研究会抄録

現下の政治情勢と民進党の目指すべき方向ー羽田雄一郎議員ー

講師:羽田雄一郎参議院議員

場所:電機連合会館6階会議室

今回の講演は羽田参議院議員にお願いいたしました。講演は9月26日12時30分から電機連合会館6階会議室で行われました。この後、解散総選挙とめまぐるしい動きの中、10月22日投開票の結果、与党大勝となりました。  講演日時からウェブ掲載時までの状況変化が大きいことをご理解の上、お読みいただきたいと思います。  羽田議員が背負った政治家への道が本人の意向とは違ったものであったこと、またその思いは親子二代に渡っていることなど興味深い話が淡々と語られています。  また子育て政策にかける熱意の源についてもご自身の職業経験を通して形成された、いわば熟成されたものであることが理解できる内容ではないかと思います。  よく「人柄」といいますが、悠揚迫らないまた平易な語り口からも「愛され親しまれる人柄」が感じられます。  舌鋒鋭きをもって議員の力量とする皮相な見方が野党言論空間にありますが、それだけではない、いやそれ以上の世界があることを改めて思い知らされた講演でした。  最後に羽田議員の父君羽田孜元内閣総理大臣のご冥福をお祈りいたします。(合掌)
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【加藤】  第2回政労セミナーを開催いたします。1回目は大野議員にイスラムについてお話をしていただきました。代々木上原に東京ジャーミィというイスラム寺院があります。一度、この会で見学に行こうと思いますが、やはりイスラム世界を身近に感じることも大事だと思います。

 榛葉民進党参議院前国対委員長のインタビューを掲載いたしました。国対というのはなかなか外から見てわかりにくい世界ですが、榛葉議員のインタビューで、少し身近に感じていただければと思います。

 本日は大変慌ただしい中、民進党も党運営あるいは臨時国会への対応を含め大変お忙しいと思います。羽田雄一郎議員は、議員として大変キャリアがございます。また民主党政権では国土交通大臣として非常に活躍をされました。特にインフラにかかわる決めごとを非常にうまくまとめていただいたと思っております。

 テレビで取り上げられる大臣というのは、どんなに話題性があったとしても、それはそれで何かしらの問題があるからインタビューをされるわけで、仕事をちゃんとやるというのは、密かにとは言いませんが、静かな環境の中で気がつくと万端整っているというのが大事なことだと思います。そういう意味で大臣としてすばらしい仕事をされたと思います。

 私と羽田議員とはまさに同志的な関係です。これから先、野党にも与党にも大きなうねりが来るのではないか。そういうような意味で、安倍晋三総理が奇襲解散ということで、上手くやったという声がありますが、しかし上手の手から水がこぼれるというのでしょうか、歴史は皮肉な結果をもたらすという事例が多々ありますので、選挙はやってみないとわからないと思います。

 今選挙すべき時期なのか、本質的な部分について私どもも分析をしていく必要があります。本来の立憲民主政治とは、ルールを大切にすると同時に公正な選挙を通じて議会を構成し政権を作り上げる。相手の選挙準備ができていないから、今やっつけてしまえというのが公正な選挙と言えるのか、私は日本国憲法が想定した方向ではないと思います。

 いずれ日本も解散権について、前原さんが主張されていますが、本気で考えないといけないと思います。好きなときに好きなようにやれる、そういう先進国はおよそ4か国しかない。そのうちカナダはもう制限をすると宣言しております。そういうようなことを含め、より働くものの立場で政治を変えていくということも大事ではないかと思います。

 今日は羽田雄一郎参議院議員をお迎えし「現下の政治情勢と民進党の目指すべき方向」ということで、お話をいただきたいと思います。

 

 【羽田】  皆さん、こんにちは。(拍手)

 一の橋政策研究会にお招きをいただきありがとうございます。加藤代表とは同志として頼りにし共に政権交代可能な二大政党をつくっていこうと、参議院の中でスクラムを組んでやってきました。勇退されるときには寂しい思いをしましたが、こうして研究会の中で政治に発信力を持っていただくことに心から敬意と私からも感謝を申し上げます。

現下の政治情勢(なぜ解散なのか)

