○加藤敏幸 民主党・新緑風会・日本の加藤敏幸でございます。
福山議員に引き続きまして、決算にかかわり、これまでの政府の取られてきた施策、予算、使い方、あるいは現在進められている政策の在り方について、幾つか数点に絞って質問をさせていただきたいと思います。
1.規制改革と格差の拡がり
○加藤敏幸 最初に、格差問題について少し総理のお考えをご質問したいと思います。
この格差問題というのは、小泉総理の時代だったと思いますけれども、我が党の方から、格差が拡大するのではないかと、そのことについて質問をされたときに、格差拡大はないと。例えば、ジニ係数が大きくなっているということについても、高齢世帯の数が増えたので、それはそういう統計上の表れであって、また、ニートとかフリーターとか就業形態で不安定な方々が将来それが格差拡大につながるかも分からないというのが当時のお答えであったと聞いております。安倍内閣に移りまして、そういう問題について、特にフリーターの皆さん、ニートの皆さん対策として再チャレンジ政策ということでいろんな取組をおやりになったと、そういうことでございます。
しかし、あるなしという論議を超えて、現実に所得の格差であるとか、あるいは社会制度を甘受するというそういう立場、これも随分差が出てくる、また中央と地方の格差も随分広まっている。その議論はさきの参議院選挙のやっぱり結果につながってきた、こういうふうに受け止めております。
規制緩和や構造改革ということは、ちょうど10年前の橋本内閣時代からいろいろ大きく議論がなされ政策が展開されてきた。こういうことでございますけれど、低所得者層が拡大し、生活保護世帯も増え続けている。不安定雇用に就く人々の割合も急増している。ワーキングプアということがもう既に政府の方から、およそ1200万弱でございましたか、所得200万円以下の年収と、そういう話も出ているということでございまして、医療の問題、経済の問題、地域というものが随分ある意味で悲惨な状況に今陥りつつあって、そういう悲鳴が聞こえてきているということであります。
そこで、福田総理は、総理になられて何回かのインタビューあるいはこういう質問の中で格差是正ということも声として上げられたと思いますし、また自立と共生と、こういうふうなこともお話しになられたので、今日冒頭、格差の是正に対する総理のお考えと、特に共生ということはどういう意味を込められて、思いを込められているのか、まずお伺いしたいと思います。
○福田康夫・内閣総理大臣 そもそも我が国は、我が国の現状を見てみますと、現状、それから将来を展望して考えた場合に、やはり高齢化、これはもう避けられない。同時に、人口減少も起こってきている。そしてまた、日本を取り巻く環境も変わっているんですね。アジアの発展、日本はそれに引換え割合とゆっくりと歩んでいるというようなことでございまして、そういう変化があります。
そういう変化を背景として、そしてまたグローバリゼーションといったようなこともございますけれども、そういうような状況の変化の中で我が国の社会構造もだんだん変わっていくということは、これは必然だと思うんですよ。しかし、そういう中で、今委員がおっしゃる格差が大きくなるということが、これが果たしていいのかどうかということは、これは当然、我々として、政治家として考えなければいけない問題だというふうに思っております。
そういう場合に、例えば、高齢者と若者の比率が変わってくる、そうすると、その高齢者を支える仕組みをどうやって構築していくかということももちろん大事でございますけれども、その反面、若者が負担が大きくなり過ぎては大変だと、こういうふうなこともかねがね指摘されているわけであります。また、格差というようなことでこの数年顕著なことに、非正規雇用化が進展したということもございました。また、大企業と中小企業の格差も大きいじゃないかと、こういうふうなことも言われておるわけであります。また、都市と地方の問題も、これも看過し得ないと、こういうふうなことでございまして、そういうことはいわゆる改革の中で起こったこともありますけれども、同時に、ただいま申し上げましたような経済社会の変化の中で自然に発生したと、自然の流れの中で発生したということもあろうかと思います。ですから、それはそれで放置しておいてよいのかどうか、これは今ここでもって踏みとどまって考えなければいけないときじゃないかというように思います。
私は、やはり日本の、昔日本国はすべて中流社会というか、中流の意識を持つ人が圧倒的に多いというように言われてきた。しかし、今意識調査しますと、そういう傾向は続いておりますけれども、しかし、若干やはり格差があるんじゃないかといったようなことも言われるようになってきておりますので、その辺を、将来を展望した場合にこのまま放置しておいてよいかどうかということで、その対応を我々としても今具体的な政策として実行を始めていると、こういうような状況になっております。
