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report──国会質問 会議録

 

 

 


 

 


「広域的地域活性化基盤整備法案」に関する質問
  
 地方自治体が主体性を持つ事業促進は評価するが、 無駄な公共事業を招かない事業チェックが必要

(国土交通委員会)
2007年5月10日

  参議院・国土交通委員会での質問に立ちました。
 都道府県が計画する地域基盤の整備事業を支援するために、国からの交付金や民間への出資金を創設する法案についての質問を行いました。
  法案の名称は「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法案」です。
  予算額は初年度200億円+民間への出資金150億円です。

  対象となるプロジェクトは、生産・物流機能の強化による産業誘致(図のイメージ)や、観光活性化、都市農村交流、地方都市再生などが例示されています。地域の基盤づくりについて、地方自治体が主体性をもって計画し、国、民間が連携する仕組みをつくるという法案の枠組みは評価したいと思います。
  しかしこの施策を、地域の持続的な成長、あるいは雇用の確保につながるものにするためには、長期的な視点をもった、無駄のない投資が必要です。あらたな公共事業のバラマキや、事業見通しを欠いたハコモノ・ノリモノ建設につながらないよう、どのようにそれぞれの事業計画をチェックするのか、こんな視点で論議しました。。

 生産・物流機能の強化による産業誘致のイメージ

   

[質問要旨] (クリックすると該当の箇所にジャンプします)


1、広域の概念と支援対象について

2、ソフト面での支援政策

3、一極集中、地域間格差は解消できるか

4、民間事業者への出資金について

5、既存の補助金との違い(ハコモノ主体の公共事業にならないか)

6、観光事業と地域の活性化

7、観光振興のための安易な道路整備などは問題


○加藤敏幸 おはようございます。民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。
  テーマの質問に入る前に、エキスポランドのジェットコースター死亡事故について、通告をしておりませんでしたので、答弁をいただくということではなくて、少し要望をさせていただきたいと、このように思います。

  去る5月5日に発生したエキスポランドのジェットコースター事故は国民に大きな衝撃を与えました。特に遊園地の安全管理のずさんさには報道に接するたびに怒りを新たにする、そういうような今日ではないかと思います。亡くなられた方の大変残念な思いと、ご家族、ご遺族の気持ちも察しまして、またけがをされた方々の1日も早いご回復をお祈り申し上げたいと思います。

  一昨年の国会では、「子供、食べ物、建物、乗り物」の安全というようなことで、これ私ども民主党が勝手に言ったということではなくて、当時、国全体がそういうものの安全を議論しておりました。そのときには、乗り物の安全という範囲の中に、ジェットコースターまで思いが至らなかった、もう少し我々の視野も広げなければと、こういう思いもあるわけでございますけれども、所管官庁である国土交通省におかれましても、遊戯施設の事故対策については既に都道府県に緊急点検や定期検査の適正実施を指導するよう要請を出されていると、このように伺っております。

  レールを走る遊戯施設のみならず、公園などに設置されている遊具や学校内設置の遊具についても、政府内におかれまして各省庁と連携され、子供の安全、乗り物の安全、遊具の安全、そういうことで事故防止策を徹底していただきたいと、このことをまず大臣にご要望をさせていただきまして、質問に入りたいと思います。

  さて、今回の法案に基づき実施されようとしております地域活性化のための施策は、自治体に対する国の支援策においてその目的と政策手段が非常に明快になっていること、加えて自治体の自主的な計画作りが重視され、地方分権の推進、あるいは将来的には道州制的なものまでが展望されていると、そういう点で私は一定の評価があり得ると思っております。

  一方で、地域の活性化なり国土形成というものは短時間で政策効果を期待できるものではありません。終わってみれば無駄であったと、こういうことでは済まされない内容ではないかと。それだけに、逐次、費用対効果で見た政策評価が厳しく行われる必要があると考えます。

  今回、国としても、都道府県から喜ばれる施策を作られたわけでありますが、新制度が本当にうまく機能し大きな成果を上げてほしいと、こういう素直な気持ちを持ちながら、以下、質問を行いたいと思います。

1、広域の概念と支援対象について
○加藤敏幸 まず、広域の概念と支援対象ということであります。
  広域的というタイトルをまくら言葉的に付けておるわけでありますけれども、何でもかんでも広域的と付ければ何か話が進むということではないと思います。ここで「広域」という概念を使われておりますけれども、私たち過去、広域という言葉は「広域行政」という言葉に代表される、そういう使い方が多かったと思うんですね。ごみ処理や環境対策など自治体の境界線をまたいで対応した方が行政の効率が上がるとか、そういう課題についての取組方、あるいはこれは行政組織論的な議論としてとらえる傾向があったと、このように思っております。

  しかし、今回の法案では、第一条の目的にあるように、「広域にわたる活発な人の往来又は物資の流通を通じた地域の活性化」というように、政策の対象としての広域性、動態的機能を有した政策対象としての広域という言葉を使われているということだと思います。つまり、自治体間の連携で勝負するのではなく、人や物といった動く対象で勝負するんだと、そういうふうな気持ち、ニュアンスを出されようとしているのではないかと、こういうことなのかと理解をしておりますけれども、まずこの広域の概念について説明をいただきたいと思います。