【羽田】  政治がもっと身近に感じられるようになってほしいとの思いでここに来ました。私は、第80代内閣総理大臣を務めた羽田孜の息子ということで、政治の道にはいるのは当たり前だと受け止めている方がほとんどです。国会議員の方々もそう受け止めておられます。この前新人議員から「羽田さんって保育士の資格を持っているのですか」とか「もともと政治家になるつもりはなかったのですか」と言われましたが、政治をもっと身近にしていこうという思いを持つ私としては、まだまだ発信力が足りないと感じたものです。ぜひ組合で働く仲間として応援していただいている皆様にもご理解をいただいて、政治というのは自分たちの生活にほんとうに密着していることを感じていただきたいと思います。

 講演要請を受けたときは、9月25日であればちょうど臨時国会が始まる週でもあるし、冒頭、安倍総理の所信表明を聞いて、衆議院の代表質問をやっている日だと思うので、この日だったら参議院は大丈夫です、と軽く言っていたわけであります。ところが、ほんとうに突然の安倍総理の解散、そして総選挙だという唐突な話がありまして、何が裏にあるのかなというふうに考えたときに、私たちは閉会中も森友学園や加計学園の問題をずっと追い続けました。新しいことも次々に出てきています。安倍さんはこれ以上このことについて追求されたくないのだなと強く感じました。

 皆さんは森友と加計ばっかりやっていると思われていますが、やはり税の再分配の話ですから、それも特区で安倍総理がトップです。諮問機関があって有識者がいるとはいえ、安倍総理が座長としているわけですから、その中で安倍総理のお友達だけが得をしていく、これはおかしいじゃないかと。よくよく調べたら、とてもこんなの認可できないような学校なのに、何でここが認可されたのか。そこにジャブジャブと国民の皆さんの税金がこれからも使われていくという話ですから、しっかりと質疑をし、どうしてこういうことになったのか、国会の中で議論を深めていかなければならない大きな問題であるのにもかかわらず、総理はこれ以上聞かれたくないというお気持ちでしょう。

 この騒動で支持率が下がりましたから、現在支持率がちょっと戻っている中で、臨時国会を開会して、冒頭予算委員会とか代表質問でワンワンやられたら、また支持率が下がるのではないかという恐れですね。そういうものが安倍総理の中にあったのではないかと考えています。

 大義なき解散です。安倍総理は国民に向かって真摯に説明責任を果たすと、森友や加計学園の問題についても言ってきました。都議会議員選挙では負けたわけです。そのときには、いや、国民の思いはよくわかった、真摯に反省をしてこれからも説明責任を果たしていくことを記者会見等で言ってきたわけです。

 我々としては、しっかりと国会を開いて議論するために、憲法53条を使って、(国会議員の)4分の1以上の要請があれば臨時国会を開くという、この憲法の定めに従って要求をしてきましたが、3カ月間棚晒しでした。そしてやっと臨時国会を召集しましたが突然の冒頭解散です。

 安倍さんは、言うことは格好いいのですが、言いっ放しで実際には何も履行しない。1億総活躍社会とか、女性の活躍を推進するとか、また地方創生、また我々がずっと求めてきた同一労働同一賃金。我々が求めているのは同一価値労働同一賃金ですが、安倍総理から言わせれば、正社員の給与を少し下げて非正規を上げてとんとんにすればいいだろうみたいなぐらいの思いしかないとしか思えないような同一労働同一賃金です。我々はやはり同じ価値の労働をしたら同じだけの賃金をしっかりと支払うべきだという同一価値労働同一賃金ですから、安倍総理が言っているのはもうかけ声のみで、実際には何も行われないというのが現状だというふうに考えております。

 北朝鮮の問題もあります。ミサイルが日本の上空を越えて飛んでいく中で、ほんとうにこれだけの長い期間、政治空白があっていいのかという問題もあります。「仕事人内閣」と自分で命名しましたが、実際には「仕事しない内閣」になってしまって、そのまま解散という状況であります。ほんとうにかけ声だけだと思います。

