方向としましては、例えば建築基準法というもの、これは、このような構造の家を建ててもよろしいかということで図面をあらかじめ提供し、建築主事、すなわち特定行政庁なりあるいは民間の指定確認検査機関が、それは建築法規にかなった設計図書であるから、それでそのとおりに建てるんであれば結構ですということがまず関門でございますけれども、そのときにどのような建物をきちっと設計すべきかということについて建築基準法にきちっと決まりがあるわけでございます。
しかしながら、最近の家を見ましたら、家というよりも建物を見ましたら、もう何十階建てというような大きな、高くて大きなボリュームの家ができてきます。これも、建築士の資格を、一級建築士の資格を取った人であればだれでも設計できるというのが今までの制度でしたけれども、やはりこれほどボリュームが大きくなり、設備も、エレベーターもあれば冷暖房もある、あるいは水回りもある、いろんなものがあるわけですから、やはり同じ一級建築士の中でも特化した、構造計算についてのオーソリティー、あるいは設備についてのオーソリティーというようなものも特化して、これらそういう人にある一定以上の建物はかかわっていただこうというような改正をした、これは規制強化の方法だと思うんです。社会規制だと思うんですね、実際は。
また、それを今度は確認するのも二重でやろう、これは本当に画期的なことだと思うんです。ペアチェック、もう一度、そのような専門家、一級建築士で専門的な知識を持った人がその設計図書をもう一度検査するということ。それから、それにかかわった建築士が安易に下請に出してしまう、余りにも事務が大きいものですから、構造計算は構造計算の専門にやっている姉歯のような一級建築士に下請に出すというようなことが安易に行われて、その場合にそれが姉歯さんがかかわったかどうかということがユーザーにとっては分からないというような、どこにも署名もないというようなことは改めまして、それにかかわった建築士はすべて名前がきちっと表示されるというようなことをすることによって建築士自身の自覚といいますか、責任といいますか、所在を明らかにするというようなことも必要であったと思うわけでございます。
そういうことを通じて、また建てられる建物についても、工事中の中間検査とかあるいは竣工検査というものも今までちょっとそういう点が緩かったように思いますけれども、これを強化しようと、これも社会規制だと思います。そのようにしましたらほとんど瑕疵というのはなくなるはずなんでございますけれども。
しかし、我々今回の事件を見ていまして、二重ローンというほど悲しいものはないですね。一生これ縛られますよ。なくなってしまった、壊した家のローンを払い続けなきゃならない、これほど悲しいことはない。私はそのように思いまして、三番目として、希有の事例ではあったとしても、そういう被害に遭った人、そしてそれが売主なり建築業者が倒産をする、夜逃げするということがあったとしても、一定期間、10年間はきちっとその資力が担保されて、二重ローンは払わなくてもいいようにしよう、これが今回の法律の趣旨でございまして、これもやはり社会規制だと私は思います。
規制緩和と言われている中で、こういう非常に国民の安全とか安心にかかわる、そしてまた一生を懸けたこういうものについて、国家としては思い付く限りの事故を防ぐ手だてを講ずる必要があるという観点で、今回このような法制度を提案しているわけでございます。
○加藤敏幸 ありがとうございました。私も全く同感です。
あわせて、これも私もずっと人生生きてきて思うんですけれども、行政というのは重大事故だとか事件が発生しない限り真剣に考えないんではないかなと、そう思ったりもするわけであります。まあこの年になって、そういう側面も世の中にはあるなと、何も起こっていないのに大騒ぎすると怒られると。あらかじめひょっとしてこんなことがあるかも分からないからみんな真剣に考えろと言ってもだれも振り向いてくれないのが浮世だということでもあるので、言うのは簡単ですけれども。
ただ、今回提案の住宅瑕疵担保責任保険制度については、弁護士会やあるいは欠陥住宅問題を扱う団体などの皆さん方が、まあまあそういう声を出してきたということもこれはあったと思うんですよね。したがって、そういう意味では、いろいろな問題提起については感受性を高めて受け止めていただきたいと、大臣のいい答弁をいただきましたので、それに付け加えさせていただき、次に質問を移りたいと思います。