そういう中で大事なことは、自立は大事なんです。これはもう家庭の中にあっても自立ということは大事でございますけれども、同時に、家庭の中にあったって共生ということはありますね。家庭の中でお年寄りとそれから若い者と、それが支え合うという共生というこの言葉は、これは日本の昔からの伝統でありますけれども、そういうことはできるだけしなければいけないと。しかし、それで家庭が崩壊するような若しくは支障があるというときには、これはそれなりに社会でそれを支える仕組みをつくっていかなければいけないということは言えるわけであります。
また、地方と都市の関係も、やはり各地方自治体、自立の精神大事ですけれども、しかし、構造的な変化に対応できないようなところに対しては、やはり共生の概念で周りでもって支え合うということも考えていかないとこれからの社会はうまく回っていかないんじゃないかというように考えます。そういうことは大企業、中小企業の間にもありますし、あらゆる分野においてそういう問題は発生するんだと思います。
国際社会においても、やっぱり日本は力があるからほかの国を支えるという役割を今はやっておりますけれども、やはりそういう考え方がこれから必要だし、また環境問題取ってもこれは一国だけでどうこうするわけにいかない。自立も必要だけれどもやはり皆で協力し合う、こういう精神が大事なわけで、地球全体見て自立共生ということはこれほど大事なときはないんじゃないかなと、こう思っておるところでございます。
○加藤敏幸 総論としてはそういうことなので、総理の言っている言葉の中に間違っていることは一つもないと、私はそう思うわけです。ただ、大変厳しい状況の中で国民のいろんな立場の人が声を上げているときに、内閣というのはやっぱり一つ一つの具体政策の中でそれを処理をしていく、対策を打っていくと、私はそういうことを、またそういうリーダーシップを求められているんだと、このように考えるわけであります。
まあ、やや説明がされたかなという状況ですけれども、具体論で今からちょっと少しこの格差の問題で話を進めさせていただきます。
特に、地域間格差の中で今焦眉の急になっているのは、やはり地方、特に医療問題というのが出てきております。これは皆さん方も地方に行ったときに、お医者さんが消えてしまったとかいなくなったとか、2年前までは20人いた内科医が10人になったとか、さらに8人になりそうだという話は山のように聞いておられると思うんですよね。私も田舎の母親から聞きます。「県立病院の診療科がのうなってえらいしんどいことになったんじゃ」こういう声をあちこちから聞こえるわけですね。
そこで、まず舛添厚労大臣に、この医師不足を中心とした地域、地方の医療の現状についてどのように今認識されておるか、そこをお答えください。
○舛添要一・厚生労働大臣 この格差の問題の最大の問題の一つが、今委員ご指摘にあった医療の格差だというように思います。そして、全国各地私も歩きまして、一番皆さん方から不満を訴えられるのは医師不足、そしてまた病院の診療科が閉鎖されている、何とかしてくれと、こういう状況をきちんと認識しております。
○加藤敏幸 別に大臣の答弁を代わりに補足する気はございませんけれども、やや分かりやすくパネルを作らせていただきました。(資料提示--パネル@)

一つは、1986年の医学部の定員削減。これは旧厚生省が10%削減方針を出している。医師を増やせば医療費も増える、だから医者増やすんじゃなくて、減らそうじゃないかという、もう極めて単純、分かりやすいといえば分かりやすいんですけれどもね。その後、診療報酬を段階的に引き下げて、言わば各病院経営が圧迫されてきたと。ここに書いている2002年には2.7%、4年が1.05%、6年が3.16%と。それから三つ目は、研修医制度の改革。これはいわゆる医局改革と言われています。封建的な医局、医学部の先生との師弟関係を改善しようではないかという目的であったわけですけれども、結果として地方病院への若手医師派遣が難しくなってきた。先生があっち行けこっち行けと言っても、皆、いや私は好きなところへ行かせてもらいますというのが現状。それはいいことか悪いことかはともかくそういうことが起こってきた。それから四つ目が大学病院の独立行政法人化。これは国公立大学病院が地方派遣医師を引き揚げる、こういう現象を生んでいる。言わばこういう複合的な原因によって現状の困難が生み出されていると、こういうふうなことであります。これが今の現状であり、その原因であるということであります。
そこで、舛添大臣、問題はこれ以上傷口を増やさずにどう対応していくのかということだと思うんですよね。だから、そこは担当大臣、こういう原因があって現状があるということの中でどうされるのか、お答えください。
○舛添要一・厚生労働大臣 今そのパネルで委員がご指摘になったこともそのとおりでございますし、例えば、福島県の大野病院で産婦人科のお医者さんが医療ミスだということで逮捕される、それ以来産婦人科の数が激減していますね。つまり、訴訟リスクへの対応というのも一つ大きな問題です。