 アベノミクスも、すでに5年経過しています。民主党政権よりも長い期間やってきていますが、大都市あるいは大企業はよくなったと思います。でも内部留保だけが膨らんで、実際には皆さんの給与には反映されていない。物価が上昇した分、消費税が上がった分、給料が上がっているかといえば、実質賃金は5年連続で下がり続けている状況です。これでもまだアベノミクスを加速させると言い始めている。何度も言いますがかけ声だけだと言わざるを得ない状況の中で解散が打たれたということです。

 安倍総理がなぜここまで固執するのかといえば、やはり2020年オリンピック・パラリンピック、マリオにまで扮したわけですから、自分が総理でオリンピックを迎えたい。そして、来年の自民党総裁選です。この総選挙で勝利をし、来年には総裁任期を伸ばしていきたい、という思いが見え隠れしていると考えるわけであります。大義なき解散総選挙、自己保身また自己都合で解散したとしか言えないと思っているところです。

 さていよいよ解散ですが、我々としては、今、民進党では衆議院の方がガタついています。希望の党ができて、勝たなきゃならないからと松原仁さんは言いましたが、雪崩を打って、関東、特に東京や神奈川では、これからもこの雪崩現象が、小池さんが代表になるということなので、起こるのではと感じております。

民進党参議院がしっかりまとまっていることが重要

 民進党は、とにかく参議院がしっかりまとまっていることが重要だと思います。実は代表選挙の前にも、各産別組合から出ている議員さんの主だった人を呼んで、代表選挙はそれぞれの方を応援してください、ただ、終わった後はしっかりと参議院がまとまっていることが重要ですと申し上げました。解散するとは思っていなかったのですが、直感的に参議院がまとまっていることが重要だと思ったので呼びかけをさせていただいて、実は今日も急遽集まることにしています。

 やはり全国比例区というのは、パイが大きくなければ勝てません。かつて国民新党が長谷川憲正さんという方を出して50万票獲得しましたが当選できませんでした。50万票を超えるのは困難です。所属政党がしっかりと大きければ、比例票も集められて、それに各候補の票が積み重なって、多くの方が当選できるわけです。前回は民進党で10名当選しましたが、やはりパイが大きくなければとても勝てないと思います。

 そういう意味で参議院はしっかりと一つにまとまって行動を共にするということを再度確認していかなければならないなと感じて、今、まとめ役、本来であれば会長、幹事長がやる仕事ですが、今までの流れで私が呼びかけをさせていただいて、組合出身の皆さんと話をしているところです。

政治家への道

 今日の本題というか、私が皆さんに伝えたいことのお話に移ります。先ほども言いましたように、私、政治家になるつもりはまるでなかったのです。祖父も政治家になる前は朝日新聞の記者でした。そして、父親はもっとなりたくないと言いながら、小田急バスの観光課にいて添乗員なんかもやっていて、最後は10年勤めて課長まで勤めました。

 祖父が、母親と父が結婚するときに母親に何て言ったか、「小田急バスの観光課で取締役ぐらいにはなれるので、結婚してやってくれ」と言ったそうです。そういう意味では母親もだまされた1人です。そのような政治家の家庭で、僕の場合、もう3代目になっていますが、それぞれがサラリーマンを経験して、そして志を持って、また父親の場合は、一度は断わりましたが、また再度、要請されて、受けて、それからは、真面目人間ですので、一から勉強して、政治家として43年間勤めて、先日、逝去したわけです。そういう意味では尊敬できる父であり、政治家だったなと思っています。

 私はもともとなる気がなくて保育園の先生になりたくて、保育士の資格を大学で取りました。保育士には実際には実習に行っただけで、伊藤忠の瀬島龍三さんがつくった伊藤忠記念財団という青少年の健全育成のための財団に勤めて、児童館の運営をしたり、また子供たちとキャンプに行ったりとか、その子供たちの健全育成のために全国の家庭文庫とか子ども文庫活動、これは全国に5000カ所ぐらい実はお母さんたちがやっているような小さな文庫がありますが、ここに助成金を出したり、北海道ですと冬は寒いじゃないですか。だから、床暖房になるようなカーペットが欲しいとか、本が少ないところでは本が欲しいとか、それぞれいろいろな要請がありますが、そこを現場主義で、現場に行って審査をして、応えられることはしっかり応えさせていただき、またフォローアップをするというようなことをしていました。