○渡邊 東・国土計画局長 お答えいたします。
  委員ご指摘の正にそのとおりでございまして、本法案では、いわゆる広域行政といったときの広域の言葉とは違いまして、広域から地域へ人を呼び込んでくる、あるいはその地域が広域にわたって物を送り出す、こういったような広域にわたる人、物の交流を活発にする活動を政策対象にしておるところでございます。
  このような性格から、ここで言う広域の広がりのイメージといたしましては、都道府県の区域を越えて国土形成計画の検討におきます、例えば東北地方とかあるいは九州地方等のこういった広域ブロック、さらには全国、国外にも及ぶ広い概念としてとらえております。
  本法案におきましては、地域活性化に向けた取組といたしまして、例えば国際会議や高等教育機関の誘致とか、あるいは観光事業等、こういったものを例示として示しておりますけれども、このほかにも地域の特色ある資源を生かして人や物の交流を活発にする活動を核とした地域の知恵と工夫による地域発意の取組を広く受け止められるようにしておりまして、地域活性化にはこれらの諸活動の拠点となる関連施設が、既存施設も含めまして、ソフト面も併せて付加価値を高め、交流拠点として有効に活用されることが重要であるというように思っております。
  こういったことから、本法案におきまして、地域ごとの特色ある資源を生かした地域発意の計画に基づいて「広域的な経済活動等を支える基盤施設」を都道府県がその自主性と裁量の下で推進するのに対しまして、国がハード、ソフト一体となって支援する、こういった制度を創設することとしたものでございます。

○加藤敏幸 そういうご答弁をいただいて・・・率直に言って、「それがどうしたの?」という言葉は失礼に当たりますけれども、では一体何なんだと。今のご説明、今言われたことは全くそういうことでありますけれど、ことさら「広域的」という概念をばしっと張り付けなくたってよろしいんじゃないんですか。例えば先ほども言われましたように、第二条において、「広域的特定活動として、一に国際会議、国際見本市、スポーツ大会など海外との交流、あるいは観光事業、高等教育機関、製造業、研究開発部門の誘致」など例示されていますけれども、これはよく見たら従来からこういう書き方しておるんじゃないですかと。
 「広域」という見方をせっかく入れたのだから、そこから出てくるこの付加価値的な、肝というべきか触りというべきか、そういうものをやっぱり出さないと、単にお役人的に言葉で飾ったなという批判を受けるんじゃないですか。

○渡邊 東・国土計画局長 お答えいたします。
  実は、この広域的ということを打ち出した背景は、そもそも現在の国土形成計画の中で、これからの時代ということを考えたときに、東アジアの発展、あるいは国内におきます非常に広域的な課題、例えば観光にしましても一県だけではなくて広い地域で取り組むような必要が出てきていると。あるいはいろいろな、例えば中山間地の問題といったものもより広い意味で対応していく必要があると。そういった中で、広域的な取組ということが非常に重要になってきているということで、今度の計画の中では広域のブロックがそれぞれの地域の特色を生かしてその地域の発展戦略、あるいは課題も解決していく必要があるということで、現在計画の策定作業をしておるわけでございますけれども、この法案は、その策定の作業にも資するということを一つ大きな課題としてございます。

  広域の概念ということでございますけれども、ここでは正に、地域に人が入ってくる、あるいは物を外に出していくという中で、こういった活動というのは地域の小さいところで活動しているものと比べますと非常に効果が大きいというところが基本的な発想としてございまして、そういった活動をそれぞれの地域が持っている特色あるいは特性、それぞれの人材、そういったものを生かしながらやっていただく。そのための対策としましては、もちろん国際会議もございましょうし、あるいは企業の誘致もございますけれども、そこはいろいろ地域が資源ございますので、それを大いに工夫していただく。ただし、地域の中で、ちまちまとというのもちょっと言葉は悪いんですけれども、小さく中でやるんじゃなくてできるだけ外に打ち出していくという意味で広域ということをあえて使わせていただいたと、こういう趣旨でございます。

○加藤敏幸 せっかくいろいろご答弁をいただきましたので更に質問をさせていただきたいんのですが、じゃ広域広域というときに、そのことをしっかりと受け止め主体的に動いていくという主体者というのは、広域という人がいるわけじゃないんですよね、それはやっぱり行政論的に言えば都道府県ということでとらえていいんですか

○渡邊 東・国土計画局長 先ほど申し上げましたように、今後の国土形成計画の中で、特にブロック計画を作っていくに当たりましては、やはりブロックというところが一つの計画の主体ということになっていくと考えております。現在、広域地方計画協議会、正式発足してございません、プレ協議会というところでやっておりますが、その中では各地域の都道府県、政令市それから地域の経済界、こういったところが入っていただいて、正にその地域を担っておられる方が主体的に計画を作っていくということでございます。

  これに資するための計画ということで今度の制度ということでありますから、まあ気持ちとしましては、都道府県を越えるということでございますが、現行の仕組みでいきますと、やはり交付金の対象となります一番大きな行政対象ということになりまして都道府県ということでございますけれども、各都道府県が個別にいろいろな取組をされるというよりも、できるだけ各隣県と連携してこの制度を活用していただきたいというのが私どもの気持ちでございます。

○加藤敏幸 じゃ要するに、「主体としては都道府県である」と、これはもう間違いないけれども、そのときに自分の県のことばかり考えずに、周りのことだとか似たようなところだとか志を同じにするようなところとはしっかり連携をして、言われた連携、コミュニケートを取ってやれという意味での広域的という表題だということでよろしいのですか。じゃ、そういうふうに言っていただければよかったのですが。