2.事故・事件の発生の予測
○加藤敏幸 まず、新しい保険制度を始めますと、分かりましたと、じゃ、その保険というのは、対象の事故あるいは事件がどのぐらい発生するんですかという、予想確率に基づいてやっていくのが事業だと、いわば確率のやっぱりビジネスだと、こういうふうに受け止めておるわけであります。
そういう意味で、一つは、この建設業界に対する全体的な信頼感というのは、先ほど議論が少しありましたように、まだまだ、100%なかなかこう科学的な数字のように扱えないという側面もあって、難しいということもあると思います。姉歯元建築士の物件では、205件中99%が偽装であり、そのうち29件、特定行政庁が42の物件で偽装を見逃したと、29の特定行政庁が42の物件偽装を見逃したという事実もあったということであります。
この構造計算の偽装のほかにも、違法建築や手抜き工事なども特定瑕疵の発生につながってくるんでしょうね。保険制度あるいは供託制度を行って保険料率、供託金額を決めていくからには、事故の発生率あるいは事業者の倒産予測などについて、事前に概数的にもやっぱりある程度把握をされていくんではないかということでございました。損害保険数理というのはデータの積み重ねで作っていくことになるんではないかと思います。
現在の住宅保証機構の各種事業に関するデータ、あるいは前月、国土交通省が約10%の中層マンションで耐震上の問題があったと発表されたサンプル調査など、いろいろ蓄積があろうかと思いますので、本件についての予測があればお話をいただきたいというふうに思います。
○榊 正剛・住宅局長 お尋ねのありましたデータ関係でございますけれども、率直に申し上げますと、今直ちに保険制度をパーフェクトにつくり上げるようなデータが全部そろっているかというと、実は全部そろっているわけではないという状態でございます。
一つは、財団法人の住宅保証機構が行っております住宅性能保証制度による実績によりますと、新築住宅の瑕疵担保責任期間10年間の間で、事故発生率は現在のところ0.75%という実態がございます。
それから、先ほども大臣から申し上げましたが、今後の瑕疵の発生予測という点で申し上げますと、先般の建築基準法の改正によりまして、一定の高さ以上の建築物について構造計算適合性判定の義務付けなり、構造設計一級建築士による構造設計の法適合チェックの義務付けをやりましたということと、三階建て以上の共同住宅につきましては中間検査を義務付けましたと、それから、20メートル以上についてはピアチェックもやりますということで、言わば建築計画段階で二重、三重のチェックをするということと、三階建て以上の共同住宅について中間検査も義務付けましたと。
それから、小規模の木造住宅については審査省略制度を運用しておりましたが、これも見直して全部構造チェックをいたしますということにしたいというふうに思っておりますので、これらの措置によりまして、瑕疵の発生は相当抑制されるというふうに考えております。
それから、保険制度ということになりますと、保険を引き受けにゃいかぬということになりますので、中間検査の前に基礎工事の段階でちゃんと鉄筋が入っているかどうかというようなチェックも実は保険法人の方でやっていただこうと思っております。
そういったことを踏まえますと、例えば供託制度というのは、保険法人は構わない制度でございますけれども、先ほど申し上げたような制度改正によりまして、供託額をこの法律の別表で書いておるわけでございますけれども、それにつきましては、そういったような考え方でもって実は供託額を計算していると。で、保険制度についての具体的な保険料というのが、今後そういったことで調べられると思うんですが、供託のものに加えてそういうチェックといいますか、検査が入るということでございますので、何とかやっていけるのではないかというふうに思っているところでございます。
ただ、初めてやる制度といいますか、全国一律に義務付けている制度ということになりますので、5年間なり3年間の実績を見ながら、そこのところについては再度見直さにゃいかぬというふうに私どもとしても考えているところでございます。
