○加藤敏幸 おはようございます。民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。
今回の法案審議は、単に「廃棄物埋立護岸等の整備事業費用の国の補助率を引き上げる」ということに限定するのではなく、港湾整備の在り方の問題として論じることも大切だと考えております。
港湾というのは、物流や工場立地などの経済活動を支える場としての役割と、都市市街地の一部、例えば公園としての利用、あるいは今回の法案に関連する廃棄物の最終処理場としての役割、言わば生活インフラとしての役割、さらには生態系を維持し様々な自然の資源を提供する場、こういういろいろな機能を持っておりまして、それらの側面に照らしながらご質問申し上げたいと思います。
1、スーパー中枢港湾の整備状況と今後の課題
○加藤敏幸 まず第一に、スーパー中枢港湾の整備状況と製造業の競争力強化の視点からお伺いをしたいと思います。物流拠点としての港湾の整備という課題でございますけれども、港湾は、製造業の国際競争力の維持にとって重要な産業インフラの一つでございます。ちょうど1年前、私はこの国土交通委員会において海上物流基盤強化のための港湾法等の改正案の審議で質問させていただきましたけれども、そのときも課題となった国家プロジェクトとして推進されるスーパー中枢港湾の現在の整備状況をお伺いをしたいと思います。
あわせて、スーパー中枢港湾が我が国の三大港湾で進められていますが、港湾機能を一部の地域に集中そして整備することが果たして地域的にバランスの取れた産業振興に寄与していくのかどうか、私は今若干の疑問を覚えつつあるということであります。いわゆる上海、シンガポール、釜山、そういったアジアの各港に追い付くための貨物取扱量のボリュームを競うという港湾整備という視点ではなく、それだけではなく、京浜地区、中京地区そして阪神地区といった大都市圏を背景とした大工業地帯だけでなく、これからが大事なんですけれども、競争力を持った各地の工業地域や製造工場が港湾を通じた物流システムの改善によって更に競争力を強化する、そういった波及効果を持つことが、スーパー中枢港湾の整備にあたって問われているのではないだろうか。スーパー中枢港湾が高機能になればなるほど、その近辺が工場立地として最高なんだと、こういうことになります。日本列島の中で、言葉がちょっと不的確かも分かりませんけれども、地域間格差、差別化を惹起するという、そういう問題もあり得るのではないかと。
そういうような意味で、港湾整備と製造業の競争力にかかわる政策的スタンスについて、ここは大臣にお答えをいただきたい。二つでございます。
○中尾成邦・港湾局長 お答えいたします。
まず、スーパー中枢港湾の整備状況等ですけれども、スーパー中枢港湾プロジェクト、平成22年度までにアジア主要港をしのぐ港湾コスト、サービス水準の実現を目指しております。それで、京浜港、今は横浜でございます、それと伊勢湾は名古屋、阪神、大阪、神戸におきまして、官民連携の下でハード、ソフトが一体となった取組を進めております。
現在、5つの特定国際コンテナ埠頭におきまして民間ターミナルオペレーターの運営事業の認定が行われておりまして、これと併せまして、8000TEU級の、8千個積みのコンテナですけれども、大型コンテナ船に対応した大水深高規格コンテナターミナルの整備を進めております。
また、コンテナターミナルの効率的運営に資する取組といたしまして、周辺道路の混雑緩和などに資する共同デポ、いろんなところに皆さんが一緒に集まれる置場ですね、共同デポの整備とか24時間やるための夜間検査に資する支援施設の整備、あるいは内航船との円滑な接続を確保するための社会実験、あるいは内航船から外航船に積み替える、内航フィーダーと呼んでいますけれども、それの実験とか、いろいろなことをやって現在進めているところでございます。