○渡邊 東・国土計画局長 正に委員ご指摘のとおりでございます。

○加藤敏幸 ありがとうございました。 そこは少しすっきりした形で、次の質問に移りたいと思います。

2、ソフト面での支援政策
○加藤敏幸  今回、関連基盤施設整備事業の実施というハード面と一体となって実施される地域づくりに対するソフト事業も支援されようとしております。実は、このソフト面こそが一番大事であると私は考えております。立派な国際会議場やコンサートホールや美術館を造り、駅や空港からの道路を整備しても、そこでの催物が貧弱であれば結局人も集まらず一過性で終わる、こういうことであります。国としても、ソフトに関して様々なノウハウを提供するとか、例えばデザイナーや地域交流リーダーを育成するというような地道な活動を積み重ねていくことが重要であると考えます。
  後ほど議論をいたしたいと思います観光についても、先ほど岩井委員の方からも非常に傾聴に値するご指摘もいただいたと思います。歴史的史跡や風光明媚な景観がないところは、やはり道路や宿泊所などのインフラ整備とともに人の心をとらえていく様々なソフトを重層的に積み上げていくことが大きな観光としてのポイントになってくる、こういうことでございますので、ソフト面の支援についての国土交通省としての施策等、お話をいただきたいと思います。

○渡邊 東・国土計画局長 お答えいたします。
  ソフト面の重要性というのは、正に委員ご指摘のとおりだと私どもも認識してございます。このため、大きく分けて二つのことを進めようということを考えております。
  一つは、この制度の中でソフト事業への支援ということを織り込んでございます。ソフト事業につきましては、いわゆる提案事業といたしまして、地域活性化に資する基盤整備事業と一体となってその効果を一層高めるために必要な事務又は事業を支援の対象としております。

  ソフト事業を含む提案事業の内容につきましては、都道府県の自由な発意を生かすことを基本としているために事前に国による具体的な制約ということは設けてございません。大いにいろいろと発想していただきたいということですけれど、例えばという例でいきますと、イベントや人材育成のための研修会、アドバイザー派遣等の諸活動及び社会実験等が考えられますけれど、それぞれの地域で大いに工夫をしていただきたいということでございます。

  第二点でございますけれども、政府全体といたしましても、官民の専門家が出張し、行政職員のほかNPO等地域の担い手からの相談に乗る地域活性化応援隊派遣制度、また地域活性化に係る施策や取組事例などの情報提供、こういったことを実施することによって、委員ご指摘のようなノウハウの提供などのソフト面での支援を行うこととしておりまして、真に支援の必要な地方において本制度が活用できるよう、関係省庁とも連携を取っていきたいと考えております。

○加藤敏幸 ありがとうございました。
  「サービスとソフトはタダ」、これは日本の伝統だったと、こう言われますけれども、これをやっておったのではやっぱりソフト事業というのは発展しないんですよ。私は電機産業の出身ですからいつも思うんですけれども、タダだったら人も集まらないし、やっぱりマイクロソフトに負けてしまうんです。これからはソフトにお金を払う、しっかりと払っていくことが大事だという意味で、一歩踏み込まれたということについては評価を申し上げたいと思いますし、よろしくお願いをしたいと思います。

3、一極集中、地域間格差は解消できるか

○加藤敏幸  さて、一極集中、地域間格差の解消という視点から少しご質問申し上げます。先ほども「共生」ということを岩井委員の方から言われましたが、やっぱり六十余州が共生をするということ、それをどう追求していくかということに我々は果敢に挑戦しなければならない、このように思うわけであります。

  しかし現実は首都圏への一極集中の流れが止まらない、地方においても、これはまた県庁所在地などの中核都市への人口、経済、サービスの集中が進んで、日本列島における東京現象が例えば愛媛県でも起こっていて、松山に集中して、新産業都市と言われた我がふるさと新居浜だって人口は減ることがあっても増えることはない。南予の方はもっとひどいことになっていると。こういう状況の中で、この一極集中をいかに解消し、地域間格差の解消、地域の活性化を図っていくかだと思うわけであります。

  そこで、橋本内閣のときに制定されました第五次全国総合開発計画で掲げられました「多軸型の国土構造形成」の基礎づくりは、この10年間、私は率直に言ってなかなか成果が上がらなかったのではないかと。それはまあ、できない理屈はそれなりにあったと思うんです。強烈なデフレの中で、あるいは新たに少子高齢化が進んでいったとか、非常に難しい状況、環境がつくられていったことで、そうそう計画どおりにはいかなかったと。

 現在策定中の国土形成計画に関する中間取りまとめが昨年11月行われまして、それを読んでみますと、「地域の自立を促進する新たな地域発展モデル」とか「アジアとの関係における自立的で特徴の異なる複数の広域ブロック」と、こういう表現が、私の言葉で言えば宙をさまよっておるような感じに受け止められるわけであります。いろいろ言っておられますけれども、やはり首都圏や地方中核都市の主導による活性化、特に都市再開発などに機関車としての牽引役を担ってもらいたいと。そのことによって全体の底上げを図るんだと、そういう施策もあるんじゃないかと、こういうふうに見れるわけであります。

