1、PCI社への検査の精度について
○加藤敏幸 民主党・新緑風会・日本の加藤敏幸でございます。本日は、ODAに関する二つの報告につきまして質問 を行いたいと思います。
まず、PCI、パシフィックコンサルタンツインターナショナルの問題について質問をいたします。
PCIの不正請求問題はこの決算委員会におきましても平成17年から取り上げられ、18年では報告が出され、そして本年は、JICAによる再委託契約の更なる精査に基づき会計検査院が再チェックをした、これが今回の報告であります。結果的には、経理処理や精算手続が事実と異なり適切でない件数が38件で、そのうち35件について、不正請求額が約8500万円、利子を含めて約1億1800万円の返済の確認が報告されております。しかし、国会としては、不正請求したお金が返還されたのでこれで終わりです、不問にしますというわけにはいかないということであります。
そこで、会計検査院にお伺いしたいのは、18年報告と19年報告との間にどの程度検査の精度を上げられたのか。国民の目からすれば、国税の査察のような検査が行われたのか、会計検査院の検査については具体的に見えない部分があります。検査対象を広げた部分はありますけれども、今回の検査における精度の向上について説明を願いたい。あわせて、今回の報告に当たり、JICAの監督官庁である外務省とどのような事前の調整あるいは確認が行われたのかもお伺いしたいと思います。
○諸澤治郎・会計検査院事務総局第一局長 お答え申し上げます。
18年報告と19年報告との間の精度ということで違いについてご説明を申し上げますが、18年報告におきましては、JICAがPCIと締結いたしました47か国の80案件ございますその委託契約につきまして、現地での再委託契約が締結されているものすべてを対象として、現地での再委託契約の精算の適否を調査するようにJICAに求めました。その結果、11か国13案件で再委託契約にかかわる経理処理や精算手続が事実と異なっていることが判明したということでございまして、その報告を受けたわけでございます。
そして、19年報告におきましては、この11か国13案件につきまして、JICAが精査を行ってPCIから返還を受けたと報告してまいりました不正請求額、先ほど先生ご紹介ございましたけれども、8557万余円等につきまして、まず私ども、JICA本部におきましてPCIの精算報告書及びJICAが再委託先を現地調査した際に徴した領収書等の関係書類の提出を受けるなどして検査を行ったわけでございます。
そしてまた、PCIの本社につきまして、JICAに提出した精算報告書の作成方法ですとか社内の経理処理等につきまして説明を聴取し、これにかかわるPCIの入出金の伝票ですとか会計帳簿等の書類の提示を受けるなどいたしまして、一件一件個別に確認をいたしたものでございます。
それがご質問の第一項でございます。
第二項め、先生からのご質問はJICAの監督官庁である外務省とはどのような確認をしたか、というお尋ねだったと思いますけれども、私ども、この報告取りまとめました際には、報告の記述について意見があるか事前に外務省の確認を求めております。外務省からは特にそれについての意見はなかったと承知しております。 以上でございます。
○加藤敏幸
現地調査も行ったということで調査の精度を上げられていると、こういうふうに受け止めておきたいと思います。
2、PCIの処分のあり方
○加藤敏幸 そこで、18年報告、そして今回の報告を見ると、やはりPCIという企業は、高い技術力、調査力を持っているといいながら、企業のコンプライアンスあるいは経営者の倫理が大きく問われている問題企業であると。したがって、しかるべき制裁が加えられるべきであると、このように考えております。
また、PCI社は、中国遺棄化学兵器処理事業についても業務委託と下請発注の段階で不正流用の疑惑が出たため、元幹部が特別背任容疑で去る10月18日に家宅捜索を受けていると、このように報道もされております。言ってみると、ODAを食い物にしているのではないかと、こういう批判が浴びせられても仕方がない状況があるのではないかと考えます。
そこで、お伺いしたいのは、JICAは、平成16年9月から随時3回、延べ18か月にわたる指名停止処分をされてきました。その後の18年9月の検査報告を受けて明らかになった不正についてはいまだ処分が行われていないと。今回の中国遺棄化学兵器処理事業は内閣府の所管とはいえ、この不正行為も判明しているので、国民の見方としては何らかの追加的処分が必要ではないかと考えられますが、JICAとしては、前回の処分で十分であり、PCIの社内コンプライアンスが確立されたと、もう十分直っておるんだと、こういうふうに判断されているのか、この点について、JICAまた外務省の見解をお伺いしたいと思います。