○冬柴鐵三・国土交通大臣 地域間格差ということで、京浜、伊勢湾、阪神、三大スーパー中枢港湾をやるのはいいけれども、それ以外にもあるのではないかという、それはもう本当に適切なご意見でございますが、現実にはこの三つの港湾で日本のコンテナの8割を扱っているという事実があります。全日本の8割。特に輸出の場合は78.6%、それから輸入の場合は80.5%ということで、平均すると79.6%をこの三つの港湾で扱っているという事実がございます。したがいまして、まずそういう中枢港湾を強化して、そして周辺の、先ほど来言われる上海、釜山、そしてシンガポール等の強い港にしのぐとも劣ることのないような港湾を造っていくということに特化して集中するということであります。
しかしながら、加藤委員のおっしゃるとおりでございまして、そこで止まるのではなしに、地上の道路網、それから鉄道網というものをその三大港から全国の主要な消費地あるいは生産地と結ぶ、そして国際コンテナが通行できるような道幅、橋梁の強化とか、そういうものも急がなければならないわけでありまして、そういう三大港を集中して整備するのと併せてそういうネットワークも張り巡らして、地方も置いてきぼりにならないようにこれはやっていかなければならない、このように思っております。そのような方法で進めたいと思っています。
○加藤敏幸 方向性については私もそのとおりだと考えているわけでありますけれども、例えば、愛媛県新居浜市にある企業から見て、スーパー中枢港湾が3割コストダウン、リードタイムが1日ということができたことが、自らの事業構造、事業活動においてプラスだったと実感できる、つまり、そこの企業、製造業、工場から、よくやってくれたねと評価をいただけるかどうかです。幾らスーパー中枢港湾に競争力があっても、最終的にはそういう利用者の評価を私はやっぱり大切にするということだと思います。この点は一致していると思うんですよね。
それから、私がこの前質問したときに、スーパー港湾の3割のコストダウンというのは、掛け声じゃ駄目ですよと申し上げました。企業で3割コストダウンといったら、それはブレークダウンして、何々何々においてこれだけ、材料費においてこれだけ、人工費においてはこうだとか設計時間はこうだと、そういうことを含めて計画ができます。今日はほかのテーマに移りますけれども、継続的な努力を22年までやっていただきたいと、この事を要望をさせていただきたいと思います。
2、港湾整備をとりまく情勢の変化
○加藤敏幸 次に、港湾設備を取り巻く情勢の変化についてでございますけれども、我が国における海上物流を取り巻く環境というのは、時々刻々変化してきているのではなかろうかと思います。
海運業の動向や実際の港湾の利用状況を見ますと、中国を中心としたアジアとの交易による貨物取扱量が急速に増えている。このため、大型船の入港に対応する港湾の整備を急ぐべきだという考え方も強まっています。しかし、対アジアの輸出入貨物は、傾向として小規模、多品種の製品、部品がやっぱり中心になってきていると、またこの傾向が出てくるんじゃないかと。また、九州、山陰などでは、韓国や中国から近いということもあって、必ずしも大型貨物船で、大型コンテナ船の入港がどんどん増えていくとも限らないと、これは見通しがいろいろあると思います。さらに、海上モーダルシフトを拡大するためには、内航フィーダー船による輸送を増やすべく港湾の整備が求められていますし、またトレーラーごと運ぶローロー船の増加に対応する港湾の整備も急がれています。
今後は、海上物流におけるジャスト・イン・タイムというこの発想が強まってくるということであれば、「たくさんためてごそっと」ということじゃなくて、タイムリーにやっぱり物流をつくっていくと。そういう新しい流通システムや新しい荷積み技術に対応できる埠頭やバックヤードの整備を政策的にも先取りする必要があるのではないかと思います。
巨大船に対応するための巨大な立派な埠頭を全国津々浦々に整備するということは、これはもう不可能ですので、そういうような点を踏まえて無駄な投資にならないような港湾整備を考えていただきたいと、こう思います。国土交通省としてのこの点についての現状認識と今後の方針についてお伺いをしたいと思います。
○中尾成邦・港湾局長 委員ご指摘のとおりでございます。
