研究会抄録

第193回国会を終え、次の飛躍に向けて

講師:参議院議員 榛葉賀津也氏 (民進党参議院国会対策委員長)

場所:参議院議員会館(榛葉議員室)

 第193国会は去る6月18日閉会しました。1強多弱と揶揄される政治状況の中、順調な国会運営が予想されましたが、文部科学省元幹部の天下り、防衛省南スーダン日報、さらに森友学園への国有地格安売却問題など不祥事ともいえる疑惑が発生し、また総理夫妻のかかわりへの指摘に対する反応が更なる疑念を呼び、加えて加計学園問題へ類焼し、その消火が困難な波乱国会になりました。また重要法案の「組織犯罪処罰法」の質疑では安定性を欠く金田法相の答弁など国民の理解を得るには程遠く都議選への悪影響遮断のため会期延長なしに閉会を思案する中、参議院では「組織犯罪処罰法」を中間報告を持って本会議にて可決するなど、姑息な対応に走り国民不在との非難を受ける不本意国会となりました。  今回、生々しい舞台裏に焦点を合わせるのではなく、そのような事態にあっても冷静さと熱意をもって参議院の明日を切り開こうと日々努力を重ねてきた榛葉国対委員長の現実的理想をお聞きしました。(今回はインタビュー形式のウェブ講座といたします。)2017年6月28日(聞き手 加藤敏幸 写真 荻原浩良 事務局 中堤康方)
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通常国会を終え見えてきた1強終わりの始まり

【加藤】  「通常国会を終え、次の飛躍に向けて」が今回のテーマです。民進党参議院国対委員長として今国会を一言で表現すればどんな言葉になるでしょうか。

【榛葉】  (20012年12月に)第2次安倍内閣が始まって、しばらく1強の政治が続いていました。私は今回3回目(2013年9月から2014年8月、2014年9月から2015年8月、2016年9月から現在)の国対委員長です。この間、特定秘密保護法、安保法(安全保障関連法)、カジノ法(IR推進法)そして共謀罪(組織的犯罪処罰法改正)と難しい局面がありました。なかなかこの1強に対してどう手を打つかという暗中模索の日々が続きました。が、今国会から少し流れが変わって、1強の終わりの始まりが見えてきた国会だったと思います。安倍さんの驕りというか、ぼろが出始めて、どんなに強い政権にも必ず終わりが来ますがその兆しが少し見え始めたのかなと思います。

 これは、残念ながら野党が強くなって崩れ始めたのではなく、政権みずから瓦解が少し始まっている。1つは自民党内でのきしみ。それからもう1つは、自公連立が今まで長くうまく機能していましたが、この自公の間にも相当すき間風が吹いているように見えます。加えて政治と官僚。自民党とそれを支えてきた官僚組織との亀裂。ですから今まで鉄壁だった、自民党内の結束、自公連立、政府与党と官僚との連携。この3つの強いきずなに亀裂が入り出しているというのが見えた国会です。ただ、それが民進党への追い風になっていないのが歯がゆい点ですが、明らかに過去とは変わってきたと思います。

【加藤】  なるほど。大変いろいろご苦労もされたと思います。テレビではよく自民党国対委員長と榛葉委員長のツーショットが流れますが。

【榛葉】  はい。国対委員長会談。

【加藤】  国民の目から見て、絵は見るけれども国対委員長というのはどんな役割をしているのか、なかなか分かりにくいです。

参の国対委員長は高校野球の監督のようなものです

【榛葉】  私は当選2回目のときに、外交防衛委員長や倫理・選挙に関する特別委員長をやらせていただきました。これは国会法に定めのある常任委員長、特別委員長です。ところが国対(国会対策)委員長というポストが法律の中に出てこない。