  確かに、戦後の我が国の経済復興を担った傾斜生産方式とか、中国においては沿岸地域を先行発展させるというケ小平(とう しょうへい)の南巡講話に基づく施策は一面では成功したけれども、しかし、長期的に見るとやっぱり問題も残している、ある部分犠牲を生じさせながら一極だとか中核都市の発展に寄与すると、私は結果的にそういうふうな面も見えるんじゃないかと。

  そういう中で、テーマとされている「地域活性化」という大変な大きなテーマにこれから立ち向かうわけでありますけれども、なかなかいろいろな難しい環境変化の中で厳しい状況であると思いますけれども、国土交通省として、新計画の基本政策が本当に多軸型国土形成につながっていくのかどうか、先ほど共生と言われた、そういうことにこたえられるような計画となるのか、それを前回の計画との整合性、連続性などについても含めて私は是非大臣のお考えを伺いたいと、このように思います。


○冬柴鐵三・国土交通大臣 今お話のように、第五次全国総合開発計画の中で示されました多軸型国土構造というようなものと今回の国土形成計画の中の広域地方というブロック、いわゆるブロックですね、との関係について私の考えを申させていただきますと、多軸型というのは、縦断方向というか、方向に長くつながる筒状の圏域というふうに理解ができると思います。そこで示されましたのは北東国土軸、それからまた日本海国土軸、それから西日本国土軸、それから太平洋新国土軸ですか、そういうようなものを目指されたわけでありますが、今回の広域というのは、北海道と沖縄を除きますが、それを八つのゾーンといいますか、広域地方として、そしてそれぞれに地方の自主的、自立的な意思によって、そこの持つ歴史、伝統、文化、自然、そういう、あるいは特殊な食材もありますし、調理方法もありますが、そういうものを生かしてその地域に住む人たちがこのゾーンをどう生かしていくかという思想であると思います。

  例えば、私どもの住んでいます近畿地方ブロック、これは二府四県ございますけれども、ここの人口はオランダ一国を超える人口を抱えております。それで、GDPにおきましては今驚異的な発展を遂げている隣の韓国をしのいでいるわけでございます、現時点では。もう一国をしのぐようなそういう圏域が日本の中にはたくさんあるわけです。
  それから、例えば東北地方に新潟県を足したこのようなブロックは今、過去10年間、いろいろな貿易の荷物の港湾における取引は、ずっと日本海側の港がたくさんありますけれども、日本全国の平均の3倍に伸びているんですね、3倍。そういうことは、その東北地方プラス新潟というのは、昔の北前船ですかね、がずっと寄港していた、そのような地域だと思いますけれども、独自の海運、外国との海運で栄えているわけですね。そういうことを、これは日本海軸と考えてもいいのかも分かりませんけれども、東北地方全体としてとらえることもできるわけでございまして。

  そういうことを考えたときに、これを一律に、国土総合開発計画ということで一元的に国がとらえるのではなしに、多層的に全国、それから地方ブロックということで、それぞれにその地方が協議して、ここはこのようにやっていこうというようなことによってその圏域はより特色を、それぞれの固有の特色を持った発展をしていくことができると。そこには、その核になるのはその地域が持つ固有の歴史であり、伝統であり、そして自然の景観であり、文化であり、そこに住む人々のかたぎ、物の考え方であり、そういうものが中心になったものができてくるだろうというふうに思うわけです。それは必ず若い人たちを魅力あるものとしてその地域に自信と誇りを持っていただけるようなものをつくっていくんではないかと思います。

  そのような意味で、軸と域の関係は、私は、日本の国を、近畿地方を、ここで言えば、何というんですかね、西日本軸の一つにとらえてもらうんではなしに近畿は近畿、近畿は一つずつではなしに近畿は一つというようにとらえて、そこはそこなりの発展をしていくということになれば非常に大きいのではないかと、私はそのような考えでおりますが、相通ずるところがあるわけです。先ほど言いました東北ブロックは日本海軸あるいは東北軸と相通ずるところがあると思います。相通ずるところがあると思いますけれども、そこはそこなりの考えでやっていただきたい。

  私は、もう一つ、長くなりましたが、県単位で考えますと、県域のところには自動車道がなかなかできないんです。例えば、日本海軸、東北高速自動車道を見ていただければ分かりますけれども、県域をまたがった両脇は全く計画もできてないという形になりますので、これを一つのブロックにとらえれば全部がつながる、私はそのように思います。そういう形で頑張っていきたいと思っておるところでございます。

○加藤敏幸 お話の中で出てきている要素を非常に共感できるところもあるわけです。
  これはこれからの議論もたくさんありますから、この場でこの計画のことばかり言ってもしようがないんですけれど、例えば、沖縄から九州、中南九州、それから四国の高知県の辺り、紀伊半島、三重という、太平洋軸とこう言われているんですけれども、早い話が黒潮が流れているだけやないかと。それよりも、歴史的に見ると、瀬戸内海というものをどう考えるのかと。例えば愛媛県と広島というのは非常に人流、人の交流もありますし。北前船と言われましたけれども、内航海運、物流において瀬戸内海が大きな歴史的な意義があり、物も人も非常に交流していたという歴史の中で、じゃそれはどう考えるのと。別に太平洋軸をつくったからほかの軸はつくらない、そういう考え方じゃなくて、物の見方によればこういう軸が言えるんじゃないんですか、文化的に言えばこういう軸もあります、産業的にはこうですというように。例えばシリコンバレーとこう言われていますけれど、半導体事業の視点、または精密産業だとか金属産業だとか、こういう見方でのゾーンも考えられますねと。それらを結び付ける効率的な道路網や鉄道網が整備されるならばそれらの企業活動がもう一段発展する可能性をやっぱり探れるんではないかというような形で、フレキシビリティーを持った軸、いわばチューブのような見方を、大臣が言われたようなことをやっていきましょうと。
  経済圏というブロック、近畿だとか阪神間だとか、それはそれとしてまた残っていて、これは消そうと思ったって消せないわけですから。そこに住んでいる人たちの意思に、そして責任に基づいて頑張っていただく、こういう計画ですかということですけれども。