三大湾のスーパー中枢港湾というのは、基幹航路を逃がさないということにしておりまして、基幹航路というのは欧米の長距離の航路でございまして、それ以外のところにつきましてはこういう認識でございます。
経済のグローバル化の進展とか中国等の急速な発展によりまして、東アジア地域との物流が活発化しております。そのため、小ロット、多頻度、輸送ニーズの拡大など、いわゆる東アジア物流の準国内輸送化と呼んでおりますけれども、それが進展しております。準国内輸送化というのは、今まで国内輸送だったようなものが拡大して、東アジアとはもう本当、国内とほとんど一緒だと、そういう意味です。具体的には、釜山港と博多港を約6時間で結ぶカメリアラインというのがございます。それとか、上海港と博多港を約26時間で結ぶ上海スーパーエクスプレスというものがございまして、このようなものの就航など、迅速、低廉な輸送物流体系の構築が進められてきております。
国土交通省といたしましては、これに対応するために、国際のローロー船、ロールオン・ロールオフ船でございます。国際フェリーなどに対応した国際ユニットロードターミナルの整備を進めてきております。また、これと併せまして、多頻度、小ロット(小さな小口の貨物です)、貨物を国際海上コンテナとかシャーシなどへ円滑に積み替えるための物流施設の整備などを行うなど、港湾の機能向上に取り組んでおります。さらに、急増するコンテナ貨物の物流コスト低減のために、コンテナターミナルなどと一体的に機能する高度で大規模な物流拠点の形成が必要と考えております。
我が国港湾を取り巻く情勢は大きく変化しております。これらのニーズを確実にとらえまして、急速な情勢変化に対しても的確な対応を図ってまいる所存でございます。
3、環境問題としての海面処分のあり方
○加藤敏幸 それでは次に、環境問題としての廃棄物の海面処分の在り方についてお伺いをしたいと思います。
港湾埋立ての場合、技術的にもコスト的にもどうしても浅瀬や干潟が開発の対象になります。したがって、この問題は必然的に環境問題に波及してくると思います。特に、浅瀬や干潟は、自然の生態系の維持において、また多種の生き物、生物にとっても非常に重要な場であると、このように思うわけであります。
今回の法案提出の背景には、廃棄物の最終処分を海面処理に頼っていかざるを得ない状況があり、環境省の方も、環境保全ということよりも、近年はむしろ廃棄物、ごみ処理対策に重点を置いているようで、環境白書も廃棄物の海面処分について積極的な立場を明らかにしております。しかし、埋立てできるキャパシティー、日本語で言えば容量の問題があるにもかかわらず、どうも港湾にごみ処理問題が一方的に押し付けられているような、国土交通委員会の委員としてはそういう感じを受けるわけであります。この際、国土交通省としても、むしろ廃棄物問題に関して、減量化や最終処分にかかわる技術的な開発、そのことも含めて積極的に発言すべきではないかと考えるわけであります。
どうも、大規模な埋立地造成事業のそばで、失われる干潟に代わる人工干潟の工事を行っている姿は、港湾整備事業として本来のいい姿なのかどうか疑問に思うと、こういうことでございまして、廃棄物処理問題についてご見解があればお伺いしたいと思います。
○冬柴鐵三・国土交通大臣 大変、加藤委員の心配されるところでありまして、調整が非常に難しいと思います。平成16年における海面で処分されたものの割合は、全国平均の24%、約4分の一を占めているわけでございますが、陸上における最終処分地の手当てということが非常に難しくなっていることに照らし合わせますと、海面処分ということが今後増大をしていくという傾向にあることはもう否めない事実だと思います。
しかしながら、こうした中、港湾における最終処分につきましても、その必要性あるいは規模を検討した上で、秩序立った港湾空間利用を行う必要から、港湾利用との調整を図るとともに、その調整に当たっては、周辺海域に影響を及ぼさないように、そして環境に十分配慮して進めていかなければならないと、そういう認識でおります。