それから、産婦人科、小児科については、女性の医師の比率が非常に高くなった。その女性のお医者さんが自ら出産、子育てなさるときの対応もやらないといけない。例えば、今の問題について言うと、女性医師バンクをつくるとか、保育所をつくるとか、そういうことができると思います。
それから、これは今年の5月に政府・与党の緊急医師対策をやりまして、特に、やっぱり診療報酬引下げによる経営圧迫というのはありますけれども、とりわけ勤務医の皆さん方が非常に過剰な労働を迫られる。ですから、そういうことを含めて、診療報酬を使ってこの状況を改善しようと、これも一つでございます。それから、採算が取れないというようなことの病院もありますからこれも支援する。
そして、最初のその医学部の定員削減なんですけれども、お医者さんの養成は10年掛かります。ですから、今から養成して10年後と。そうすると、例えば歯科医のようにこれは数が増え過ぎている問題もある。私は小まめにこういうことを見直していく必要があると思います。
そして、その訴訟リスクについては、一つは無過失補償制度、ノーフォールトというものを入れる、既に動き始めております。それから、死因の究明、裁判官の調停制度、こういうことについても制度化をしたいというふうに思っています。
ただ、この緊急医師対策、今年の5月ですけれども、私はそれを超えて、実を言うと、長期的にどういう医療システムにするのかということがないと、じゃ、医師は増やした方がいいのか、今医師を増やせば医療費は増える、これ実は間違いだったと、私は、そのこと自体ではなくて、医師を抑制したけど医療費は減っていません、正確に言えば。そういうことも含めて、どれぐらいのお医者さんがいて、どういう医療体制でやるのかと、この長期ビジョンをつくった上でないと個々の政策も生きないと思いますので、近々に私の下に直属の諮問委員会をつくってそういう医療システムの長期体制も考える。そして、今年の5月の政府・与党のこの一連の緊急医師対策に基づいてきちんとした対応を短期的にも、直近の問題についても取っていきたいと、そしてそれを実行しているところでございます。
○加藤敏幸 やってください。これは国民の声を代表して早くやってくださいと、もうこれは言うしかないんです。
それから、医療の問題は医療サービスを受ける側の困窮という問題は実はあるんです。これはこの後に置いておきまして、その前に。
私は福田総理にお伺いしたいんですけれども、やっぱりこの10年、改革という言葉がある種のパラダイムだったと思うんですよね。改革がすべて悪くてこういう窮状が出たのではないという今の答弁ありましたけれども、しかしやっぱりやってきたことが今の惨状を生んでいるというのも事実であるわけです。
この規制改革、この話が出てきたときに、10年前にいろんな議論があったんですけれども、例えば社会的規制と経済的規制、金融制度とかなんとかの経済的規制については大いに緩和しようと、しかし社会的規制だとか労働規制だとか、そういうふうに規制すべき理由が別にあるということについては慎重にという声もあったんですけれども、結果として、例えばタクシーの参入が自由化された。そのときの議論というのは、サービスが向上してタクシー運賃が下がる、あるいは上がらないから国民にとってはプラスなんだと、そういう説明の中でずっとやってきて、結果は値上げなんですよ。
こういうことを考えたときに、やっぱり経済的規制、社会的規制とかいろいろ理屈をきちっと整理をして私は対応すべきであったということから、ひとつ総理にお伺いしたいのは、規制改革会議と経済財政諮問会議、このメンバーの方々の日ごろの物の考え方、それを全部お伺いをすると、共生という概念とはほど遠い新自由主義的、そういうふうな考え方をお持ちの方が随分多いと思います。
そこで、率直にお伺いしますけれども、総理自身、やっぱり政策のある種の転換をしなきゃいけないという思いで共生ということを言われているならば、ブレーンである経済財政諮問会議あるいは規制改革会議等のメンバーについてどうされるのか、そういうことのお考えがあるのか、ここをお伺いしたいと思います。
○福田康夫・内閣総理大臣 その規制改革会議とか諮問会議とかいうようなこともございますけれども、先ほどの医師の数の問題とかいうご提起ございました。こういうのはその時々の政策判断ということで行われるわけでありまして、その政策判断がどういう影響を将来及ぼすかということについては、良い影響を及ぼすだろうということで当然ながら判断している。しかし、それがそうでないというときもあるんだろうと思いますよ。ですから、それが誤ったという、若しくは社会情勢の変化などによって適応しなくなったというのであれば、それはそのときまた修正する必要は当然あるだろうというように思いますから、すべて過去に決めたことがいいと、ずっと続くんだというわけではないということだと思います。
それからまた、規制改革会議それから経済財政諮問会議というものがございますんですけれども、こういう会議はそこで提議をしていただきますけれども、その実行に当たりましては閣議決定をするというようなことでもって内閣が責任を持つわけですね。ですから、これは構成する委員の問題とかそういうことではなくて、やはり内閣の責任ということにおいて実施されるわけでありますので、内閣の責任は極めて重要だというように思っております。