 羽田雄一郎という名刺を出すと、「羽田さんと何か関係があるのですか」と言われて、「いや、息子です」と言うと、「こんな過疎の地域に、図書館もないようなところまで、私たちの話を聞いて子供たちのためにやってくれている。あなたみたいな人が、政治に道があるなら政治の道に行きなさい」と、だんだん全国のお母さんたちからの声が大きくなって、実は図書館に支所を置く必要があるというのも、その文庫活動をやっているお母さんたちから陳情を受けて、その当時はまだ財団に勤めていましたが、お母さんたちを連れて、その当時、鳩山邦夫文科大臣でしたが、大臣要請とか、そういう陳情活動をしていて、あなたみたいな人は政治の世界に行くべきだと言われました。それでも僕は政治家になるつもりはまるでなくて。

 ただ、政治家にならなくても声なき声というか、そういう声の届かない人たち、こういう人たちの声を拾い上げて、そして父親に伝えて、それを実行してもらうことはできるかなと思って、「5年を機にやめます」と財団に3年目のときに言って、5年間、あと2年間は勤めて、そして父親の秘書にしてもらいました。

 これ、実際にすんなり受け入れてもらったかというと父親も大反対しまして、「せっかく就職して、子供たちにこれだけ尽くせる仕事はない。自分の好きなことをやっているのだから、やめないでそのまま続けなさい」と言われたのですが、それでも先ほどのお母さんたちの話をして「ぜひ秘書にしてもらいたい」と。

 ただ、自分は国会議員になるつもりはないので、父親にずっとくっついて歩く、24時間365日、随行秘書になって、自分が跡継ぎになりたければ、地元の秘書になって地元をグルグル回っていれば、必然的に地元から声が上がって跡継ぎになったかもしれませんが、僕の場合はなるつもりがなかったので、そして声なき声を拾って直接父親に伝えるのが自分の仕事だと思っていたので、随行秘書として秘書生活をスタートしました。

 ちょうど秘書を務めて3年目、1999年の9月末から10月にかけて、長野県で参議議員が亡くなられて補欠選挙がありました。このときも、僕は候補者を応援する準備をしていました。21世紀は福祉や教育や環境問題等が大きな問題になると思うので女性が声を出せる形にしなければならないとの父親の考えから、女性を候補者に決めました。そして、本人も長野県の親族の皆さんもやる気になっていて、僕らも応援態勢をしっかりつくって当選させようとやっていたのですが。

 5日前になって予定候補の方が、いつも好きなようにやらせてくれていたので大丈夫だと思って相談が直前になったのですが、たまたま帰国されたご主人(外国人)に打ち明けたところ、「政治家だけは勘弁してくれ。これまでずっと自由にさせてきたじゃないか。これから子供をつくって楽しく過ごしていきたいというふうに思っているし、仕事をすることはいいけれども政治家だけは勘弁してくれ。」ということで、初めてのご主人の頼みごとということで、5日前の朝7時半に断わられて、党本部から電話がかかってきて、断わられたので大至急来てくれということで呼ばれて、父の秘書からは「これも羽田孜の息子として生まれた運命だから頼む」と言われ、その当時民主党は菅代表、羽田孜幹事長体制でした。

 そのとき、ちょうど代表選挙の投票日でした。幹事長室に入って、父親からは「大丈夫か」と言われましたが、「はい、頑張ります」としか言いようがありませんでした。全国で唯一の補欠選挙の場所でした。代表が決まるのに不戦敗というわけにはいかないということで、その日は鳩山由紀夫さんが初めて代表になった日ですが、急遽、僕の手書きのリーフレットみたいなもの置いて候補者として切り替えて、中4日、17日間闘って参議院議員になったということでございます。

国会議員になって考えたこと

 国会議員になって何をすべきかと考えたときに、伊藤忠記念財団、ここの傘に入れる子供たちは幸せだけれども、その傘からも出てしまっている子供たちもたくさんいる、全ての子供たちに平和な日本をつないでいくことが僕の最大の使命ではないかなと考えて今も、国会で活動を続けています。