循環型社会の形成ということは非常に重要な課題でございまして、そのためには、いわゆる3Rと略しておりますけど、減容、これも分かりにくいんですが、減量、再利用、そしてリサイクルは分かりやすいですかね、もう一度使う、そういうようなものをすることによって、近年、ごみの量は確かに確実に減りつつあります。ありますけれども、しかし、せんじ詰めれば、減ってもやはり処分しなけりゃならない量は確実にあるわけでして、その廃棄物の適正処理と両輪になって進めなければならないという自覚でございます。
可能な限り減量してなお最終処分が必要となるものが存在する以上、我々、港湾で受け入れるに当たりましても、野方図にこれを受けるということはそれはできない。けれども、海面処分場の整備を適切に進めながら循環型社会の形成にも資していかなければならないという、そういう非常に難しいところをやはり十分に認識しながら、今の干潟とか藻場とかを壊してしまうというようなことでないように配慮しながらそういう要請にもこたえていかなければならないと、このような自覚でございます。
○加藤敏幸 現実、ごみが大量に発生しているという状況の中でのなかなか難しいお立場にもあるということでございますけれども、知恵の出しようについては後ほどの質問の中でも議論させていただきたいと、このように思います。
4、干潟保護や海浜再生事業の優先を
○加藤敏幸 次に、海浜再生事業ということについて、干潟保護の大切さについて少しご質問したいと思います。
ご存じのように、東京湾は我が国において閉鎖的な内湾の最大級のものでございまして、これまでの港湾開発事業によって、干潟、藻場の減少、貧酸素水塊、赤潮の発生による水質環境の悪化、生物資源の減少などの問題が引き起こされてきました。そして、これらの問題解決のために、平成15年には東京湾再生のための行動計画も策定され、干潟再生を始めとする諸事業が行われています。
しかし、依然として貧酸素水塊や赤潮の発生が見られているものの、東京湾の水質はまあ生態系、水質、これはかなり回復しつつある。お寿司屋さんでも江戸前が増えたねと、実感できるところですが、それはそれとして、これからも努力する必要があると思います。また、三河湾においては約620ヘクタールの干潟、浅場というんでしょうか、それが造成されまして、水質浄化や生物資源の回復に効果があったと、このように聞いております。
現在、国土交通省が所管する国土技術政策総合研究所や港湾空港技術研究所などでも干潟の自然再生などの研究が進められておりますが、干潟や浅海、200メートルまでの海は、貴重な自然として残すべきではないか、こういう流れが強まりつつあります。また外国、海外においてもいろいろな形での自然再生の取組が行われていると、このように聞いております。
国土交通省としては、近年、港湾行政のグリーン化ということで、これはクリーン化じゃなくてグリーン化ということでございまして、港湾の開発利用と環境の保全、再生創出は両輪と、こういう立場を明らかにされております。
具体的には、港湾行政、河川行政において、干潟や浅場などの再生事業を進められておりますけれども、海外の取組なども参考にしながら、更なる積極的な事業を推進してほしいと思いますけれども、国土交通省として、その基本的方針やスタンスについての見解をお伺いしたいと思います。
○中尾成邦・港湾局長 お答えいたします。
今委員ご指摘のとおり、港湾整備で発生する良質な土砂につきましては、これまで瀬戸内海の広島湾あるいは三河湾、三河湾は中山水道という開発保全航路がございまして、そこを掘ったいい砂でございますけれども、そういう砂を利用しまして、干潟の再生とか覆砂、汚い土の上にきれいな砂をまいて汚い部分が良質なようにするという覆砂、そのような材料として有効に活用してきております。
また、国土技術政策総合研究所や独立行政法人の港湾空港技術研究所におきまして、人工干潟の実験施設、これは大きな水槽に砂を入れて何年も何年も波を当ててどういうものができるかという、干潟の再現装置みたいなやつですけれども、そのようなものを用いまして、底生生物、底にすんでいる生物の生息状況の把握など、干潟の機能の解明について調査研究を進めております。