○加藤敏幸 ある意味で内閣総理大臣のスタイル、リーダーシップの発揮の仕方とも非常に関係してくる内容だというふうに思います。ただいまの答弁、中身はおおむね私が大体そういう方向になるべきだなという方向だと思いますので、次に質問を移らせていただきたいと思います。
医療問題は、実はもう一つ、医療を受ける側の人たちが保険が買えないと、非常に貧しくてそういう状況があるということが実はあるわけでして、そこで、少しこの医療を受ける側の経済状況ということで考えてみたいんですけれども、格差問題のときにこういうことがありました。成功した人をうらやむという意味での格差問題、議論すべきじゃないと、これはこれで正しいんですよ。だけど問題は、成功していない人たちの問題として、例えばワーキングプアというのはどういう定義でされるのか分かりませんけれども、年収200万の人たちが1千万人以上おられ、かつ、この人たちについては雇用が不安定だと。
そこで私、申し上げたいんです。格差問題は何も年収1千万円の人と1億円の人との格差が拡大したということを議論しておったわけじゃないんですよ。もっともっと下の年収200万円で子供を産み育てられるの?――この現実がやっぱり日本の社会に大きな問題としてあるんでしょうと。
それから保険、国民健康保険が払えないから市役所から資格証明書をもらって、資格証明書をもらって病院に行ったら今まで滞納分を払わなければ診察できませんというこの現状の中で、私が申し上げたいのは、日本では1965年、昭和40年までいわゆる貧困調査というのが行われてきました。この調査は厚生行政基礎調査における低消費水準世帯の調査であったけれども、なぜか昭和41年から打ち切られたということでございます。
ご存じのように欧米諸国は、何でもかんでも欧米を出すと「欧米か?」と、こう言われるんですけれども、アメリカは自由主義政権であろうと何であろうと貧困撲滅、これを大切にしておりまして、商務省がアメリカにおいては、家計に関する国税調査を定期的に行い、貧困ラインの定義付けを基に貧困層の実態把握をしている。また、アメリカの住宅都市開発省も、ホームレスに関する年次報告をきちんと出してホームレスに関する詳細な実態を分析をしている。新自由主義経済でばんばんやっておるはずのアメリカが、やっぱり貧困問題は正面にとらえていると、こういうことでございます。
我が国では、家計調査あるいは厚生省が5年に一度母子家庭調査と、こういうのをされていますけれども、それと貧困ということとは私は性格がやっぱり違うんではないかと。そういうふうな意味で、格差問題ではなくて貧困問題を今正面に据えなきゃならない、そしていろんな施策を打っていかないかぬ、そのためには私は、我が国における貧困、一体何なんだと、その定義とか現実、実態を調査する必要があるのではないでしょうか。
ということで、これはだれが答えていただけますか・・・、厚生労働大臣。
○舛添要一・厚生労働大臣 実は、加藤委員と私、全く同じ問題意識を持っていまして、奈良県の妊産婦のいわゆるたらい回しで赤ちゃんが亡くなるという件。この方がどうであったかどうかは個人情報にもかかわりますから分かりませんが、一回も産婦人科に行ったことないと、健診受けたことない。それで急に救急車呼んで、救急隊員も、おなか痛いって、どこか分からないと。ですから、是非皆さん健診を受けてください。
ところが、これは病気じゃありませんから、健診料が1万円なりなんなり掛かります。それで、今五回まで無料にできる。ところが、これ全国利用率が2.8回なんですね。秋田県なんか県のご努力で十回までやる、十回やれば相当いいと思います。本当は13回ぐらいやればいいと思うんです。ですから、正に今の医療体制の問題の根底に、お金がないから産婦人科に掛かれないと、こういう問題がありますよということの認識はございます。
それで、さて調査ですけれども、実は高度経済成長の前まではやっぱり非常に貧困というのは大きな問題でしたから、国民生活の基礎調査はずっと行ってきた中で、その中から貧困問題、浮き上がらせてきたと。だから調査自体ずっと行っていまして、調査のデータは、基礎調査があったり消費生活のデータがあったり、今母子家庭云々とございましたが、いろんなデータがあるので、そこから貧困の実態というのは浮かび上がらせることができると思いますし、私のかつての同僚のこの問題を研究している先生方も基本的にそういう調査から貧困とはこういうものだと出していますので、データはきちんとあります。それをどういう形で活用していくかということで基本的な問題意識をともにいたしますので、そのデータの活用を更に図りたいというふうに思います。
○加藤敏幸 データがあるなら出していただいてこれは議論をしたらいいんですけれども、ただ、構えとして、私は貧困問題という定義あるいはそういう概念でこの現状をやっぱり受け止めていくと、そういうことの中で私は与野党議論していける土俵もあるんじゃないかと、こういうように思いますけれども、いま一度、総理、ご感想も含めて。