○冬柴鐵三・国土交通大臣 もうそのとおりでございます。

4、民間事業者への出資金について

○加藤敏幸 それでは、次の質問に移ります。
  この法律の中で民間事業者への出資金という項目がございましたので、少し確認をさせていただきたいと思います。

  今回、民間事業者による拠点施設整備事業について、民間事業者に対して、民間都市開発推進機構を通じた出資等の支援措置が行われ、既に機構への基金へ10億円拠出することが決まっていると伺っております。

  そこで確認したいのですが、この出資金の性格、それからどのような民間事業所が対象になるのか、また事業所が倒産した際や売却された際の出資金の取扱い、そして、この出資金は税金が原資になっているということだと思いますけれども、事業が失敗した場合にだれがどのような責任を取るのか、この点についてご説明いただきたいと思います。

○中島正弘・都市・地域整備局長 お答えをいたします。
  まず、対象は、県が計画を作りまして、その計画の中で拠点施設というのを決めますが、その拠点施設を整備する民間事業者、この方に対して支援を行うということでございまして、その支援の方法として、出資、融資、お金を貸すんではなくてその資本金を出すという方法、まあこの部分が一番資金が集まりにくいのではないかと、それでリスクを積極的に国が支援する機関が取ることによって全体としてのプロジェクトの資金を集めやすくすると、そういう趣旨でございますが、そういう出資の資金を出すということでございます。

  したがいまして、仮にその事業が売却された場合は、全体としてプロジェクトファイナンスの仕立てにしてありますので、売ればそこで終わりでございますので、出資金に応じた資金をその時点で回収するということになります。

  さらに、お尋ねのございました、仮に不幸にして倒産した場合でございますけど、これは、法的にはもちろん、倒産、適用した法律に従って整理がされて出資なら出資でそのリスクをかぶると。で、民都機構としてはその法の範囲内で最大限一生懸命回収するということであると思いますが、お尋ねの、もう少し踏み込んだ責任という意味で申し上げれば、結果的にデフォルトする以前に、事業の立ち上げ、ないしはその立ち上げ後の運営の期間にそういったデフォルトリスクをいかに最小にするかというところを工夫していく。

  元々、リスクを取って支援するのが目的でございますので、余り堅く堅くやると、大都会の一番収益のいいやつばっかりになって、そういうことではやっぱりいかぬと思うんですが、地方のリスクを取りつつも、やはり倒産リスクを最小にする努力をふだんのうちからしておくと、そういうことが肝要だと思っております。

○加藤敏幸 最後に、リスクを取ることについて言われたので、ここは少し議論をしておくべきだと思うのです。決してそれを否定したり、リスクを取っちゃいかんと、そういう視点からではありません。ここの出資金の在り方はやはりリスクを含んでいるからこそ意義がある。全然リスクのないところに出資するということでは、やっぱりちょっと違うと思うんです。民間が逃げるかも分かんないけれども、ここはひとつ出資をして、ここの機構が出資をすることによって呼び水となって、結果として大きな事業をつくっていくというねらいだと。これは質問取りに来られたときにそう言っておられましたので、もう間違いないと思いますね。そのとおりだと。

  そこで、そうした場合に、税金を原資にしたお金がうまくいかずに失敗しましたということを、やっぱりそれはリスクなのだからしょうがないだとか、あるいはこの金は場合によってはうまくいかないときにはまあいいんだよとか、そういうようなことであれば、逆にモラルハザード的な余地がやっぱり残ってくる。

  私はこれ、ODAでいえば、無償供与ではなくて、どちらかというと円借款ですね、お金を貸しましたと。今どんどん返ってきているんですよね、ODAの円借款は。それはいいことなんですよ。成功しているし、しっかり借金を返すというだけ援助国が伸びたということです。

  だから、やはり成功するということは、利益が上がれば配当も得られるし、場合によっては、出資金が返還されるということによってもう一回国庫に返っていくと。そういう側面もよく考えた上で、株式会社が出資するといったら回収責任を持つということですから、これはただじゃ帰れない。しっかり配当金をたくさんもらうのが第一の成功であって、うまくいかなくても元本は取り返すと。これはもう民間企業としての鉄則です。

  そういう意味で、責任とは何なんだと、こう言われたら、私はそれはしっかりとその事業を点検し、その成功に向けて最大限の支援をする。同時に、やっぱりそのマネジメントをやっていくと。そのことについて民都機構にはそれなりのノウハウの蓄積があると思いますけれども、当初の事業の認定を厳しくするとともに、日常的な経営チェックということもちゃんとやるべきではないかと。

  こう質問いたしますと、やりますということになりますけれども、言葉だけじゃなくて、やるためには人が要る、能力が要る、そういうことを含めてご答弁をいただきたいと思います。