 地元の子供たちは6年生に国会見学に来ますけれども、父親もずっと43年間やってきましたが、なるべく子供たちの前に立って、そして三権分立の話と、小さな島国日本、やはり世界中の人たちと交渉したり、仲よくしたり、また観光で来てもらったり、働きに来てもらわなければならない中で、世界の共通語が英語になってきているので、英語をしっかり勉強してほしいという話。

 そして、もう一つは、夢は必ずかなうのだという話です。やはり夢というのは思っているだけではかなわないけれども、発信し続けることによっていろいろな人がアドバイスをしてくれたり、いろいろな人が助けてくれたり。今、活躍しているオリンピック選手も、パラリンピックの選手も、みんな、子供のころはお弁当を親御さんにつくってもらったり、送り迎えしてもらったり、そしてトップアスリートになってもスポンサーがついて多くの皆さんに応援されて夢をかなえているのだと。そのためには発信し続けることが重要だということを国会議事堂の正面玄関、雨が降っているときは裏にある地下のところや、また本会議場で子供たちに伝えています。

 また、国土交通大臣の時は現場主義を実践しました。建設省と運輸省と国土庁と北海道開発庁の4つが一緒になって国土交通省になりました。そのほかにも観光庁も気象庁も国土交通省です。

 もう一つ、海上保安庁。国の領土・領海を守り、一義的に国民の命を守っているのが海上保安庁で、尖閣諸島も海保が守っているわけですが、私が大臣のときに外国漁船に上陸されて大変なことになりました。また国有化したことから現在の尖閣の状況に至りました。海上保安庁も国土交通大臣の所管です。

 観光庁も所管ですから、当時は机の上ではニコニコ握手をして、観光にかかわるものは穏便にやりましょうと言いながら、足元では蹴飛ばしあいをしていたという状況がありました。

 また、東日本大震災が発生し、いまだに福島では自宅に戻れない方が大勢いるわけですが、大臣就任2年目で、復旧を加速化させなければならない状況でした。しかし、現地で大人の会議をやりますと、元に戻りたい人と、高台に移転したい人、子育て中の人たちは高台移転をしたいという人が多く、会議がまとまらないのです。基本的な方向が決まっていないのに、電車を早く通してくれという要望がすごく強くて、JR東日本もその当時の国土交通省担当部局ももうお手上げでした。大人の会議をやっても全然決まらない。

 普段でしたら、大臣のところまで上がってくる案件ではないのですが、決まらないので上がってきたので、「誰が利用しているのですか」と聞きました。ローカル線で1時間に1本の電車です。高校生を中心に通学で使われているということですから、「それでは大人の人たちの会議をいくらやってもだめです。利用者である高校生にアンケートをとってください」。また「電車を走らせる場合、5年かかります。また地震が発生し津波が来たときには動けなくなります」と申し上げました。

 そこでBRT(バスを使ったシステム)を提案しました。これは、どこをバスが走っているか、何分おくれているか、スマホや携帯電話で見ることができるし、駅にも表示ができるシステムですけが、線路を剥がしコンクリートを入れバス専用の道路をつくる。これならすぐに着手できます。夏休み中に工事をし、夏が終われば通学に使えるようになります。子供たちはそういう内容であれば、早く利用したいからバスにしましょうということになりました。

 またアンケートに寄せられた子供たちの意見をどんどん取り入れました。今まで1時間に1本しか電車が走っていないわけですから、1本乗りおくれたら朝練に間に合わない。バスだと15分毎にできるわけですから、1本乗り遅れても次のバスで行けば朝練に半分間に合う。そして、夕方の練習も。もう少し先までバスが行ければもっと多くの子供たちが練習に参加できるというのも取り入れ、要望には全て応えるよう指示しました。

 また最新のハイブリッドバスを導入するよう指示しました。「急なので、冬には間に合いますが、夏休み明けは中古になります」と言われたので、「せっかくいろいろな要望を聞いてBRTを通すことに決まったのであれば、子供たちに愛されるようなラッピングのバスに」ということで、バスに海の模様が描いてあって、タコとか魚とか、行っていただくと多分、走っていると思います。