○上田善久・国際協力機構(JICA)理事 お答え申し上げます。
私どもJICAが認識しております不正事案といいますのが平成12年度から16年度までの現地再委託契約に係る不正事案であったわけですけれども、これにつきましては、先生ご指摘のとおり、JICAの規定上最も厳しい措置である18か月の指名停止を平成18年3月まで既に実施しております。
そのコンプライアンスの問題でございますけれども、その指名停止期間中にですけれども、PCIの方から、不正行為の再発防止に関する取組として、具体的には、コンプライアンスの管理体制の強化とか業務会計監査室の設置とか、それから徹底した社員教育とか、そういったしかるべく措置をとっていると、そういう報告を受けたところでございます。
それから、先ほど今回の遺棄化学兵器出ましたけれども、現在のところ、私どもJICA事業との直接の関連性はないものと認識しておりますけれども、当然のことながら今後の捜査の進展を注視していきたいと考えております。
○小田克起・外務大臣官房審議官
外務省といたしましても、ご指摘のPCIに係る不正事案極めて遺憾なことだと考えております。
一連の不正事案につきましては、全体を一事案としてとらえ、これまで同社に対し数次にわたり措置を加重し、先生ご指摘のとおり、合計18か月にわたる指名停止措置を行い、新規ODA事業から排除する措置をとっております。これは、JICAの措置規定上、同種の事案に対するものとしては上限の措置であるということでございます。
それから、PCI社のコンプライアンスでございますが、一民間企業の行うことでございますので評価については差し控えさせていただきますが、一連の措置によりましてODAにおけるPCI社の発注も減少するなど社会的制裁を受けているものだというふうに考えております。
なお、先生お話がございました遺棄化学兵器事業をめぐる件でございますが、私どもとしては、今後捜査の状況を注視していきたいと、このように考えております。
○加藤敏幸
答弁を総括すれば、結果として問題はないと、そういうふうに聞こえるわけでございまして、やっぱり決算委員会で、あるいはODA特別委員会で随分このPCIの問題については議論してきたわけであります。罰することだけがすべてではないと、それはそのとおりです。しかし、これがこのまま私は放置していいのかと。ちゃんと社員教育から再発防止をやったかと、やってこういうことなら、さらに私は、JICAの立場からも指導を強化する必要があるのではないかと思います。今日はここでとどめます、ここでとどめますけれども、さらに私は、注目、検討をお願いしておきたいと、このように思います。
3、海外派遣を含めた検査の効果について
○加藤敏幸 次に、会計検査院にお伺いをいたします。このPCIの不正請求の検査に関し、コスタリカに職員を派遣され、関係者から事情聴取と関係書類の確認を行っておりますし、19年報告では、JICA並びにJBICの再委託先の調査として、タイ、インドネシア、グアテマラに職員を派遣されております。
また、この三か国については、PCI以外のコンサルタントによる再委託契約についても現地調査をやってこられました。検査に大いに時間とお金を掛けてこられましたけれども、具体的な海外派遣コストまでは伺えませんけれども、もう残念ながら税金の無駄遣いや不正請求にこれまた税金を使ってチェックしなければならないという構図に至っていると。これは国民から見ると、更に更にお金を掛けてやっていくということについては、少し理解し難い感情が残ると思います。
参議院も海外への委員派遣という形でODAに関する実情調査を行い一定の成果を上げておりますが、恐らくこういった現地調査というのは、不正をしていても見付かってしまうので割に合わないという抑止効果があり、そのことをねらって行うと、こういうふうに思います。
会計検査院として、今回のPCI関係事案の海外調査を通じ、海外の現地調査の意義と効果についてどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
○諸澤治郎・会計検査院事務総局第一局長 お答え申し上げます。
海外調査の意義ということ、誠にごもっともでございまして、私どもこのような検査に取り組むことにつきましては、まず国内で可能な限り必要な資料収集などを行い、また確認なども行った上で、やはりどうしても必要がある、これだけは確認しておきたい、そういうものに限って調査に取り組んでいるというのが実情でございます。