 ちょうど高校野球の野球部の監督のようなのが国対委員長だと説明しています。学校の中には監督よりも偉い人はたくさんいます。野球部部長、学校全体では教頭先生や校長先生。監督よりも偉い人はたくさんいますが、いざ球場に入ってプレイボールの声がかかると監督がゲームをつくるわけで、どんなに教頭先生、校長先生が立派でも、校長先生が選手に指示したり、スターティングメンバーを決めることはできません。党に代表や幹事長がいても、いざボールが参議院に来れば、どういう攻め口で、どんな切り口で質問するのか。誰をどの委員会に配置して、予算委員会の場合、質問者は誰にするのか。すべての指揮を行うのが国対委員長です。

 他方で、国会は民主主義ですから数の多い方の理屈が通って当たり前です。ところが、私の尊敬する輿石東(前参議院副議長、初当選したときの国対委員長)先生がよく野党の声は国民の声だと言われていました。野党だけれども我々を支持する国民がいらっしゃる、少数だがその声に耳を傾けない与党は単なる数の暴力でしかないと。また伊吹文明(前衆議院議長)議員は、民主主義の基本は多数決ではあるが、多数決の原点は話し合いだと言っています。今の政治は話し合う度量が小さい。つまり強行採決というのは、最後は数でやっちまえばいいではないか。と言うことでありますがそれは、(反対意見は)少数かもしれませんが、その意見、その考えを支援している、支持をしている国民を愚弄するものですから、そういう乱暴な政治はしてはならんと言うことです。

 そこでやはり国対委員長会談というのは、野党の声にも耳を傾けろ。我々は無理難題を言っているのではなくて、国民が理解できる国会運営あるいは議論を是非やってほしいと言うことです。労使交渉とまでは言いませんが、そこ(国対委員長会談)で話し合い、駆け引きをやるわけです。向こうもなるべく円満に、多くの皆さんの理解を得て法案を通したいという思いがあるでしょうから、そこで与党国対委員長と野党第一党の国対委員長が、さまざまな話し合いをします。

 たとえば法案の出口(議了)をどのあたりにするのか、野党が納得できる審議時間はどのぐらいなのか、参考人はどうするのか、視察や派遣など現地調査が必要なのかなど野党の声も聞いて判断する必要があります。

 今国会も終盤段階で、最終日にテレビ入り予算委員会をやりました。これは極めて異例でしたが国民は今議論を望んでいると思ったので、いよいよ国会を閉じるけれどここは総理を呼んで、国民に見える形でNHKテレビ入りの集中審議、予算委員会をやって欲しいと強く要望し実現にこぎつけました。ここ一、二年、自民党参議院が度量を見せ始めた感じです。

 かつての自民党参議院は、衆議院で野党が納得しない乱暴な形たとえば強行採決とか強引に参議院に送ってきた場合(荷崩れと言う)は法案を受け付けなかった。ほとんどの法案は衆議院を通って参議院に送られますから、荷崩れは衆議院に送り返して、もっと野党の理解を得てから送ってこいとそれくらい強い参議院自民党の時期がありました。これは二院制がしっかり機能しているということだと思います。で、そういう良識ある参議院が、少しずつ私は取り戻され始めたなと感じています。これもやはり国対委員長間の、敵同士と言ったら変ですけど、カウンターパートでありながら、国のためにお互いやっているという最低限の信頼関係を構築しなければならない。そういった意味では、少しずついい意味での二院制が国対間の信頼で私は取り戻されつつあるのではないかと思います。

地味ですが、国会における参議院の役割は重要

【加藤】  参議院の役割についてお聞きしたいと思います。今お話いただいた内容にも、参議院の役割に触れる部分もありましたがその前に、いわば都合3年間国対委員長をされたということで、経験的にも、役割としても非常に重い期間があったと思います。そこで、ざっくり振り返って、国対委員長榛葉賀津也の思いがあれば一言。