○福田康夫・内閣総理大臣 そのように思います。
○加藤敏幸 そのように思うということですから、そういうふうに思わさせていただきたい、と思います。
2.改正建築基準法の施行と建築着工の落ち込み
○加藤敏幸 さて、次に建築基準法の改正、住宅着工の落ち込みについてご質問いたします。パネルをお願いします。(資料提示--パネルA)

これがここ1年間の新設住宅着工の現状です。6月の20日、この新しい改正基準法が施行されました。それ以降、総計としてもこれだけの落ち込みが、また、特にマンションにつきましてはこれだけの落ち込み、ひどいときは74%落ち込んでいるというこの現状があるわけでございます。
これは、建築確認手続の厳格化を目指した、そういうふうなことから、あるいは大幅な審査期間の延びなど建築確認業務が停滞したということであり、マスコミにも大きく取り上げられましたし、関係業界、非常にすそ野が広いですから、悲鳴を上げておるということでございます。
まず最初に、経済担当大臣、こういうふうな状況がどういうふうになっているのか、経済、GDPの成長に与える影響等についてお話をいただきたいと思います。
○大田弘子・経済財政政策担当大臣 ご指摘のように、新設住宅着工、大幅に減少しております。住宅に加えまして、工場ですとかオフィスビルといった建築系の設備投資につきましても、先行指標を見ますと7月以降落ちております。GDP統計上はこの建築投資というのは工事の進捗ベースでカウントされますので、この着工の遅れは今後、当分の間、しばらくの間、GDPを押し下げる方向に働くと考えております。
先週金曜日に、7―9月期GDPの第二次速報を発表いたしました。これでは民間住宅投資は実質で前期比7.9%減となりまして、GDP全体で0.3%押し下げに寄与しております。この影響で、建築資材の生産、出荷、こういったところにも影響が出ていると聞いております。
今、景気全体の認識としましては、基調には変化はなく回復が続いていると見ておりますけれども、今後、アメリカ経済、原油価格の動向と併せて、この住宅投資の動向というのは十分注視してまいりたいと考えております。
○加藤敏幸 それでは次に、国交大臣に、かかる事態、どういう経過でこうなったのかということをご説明いただきたいと思います。
○冬柴鐵三・国土交通大臣 一昨年の暮れに、我々驚天動地と申しますか、驚くべき事件が起こりました。これが姉歯事件でございます。一級建築士が設計したマンション等が耐震強度が不足して、震度五程度でも倒壊するというような驚くべき結果が発表されまして、マンション業界を始め一般の不動産業界にも大きな影響を与えたわけでありまして、直ちにこれに対する対抗として、二度と再びこのようなことが起こらないように、そしてまた、一般の消費者の方々に不安を与えないように、そしてもっと深刻なのは、そのようなマンションを買った人は住宅ローンをほとんどの方が組んでおられるわけです。それが、次また新しいものを求めるためにはダブルローンを組まなきゃならないと、これはもうとてもできないようなことが起こるわけでして、そういうものを受けて、国土交通省としましては三つの手を打とうとしました。
一つは、建築基準法を改正をいたしまして、このようなことが起こらないように二重にチェックをしよう、ダブルチェックをしようということが一つです。
それから二つ目は、建築士、まあ100万人ぐらいいらっしゃるわけでございますが、その中で、構造計算等も最近の建物は非常にボリュームが大きくなっています。60mを超えるような建物もあるわけでして、だれでもできるようなものではありません。したがいまして、そういうものに特化した構造計算についての専門家である一級建築士、それから5千uを超えるような床面積の設備を行うためには設備設計一級建築士という人たちをつくり、かつですね、かつ、もう下請が何重にもやられていた、だれがこれを書いたのか、計算したのか分からないような状況もあった。したがって、そういう面についても、関与した建築士はすべての図書に署名をしていただいて、そしてそれをユーザーには告知しなきゃならないような手を打ちました。
そして三つ目は、ダブルローンにならないように10年間の瑕疵担保を担保するということをしました。このような法制は大きな改革を伴いましたので、昨年の6月21日施行されましたけれども、その日から1年以内にこの改正された法律を施行するようにということで、今年の6月20日に施行されたわけですが、今までは申請があれば21日以内に確認をしなきゃならないというものを、こういう大きなものについては70日まで延ばしたわけです。したがいまして、建築確認申請から確認が、いわゆるダブルチェックも受けた確認が下りるまでは相当な時間が掛かってしまって、これが今、大田大臣もおっしゃるように、大きくこれが落ち込み、その表のとおりでございます、落ち込みました。