 このアイデアは僕が出したアイデアですが、スタート時には視察に行きました。そして、各学校の生徒会長に一緒に乗ってもらって、そこでもいろいろな意見を聞き、それらもすぐに実現できるように指示をしました。また冬になったら環境に優しいハイブリッドの最新型バスが導入されることも話をしました。子供たちは一生懸命、メモをとりながら、「学校に帰ったらすぐに伝えます」などと元気に、ほんとうに気軽にまた気さくに話をしてくれました。

 現在、子供たちは成長すると自分の育った町を離れて、東京や都会地へ出ていく。またそこに就職する子供たちも多い中で、自分達のふるさと、育った地域、自分たちの声が街づくりに反映されることで、誇りを持てるようになったのではと思います。

一応、5年見直しということでしたので、市町村長さん方に「BRTでそのまま残したらどうですか」と、聞いたら、「いや、私たちからは言えないですね」と消極的な話でしたが、結局、6年目に入っていますが、子供たちの声が大きくて、電車にするのではなくてそのままBRTで残すことが決定されました。

 やはり子供たちが自分たちの発信したことが、直接大臣に伝わって、それが自分たちの町で実現していく、自分たちの声が町に反映されたということで大変喜んでいただきました。そして、今もBRTが堂々と運行されている。そういう意味では、ほんとうに政治というのは声を上げて、そしてその代表者たちが伝えて、そしてともにこうしようということになれば、多くの国民の皆さんの声がしっかりと実現していくのだと感じています。

子育て政策に筋を通す

 民主党政権ほんとうに短命でした。子育てが大変な現役世代。高齢者のほうには結構お金(予算)が行きますが、現役世代に対する税の再分配というのは先進国の中でもきわめて乏しい実態です。そして、自公政権では所得制限が入って、事務手続だけが複雑化していくのです。子供に所得はないわけです。だからこそ、子ども手当を作り、また高校授業料の無償化をやりました。

 我々、高校授業料の無償化をやって、私立にはそれに見合う財源を手当てしたわけですが、自公政権に代わっても続いています。しかし所得制限が入りました。子供に所得がないのに、子供に直接渡す思いでやっているのに、何で所得制限があるのだと。今度、民進党のマニフェストの中では、子供の関係については、所得制限は全て撤廃すると。子供たちは働いていないので、所得制限は全て撤廃していこうと。そして、もう一度、我々民主党時代に掲げてきた高校授業料の無償化、また子ども手当、こういうものを復活させていく。

 またあのとき、あれをやっておけばよかったと思うのが給食費無料化です。もちろん当然払える人もいます。しかし、ベンツに乗っている人の中に、義務教育なのに何で給食費を払う必要があるのかとか言って払わない人もいるわけです。でも、給食費が払えない厳しい状況に置かれている家庭もあります。でも、子供たちは給食費を払えないと学校で区別されたりする。そこでいじめがあったりする。そういうことを考えれば、給食費は無償にしていく、将来的には義務教育無償化が実現できるように努力をしていきたい。これも財源が必要なので徐々にやっていく。まずは給食費から。

 また、僕は、思い出づくりである修学旅行、これは積み立てできないから断念する子供が各クラス1人、2人いるのです。これはかわいそう過ぎるなと思います。やはりそこはみんながともに歩んできた最後の思い出づくりですから、しっかりと国が補助しながらでも行ってもらえるような状況をつくっていかなければならないと考えております。

 そういう意味では、民主党時代から民進党になっても、チルドレンファースト、現役世代の皆さんにしっかりと再分配できるような状況をつくっていく必要があるのではないかと考えております。世代間の分断、高齢者に厚くお金が回る状況ではなくて、現役世代も高齢者もともに安心社会をつくっていけるように年金も医療も介護も。今はとてもじゃないけど安心できない状況です。

 そして消費税です。増税した分の多くは社会保障、福祉に充てると決めたわけですから、しっかりと何に使うのかという透明化、消費税も、払っても何に使っているかわからないというのではとても国民の皆さんも不満だと思いますし、そういう意味では、税金の使い道の透明化というのは大変重要だと考えています。

