遅牛早牛

立憲民主党「赤ずきんへの期待にどう応える」

 数あわせはしない。立憲、枝野代表の一言である。衆の民進は立憲、希望、無所属に分かれた。合わせた議席は増えたものの、旧に復することにはならないようだ。立憲としては、まずは足下を固める。そのためには票を入れた有権者の期待を見定める必要がある。それからでも遅くはないだろう。

 それに衆議院の野党第一党である。見せ場はある。だから焦る必要はない。希望が第一党であれば与党との垣根が曖昧になりがちと心配ではあったが、いまや押しも押されもしない第一党であるから、立憲らしさを国民に強く印象づけることができる。と考えるのが普通である。だから数を合わせるような統一会派とか連携とか余計なことは考えない。明快である。

 ここまでの枝野代表のハンドルさばきは的確だと思う。しかし問題はこれからだ。まず野党を代表しきれるのか。これは野党第一党になったが故の苦労である。特に希望との関係が微妙である。選ばれしものが苦杯をなめ、排除されしものが栄光を得る。皮肉な結果が織りなす劇的な展開などと戯作者に格好の題材を与えてはならない。自民が謙虚をいうなら、立憲は抑制であろう。先に手を出してはいけない。

 次に政治的立ち位置であるが、特に共産との距離に関心が集まる、と十人が十人そう思っている。立憲首脳の考えはすでに決まっていると思うが、問題は表現である。前回の論考で消極的共産党支持者の相当部分がある種のスッキリ感をもって立憲に投票したのでは、と推測したが、この支持を保ちながら右側にどこまで行けるのか、ギリギリの見定めが必要である。今後瀬踏みが続くだろう。

 また代表はじめ所属議員の発信する内容が子細に吟味されつつ、「立憲とは何か」への回答としての政治的イメージが形成されていく。みんなが作るそのイメージが立憲にとっての財産であり、ある意味限界となるであろう。だから現有議席を伸ばそうとするなら、左方指向かあるいは右方指向なのか。いずれ決断の日を迎えるであろう。幅広く左右を両抱えした民進が党勢回復に成功しなかったことを思うなら、答えは自明である。

 ではリベラル再結集とはなんだったのか。枝野代表のどこがリベラルというべきなのか、私にはわからない。第一リベラルという用語には多義性があり実に使い難い。あえて「立憲」にその風を感じるが別段リベラルと表現することもないではないか。立憲主義と改正反対にこだわる護憲とは本来関係がない。立憲の綱領などを読めば中道政党と思うが。

 よくあることだが、外から作られたイメージがまつわりつき、行く手を阻むということか。本人たちに赤ずきんを被った意識がなくても世間がそう思う以上そうなのだ、そういうことでしょう。

 当面する特別国会また来年の通常国会では国会対策が現実の課題となる。衆議院野党第一党として手腕が問われる。国対は理屈を超えていると思われている。

 さてどうするのか。理解しがたいものはあってはならないと切り捨てるのか。少し折り合いをつけるのか。少数派が切り捨てるということは切り捨てられることである。出来れば新しい国対シーンを期待したい。

 さてここからは具体論である。

 国会対策とはひとえに人間関係である。と同時に各党の思惑の交差点でもある。思惑のほとんどは競争である。どちらが見栄えがいいのか。立憲と希望、5550の議席比は嫌な予感を呼ぶ。

 立憲と希望が国対方針でぶつかった場合、与党はどうするのか。特に自民はどのようにまとめるのか。高みの見物を決め込むのか。「いやあ立憲さんと希望さんとで折り合っていただければ結構ですよ。」最初のいやあと最後のよ、これは余裕の嫌み表現だが、こういった細かいことにまで気を遣わなければ事態はこじれるだろう。すべて野党二党(立憲、希望)の責任にして済むことではない。

 加えて、参議院は引き続き民進が野党第一党である。現場経験からいえば衆参の呼吸合わせをどう図るかであるが、衆参通貫の野党第一党時代(民進党)でさえ、呼吸の乱れが生じたものである。逆に党が異なるからお互い気を遣って、うまくやっていけるのかもしれない。ここはそのように期待したい。でないと先の展望が開けない。重要なのは参議院での審議への配慮であるが、特に通常国会では予算委員会の節目があるので出口のまとめ方が難しい。議会全体が謙虚でなければ「変な国会」と非難されると思う。

 とはいっても今の参議院自民は平衡感覚に優れているので、非生産的な嫌味など言わないだろうし、たとえ衆議院でこじれたとしても何とか辻褄を合わせると思う。民進参院国対は衆における立憲、希望、無所属(会派)を友好グループとして連携を強める方向で臨むと思われるが、立ち振る舞いに気を付けないと思わぬ落し穴が待っている。これ以上は予測を超えるので筆をおく。

 以上述べたように試行錯誤あるいはドタバタする中で参議院として新しいあり方を見出せる機会もあるのではないか。少し飛躍するが参議院改革は焦眉の急。後に参議院不要論が控えている。この際、与野党知恵を集めて新しい参議院像を打ち立ててほしい。

 そのためにも立憲の役割が大きいと思う。なぜなら立憲はほとんどが衆議院議員である。参議院にしがらみを持たない立場を生かした動きもありうるのではないか。

「赤ずきん家に帰れば壁の花」

2017117

加藤敏幸