○中島正弘・都市・地域整備局長 ご指摘のとおりで、大変大事なポイントだと思います。

  幸い、先般ご審議いただきました都市再生特別措置法でも同じようなスキームがございまして、もちろん、法律の目的とするところは違うんでございますが、民都機構が出資をするという意味では同じでございまして、民都機構も若干の先行したノウハウございますので、それを生かして、事業が成功して、成功すれば出資の果実も得られ、回収も可能になるわけでございますので、そういった目で見ていくことが大事だと思います。

  プロジェクトファイナンスの仕立てにしてございますので、もちろん出すときにも物件の調査、周辺の環境の調査、権利関係の調査をするとともに、事業スキームをしっかり見る。それで、今運用としては、おおむね、配当が得られることを当然の前提としまして、少なくとも10年以内には、どんなに困難なプロジェクトであっても一応配当していただけるという資金計画をいただいて、かつ事業立ち上げ後は毎年定期的にモニタリングといいますか財務書類をいただきまして、進行状況をチェックしていくという体制で臨んでおります。

  このような慎重な審査を通じまして、デフォルトリスクを回避するとともに、事業がうまくいきますように十分な支援をしていけるようにしたいと思っております。

○加藤敏幸 そのことについてはよろしくお願いしたいと思います。

5、既存の補助金との違い(ハコモノ主体の公共事業にならないか)

○加藤敏幸 次に、現状の地域活性化施策との違いについて少し質問をさせていただきます。

  広域的特定活動の例示、それから法案第二条第二項で例示されております拠点施設、そして第三項で例示されております拠点施設関連基盤整備事業の三つを並べてみますと、大体どのような事業に国が補助金を出したり、民間事業に出資して地域の活性化を促すのかという中身が見えてくると思います。

  残念ながら、公共施設とかあるいは道路、港湾、空港といった従来のインフラ整備のための公共事業が中心になるようにしか見えないと、こういう批判もあると思います。これじゃ、いわゆるハコモノ、ノリモノが中心になりそうだねと、こういうことではないかと。特にインフラ整備については、道路、港湾、空港の整備では、国としても特別会計において特定財源を使った補助金が投入されております。

  今回の施策は、都道府県の裁量を拡大し、また民間事業者を活用するという方法を使った補助金行政の、まあある意味では使いやすいバリエーションということではないかと、そんな気もするわけであります。公共事業の量を減らしたくない都道府県や、何とか公共事業の仕事を取りたい民間業者からすれば、これは大変にいい交付金、出資金であると、そういった見方をされないためにも、そういう批判を受けないためにも、この新制度の法の目的に沿った運用が大事であると考えます。そのことを担保する方策、考えをご説明いただきたいと思います。

○渡邊 東・国土計画局長 お答えいたします。
  本制度の趣旨というか一番ポイントでございますけれども、これは、地域の活性化に資する民間活動に合わせて必要な社会基盤整備をタイミングよく効率的に実施するために都道府県が事業を行う、それを、その必要な基盤整備と、また大変重要だと委員ご指摘のありましたソフト事業、こういったものを併せまして一体的な推進を支援する制度として創設するものでございます。

  このような制度の趣旨にかんがみまして、国といたしましては、もう手取り足取り、地域のされることについてこうやってくださいというようなことでやるんじゃなくて、民間と連携した地域発意の地域活性化戦略につきまして必要な基盤整備を民間活動等の時宜をとらえまして、それにぴったりタイミングをよく合わせて効果的、効率的に成果が出るようにということで重点的に支援していきたいということでございます。

  既存の補助金と比べますと、都道府県の自由な発意によるソフト事業を含めて複数の事業に一括して交付していることとか、また年度途中での事業間の国費の融通に係る変更手続が不要である、こういった違いがありまして、都道府県の自主性とか裁量性を高めた、ここは非常に使い勝手のいい仕組みにしているわけでございますけれども、それだけではなくて、正に委員ご指摘のとおり、これは法制度の運用というところが非常に重要だというように考えております。

  したがいまして、地域の発意を最大限に尊重して、必要な情報提供など国がやることはしっかりやりながら、地方の主体的な対応というのをしっかりと支援していきたいというふうに考えております

○加藤敏幸 国が手取り足取り裏で指導して、まあ言うたらテストの模範解答を書いてこれを出しなさいというような方式ではないと。あくまでも民間の事業に軸足を置いた、その主体性に基づく計画でやっていくんだということですので、それはそれで本当にしっかりやっていただきたいということだと思います。

6、観光事業と地域の活性化

○加藤敏幸  さて次に、観光事業と地域の活性化についてご質問をいたします。
  この法律の全体のスキームを眺めさせていただき、いろいろ考えられますけれども、その一つのポイントはやはり観光ということがあるのではないかと。岩井委員がご指摘されたことと同じように、やっぱりこの観光をどうとらえていくのかということは、この法律のある種、成功を担っているんじゃないかなという視点で質問をいたしたいと思います。

  一つの考え方は、既存の観光地をより洗練化する、あるいはアクセスなどを整備することも大事だけれども、多自然居住地域という比較的人口密度の低い地域で観光事業を成り立たせていくことが私は目標になってくるんだと。つまり、地域の活性化ですから、今更東京に観光政策でばんばん人を呼ぶということが主眼じゃなくて、やっぱり少し人が近づかなくなったそういう地域を、例えば観光をどう考えていくのかと、こういうふうな視点だというふうに思います。これが成功すれば多くの自治体に夢を与えることになると思いますし、また成功のための「かぎ」は、その地域の特性を前面に出しながら美しい国土という、そういう印象づくりと、十分なアメニティー、快適性、居住性を用意するということではないのでしょうか。