 東日本大震災が発生した後、国会では子ども国会も開きました。今日は子供の話ばかりで申しわけないのですが、身近に考えてもらうために子供の話ばかりしています。子ども国会に、被災した子供たちも来てくれました。その中で、全国の子供たちが「私たちは、東日本大震災が起こって、何とかしなければいけないということで自分たちが食べようと思っていたお菓子のお小遣いとか、こういうものを、みんな、東日本大震災のために寄附しました。でも、何に使われているかわからない。せっかく寄付したのにそれがどういうふうに使われているのか、全然見えてこない。まだまだ寄付しなければいけないのですか」と言ったのです。被災してから3年目でした。何のために使っているか知りたいという子供たちの声がありました。

 そういう意味では、やはり寄附金もそうですけれども、本来であれば国民が納めた税金、これの再分配を我々は任されているわけですが、何に使ってもいいということではない。やはり何のために、そして、将来、国民一人ひとりのためにどういうふうに返ってくるのかということをしっかりと表にしていかなければならないと考えています。

 大変厳しい選挙戦がこれから始まります。我々は中央集権から地方主権の国家を目指してきました。そういう意味では、地方が成り立つような、地方からしっかりと活力を見出して、そして日本全体がよくなるようにしていかなければならないという思いと、そして先ほど言ったように、子供たちの未来に安心社会をしっかりと作っていく。このためいい政策をしっかりと打ち出して闘っていきたいと考えております。

 10月10日公示、あっという間に10月22日投票日ということであります。しっかりマニフェストをつくり、そしてまずは皆さんにお示しをさせていただいて、ともに闘っていただきたいというふうに考えております。

 ぜひ皆様のお力を賜りますよう心からお願いいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

【司会】  質問をどうぞ。

【質問者】 先ほど世代間の分断の話がありましたが、ほんとうに公共対民間とか男性対女性とか、世代間の分断とか、すごく感じるのですが、オール・フォー・オールといったときに、世代間の分断を税金の使い道でなくすというと、やはりお金で渡すとどういうふうに使われるかわからない、例えば生活保護にしてもあの人たちはもらいすぎだとか、パチンコに行っているとかという話なので、できれば先ほど議員のご提案のあった給食費みたいな現物で支給していくというほうがいいと思います。それについてのお考えをというのが1点。

 もう一つは、大義がないというよりは、選挙で問うていないことをやってきたのが安倍政権だと思います。税金のことを争点にしながら、安全保障法案を強行した、大義がないというか、違うことをやっているのではないかということがなかなか国民に理解されない。では私たち組織力のある組織は何をしたらいいのか、どうすれば国民に気づいてもらえるのか、ヒントをいただきたい。

【羽田】  残念ながら格差社会がどんどん広がっていて、一人親世帯だと2人に1人は子供が貧困という状況です。 低所得者の方と高所得者の方が、残念ながら幅広い中でいるわけですが、やはり再分配するときには、子供という観点から言えば、所得がない中で所得制限は撤廃していくということをしっかりと掲げていきたいと思います。また大人の場合は給付付きの税額控除とか、いろいろな形で控除するということで対応していく。

 今、自公政権が言っている軽減税率ではとても国民の不公平感は拭えないと考えています。食料品などが8%に抑えられるというのは理解できると思いますが、新聞では週2日以上家庭に配られているものと限定することは、政権与党に批判的な駅売り新聞は10%に上がるということです。一方大手紙は、各家庭に週2回以上は配られていますので、これは8%に抑えられます。

 これは安倍総理と大手新聞社の○○さんが会談して突然降って湧いたように決まったようです。仲よしだったら軽減税率を入れてもらって8%になるのかみたいな話なので、これから我々もと各種団体が声を上げてきます。そうなれば、年金や医療や介護、子供育てに使われて、それが透明化されるのであれば消費税率10%まではしようがないと思っていた人たちが、ちょっと違うのではということになってしまう。声の大きいところが軽減税率で得するみたいなものです。軽減税率は経団連、経済6団体も大反対。税理士会もややこしい税でおかしいと言っています。