今後とも、しゅんせつ土砂につきましては、可能な限り自然再生に資するように有効に活用することとしております。
○加藤敏幸 やはり科学的知見に基づいて施策を実行するということが重要だと思いますので、更なるご努力を要請申し上げたいと思います。
5、港湾埋立を取り巻く情勢の変化
○加藤敏幸 さて次に、港湾埋立てを取り巻く情勢の変化について、2、3ご質問申し上げたいと思います。
現在、国土交通省は、我が国産業の国際競争力強化等を図るための今後の港湾政策の在り方を交通政策審議会の分科会で検討されているとお伺いしております。
去る4月12日の分科会の会合でその中間報告の素案が示されました。そこには具体的な施策は記述されておりませんが、規制緩和策として埋立地に係る諸規則の在り方に言及されております。恐らく未利用埋立地の処分に関するものと思われますが、事務当局としてどのような規制緩和策を想定されているのか、お答えいただきたいと思います。
○中尾成邦・港湾局長 お尋ねの交通政策審議会港湾分科会における議論でございますけれども、現在、我が国産業の国際競争力強化などを図る観点から四つほど大きくやっておりまして、一つはスーパー中枢港湾政策の充実、深化、二番目に増大するアジア物流の対応、三番目に埋立地に係る規制の在り方だったんですけれども、最近変わりまして、臨海部空間の積極的利活用という言葉にしております。それと、四つ目に、港湾手続の統一化、簡素化などの港湾サービスの一層の向上ということでございまして、これを主な視点として今後の港湾政策の在り方を議論していただいたところでございます。中でも、埋立地を含む臨海部空間の積極的活用につきましては、物流機能の強化と産業の活性化、立地の促進に向けまして、土地利用規制などの在り方だけでなくて、民間資金の更なる導入方策、インフラ整備の在り方などを含めて幅広くご議論いただいております。
いずれにしましても、国土交通省といたしましては、特に臨海部空間が国際物流の拠点、産業活動の拠点として、我が国の国際競争力強化の視点から極めて重要な役割を果たすものと考えておりまして、審議会でのご議論の成果を踏まえまして、必要な施策を講じていく所存でございます。
○加藤敏幸 関連してお聞きしますけれども、昨年の港湾法改正の審議で明らかになった点の一つが埋立地の処分がうまくいっていないという事実でした。昨年の委員会での鬼頭港湾局長の答弁では、平成8年から17年までの10年間に竣工した埋立地は全体で約5200ヘクタール、このうち、平成17年末現在の未処分地が約1300ヘクタール、このうち、竣工後5年以上経過したものが約500ヘクタールである、このように説明されております。未処分地が25%も発生しているということでございます。
港湾埋立事業は港湾行政の一つの柱であり、今回、廃棄物の海面処分場としての港湾埋立事業への支援策を打ち出されているわけでございますが、これ以上、港湾の埋立てを進めてどうするのか、膨大な投資をしてペンペン草が生えた未利用の土地をどんどん増やしていってどうするのか、こういう疑問も当然のこと出てくるものとも思われます。
昨年の法令改正でどのぐらい処分が進んだのか、この点について明らかにしていただきたいと。あわせて、活用されない無駄な埋立地が増えるのではないか、こういった懸念について国土交通省としてどのような説明をされようとしているのか、ご見解を伺いたいと思います。
○中尾成邦・港湾局長 お答えいたします。
まず、未処分の用地が、埋立地が存在している理由でございますけれども、それぞれの事情によって異なるものと思っております。中には、近年の厳しい経済情勢とか、これによる地価の下落傾向、民間企業の用地購買意欲の減退といった経済的、社会的条件の変化に伴いまして、当初の計画とは異なり、竣工後も長期間未処分の状態になっているものもあるものと思われます。
そこで、昨年の法改正による規制緩和でございますけれども、これは港湾管理者が告示した区域を対象としております。この告示を行う前には、国が認可を行った埋立地についてはあらかじめ国に対して告示内容について協議を行うこと、またそれ以外の埋立地については報告することとなっておりまして、適切に処分がなされるものと考えております。