○加藤敏幸 まあある意味で仕方がない状況もあるというふうに思います。データが全部明らかになっていないし、それから先ほど言ったように、大臣の答弁にありましたように、行政措置で相当改善が図られるということも頭に入れていけばと。だから、数字については、発生予測というのは今思っている以上に、当然行政としてはそのレベルを下げるということ自体が大きな仕事だということだというふうに思います。昔なら、そんなあいまいなことで制度つくっていいのかという時代もあったんですけれども、これは消費者保護という視点から、私は制度を育てていくということも含めて、後日に議論は残るけれども、とりあえず今日段階での答弁としては、それはそれとして、次の質問に移りたいと思います。
3.特定瑕疵の範囲と判断基準
○加藤敏幸 次に、特定瑕疵の範囲判定ということについてですけれども、これも先ほど小池委員の方から質問がありましたが、特定住宅瑕疵担保責任の範囲については、住宅品質確保法第94条第一項に規定する瑕疵、つまり「構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものの瑕疵」とされています。具体的な瑕疵については、現在の品確法の政令で定められているものでございますけれども、新制度では大規模高層マンションなども広く保険の対象になってくると思われます。例えば、耐震構造上の瑕疵などについては、具体的な基準といったものをこれは明確にする必要があると思われます。
そこで、主としてどのような瑕疵が対象になるのか。これは代表事例といいますか、国民の皆さん方に分かりやすく披露していただくという意味でご説明をいただきたいというふうに思います。
○榊 正剛・住宅局長 現在、住宅保証機構が行っております住宅性能保証制度における状況をまずご説明したいと思いますが、実は戸建て住宅が大半を占めております。保険金の支払の対象になりました瑕疵の事例が、約7割が雨漏りでございまして、約3割が構造上の欠陥といいますか構造耐力に関するものになっております。
その雨漏りですけれども、外壁なり防水シートの施工不良によるものがほとんどという形になっております。構造耐力の面でいいますと、戸建て中心ということもございますが、建物とか地盤に関して不適切な基礎の選択によりまして建物自体がかしいでいると、こういったようなものが多いという状態でございます。
で、マンションに関して言いますと、実はその保証の引受実績が非常に少のうございますので、これがという感じじゃないんですが、実は保険金支払の実績が八件ございまして、そのうち六件が雨漏りということで、防水工事の施工不良が、雨漏りが多いということと、二件が構造耐力に関するものというふうになっております。
それで、何度も申し上げて大変恐縮でございますけれども、今回の、先般の建築基準法等の改正、建築士法の改正も含めまして、いろいろ規制を掛けていくということになりますので、基本的には極端な構造耐力不足というような案件は今後はなかろうというふうに想定をいたしていますので、先ほど申し上げましたような保証実績に近いような形での実態になるのではないかというふうに考えているところでございます。
○加藤敏幸 やっぱり雨水の浸入が多いわけですよね、現実問題としては。最近、気象変動といいますか、随分雨の降り方も激しくなって、1時間当たりの降水量も百ミリとかいうような、過去余りなかったような事例も増えてきて、そういうふうな状況が、木造でいうとこの勾配の建て方の問題だとか、降雨水圧が高くなると逆流するとか、そういうようなことも含めて、やっぱり雨水対策については少し業界も含めて、やっぱり異常気象対策も含めてやっておかないと、通常工法だけでは少し問題が起こるという可能性もあるかも分かりませんです。これは少しご意見を申し上げたいというふうに思います。
4.耐震強度の計算方法について
○加藤敏幸 次に、構造計算の在り方について少し明確にしていただきたいと思います。
今後、構造耐力上、重大な瑕疵が発見された場合、耐震性の判断基準というものが極めて重要になってくると思います。今回の姉歯問題の一連の対応では、耐震強度、つまり一般的には保有水平耐力度計算において一以下で補修、補強工事が必要となり、また、コンマ五以下では即取壊し、建て替えと、こういうふうに措置がとられましたけれども、耐震強度の計算方法の問題がやっぱりあると、私は心配事があると思います。