そういうことで、ただ10月になりますと、6月20日に施行されまして、9月までは落ち込みましたけれども、10月になりますと住宅着工は9月と比較して22.1%増えました。また、建築確認も着実に改善しつつありまして、9月に比較いたしまして25.5%増えるということで、ただ構造計算が必要な非常に複雑な大きな建物については、いまだ十分とは言えません。
したがいまして、こういうものに対しては今まで五度にわたっていろんな扱いについて規則の改正とかもいたしました。けれども、十分ではないということで、先週、追加の取組として中小建設業者、大工、工務店等に対して面談方式で確認申請の相談に応じるサポーターセンターの設置を決めました。各都道府県に全部設置をいたします。
それから、審査機関と建築設計団体から成る協議機関を設定をいたします。そして、現在そのダブルチェックは二人の判定員が審査することにしておりますけれども、単純と申しますか、そして小規模な物件につきましては一人の判定員と一級建築士の資格を持った補助者一人でやっていただくという形で、この点も合理化をしようということにしております。
それからもう一つは、そういうことで遅れますと、中小企業の建築業者、それからまた資材提供する方、あるいは宅地建物取引業者等々、非常に幅広い業種で売上げが落ちるわけでございまして、また、建築確認が済んでも北海道とか東北のような雪が今降るところでは現実の着工ができない。そういうことから資金繰りに心配がありますので、私どもは早い時期から中小企業信用、まあ経済産業省の中小企業庁等とご協力を願いまして、政府系金融における手厚い融資、低利融資、そして長期で2年間据置きというようなものとか借換え融資をやっておりますし、それから中小企業信用保証協会による別枠保証業務も行っております。
そういうことで、本当に私はご迷惑を掛けておると思いますが、何とかこれが経済全体に影響を及ぼさないような一過性のもので、再びこういうふらちな人が出ないような、安全、安心な制度を構築するために頑張ってまいりたいと思っております。
○加藤敏幸 対策の方は、特に中小零細の方々含めて私はきめ細かにお願いをしたいと思いますけれども、少し、ちょっとパネルを。(資料提示--パネルB)

国民の皆さん方はちょっと分かりにくかったと思うんですけれども、これが時系列的に整理したものなんです。姉歯事件がすべての発端であったと。だから、やっぱりしっかりチェックをせなあかんなと、ぱらぱらぱらと、建築確認、見ていないじゃないかとか、こういうことであったんですけれども、2006年6月14日に改正建築基準法、建築士法を成立させて、ちょうど1年、約1年後の6月20日を施行日にしたわけですね。問題は、6月20日同日、構造関係・技術的助言に関する告示が同じ日であり、8月10日、建築物の構造関係技術基準解説書がこの日になる、9月に実務者向け講習会が行われ、11月にはちょっと問題が起こってきたということで、緩和措置に関する施行規則が出されたと、こういうことなんです。
問題は、現時点でも新基準の大臣認定構造計算プログラムはまだできていないんです。この前、12月にはできるという話だったんですけれども、まだできていないし、構造審査の判定員も不足しているという状況です。
私は、厳格化するのは必要だったし、この法改正について、私も国土交通委員会のメンバーでしたから、北側大臣、冬柴大臣、二代続いて真剣に議論をさせていただいたし、やっぱり大切なことだったと思うんです。ただ、問題は、この技術基準をやっぱりもっと早く提示しないと、多くの人はやっぱりウエーティングになるわけですよね。設備投資なんかも実は新しい建築計画のときにそれがストップになっているという現状があるわけなんです。大変言葉はきついんですけれども、この辺のところは「官庁発のやっぱり不況原因になる」こうやっぱり言われてもしようがないなと。
だから、私は、担当省庁としてこの仕事の進捗についてやっぱりもっとしっかりと督励すべきであったと思うし、ただ、この姉歯事件というびっくりするような事件が起こって、関係部署が相当厳しい仕事の状態であったということも私は実は聞き及んでいるわけですから、一概にその部署だけが怠慢だったとか、そういうことではないと思います。不眠不休頑張られたことはあるんですけれども、しかし全体の内閣の日程管理として、これから先ですよ、これから先、こういう事例は緊急を要するとともに、もう少しきめの細かい対応というふうなことが教訓として残るんではないかと、こういう思いますけれども、担当大臣のその辺のところの見解を簡単にお願いいたしまして、また、景気への対策を含めていろいろな問題があると思いますので、総理のご所見もいただきたいと。
○冬柴鐵三・国土交通大臣 弁解がましくなるからまた簡略にいたしますけれども、この大きな法律を施行するためには、政省令4本を施行し、しかも告示も2本やっておりますが、こういうものを出すためには、常に学者の意見を聴き、委員会の審議を経て、パブリックコメントというものが行政手続法によって1か月、市民の声を聴けということになっています。そういうことでずうっと重ねてやってきたわけでございますが、いずれにいたしましても、結果はそのように落ち込んでいるわけでございます。