それで、この法改正の施行、これ、昨年の10月1日でございますけれども、それから七か月間たちますけれども、現在までのところ、複数の港湾管理者から問い合わせはございますけれども、協議、報告に至ったものはございません。
それと、もう一つのご懸念でございます、活用されない埋立地の増加ということでございますけれども、これはまず埋立ての免許に際しましては、一つ、公衆への告示、縦覧、地元市町村長への意見聴取、利害関係者からの意見の受付など手続を経まして、二番目に、国土利用上、適正かつ合理的であること、もう一つ、港湾計画に違背するものではないことなど、免許の基準というものがございます。これは公有水面埋立法四条でございますけれども、これを満たしているかということが厳正に審査されておりまして、今後とも適正に運用することによって、むやみやたらの活用されない埋立地が増えるということはないものと思っております。
○加藤敏幸 先ほど議論をいたしましたごみが増えるということで最終処分場が必要だという全体的な要請と、造った埋立地がどういう活用をされるのか、こういう二つの大きな挟み打ちにされておるような、こういう厳しい環境の中で、私は知恵をこれは尽くしていくということは今日時点では一番大事なことではないかと思います。
それから、昨年法律を作ってから、7ヵ月ですけれども、あのときも質問したんですけれども、法律を作ったら作りっ放しということでは我々の責任は果たせないということなので、あのときに議論したことが本当に現実に合っているのか、そのとおり実行されたのか、駄目なら駄目で改正すべきなのか、こういうことを真摯に、しつこいようですけれども、継続は力なり、反復連打でこれを質問をいたしましたし、今後も必要に応じ、次回、次々回、議論をさせていただきたいと思います。
6、埋立地の護岸築造工事のあり方
○加藤敏幸 次に、埋立地の護岸築造工事の在り方ということで、やや専門的というんでしょうか、細かなテーマになりますけれども、ご質問したいと思います。
護岸築造工事につきましては、海底の地形や地盤あるいは潮流など、様々な条件によって工法が決められる、また幾つかの工法を組み合わせながら施工されております。
そこで、護岸築造工事の工法に関し、その主なもの四つについて、コスト面や環境に与える影響など、事務所の方で大まかに分類し、参考資料として提出させていただきました。お手元のこの一覧表でございます。また、この裏には、護岸築造工事がどのような手順で行われるのか、その一例を図鑑にしたものでございますので、少し議論の材料として参照にしていただければと思います。
護岸の工事といいましても、この図のように大変手間が、我々が思っていた以上に手間を掛けて丁寧にされておるということでございます。近年、海洋土木の技術は一段と進歩しているわけでございますけれども、基本的には護岸築造工事も環境面で最大の配慮することが求められていると考えます。工法にはそれぞれメリット、デメリットがございますし、コスト面では耐用年数やメンテナンスコストを含めて総合的に判断しなければならないということは言うまでもございません。
そこで、環境面に絞り込みますと、特に最初の捨て石工法においては、初めの敷き砂投入、盛り砂投入、捨て石投入、被覆石投入などにより濁りが発生しやすい工法となっております。浮遊した、わき出た土砂が日光を遮り、藻場がなくなって漁場を荒らすということを引き起こすと。その他の工法でも、最初の地盤強化策等で何らかの砂や石がまかれたり、地盤改良工事としてサンド・コンパクション・パイルの打ち込みなど、濁りが発生しやすいということでございます。
現在は土砂が拡散しないような護岸工事のやり方、例えば汚濁防止膜を張る対策が取られ、国土交通省としても港湾工事における濁り影響予測の手引などを出されて指導はされておりますけれども、更に工法の改善やモニタリングの技術の改善など、一段と汚濁防止策を徹底してもらいたいと思います。ご見解をお伺いしたいと思います。