【榛葉】  私、政権与党になって鳩山内閣で防衛副大臣を仰せつかりました。

【加藤】  ああ、そうでしたね。

【榛葉】  ほんとに緊張で寝られなかったです。緊張感というか恐怖というか。そのときに似た、やはり国対委員長というのは、ほんとうに辛かったと言ったら変ですが、緊張感の連続でした。それは、自民党と対峙するという緊張感以上に、会派の中をどうまとめるか。40歳代半ばで国対委員長をやらせていただいて、年が若かろうと何だろうと会派をまとめなければならないのですが、仲間の議員の中には大臣経験者や組合幹部を経験された方や、錚々たる人生経験、政治経験、社会経験を積まれた方々がごろごろしていて、人生経験の浅い私が、その方々をも国対委員長という立場でまとめなければいけないという緊張感とプレッシャーは、ほんとに大変でした。

 国対委員長の大ベテランの輿石先生が、正面の理、側面の情、背面の恐怖ということをおっしゃった。自民党と対峙するには、あるいは党内(会派内)をきちんとまとめるには理屈が通らなきゃいけない。理屈の通らないことをやってもだめで理屈をしっかりしなきゃいけない。しかし、理屈だけ言っても仲間はついて来ない。側面の情です。夜一杯やったり、たまには週末仲間を誘ってゴルフや麻雀をやったり。声かけ合って食事にという、側面の情を持つことが大事だと言われました。しかし本当に気をつけなければならないのは、真正面から向かってくる自民党、公明党や政府ではなくて、背面の恐怖というのはおまえの後ろにいる仲間にしっかり気をつけないといけない。そこが一番恐怖だぞ。ああ、なるほど。相手はよく見えます。しかし後ろにいる仲間を束ねるというのは、ほんとうに大変でした。

【加藤】  そういうようなことで、40歳代半ばで重責を担って、任務もしっかり果たされた。

【榛葉】  いえいえ。

【加藤】  次は国対委員長という役職を離れて、一参議院議員という立場で、かつ経験を踏まえて、この参議院というものをどういうふうに考えておられるのか、あるいは今後どうされるのかと言うことです。

 よく参議院不要論とか、衆議院のコピーであるとか言われます。第1院と同じことを議決すればコピーだから要らないと言われるし、違うことを議決すれば余計なこと邪魔だと言われる。これは日本だけじゃなくて世界共通のことで第2院が持つ宿命のような気もします。今日のこの状況の中で、先ほど参議院の役割にかかわる国会での審議、議論は野党を大切にするというようなお考えもお伺いできました。これから参議院の役割や進路。これは与野党を超えた対応というのがあると思いますが、その辺のあたりのお話を。

「政局の参議院の現実を踏まえ、決算重視など特徴を生かすこと」

【榛葉】  よく参議院のことを良識の府とか、再考の府と言いますが、実際参議院は私も今17年目に入りますけど、良識の府や再考の府というよりも、衆議院以上に実は政局の府になっていると思います。これはもう構造上そうならざるを得ない。我が国は2院制ですから、衆議院で議論された法律、条約が参議院に送られて、参議院で議決されればそこで成案を見るというシステムです。つまりは入口が衆で、参は出口です。

 入口というのは初めて議論するし、いろんな問題点やさまざまな議論をして、ある程度やったら参議院に送るわけです。あとは参議院に任せたと。議論が足りないことや、重要な項目も、ある程度衆議院で盛り上げますが、あとは参議院がたすきを受け取るわけです。参議院での可決は、国会の最終決定ですからどうしても最後の出口の参議院で揉めます。

 国会のルールというのは、私は野党のためにあると思っています。民主主義ですから、数の多いほうの理屈が当然通ります。それでも慣例など様々なルールがあるのは野党にしっかり審議する機会を与え、野党と同じ考えを持っている国民に対しても説明責任を果たすために、国会の議論は大事であって、多数決だけでやるなら、与党の言うとおりになるに決まっているわけです。

 その中で、最終的なルールが会期末です。会期末を超えれば廃案になるわけですからいつも参議院が勝負になります。ですからあの混乱シーンとか、強行採決の姿とか、どうしても参議院が多いというのは、入口の衆よりも出口の参に出やすいと思います。よくプラカードを持って強行採決反対とアピールする手法もありました。しかし出口の参議院はもうほんとうにガチンコですから緊迫感も高い。そういう意味では参議院が今政局の府になっている面があります。