 食品関係も、マクドナルドでは「持ち帰りです」と言えば8%だそうです。「そこで食べます」と言えば10%です。これ、おかしいじゃないですか。持ち帰りといって買って、気が変わったからとそこで食べてもいいわけです。子供に税はごまかせるということを教える法律が実は成立しています。 これからもこの軽減税率については反対する、しっかりと対応していきたいと思っています。

 少しずれましたが、わかりやすい話なのでさせていただきました。

 詳細に見ていくと、自民党と民進党がやろうとしていることは全然違います。やはり自民党は大企業、大企業の経営者また株主はこのアベノミクスで相当もうけています。でも、物価が上昇し、消費税が上がり、皆さんの給料がどうかといえば横ばい。で、投資についても、設備投資は微増です。経常利益が増えている中で内部留保が最大級に増えている。しかしそこで働く人たちへの分配が増えてないのはおかしいという点が自民党との違いです。我々はしっかり国民の税金の再分配については透明化をし、そこに見合った分、また必要なところに予算をつけていこうと考えている点が大きな違いだと思います。

 あとは、外交についてはやはり対話です。日本は、平和な中で平和外交をしっかりとやり対話を大切にしていくと言ってきたはずなのに、安倍総理はこの9月の国連総会で、北朝鮮に対して、今までは対話と圧力と言ってきたのに、とうとう対話をなくしてしまいました。

 僕は圧力も重要だと思いますから、せめて圧力と対話だと。今までは対話が中心だったけれども、やはり圧力もかけていく、ここまで無視されたら圧力と対話だと。対話の道は残すけれども、しっかりとそこに乗ってこいというぐらいの国連の挨拶でよかったはずなのに、もう圧力をかけて、世界中で圧力をかけなくてはいけないという演説をしたことによって大きく変わってしまったと思います。やはり日本国民の命を危うくしているのではないかと。

 今までは、多くの国民は、アメリカを狙っているけれども、間違って日本に落ちたらどうしようという感覚だったと思います。しかしこの国連での発言によって、間違いなく日本が直接のターゲットになる確率が大きくなってしまったと思います。国連のあの演説で、もう対話を全てなくしたわけですから。

 我々はやはり圧力と対話という、対話は平和外交を重視しなければならないのに、外交がまるで見えてこないです。プーチンさんと何回会ったのですか。十数回会って、人間関係をつくってきた。何でプーチンさんに間をとってもらって北朝鮮と話さないのか。北朝鮮のことについても、信頼関係のあるプーチンさんに骨を折ってもらえばいいではないですか。

 あとは、中国です。やはり中国の対応が北朝鮮にとって大きな圧力になりますから、中国との対話を重要視していかなければならないわけですが、もうアメリカ追随一辺倒です。おまけに同盟国だから、アメリカが戦争を始めれば我々も賛成するという姿勢ですね。そこはずいぶん我々の政党とは違います。相当危うい状況に入ってしまっているなと。

 やはり国民の皆さんに目を覚ましてもらいたいのは、自分たちの憲法である平和憲法、不戦の誓いがないがしろにされている。僕は、憲法改正するという人たちの気が知れない。憲法というのは国民の皆さんのもので、我々権力を与えられている者を縛るものです。縛られている自分たちが、自分たちのご都合で憲法を変えるという旗を掲げること自体がおかしい。

 それはもう、我々もなんでも護憲ではないので、国民とともに議論をする、ほんとうに必要だと国民が思ったときにはともに変えていく姿勢です。 こういう違いを是非ご理解をいただいて、このオール・フォー・オールをしっかり読んでいただいて、自民党との違いは大きいと思っています。

【質問者】ありがとうございます。

【司会】大変お忙しいと思いますので、ここでご講演を終わりたいと思います。

これからのご健闘と、大変難しい選挙と思いますが、いい結果を願って拍手で終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。

(拍手)

【羽田】どうもありがとうございました。

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【講師】羽田雄一郎参議院議員

 羽田雄一郎参議院議員 長野県選出 当選4回 昭和42年7月生 民進党 党幹事長代理 党参議院議員副会長 国土交通委員 基本政策委員 元国土交通大臣 伊藤忠記念財団勤務 玉川大学卒 長野県出身(平成29年9月26日現在)

WEBサイト:http://www.y-hata.jp/