○中尾成邦・港湾局長 廃棄物埋立港湾だけでなくて、すべて港湾工事におきましては、今委員のおっしゃったとおり、いろいろな対策を取っております。特に港湾における海上工事におきましては、従来から周辺海域に影響を及ぼさない措置をとっております。具体的には、今委員おっしゃったとおり、工事の実施に当たりましては濁りの周辺海域への影響を可能な限り低減するため、汚濁防止膜の展張、これは重要なところというのは二重にするとか、そんなことをやっておりますけれども、あるいは濁りの監視調査、つまり汚濁防止膜が展張されても、もしかすると外に漏れているかもしれないと、そういうようなこともございますので、濁りの監視調査などの水質汚濁防止対策を十分に行っております。
○加藤敏幸 次に、護岸工事において更に配慮すべきことは、護岸の遮水性の確保と護岸そのものの安全性の確保であると思います。
具体的には、廃棄物に含まれる有害物質が護岸の外に出されないということ、これは提出した一覧表にも記載いたしましたけれども、捨石工法は透水性が高く、厳密な遮水処理をすることが求められておりますし、重力式も矢板式も継ぎ目のところから水が漏れないための措置をきちんとしなければならないということでございます。さらに、埋立地の沈下に伴う護岸の保護も留意しなければなりませんし、阪神・淡路大震災の際に見られた液状化による護岸の被災を防ぐという課題もこれありと。さらに、護岸の上部の壁の高さをどうするのかという問題も重要であります。特に、昨今、地球温暖化に伴う海面上昇、あるいは台風や低気圧による海面上昇や台風の巨大化によって高波が護岸を越え、埋立地が海水に浸るというようなことも想定されます。
これら遮水性の確保や安全面に関する対策について、当然コスト面も考慮しながら十分な対応策を研究する必要があると、このように思いますけれども、ご見解をいただきたいと思います。
○中尾成邦・港湾局長 廃棄物埋立て護岸、特に廃棄物でございますので、それについては十分注意しているつもりでございます。
海面処分場におきましては、処分場を構成する護岸とか底層地盤、つまり廃棄物を埋め込む下の部分でございますけれども、そこから汚濁水等が漏れ出さないような構造にしております。
具体的には、護岸本体背後に遮水シート、水が漏れないシートでございますけれども、それを敷設するとか、底層でございます下の部分につきましては、不透水性層地盤を利用する、つまり粘土地盤みたいなところだと水が漏れ出さないので、そういうところを利用するとか、必要な遮水性の確保をしております。つまり、遮水性、水の漏れないようにするということでございます。さらに、先ほど言いましたけれども、港湾のしゅんせつ土砂を投入する際には、水質管理などを実施することによりまして、周辺海域に影響を及ぼさない措置をとっております。
また、地震に対する安全性でございますけれども、他の構造物、他の港湾構造物と同様に、施設の供用期間内、おおむね50年から60年でございますけれども、それに発生する確率の高い地震に対しても所要の耐震性を確保しているところでございます。
それと、地球の温暖化の話でございます。温暖化によって海面が上昇するという懸念、確かにあると思います。ただ、これがどの程度になるかというのはまだ確定したものがございませんので、これにつきましては、海面上昇の配慮につきましては、潮位の観測などを全国的に実施しておりまして、必要に応じ、適切な対応を図ってまいる所存でございます。
○加藤敏幸 温暖化による影響については、今日時点で確定的なことを前提に議論することはできないということであります。
ただ、体感的に、最近の気候、気象というのが随分荒々しくなったなと、台風も妙に強くなったんではないかとか、あるいは近海の海面温度が上昇していますから、これは台風に対するエネルギー供給源という機能を持っているということから、やはりこれから発生する高波だとか、あるいは強風による波高、波力とか、こういうようなところは相当厳しくなるんではないかと、こういうふうなこともやはり留意をしていただきたいと、それを踏まえた今後の対策を検討していただきたいということは要望しておきたいというふうに思います。