  そもそも観光という言葉は、中国の古典、易経の「観国之光」と、国の光を見ると、これが語源になっていると聞いております。国の光がないのに観光はあり得ないと、こういうことだと思うわけでありまして、ではその地域地域の光とは何なんだと。そして、それは、自然遺産だとか言われている風光明媚だとか奇観奇景だとか、そういうことだけでなく、人の生きざま、住みざま、その町並み、文化、歴史と、そういうことも総合的にとらえた上での正に国の光、土地の光ではないかと、このように思うわけであります。そこに出掛けることにより、水、海、野、そこに住む人との光の輝きを融合すること、そこから人間の愛情が味わえると、こういう解説もあるわけでありまして、この辺になりますと非常に岩井委員と近しい視点になってきたのかなと、このようにも思います。それに加えて国の光、つまりその国の統治状況をよく見て、その国の王の人徳を知ると、古来こういうふうな解説がされたということであります。

  私は、観光というものは、自然とともにそこに住む人の生きざまや価値観を感じてほしいと。そして、そこを治める言わば統治者の人徳も見てほしいという、今、歴史的に説明されたそういうもの、正に人やソフトそのものが非常に大事だと、このようにも思っているわけであります。

  そこで、一つ提案申し上げたいことは、それぞれの地域のリーダーの顔が見える範囲、あるいはアメニティーにかかわるソフトが及ぶ範囲を考慮する必要があるのではないのですかと。例えば、地方拠点都市とそれを取り巻く3万から5万の中小都市、そして周辺の観光地が役割分担をしながら連携をして、今言った国の光を見いだし、それをつなぎ、一つの観光の小さな軸、チューブをつくり上げていく、そういうことが大切ではないかと。

  九州では、テーマパークや旅館が組んで広域の周遊観光のモデルケースのようなものができ上がって、そこに中国のお客さんだとか韓国のお客さんに結構来ていただいて、ああ、こんな日本なのかとか、国なのかと、中国にはないものもあるなということで喜んでいただく面もある。そういうことも含めて、私は観光における広域的な連携の在り方ということについて、是非とも、これは先ほど来お答えをいただいています近畿の冬柴大臣のお考えもいただきたいと思います。

○冬柴鐵三・国土交通大臣 ありがとうございます。
  地域の活性化を図る上において、観光振興等の役割が非常に大きいと、重要なものであると認識をいたしております。

  観光資源というのは、もういつも申しますけれども、歴史や伝統、あるいはそれに裏付けられた土地固有の文化ですね、そういうものは、名勝や神社や仏閣をその地に生み残し、そしてまた自然の景観というものは固有のものでございます。また、そういうものも残していかなければなりませんけれども、ただそれだけではなしに、共通する自然や文化、歴史、食というようなものを、そういうテーマごとに広域観光ルートを設定する、そしてまた、地域観光情報を共同して発信するというようなことを官民一体となって進めていくということが非常に必要だろうと思います。

  例えば、秋田県と山形県、県境に近いんですけれども、鳥海山がありますから、鳥海地域につきまして、秋田県の由利本荘市とか、にかほ市、あるいは山形県の酒田市とか遊佐町というようなところが一体になって共同パンフレットを作成したり、あるいは農産物の収穫体験を通したグリーンツーリズムを推進したりしていらっしゃいます。
  また、四万十川、これはもう高知県の中でございますけれども、その辺でも市と4町が一つになりまして官民一体で魅力ある観光周遊ルートの選定をして、そしてまたこれをPRをされるということによって、人口3万8千人のところに72万5千人の観光客が年間来ていられるということでも分かるように、四万十川はきれいだよ、一回行きたいということは分かるんですけれども、そういうものを、その周りに花街道を造ってみたりいろんなことで工夫をしてやっていられる。これは、中央で考えてやる話じゃなしに、そこに住む人たちが考えて、そしてこういうことをやられることによってすばらしい効果が出てくると思うんです。

  ちょっと大きな話になりますけれども、2010年がビジット・ジャパン・キャンペーンの最終年に当たっておりますが、ちょうど同じ年に平城遷都1300年というすごいことが起こるんですね。奈良県ですけれども、平城宮、平城遷都が行われて2010年でちょうど1300年になると。これはすごいことで、そこに造られたあおによしとか、そういうものは当時の中国の文化そのものですから、中国人が見たらびっくりする、今こんなの残るのかということだと思いますし、またそれから40年ほど後には大仏開眼が行われているわけですね。これももちろん奈良の平城宮のすぐ横ですけれども、この開眼供養はインド人の高僧が来て当時やっていらっしゃるということで、私も過日インドへ行ったとき、その話をシン首相としてきたわけですが、是非インドからも来てほしいし、また日本人も、ブッダが悟りを開いたブッダガヤですね、そういうところにも我々も行きたい、こういうふうに思うわけですね。