国土交通省においては、偽装マンション建て替え問題で、耐震強度計算においては保有水平耐力計算でも限界耐力計算、このいずれでも使用してもいいと、このようにされておりますけれども、悉皆、しかし運用面においては、この二つの計算方法ではかなりの差が出てくるとされております。特に2000年から新たに導入された限界耐力計算では、専門家からも、強度が高めに出てくることや、審査をより慎重にすべき複雑な計算方法であるとの指摘がされているということでございます。姉歯元建築士が計算した新宿のマンションでは、水平保有耐力計算では0.85であったものが、限界耐力計算で計算し直すと1.0を超えたという事例があります。しかし、どちらかが1.0を超えればいいのではないかということでは、住宅購入者の皆さん方のやっぱり何がしかの不安は消えないと。
この問題は昨年の国会でも議論に少しなりましたけれども、瑕疵担保責任保険を運用する上でも私は重要であると考えます。国土交通省としても、構造計算ではどちらを使ってもよいとするなら、その扱いなり論拠、客観性というふうなものを広く国民に説明をすべきだと、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
○榊 正剛・住宅局長 若干御説明をさせていただきますと、保有水平耐力計算というものは、建築物の構造種別や形状に応じまして必要な耐力を求めるといったような方法でございまして、耐震強度の手法を安全度を見込んだ計算結果が出るように設定をすると、こういうような形で、平均的な計算方法ということかと思っております。一方、限界耐力計算でございますけれども、地震時における建築物の変形量及び変形による地震エネルギーの吸収量を精緻に算定をいたしまして、それに応じて耐力を求める言わば高度な方法というふうに言えるかと思います。
一般的な建築物を一般的な土地でやった場合には、ほとんど計算結果の差は出ないというのが実態でございます。
どこが違うかといいますと、例えば柱とかはりの鉄筋量が十分にございまして大きく変形することが可能な措置を講じた建築物でございますと、限界耐力計算でやりますと、変形能力が多いことを精緻に計算するということになりますので、安全率が非常に言わば高く評価できると、こういうふうになります。それから、固い地盤、良好な地盤に建築される場合は、地盤の形状によって地震力が増幅される影響を適切に評価するということでございますので、固い地盤だということをきちっと把握できれば限界耐力計算の方が地震力を小さくすると、こういうことになりますのでやはり数値は高めに出ると、こういうことかと思っております。
この結果、より高度な計算方法であります限界耐力計算を用いた場合に、構造部系の変形能力が高いとか、固く良好な地盤に建つ建築物について高い耐震性を有するという形で計算されるということになります。
実は、これらの計算方法が言わば通達ベースで書いてあるとかと、そういうようなこともございまして余り世の中にきちっと明確になっていないということがございまして、実はこの建築基準法の施行令を改正いたしまして、この辺をきちっと位置付けることにいたしました。その政令改正を下に実は告示を定めようということで、パブリックコメントをこの2月、3月にかけて実施をいたしましたところでございます。その結果を今待っておるところでございますが、できれば来月中にもその告示をきちっと決める形にいたしたいというふうに思っているところでございます。
○加藤敏幸 5月中に告示を明確にしたいということですね。
今局長がご説明されたことは三回ほど聞いたんですけれども、何回聞いてもよく分からぬなと、そういうことでして、やっぱり消費者がある程度理解できるということと、それからやっぱりケースによっては、A案、B案ありますということは余りいいことではないと思うんですよね。
そういうことで、今言われたように、5月中にどういう告示が出てくるのか、そのことも待ちたいと思いますけれども、やっぱり消費者重視ということでいくならば皆さん方に理解しやすいという形を心掛けていただきたいと思います。
5.モラル・ハザードは防げるか
○加藤敏幸 次に、少し、モラルハザードについて若干お伺いをしておきたいというふうに思います。ただ、この内容につきましては、重過失だとかそういうことが保険に合うのかという議論がこれもう小池委員の方からされておりましたので、それに少し重なってくると思います。