最後に、海面処理の限界性を視野に入れてということで、やっぱりごみがたくさん増えてくるし、陸地には処分地が限定化される中で、海面処分場への大きな期待が高まるということでございます。しかし、究極的には限界に突き当たるというこの事実を、先ほど申しましたように、まず認識しなければならない。
そこで、知恵の出しようは何なんだと。もう質問する者も質問ばっかりしないとたまには知恵も出せよと、大臣、思っておられるかも分かりませんけれども、そのことを前提とすると、家庭ごみも産業廃棄物もしゅんせつ土も建設残土も、今後、いかに有効活用するかということに今真剣に取り組む必要があるのではないかということでございます。
ごみは一括して全部ごみだということではなく、もう少し中身を分別して、それぞれよく考えてみると、役に立つもの使い方によるんではないかと、こういうこともあるというふうに思います。既に鉄鋼スラグや溶融スラグなどは様々な建設素材として実用化されております。例えば、重金属などを封じ込めた溶融スラグは廃棄物ということにはならず、有用物として海中に埋めることができるかもしれませんと。これはロンドン条約との兼ね合いもございます。
現在、海洋土木の専門家から海面下埋立てという方法が提案されておりますけれども、こういった道が開かれれば、比較的水深の深い海岸や沖合が埋立地として活用できるということにもなります。関西国際空港の人工島の埋立ては、大水深で軟弱地盤の沖合の埋立てということで高度な工法が採用され、また地盤沈下への対応など膨大なコストが掛かったわけでございますが、有害物でない材料や有害物を封じ込めたケーソンなどを活用すれば、海面下埋立てはある意味で現実性を持ってくると、このように考えられます。
これは廃棄物処理の一つのアイデアではございますけれども、国土交通省としても、廃棄物としてではなく有用物、リサイクル材料としてのこれらの活用について多方面からの研究や実証をしていただき、また各省庁とも連携をして、一言でごみということではなくて、やっぱり丁寧にそれらの仕分をして、有用物に活用できるならしていくと、そういう意味で資源化を図っていくというこの努力も必要ではないかということを踏まえまして、ご見解をお伺いしたいと思います。
○中尾成邦・港湾局長 港湾整備におきましてどういう例をやっているかということをお話ししたいと思いますけれども、建設の副産物とか産業の副産物をリサイクル材料として有効に活用しております。これまでも委員お話がありましたけれども、鉄鋼のスラグとか石炭灰、コンクリート殻など、港湾構造物の基礎材とか地盤の改良材などに活用しまして、天然資源の消費の抑制とか海面処分場の延命化に努めてまいっているところでございます。
また、しゅんせつ土砂でいいやつ、砂質分のあるやつというのは、当然、先ほど言いましたように、三河湾とかいろいろなところで覆砂の材料などに使っておるんですけれども、しゅんせつ土砂でなかなか使われない粘土質のものがございます。それらにつきましても、こういうものに天然の砂とか鉄鋼スラグなどを混合することによりまして、干潟の材料とか覆砂の材料、貧酸素水塊の発生源と言われている海域の深掘りの埋め戻し、そのようなものに有効利用できないかということを我々の独立法人の港湾空港技術研究所等に検討をお願いしているところでございます。
いずれにいたしましても、委員のおっしゃるように、建設廃材とかいろいろなものの有効利用は必要でございますので、各方面で各省庁一緒になって有効利用を図ってまいりたいというふうに考えております。
○加藤敏幸 提起されております法案そのものは極めて簡単な法案でございますけれども、ただ背景にある廃棄物、環境問題、物流、これは非常に大きなテーマでございまして、総合的に対応していくということではありますけれども、真摯に私は国土交通省の今後の取組を強く要請をさせていただきまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
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