 ただ、その中でこの2院制は極めて大事だと思っています。と言うのはいつ解散があるか分からない衆議院、加えて小選挙区の衆議院に比べ、参議院というのは6年の任期。そして多種多様な選挙から選ばれてきます。参議院の定員一人の選挙区は県知事と同じです。定員二人の選挙区は与野党でバランスを取って選ばれてくることが多い。3名以上というのは与野党それぞれの激しい選挙になります。また比例区は選挙区とまったく違った選挙です。と言うことで参議院はバラエティに富んだ多様性のある選挙で選ばれた集団だといえます。そして、衆議院のように常に解散の恐怖におびえながら地元回りを繰り返すのではなく、長期安定的に議員活動を充実させる志向が強く、そういった意味では参議院を充実させるということは国にとって大事なことだと思っています。

 現在決算重視の参議院を徹底してやっています。前々年度の決算を翌年にやり、次の概算要求に生かすという当たり前の事をしっかりやる。民間では当たり前です。家計でも当たり前ですが国ではそれができていない。現在1,000兆円を超える借金を抱えています。決算重視のシステムは極めて大事だと思っています。

 私は野党としての参議院が長いのですが、万年野党でつらいなと思っていた時私を目覚めさせてくれたのは、自民党の青木幹雄先生という、参議院をこよなく真剣に考えて愛された大先輩ですけど、当時の参議院幹事長が、私に対して、与党を監視して、衆議院を抑止できるのは参議院の野党だけだ。つまり参議院野党の存在というのは極めて大事だと教えていただきました。だから私は、健全な野党が常に与党を監視する、緊張感のある真剣な野党の存在がこの国には極めて大事だと思っています。それを我々参議院の民進党が担わなければならないと思っています。

【加藤】  なるほど。やはり与党の参議院議員、会派が先ほどの青木先生のような考え方で、しっかりと参議院の役割を果たしていくということも大切でしょうし、考え方が共通している与野党の有志の深い人間関係、これは癒着とかじゃなくて、ほんとうの意味で信頼と、言うべきことは言う人間関係が大事だと思います。

【榛葉】  お互いこの国のためにやっているという、当たり前ですけど忘れがちな大前提。お互い国民のため、国益のために、最終目的は同じなのだ。しかしそのやり方、手法、手続き、そういった意味で、もしくは自分たちのイデオロギー的主義主張、違いは当然ありますが、それでも最終ゴールはこの国のためだということが忘れられなければ、私は建設的な政治ができると思っています。

【加藤】  次に所属されている民進党は今逆風でしょうか、まだまだやさしい風にはなっていない非常に厳しい環境にあります。代表も大変ご苦労されていると思います。そこで一つ民進党の飛躍のために短期的、中期的あるいは長期的な対応策等をお話しいただければと思います。

民進党の飛躍は支援者の気持ちに寄り添ってこそ

【榛葉】  今、なかなか出口が見えない状況にあるかもしれません。先ほどはじめの部分で申しましたように、与党の中の流れが変わってきました。地殻変動で崩れ始めました。ただ、与党が崩れ始めた、その国民の怒りや不満や不安の受け皿に民進党が全くなっていないというこのジレンマ。ここはよくよく考えないといけないと思っています。