故意や重過失を含めた欠陥構造物、その人が本来自らの責任で賠償すべき、これがこの世の中の大原則だと。それができないで、泣き寝入りする皆さん方のために、言わば全体的に保険を含めて面倒を見ましょうということになったわけでありまして、考えてみますと、そういう不心得な人がいなければこういうことはなかったわけですから、したがって、全員が善意で立派に仕事をしておけば、こんな国会で議論することもないし、一回建てたものを壊すということもないし、無駄なことは世の中なかったわけです。まじめにやって一生懸命、多少の損を覚悟でもうお客さんに喜んでいただこうとか、そういうことでずっと仕事をされてきた業者の方、建築会社の人からいうと迷惑な話だと。
私はそこだと思うんですよね。迷惑を掛けた人間をやっぱり駆除し切れない。本当はそういう人たちには退場していただいて、二度と登場していただかないような仕組みができておればもうこれは一番いい社会なんでしょうけれども、そこまでいかないので、そういうことが発生したときの被害を助けるということで、私は苦心に苦心を重ねられてつくられた制度だと。
モラルハザードという言い方は少しちょっと言葉が足らない面もあろうかと思いますけれども、やはりそういうことを、ある意味で必要、必要というよりもあり得るということを社会がやっぱり見ているという意味で、私はこれはやはり法治社会というよりも善意、善良な中で取引なり仕事がされていくという社会の基本を考えたときに、そのことをどうとらえるかということを私はむしろ行政の方もやっぱり一定の見解を出すべきではないかと、こう思いますけれども、この点いかがでしょうか。
○榊 正剛・住宅局長 委員ご指摘のように、保険制度ということでございますので、モラルハザードを招くことがあってはならないような設計にしなけりゃいけないと思っております。特にこの法案が、実はこの保険契約若しくは供託をしないという場合には新たな住宅の建設なり住宅の販売契約ができないという仕組みになっておりますので、この保険制度についてモラルハザードが生じないような制度の設計なり運用をしていく必要が重要ではないかと考えております。
そういった意味で申しますれば、その今回の保険法人ですけれども、保険業務と検査業務を一体として行う人を指定したいと思っておりまして、単なる保険だけじゃなくて住宅の検査もするよということで、保険の引受けに当たりまして建築に関して高度な知識を有する者によって現場審査を行うというような形で、まあ言わば一種の手抜きみたいなことを何とかチェックしていこうというふうに考えております。
それから、保険契約の内容ですけれども、故意、重過失は当然のことながら、瑕疵が出てくるというのはどこかで過失があるわけで瑕疵が出てくると、こう思われますので、実は売主等の保険金の支払につきましては縮小てん補率というのを設定いたしまして、何割、まあ5%なのか1割なのか2割なのか、よく今のところまだ決めておりませんけれども、売主が一定割合を自己負担していただく。要するに、ある意味で自分が過失を出している部分がありますので、その部分については一定割合を自己負担していただくというようなことを入れてはどうかと思っております。
それから、保険料の設定につきましても、過去の保険金の支払実績によりまして、まあ言わば支払率の高い方は保険料が高くなる、良好な業者は保険料がどんどん安くなると、こういったような実績によりまして保険料の割増しなり割引ができるような仕組みを考えておるところでございます。
それから、先ほども申し上げましたけれども、故意、重過失を原因とする過失でございますけれども、これは売主が倒産していない場合には、これも支払対象ですよといいますと完全なモラルハザードに陥る可能性がありますので、売主がちゃんと商売をやっているという場合には売主負担でやっていただくというのを原則といたしまして、売主が倒産して修復ができないというような場合に、住宅購入者の保護の観点から保険金の支払対象にするということにいたしたいと思っております。
さらに、先ほど委員が、そういう悪い人はご退席をと、こういうお話がございましたが、こういった瑕疵担保責任を履行せずに買主に損害を与えた売主というものにつきましては、建設業法なり宅建業法に基づく処分を行っていくということになろうかと思っております。
以上のようなことで、モラルハザードが防止できるのではないかというふうに考えておるところでございます。
○加藤敏幸 労働災害保険制度などもメリット・デメリット制度がございますので、それとはまた更に強い意味でのメリット・デメリット制度を入れられるということであろうかと思います。また、自己負担あるいは求償制度ですね、最後の最後まで責任を追及していくと、そういうことを含めて総合的な政策でこのモラルハザードを防ごうと、こういうことだと理解をいたしますので、今後のまた工夫を待ちたいと思います。