今何とかこれを持ち直して、二度と再びこういうことにならないように、これは一過性のもので、そして抜本的改革が成功するように頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
○加藤敏幸 また総理でいいですか。
○福田康夫・内閣総理大臣 あの姉歯事件というのは本当に大きな事件だったと思います。で、それの、その対応をしたわけですね。それは国民の安全、安心という観点から欠くことはできないことでございますんで、そのこと自身は良かった。委員もそのとおりだというふうにおっしゃっておられますけれども、全くそのとおりでございまして、それで、ただ、そういう、この改正建築基準法、この法律が変えた後の手続をどうしたらば国民生活若しくは建築そのものに影響を与えないかということについての配慮が若干遅れたかなというようには思っています。そういううらみは残しますけれども、しかしこのことによって安全、安心を確保できるということは大きな進歩だというふうに思いますし、そうあらなければいけないということであります。
まあこれ、この新しい法律を緩やかに運用せいなんという話になったらば、それこそまた将来の禍根を残すということでございますから、ここのところは辛抱どころだというように思います。ただ、若干のそういう準備遅れがあったということについては、これはその私どもにも責任があると思いますので、担当部署においてしっかりと対応策をきめ細かくしてまいりたいと思っております。
3.ものづくり教育のあり方について
○加藤敏幸 それでは次に、ものづくり教育ということで、少し視点を変えて質問をさせていただきたいと思います。
では、パネルをお願いします。(資料提示--パネルC)

実は、昨年6月、同じ決算委員会で、小泉総理のときでしたけれども、物づくり教育の中で、技能五輪、ユニバーサル技能五輪が静岡で来年開催されるので、文部科学大臣に小学生、中学生、高校生のいわゆる修学先として経験させたらどうかということを提言させていただきまして・・・行ってまいりました。
これがそのときの写真です。多くの小学生、中学生、高校生がユニバーサル五輪、これを、技能五輪、熱心に見ておられましたね。巡回するところをもうかぶりつきで動かないんですね。非常に私は成功したというふうに思います。
少し時間の関係がございますので若干質問を早めさせていただきますけれども、取った金メダルも一番多かったということで、やっぱりなかなか捨てたものではないなと、こういうふうな感想を持ったわけでありますけれども。
私は、なぜ小学生、中学生、高校生にこういうものづくりの世界の一番トップレベルを見てほしいと言うのかというと、やはり子供たちにとって職業を、職業像、勤労観、職業観、あるいは自分の進路と、こういうのを具体的に体験する場が非常に少なくなっているという。つまり、職というものに対するきっかけがなかなかうまい具合に小さいときにできていない。だから、非常に自分が勉強するにしても、何で勉強するのかという動機のところがうまく体験的に形成できていないという嫌いが過去あったということでございました。なかなかこれは子供たちの進路をどうしていくかということ、そしてその職業に対する思いが、例えばニートとか、そういうふうな職業観によってなされているいろんな問題への対策というふうなことにつながるのではないかと、このような思いもあったわけであります。
そこで、まず舛添大臣に、こういうことでうまくいったんですけれども、じゃ職業教育とかものづくり教育とか、こういうことを、これ良かったけれども、一過性に終わらせちゃいかぬわけですよね。毎年、日本でやるわけにはいかぬ、そうすると、こういう成功したことをどう持続させて政策につなげていくのかというところをお伺いしたいと思います。
○舛添要一・厚生労働大臣 私も静岡へ行ってまいりました。それで、技能五輪とともに、アビリンピックといって障害者の方々の技能五輪も行われ、もう金メダル、アビリンピックは12個でしたか、それから技能五輪が16個。それでもう現場見て、これ物すごい人で、30万人を超えて、予想をはるかに超えると。今写真お見せいただいたように、本当に子供たちが目輝かして見ていますね。それで、例えば静岡の左官で堀さんとおっしゃる方が、女性なんですけれども、この方もすばらしい技能を持って銀メダルを取られた。
ただ、一過性に終わらしちゃいけないという意味で、やっぱり物づくりの大切さ、こういう物づくりはどうなんだということでありますから、この物づくりを含めて雇用・能力開発機構、これはスパウザ小田原で随分評判を落としてありますが、こういう問題はきちんとこれは対処する。
私のしごと館というのが関西にありますけれども、これはやっぱり赤字体質であるとか、それからいろんな、運営が非効率である、こういうのは徹底的にメスを入れないといけないと思いますけれども、実を言うと、その技能五輪を支えたのはその雇用・能力開発機構で教えている先生たちであって、いろんなその下支えをさせていただきました。