  ですから、私は、そういうふうに考えたときに、平城遷都というものを通じて、国際的な広がり、ただ単なる奈良だけではなしに、近畿地方だけじゃなしに、日本だけでもない、そういうふうに広がっていくと。大きな交流を生じなきゃいけないし、またその1300年の古都が今ここにあるということは、もう僕は世界じゅう探しても非常に希有だろうと思うんですね。
  そういう意味では、世界じゅうから人が来てもらって、この日本の歴史、そしてその伝統、そしてそれが残した仏教系のその建造物ですね、こういうものが今にして残っているという、そしてまた、来ていただければ、私は、奈良だけじゃなしに、京都とかあるいは鎌倉とか、そういうところにも仏教系の建造物はたくさん残っているわけですから、私はそういうものが連携されれば物すごい観光資源になるんではないか、観光というよりも人の交流が始まるのではないかというふうに思っています。

○加藤敏幸 ありがとうございました。
  私、観光というのは、これは非常にはやりもあって、私ら団塊の世代というのは少しへ理屈をこねまして、パック旅行だとか、もうそのお仕着せの旅行なんというのはあれはダサいんだと。旅行というのは、自分で全部きちっとプランを立てて、非常に個性的な、そういう個別旅行が本物だということをやっておった時代もあるんです。でも、その団塊の世代も年取って随分くたびれてくると、大分、最近パック旅行が一番いいと。なぜパック旅行がいいのかといったら、安いだけじゃなくて、やっぱりそれは何回も何回もやっている間に非常にいい合理的なルートが開拓されて、それに付け加わるそのエレメントもなかなかこれはうまくできつつある。逆に言うと、競争されている観光業者が日々知恵を絞っている中で出てくるものというのはなかなかのもので、そこに、単に物見遊山じゃなくて、やっぱりテーマ性を持ったそういう観光ということが出てきたんじゃないかと思います。
  また、最近は、東京の水害のときの貯水池を、巨大な貯水池、練馬にあるやつですね、あれを見に行くとかごみ処理施設を見学に行くとかいうこともはやっているわけでありまして、ある種のテーマ性を持った観光という辺りもこれから大きな一つのヒントになるのではないかというようなことで、海外のお客さんも来ていただくとともに、国内のお客さんも広く来ていただくということでやっていただきたいと思います。

7、観光振興のための安易な道路整備などは問題

○加藤敏幸 さて、もう時間的に最後の質問になりますけれども、冬柴大臣が衆議院での審議におかれまして、3年前に世界文化遺産に登録された紀伊山地の霊場と参詣道の事例として取り上げられ、時間が余り取れない人たちに短時間で観光地が巡ることができるように道路などアクセスの整備が必要だと強調されたというふうに聞いております。これはこれでそういう必要性もありますし、もっと言うと、ハンディキャップドパーソンの皆さん方にもひとしく観光に参加していただくという可能性を広げていくことも大切だと。

  私も、この熊野古道、4年ほど前に行きまして、それなりに感銘を受けたわけであります。ただ、この熊野古道というのは、やはり信仰の対象として、道中が信仰そのものである、平安時代の貴族の人たちでさえ自分の足で歩くことに意味があったという、そういうプロセスも含めて熊野古道というものがあり、またそれを成り立たせている自然のありようということも非常に大きな要素であると、私はそう感じるわけであります。
  ここはなかなか難しいんですけれども、短期間にスポット的に行けるということですが、やっぱり環境を保全し、本質的な、例えば山岳信仰である私たちの精神のありようも含めて、それを感得していただく、そういうこともまた残さなければならないということを考えれば、私は、安易ないわゆるハイウエーだとかアクセスの方法論を出すということではやっぱりちょっと結果的にまずいことになるのではないかと、そういう思いがあります。

  日本には城郭がたくさん観光資源としてありますけれども、今、城郭のポイントはエレベーター付きなんですよね。昔のままの城郭というのは人を入れさせないから、本当に本格的な城郭だとなかなか上れないんですよ、階段も急で。ところが、観光資源としての城郭は物すごく上りやすいと。こういう矛盾をある観光学者が言っておられましたけれども、私は二つの要素はやっぱりあると思うんです。

  しかし、国土交通省としてはある種の考え方、基準を持って対応していただかないと、人さえ集まりゃいいという安易な開発に流れてしまってはいけないのではないかと思いつつ、この点、大臣のご見解をいただきたいと思います。

○冬柴鐵三・国土交通大臣 熊野古道のことも引用いただきました。昔はアリの行列と言われるぐらい、あの深山の中を信仰心を持って歩かれたという、そういうものですから、現代人は味わいたいけれども、非常に短い時間の中でそれができませんので、その近くまでという趣旨で私申し上げたわけでございまして、熊野古道は和歌山県、三重県の方からも行けるわけですけれども、その近くまでは道路を整備をして、そしてそこから行っていただく。ただ、そうすることによってそこが車の渋滞をするようなことではまた困りますし、自然が破壊されても困ります。

  したがいまして、私どもは、都道府県がお作りになるようなそういう計画につきましても環境基本計画と調和をするものでなければいけない。もちろん、それで環境影響評価法も適用されるわけでございますから、今先生から、委員からご指摘があったようなことが起こらないように十分考えていかなければならないことであると思っております。

○加藤敏幸 最後に、私出身の四国にも88か所というすばらしいこの歴史の、あれは観光ではなく信仰だと地元では考えておりますけれども、しかし私は体験をしていただくこともすばらしいのではないかということを宣伝申し上げまして、質問を終わります。
 
どうもありがとうございました。

 
 
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民主党参議院比例区第3総支部