6.保険法人のあり方について
(1)保険法人の性格について
○加藤敏幸 それでは次に、保険法人の在り方等について少し聞かせていただきたいというふうに思います。
保険法人の指定に関しましては、国土交通大臣が指定される保険法人は、法案の第17条で、一般社団法人、一般財団法人その他政令で定める法人とされています。現在、瑕疵担保責任保証に関して住宅保証機構などがございますが、具体的にどのような法人を予定あるいは連想されているのか、また株式会社とかあるいはNPOのようなものが指定要件を満たせば保険法人の指定の対象となり得るのかどうか、お答えいただきたいと思います。
○榊 正剛・住宅局長 保険法人でございますけれども、10年間にわたって保証するということでございますし、それが毎年毎年積み重なっていくということでございますので、長期にわたって安定的に保険業務を実施するという方でなければならないということでございますので、財政的に容易に破綻をするような方を保険法人になっていただくわけにはいかないなということでございまして、今のところ、一般社団法人、一般財団法人のほか、株式会社を想定しているところでございます。
委員ご指摘のNPO法人につきましては、NPO法を見ますと本来の業務というのが別表の第二条で掲げてございまして、そういったところに保険業務というのがないものですから、兼業という形で保険業務をやっていただくのはいかがかという感じがいたしておりまして、消費者保護の観点から作る制度でございますので、そういった観点から見ますると、現状では保険法人として適切ではないというふうに考えているところでございます。
(2)民間損保会社の参加
○加藤敏幸 次に、一般的に考えますと、住宅瑕疵担保責任保険は民間の損保会社が運営しても十分機能するのではないかとも考えます。しかし、自前で保険業務を実施するということは、保険制度の運営上のコストも削減でき、合理的になるのではないかという考えもございます。現在、各損害保険会社は、工事中の事故や製造物賠償責任に対する保証など様々な企業向け保険を売り出しておられる。これらの損害保険はリスクを伴う産業活動をフォローする重要な機能を果たしておりますけれども、現在の損保会社が持っている資金力、あるいはリスクに関する情報収集力や分析力、さらには再保険システムの活用によってこれらの保険商品は十分に成り立っていると言えます。
この制度の検討段階で日弁連が提出した意見では、保険を引き受ける損害保険会社に建築物の設計・施工過程に対する検査を認め、保険会社の検査員に工事中止権限を与えるとともに、保険会社が承認する書類がないと入居できないこととすると、こういう提言もあったということで、日弁連のこの意見では、損害保険会社の役割に一定の期待をしているとうかがえます。しかし、現在のところ、残念ながら損害保険業界が積極的に保険法人を引き受けると、こういう動きにはないと聞いております。
この新しい保険制度において、様々な保険業務のノウハウを持つ損害保険会社を活用するということは、ある意味で社会的にも有用ではないかと、このように思います。行政として個別の損害保険会社に云々ということはなかなか言えない、言いにくいとは思いますけれども、何かご感想ございましたら。
○榊 正剛・住宅局長 実は、住宅の瑕疵に関する保険ということで、この制度設計の段階でいろんな方々、もちろん損保協会とか日弁連の方ともご議論をさしていただきました。私どもとしては、この住宅の瑕疵に関する保険というのは、建設段階におけます現場検査とその結果を踏まえた保険引受けの判断が必要だろうと考えますと同時に、瑕疵が発生した場合にその特定とその損害額の査定を的確に実施できるような法人でなければまたならないだろうと考えたわけでございます。
すなわち、高度な建築に関する技術的知見を持って、検査もできて、保険業務もできるというようなことを考えますと、現在の既存の損保会社では、その高度の建築に関する技術的知見なり検査というのが、新たに人手を備えて仕組みとして入れないかぬということになりますと恐らく対応できないというようなことがございまして、そういう意味で、この法案では住宅の検査と保険の引受けが一体として行う住宅瑕疵担保責任保険法人というものを大臣がその目で見てチェックをして指定をすると、こういったような仕組みにさせていただいたわけでございます。