 問題は2016年の選挙に向けて、例えば電機連合が総力を挙げて矢田さんの支持獲得活動をやっている真最中に党名を変え、ロゴを変えた。これはどういう考えなのか。今回の民進党は選挙で集めた票をもらう側の論理であって、一生懸命やって票を出している側の論理を完全に忘れている。誰がどれだけ苦労して票を集めているのか、誰が1票を投じているのか、その立場に立ったら、例えば選挙の直前に党名を変えるとか、全国比例は党名と個人名両方で呼びかけているわけで、その矢田わか子さんのリーフを集めているのは、民進党とはゆかりのない、民進党の党員でもない現場の職場委員の皆さんや、班長さんや代議員の皆さんが、めぐり合わせでその年に役割を担った方々が蓮舫さんや私や矢田わか子さんのかわりに頭を下げて、リーフレットを集めてくださっているのです。この方々が、いかに気持ちよく自信を持って紹介カードを集められるかということを考えなきゃいけないのに、全く真逆のことをやっている。そのうちに、現場で(昔から)熾烈な戦いをやっていらっしゃる一部主義主張の全く違う、路線の異なる政治集団と、選挙のたびに手をとって頑張りましょうなんてことを言い出したら、応援する側はいい加減にしてくれよとなるでしょう。票をもらう議員側からすれば、あの方々が出なければ各小選挙区3万票や2万数千票は足し算の論理で増えますが、運動している側にすればたまったものじゃないとなります。

 本当に人の気持ちがわかっているのか。国会議員から見た選挙ではなくて、議員を生み出している側の支援者の立場に立って活動ができているかというと、私は残念ながらとてもそうは思えない。選挙のときに自転車に乗って旗を振って、駅前で手を振って、ビールケースの上に立って街頭宣伝をやれば、選挙に勝てるという甘い話ではありません。

 私は、短期的にも中長期的にも現場で汗を流して働いている、党の綱領にある生活者、納税者、消費者、働く者。この方々から見て信頼に耐え得る政党、もしくは政治家であるのかという当たり前のことを考えると、残念ながらそうなっていないと思います。である以上、私は短期的にも中長期的にも信頼を回復するのは厳しいと思っています。やはり基本路線というのは極めて大事で、どうしても小選挙区ですと、政府与党の逆を言うことによって、反対票を集めるという考えになりがちです。私は衆議院ではないですし小選挙区でもないのでそんな悠長なことを言っていると言われればそれまでですが。

 基本的なことは自民党と変わらなくていいと思います。政権を、自民党が驕れば安心して民進党にもう1度託そうと思ってもらえる。何党が与党であっても信号は赤で止まる、青で行くと言うのが法の安定性です。ですから、民進党への政権交代によって、ある法律の運用が大きく変わってしまうのでは、国民はとても安心して政権交代を選択できません。自民党に代わりうる政党だと自負している我々が全く主義主張の違う政党と選挙のためだけ一緒にやろうということに対し、国民はよく見ていると思います。

8%の支持を大切に、中間層を取り戻そう

 今回民進党の支持率がずっと8%前後です。2桁になったら大喜びですが、消費税率のあたりを行ったり来たりしています。よく民進党は8%しかないといいますが、今回森友学園とか加計学園とか一連の事案があって、安倍内閣の支持率が大きく変動している中、それでも自民党に理解を示すというのが8%程度あるわけです。つまり今何があっても民進党だよと言ってくださる方々が全体の8%もいらっしゃる。これは電源構成で言うベースロードだと思っています。

私たちは森友、加計問題などは支離滅裂でひどい話だと思っても、安倍さんは間違っていないという人が8%いるっていうのは、実は絶対おまえたちを信じるというベースロードは1割弱というのは双方多分変わらないのかなと思います。この1割弱のベースロードの上に何となく「今の自民党でいいじゃないか」と言っている6割の層というのは、自民党支持ではなく中間層だと思います。この中間層の普通の国民をどう取り戻すかということを私たちはやらなければならないのですが、この中間層がせっかく「自民党は驕っている、やっぱりおかしい」と言っているのに、自民党と対峙したいばっかりに全く主義主張の違う、具体的には自衛隊は憲法違反、日米安保も反対、天皇制は認めない、最終的には社会革命を目指すと綱領にうたっている政党と鼻つまんで一緒にやろうと言うのでは穏健な中間層は絶対に民進党に来ない。この当たり前の世間の空気に気がつかないのでは一生与党になれないし、国民から見放されると思います。