ですから、いいところはいい、しかし、この効率化のところはきちんと効率化でメスを入れないといけない。そして、私のしごと館、これはいろいろ評判が悪い。キッザニアという子供たちの豊洲にあるのに比べると面白くもない、まあ値段ははるかに安いですけれども、入場料。こういう問題点がありますから、これは少し国民的な議論をきちんとして、物づくりの大切さ、そういうことを常に教える場所の必要性は必要として考え、しかし効率的な運営、そういうことを、経営という観点をどうするか、そういうことも含めた上できちんと議論をしてまいりたいというふうに思っております。
○加藤敏幸 次に用意いたしましたパネルは、これも実は去年の6月の決算委員会で使ったものと全く同じなんですね。(資料提示--パネルD)

これは、企業内教育訓練の実施状況で、これ従業員の調査なんです。企業にやったかやらなかったかという、そういうんじゃなくて、受けた側、その従業員の皆さん方に聞いた調査でございまして、ご案内のとおり、1998年以降、企業内の訓練というのは、実施状況はがくっと落ちているわけです。
これは、なかなか企業内でお金を掛けられないという状況がある、まして中小企業の皆さん方は、背に腹は代えられないということで長らくものづくりを含めてオン・ザ・ジョブ・トレーニング、これ会社の中でやってきたことができなくなったというのが現状なんですよね。それはどこが受皿になるのと、こういったときに、社会的な、社会化された職業能力開発というものがやっぱり大きな役割を持つんですねと、私はこういうふうに考えるし、そのことを今言われた、どうも私のしごと館は評判が悪いし能率が悪いし、今いろいろ言われたということですからそれは改善していただくにしても、その目的があって必要性がある。方法がまずかったと。
だから目的も全部なしにするということでは、これどうにもならないんじゃないかと。方法論は方法論としてどうするかということと同時に、目的が必要なら的確に、私は、こういう仕事とそれからものづくり、能力開発、学校教育も含めて問題があろうかと思いますけれども、その点、やっぱり方策を打つべきじゃないですか。
○舛添要一・厚生労働大臣 先般、私も渡辺大臣も、日にちは別ですが、雇用・能力開発機構のそういう職業訓練の場を見てまいりました。今委員がその図でお示しになったように、例えばトヨタのような大企業は自ら訓練するシステムも持っております。しかし、中小企業、圧倒的にそういうシステムがないし、しかも減ってきている。そういう中で、きちんと職業訓練を行うということは必要ですし、非常に若者が喜んで生き生きとやっている。それから、技術の分野によっては100%の就職率で、それから採用した企業からも喜ばれている、そういう面があります。
ただ、これを例えば外注して、アウトソーシングでやれるものなのかどうなのか。やはり、効率化はやらないといけない。しかし、理念としてきちんとやっている。それから、離職者、つまり失業者の訓練というのもそこでやっていますので、そういうことのプラスマイナスを含めてきちんと議論をした上で、この問題についても大きな理想は私は間違っていないと思います、しかし効率化というこの命題にも取り組んでいきたい、そういうふうに思っております。
○加藤敏幸 時間の方の関係がございますので、実は学校教育において、こういう職業教育も含めてその充実化をどう図っていくのか。インターンシップだとかいろいろありますので、そういう工夫はされておるということで、文科大臣にも質問を用意しておったんですけれども、大変申し訳ないんですけれども、これから是非そういう教育の、学校教育の場も充実をさせていただきたい。
それから最後に、私は、大臣の方から私のしごと館の話が随分説明されたんですけれども、あれはまるっきり全部税金かと聞いたら、雇用保険の、それも三事業で、事業主だけに負担をしていただいているということで運営をされていると、こういうことでもあったというふうに思います。
したがって、そのよって来る財源との関係も大きなテーマですので、何ですか、白か黒か、あるかないかという、そういうナタを振り回すような議論ではなくて、もう少し細かな議論を、それが国民から分かるように、昔見た「抵抗勢力劇場」みたいなそういうことではなくて、私は、やっぱり一つ一つ細かな議論をしていただかないと、結果的に、何か大きな改革をしたけれども、後でまた修正を何回もせないかぬと、その修正のためのコストが随分掛かってしまうと。
これは、決算委員会としては、改革をする、それを決めたけれども、それは後で問題が出てきた、それを修正するための費用の方がはるかに掛かるということでは、これ何をやっておるんだということになりますので、大変今内閣の中で議論が様々あるようですけれども、その辺のところはより正確できめ細かな、そして国民に分かりやすい議論をやっていただきたいということを要請申し上げまして、時間になりましたので終わります。ありがとうございました。 |