さらに、損保協会からは、保険の一般理論として、先ほどもご答弁申し上げましたが、故意、重過失は保険の対象になり得ないと、したがって、既存の損保会社にそれを言われても、不可能なものをやれと言われてもそれはできませんと、こういうお話でございましたので、言わば先ほど申し上げた検査もできる能力というところに実は故意、重過失のものにつきましても引き受けていただくと。それで、その保険料の一部を基に基金を造成して、その部分については故意、重過失対応にする。それ以外の部分は通常の保険ということで、その保険会社が一応技術的な部分はチェックしてありますので、それ以外の部分というのは純然たる金銭部分になりますので、それなら既存の損保会社につきましても再保険で受けてもいいよというお話がございましたので、具体の問題になりましたときには、多分損保会社における保険法人の再保険というような形のものが出てくるというふうに想定をしておるところでございます。
(3)保険法人の公正性の確保
○加藤敏幸 それでは、保険法人の問題でございますけれども、保険法人の公正性の確保と、こういう視点で少しご質問をしたいと思います。
まあ、いろいろ声が聞こえてくるわけですけれども、幾つもの保険法人が新たに設立認可されるんではないかとか、こういう声もありますし、それがまた天下り先になるのではないかとか、そういうふうな声もあります。いずれにせよ、制度の運営に当たっては、公正、公平、中立の立場を国土交通省として当然貫かれるんだと、このように思っております。
そこで、制度の公正、透明な運営を担保するために、保険法人は、人的又は資本関係にある住宅事業者を対象とした保険の引受けと、このことを例えば禁止するというような措置がとれるのか。あるいは、検査能力を超えた保険の引受けは必ず手抜き検査を招くことになるので、検査員の人員、人数等について基準を設けるような対応が必要ではないかとか、そういうこと等について、我々としてはしっかりとした運営を期待するという立場でご見解をお伺いしたいと思います。
○榊 正剛・住宅局長 この保険法人でございますけれども、品確法に基づきます瑕疵担保責任の期間でございます、10年以上にわたりまして有効な保険を安定的、永続的に、ああ、永続的は言い過ぎですね、継続的に扱っていただくという法人でございます。
したがいまして、大臣が審査して指定するということになりますが、その指定につきましては、先ほど申し上げましたような検査体制なり検査方法が保険業務を的確に実施することが可能なものとなっているかどうかというようなことで、検査も保険もきちっとできるかという点と、保険業務を的確に実施するために財産的基礎が十分あるかどうかというほかに、役員の構成が保険業務の公平かつ適正な、支障を及ぼすおそれがあるかないかとか、こういったようなことを審査することというふうに思っております。
ちなみに、現在の品確法に基づきます登録制の評価機関でございますけれども、例えば、現在では登録でございます法人が、不動産業者がその親法人といいますか親会社、子会社というのはちょっとおかしいよねとかですね、それから、申請者といいますか役員が、実は宅建業者とか住宅建設業者というのもちょっと問題あるかもしれないねと、こういうようなことになりますので、そういったことを参考に、この役員なりの構成については決めていきたいというふうに思っておるところでございます。
7.違法建築物への対応
○加藤敏幸 少しこの制度からは離れるわけですけれども、最近、裁判所でもいろいろ議論が起こっております、違法建築物だという指摘がされている問題についてお伺いをしたいと思います。
マンションなどの複数の棟、これを渡り廊下や地震対策用のエキスパンションジョイントなどでつないで一つの建物として申請をして建築物などを建てるという、建築基準法で言う一敷地一建物の原則に違反するおそれのある建築物について、東京近郊で幾つか法廷で争われている事件がございます。現在、こういったマンション建設をめぐり住民と建設事業者との間で数々の紛争が起きておりますと。
なぜに複数の建物を一つの建物として申請するのかということは、この方法を使うと容積率、日照規制、斜線規制などにおいてかなりの建物空間を稼げ、販売業者は言わば大きな利益を得られるからであると、このように言われています。一方、近隣の住民やその敷地内にある棟の住民は、日照権の侵害を始め大きな被害を受けるということになります。この紛争に関する建築審査会の裁決や裁判所の判決では合法、非合法が混在しており、このこともより問題を複雑化されているという実態があります。