【加藤】  民進党を内部から激励するというお気持ちも含めて、辛口な意見を私のほうからお願いをしたということもあって舌鋒鋭いお話になりました。しかし今日お話いただいたことをしっかりと議論してもらっていくことが、支援団体の立場から言っても、普通の国民から言っても、党再生プロセスとして必要なことであると思います。

先ほど言われた支持率の問題ですが、15%を超えてくると飛躍するステージだと思っています。で、20%を超えてくると、あるいは25%にもなると政権が射程に入ってくる。個人的にそんな感じを持っていますので決して今の支持率に悲観することなく、私は対応していくことが大事だと思います。

 少し話題が変わりますが、榛葉議員は静岡県を中心に電機連合の皆さん方、あるいは連合加盟の産別組合の皆さん方とも非常に良好な関係にあると聞いています。その辺のところを、お互い政治と労働というふうに立場は違いますけれども、メッセージがありましたら。

現場で、生きた政治と労働の接点活動をやっています

【榛葉】  私は労働組合出身でもなければ、組織内の議員でもないのですが、おそらく静岡において、どの議員よりも労働組合組織と密接にかかわりながらこの16年間やってきたという自負があります。ほとんどすべての単組を訪問し組合員の皆さんと意見交換をする中でよく思うのが、実は静岡県民は富士山をあまり有難たがらない。そこに富士山があるのが当然です。しかしそれがどんなにすばらしいことかというのは外の方々に言われて気づかされることが多いのです。実はそれと似たことを組合員の方に感じています。組合の可能性や潜在力、それから実際に組合の大切さ。これに実は組合員の皆さんが気づいていないのではないかということが多々ありました。組合に守られていることが当たり前、36協定があるのが当たり前。順番で代議員や班長が回ってくれば、選挙の年に当たって損したとかいろいろな思いがあると思います。

 私、代議員の皆さんの前で講演をしたり一緒に飲みに行くのが大好きです。というのは、大体私が講演に行くと半ば強制的に動員がかけられるので、代議員研修会とかいうと皆さん明らかに嫌そうにまた眠そうにしています。「榛葉、飽きた」、「90分早く終わらないかな」とか、「質問するのも面倒くさい」とか、中には寝ている方もいます。ただ、私はその方々に労働組合の可能性とか、どれだけ組合があることが、組合がない方々がほとんどですから、どれだけ皆さんが恵まれて、この選挙の年に代議員ができるということが、面倒くさいかもしれないけど、本気でやったらどれだけ楽しいかということを怒涛のように力を込めてしゃべります。そうすると明らかに、眠そうにしていた人が目をきらきらさせて話を聞いてくれたりします。

 もう普通の組合員に戻っている方と、駅とか飲み屋なんかでばったりお会いすると、「おれ、おまえの話聞いて、あれから組合活動しっかりやって楽しかったよ」とか、「今でも応援している」と言ってくださる方が多くて。これは本当に何て言うのでしょう、熱伝導というか、繫がっていっているということが一番大事だと思います。こんな楽しい、やりがいのあることはないと思っています。華々しい思い出ではないですが、そういう小さな感動や心の通じ合ったことがすごくうれしいことと感じています。

 私は比例区の候補とセットで自分の選挙をやります。前回は石上さんとやりました。労働組合の参議院選挙の運動に関し私はとにかく比例をやってほしいと思っています。しかし、組合員の皆さんを投票所に引っ張り出す力は選挙区にあると思っています。公示後は石上さんや矢田さんの名前はどの新聞を見ても出てきません。しかし選挙区選挙は毎日報道されますから関心も高いので、選挙区の我々が組合員の皆さんを投票所に引っ張って、「ああ、うちは矢田わか子だったな」ということで、名前を書いてもらいます。しかしこれには3つの山(ハードル)があります。なぜ選挙をやるのか。なぜ民進党なのか。なぜ石上や矢田や榛葉なのか。