お尋ねの現地調査でございますが、まず調査対象といたしましたその再委託先に直接行きまして、ただこの再委託先は海外にございます現地コンサルタントでございますので、本院の検査権限が及ばないところではございますが、相手方の協力をいただきまして、まず国内で確認をしましたその再委託契約書等を持って、それを、その再委託契約書等の署名は間違いがないかとか、領収書の金額と実際の受取金額に相違はないか、そういったことを直接面談して確認するというような、そういう方法を取っているところでございます。このような本件の海外の現地調査は、国会から検査要請をいただきましたこれに対する検査の一環でございまして、事実確認のためにはどうしても必要なものであったと考えているところでございます。
また、その効果につきましてお尋ねでございますが、会計検査院がこのように直接に再委託先を調査するということは、委託先における適正な会計経理の確保に資することになるのではないかと考えているところでございます。
○加藤敏幸 現地調査の必要性は現場を踏むということで、私も思いますので、是非とも効果的、効率的にそういう調査をこれから努力をしていただきたいと思います。
4、不正を醸成しない仕組みづくりについて
○加藤敏幸 そこで、ODA事業における不正行為の動機と、なぜそういう間違ったことをするのかという観点から少し問題提起とご質問もしてみたいと思います。
お手元に一枚の一覧表、これを用意させていただきました。 (→席上配布資料 PDFファイル)
これは会計検査院の結果報告2007年9月の表一、これに基づいて、何も足したり加えたりせずにそれを再集計をしたということでございます。Aという金額が契約金額ということで、ここに国名、案件名について、トータル27億八千七百余の契約があり、またB金額というのは、そのうち再委託契約したと、これまた報告書から成っております。
したがって、A分のBという網を掛けたところにある合計平均数10.3%というのは契約総額の中で約1割のものが再委託契約をされたんだと、こういうことを表しておりますし、隣にあるCという金額は返還金額ということで、問題がなければ返還する必要はないわけですから。つまり、3%の金額が返還された、つまりこれは問題だったということになっておるわけでありますけれども、この表について、まず、JICA、会計検査院、これでいいのかよくないのか、お答えをお願いしたいと思います。
○諸澤治郎・会計検査院事務総局第一局長 先生おまとめになられました資料、ただいま拝見いたしまして、正にこのとおりであると思います。
○上田善久・国際協力機構(JICA)理事 お答え申し上げます。
私もこのとおりだというふうに認識しております。
○加藤敏幸 そこで、なぜこのような不正な手続とか、リスクを冒して経理処理をして、数%の利益を稼がなきゃならないのかという疑問があるわけであります。
例えば、元々、ODA事業では、低価格で落札したり、事業の変更、これは現地はいろいろな状況があるわけですから、それに伴うコストや予期せぬリスクでさほど利益が上がらない事業で、あえて不正請求を行ってでもプラスの利益を確保せざるを得ないと、そんな状況にあるのかもしれないとか、いろいろ老婆心ながら考えてしまうわけでありますけれども、JICA、あるいは踏み込んだ検査された検査院は、PCIの不正行為の動機について現時点でどのように分析されているのか、あるいは推測があればお伺いしたいと思います。
○諸澤治郎・会計検査院事務総局第一局長
現地での私どもの検査を通じてPCIがどのような動機でこういったことを行ったのかというお尋ねでございますが、なかなかそこまで踏み込んだ形でうまくお答えできるかどうか分かりませんけれども、私どもの報告書の中では、発生原因という観点からそういったことを整理していますので、ちょっとご説明をさせていただきたいと思います。
PCIにおきましては、再委託に関しまして、当初想定しておりました事情の変更に対応しましてJICAと協議して契約を変更するという、そういう必要があるわけですが、どうも現地では、その手続に時間が要するということを考えて、これを行わないで再委託契約書や領収書等を偽造して対応していたというように、私ども現地でそのように認識しております。そしてまた、PCIの本社でも、そういう現地における支払についてチェックする体制が確立していなかった。
一方、JICAにおきましては、再委託契約書の事前の審査であるとか承認、あるいは証憑等の審査、確認は行われていたんでございますが、実態はどうか、そういう実施状況についての実質的な把握が行われていなかった。そういったことがこういう手続をさせてしまった、私どもそういう認識で報告をまとめたものでございます。
○加藤敏幸 私はなかなか傾聴に値する報告ではないかと思っております。