そこで、所管官庁として国土交通省もこのタイミングで地域住民や住宅購入者の諸権利を守るためにきちんとこの問題に対応すべき時期に来たのではないかなと、このように感じるわけであります。
具体的には、建築確認に関する判断基準の明確化や法令の整備などが必要になってくると思いますけれども、本日はこの問題に関して具体的、専門的にやり取りするという時間もないし、そういう場面でもないと、このように思いますので、国土交通省として、私、今非常に抽象的に申し上げましたけれども、このような問題についての事実関係を把握されているのかどうか、どうされるのかについてお伺いをしたいというふうに思います。
○榊 正剛・住宅局長 若干お答えが一般論的になるかと思いますが、委員ご指摘の点は、基準法上の敷地が、一つの建築物又は用途不可分の関係にある二以上の建築物における一団の土地をいうと、こういう定義をされておりまして、その取扱いについてのご議論かと思っております。
具体的には、建築物の機能上、構造上、外観上、一体性を総合的に考慮した上で、一の建築物というふうに判断できるかどうかということの議論かと思っておりまして、その判断につきまして実は周辺住民との紛争に、トラブルになった事例が存在するということは私ども承知をいたしておるところでございます。私どもとして、ちょっと一般論的で大変恐縮でございますけれども、今出てきておりますような事例も踏まえまして、実は私どもと特定行政庁と指定確認検査機関とで構成しまして、建築行政会議というのを実はつくっておりまして、そういったようなところで連携をしながら建築物と敷地の関係について適切な判断がなされるように必要な情報提供に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
○加藤敏幸 これも後で判決が翻れば既存違反という状況になるわけですよね。そうなったときに、原状復帰なり言わばオーバーした部分を削れと言われても今更削れるのかということを含めて、じゃそれは瑕疵なのかねと、元々購入者に対しては、という実は新たなる問題領域が予測されるわけでして、これは行政というのはなかなか前もってやれないけれども、できるだけ早い段階で芽は摘んだ方がいいんじゃないでしょうかという意味で御質問を申し上げたと、こういうことでございますので、また引き続きよろしくお願いをしたいと思います。
8.購入者が納得できる保険料負担のあり方
○加藤敏幸 最後に、元々品確法において建設業者や住宅販売業者には基本構造部分についての10年間の瑕疵担保責任を負っているということを申し上げまして、この法の趣旨からすれば補修などの工事費用は日ごろから当然担保しておくべきものであり、この新制度によって新たに負担が発生するというのは、販売価格などに保険料を安易に転嫁するということは、これは消費者から見ると何じゃと、便乗値上げではないのかと、こういうふうな見方が発生するわけであります。
この問題は保険料分を住宅販売会社が購入者にどう説明をしていくのかということにも関係しますし、あるいは契約関係書類などでどのように表記するかと、こういうふうな問題にもなってくるというふうに思います。購入者が納得できる保険料負担の在り方についてお考えがあればお伺いをし、最後といたします。
○榊 正剛・住宅局長 委員ご指摘のように、売主が瑕疵担保責任を履行、確保するための負担ということを負うということでございますが、その売主がその費用をどのように調達するかという点については言わば売主の判断にお任せしておるところでございまして、市場における競争力なり消費者による理解度を勘案して適切な対応がなされるのではないかというふうに推測をいたしております。
それから、消費者に対しては、この新築住宅について、供託なり保険契約が締結されるということをしっかり周知をしていきたいというふうに思っておるところでございます。
○加藤敏幸 私は、建築業界自身が消費者に対して、まあきれいに言えばレベルアップを図る事が必要なタイミングに来ているんではないかと思います。このことを申し上げまして、質問は終わりたいと思います。
ありがとうございました。
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