 この3つの「なぜ」の内、なぜ民進党なのかについては、我々政治家が率先して説明しなければならない。なぜ選挙をやるのか、なぜ矢田、石上、榛葉なのかについてはお互い努力しなければならないことだと思います。で、今その「なぜ」に自信を持って答えられない組合幹部や代議員がいるとすれば、それは大変残念なことですけども、逆に自信を持って答えられる環境を、政治家である私や組合組織がつくっているかということを問いたださなければならないと思っています。

連合組織内地方議員は是非民進党員になって下さい

 最後に、長期的にどんなことができるかという運動論で言いますと、各産別から多くの地方議員が選出されています。電機、自動車、電力、教組、自治労、ゼンセンから出ていますが、ほとんどの地方議員さんは民進党籍を持っていません。ご自身の選挙のときは無所属で戦い、3年に1度の参議院選挙の折には比例区は石上だ、矢田だというすり込みをするわけですが、そこで必ず現場からなぜ民進党なのか。なぜ選挙なのかというのが出てくるわけです。やはり働く現場は政治というよりも政党との間に距離があって、この距離を一生懸命縮めようとするのは3年に1度の行事になります、全国比例区の活動として。

 一方、職場から地方議員が出て現場に一番近いですから、生活や労働相談など組織内の地方議員として日々しっかり日常活動を汗流してやっているのであるなら、また比例区の候補を民進党から出すというのなら、その方々も常に民進党の旗を持ってくださると、なぜ民進党なのかと言う問いには比較的答えやすくなると思います。ですから、石上さん、矢田さんは民進党ですが、多くの地方議員は我々と政党的な距離がある。もちろん我々にも責任があります。また地方選挙は政党政治ではないですから、無所属のほうが運動しやすいというのはよくわかります。が、何か工夫することによって、もう少し国会議員と地方議員、労働組合と政党の一体感が出せないかなというのが私の課題の一つです。

【加藤】  今ご指摘のことについては、故笹森さんが連合会長時代にそういうことを言って、2,000人余り党籍を持っていないのでやはり民主党(当時)に加盟すべきだと旗を振られました。

 最後によろしければご趣味など聞かせてください。

茶畑でリフレッシュ、ヤギ飼って一緒に草刈り

【榛葉】  私は、お茶畑をやっております、自分で。1万平米の茶畑と畑もやっていますが、なかなか雑草取りが大変です。毎日行けないので、どうしても休耕田なんて草との格闘です。今まで週末に草刈りをやり、それがリフレッシュでしたが、ここのところ国対委員長なので地元になかなか帰れない。自分で農家をやっていますから、お茶の農業組合や地元のJAとつき合いがあります。うちの地域のJAのみなさんはいろいろ応援してくれます。で、組合長さんが「榛葉君、草刈り大変だって?」と言うから、「大変ですよ」と答えたら、「じゃおれが全自動草刈り機をやるよ」と言って。何かと思ったらヤギを連れてきてくれて、今うちでヤギを飼っています。そのヤギが草を食べて草刈してくれます。これがかわいくて、かわいくて。全自動でも何でもないのですが。とにかく私は畑に行ったり、茶畑に行ったり、野良着を着てお百姓の格好をして。実は、今国会最後のテロ等準備罪の強行採決された徹夜国会の日も、朝5時から畑に行って、始発の電車に乗って身をきれいにして徹夜国会に臨みました。

【加藤】  なるほど。ありがとうございました。

【榛葉】  どうもありがとうございました。

(文中敬称略。文責は研究会事務局。)

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【講師】参議院議員 榛葉賀津也氏 (民進党参議院国会対策委員長)

主な経歴:民進党参議院国会対策委員長(3期)、防衛副大臣、外務副大臣、参議院外交防衛委員長、菊川町議会議員など
米オタバイン大卒、静岡県菊川市出身、昭和42年4月生
参議院静岡県選挙区3回当選

WEBサイト:http://www.k-shimba.com