そのように、やっぱり不正請求が発生したときに、その動機を、ある意味で洞察をするということかも分かりませんけれども、つまびらかにしていくプロセスの中で、発注する制度の方も改善できるところは改善をし、そういう不正請求の動機をなくしていくことも必要だと。不都合な状況に追い込んで、苦し紛れにそういうことをされて、また問題になって、ここで、国会で議論をして、お金をこういう費やしていくということ自体無駄なことですから。
そういうような意味で、今後、本体事業の適切な利益水準等について、物の考え方があるのか、最初から利益水準、ばっと利益を上げるとかそういうことじゃなくて、やっぱり契約行為の中で適切な利益の必要性ということもあると思うんで、そのあたりについてJICAのお答えを伺います。
○上田善久・国際協力機構(JICA)理事 先生ご指摘の不正を醸成しないような環境づくりということは私どももそのとおりだと思っておりまして、先ほどの検査院の局長のご発言の趣旨に従って、私どもも鋭意改善を考えております。
なお、事業費の支払に当たりましては、コンサルタントが投入した人件費や諸経費につきましては国交省基準を参考として、物件費につきましては実費支弁により適正に行っております。もちろん、当初契約締結後にいろいろな事情の変更があって、事業の内容の変更が余儀なくされる場合には、受注者と協議を行い、必要に応じて履行期間、業務内容の変更を行いまして、当然それに応じた支払金額の変更を行っていくと、こういうことで対応しております。
○加藤敏幸
これからも、私は、発注するシステムが持つ、あるこの画一性とか、そういうようなことも改めていけないと、現地は外国ですし、いろんな状況が違っているし、いろんなことが起こるということで、現地は現地の事情もあるということでありますので、更にご研究の方お願いをします。
5、ベトナムの橋梁崩壊事故の対応と責任の所在
○加藤敏幸 最後になりましたけれども、木村副大臣にも来ていただいていますけれども、一か月前の9月26日に、ベトナムにおいて我が国のODAによるカントー橋という建設現場で崩壊事故が起こったということは報道にあるとおりでございまして、死亡者は54名、負傷者80名というベトナム史上最悪の建設における大惨事になりました。ベトナム政府が今事故調査委員会を設置していろいろ調査を続けておりますけれども、いろいろと原因が推測、想定されているということでございます。
いずれにせよ、建設プロジェクトは日本の円借款を使った大規模ODA事業でありまして、私も2年前、ODA特別委員会の立場でベトナムの同様の橋を見させていただいたということで、私なりに思い入れもあるわけであります。
そこで、調査に行かれました木村副大臣に今日おいでいただきまして、事故調査の進展状況、今後の問題、補償の問題等、いろいろとありますので、ご報告をお願いしたいと思います。
○木村 仁・外務副大臣
ご指摘のような大事故によりまして、ベトナムの開発に大変支障を来しますとともに、我が国の信用にも大きな打撃を受けたものと思っております。
私は、事故現場に参りまして哀悼の意を表しますとともに、実態を調査するとともに、地元では市長に当たる方と県知事に当たる方に面接をしまして遺憾の意を表し、またズン・ベトナム首相と会いまして遺憾の意を表しますとともに、事業主体であります交通運輸大臣とお会いして今後の問題について検討をしてまいりました。
今後の工事の再開、補償、その他についてのすべての出発点は原因の究明でございますので、その点について協議をいたしましたが、ベトナム政府は、ベトナム政府自身の設置する国家事故調査委員会においてベトナム政府の責任と力において解明すると、そういうことを、強い意志の表明がありましたので、要請された専門家の派遣等をもって対応し、その行方を見守っているところでございます。近々中に、早急にその結論を出すということでありますので、その上に立って我が国もきちっと原因を究明したいと存じます。
補償につきましては、事故が起こりました9日後の10月4日に、コントラクター企業から当面のお見舞いとして90億ドン、6300万円が拠出されております。そのうち10億ドン、700万円が当面の死者及び負傷者に対するお見舞金でありまして、あと80億ドン、5700万円は残された70人の孤児の18歳までの養育費に対する補助の基金として積まれております。
本格的な責任に基づく補償は今後の問題でございますが、日本国政府としては、直接の事業者及び執行者でありませんので補償の根拠はないものと思いますが、関係企業におかれまして今後誠実な対応をし、ベトナムの法制に基づき、かつ世界レベルに対応する補償を行ってもらいたいと、このように見守っていきたいと考えております。
○加藤敏幸 原因の究明も含めまして適切な対応を要請をして、質問を終わりたいと思います。
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