遅牛早牛

時事雑考「ようやく中道新党がスタート」

―「遅牛早牛」として雑論を掲載してきましたが、2000字を超えるものはどうしても足が遅くなり、時宜を失いがちになります。そこで、「時事雑考」として推敲不足ではありますが時宜にかなう◆式の雑考を掲載することにしました―

「ようやく中道新党がスタート」

◆ 難産とは思えないが予想以上に時間がかかった。「なぜ餅にカビが生えたかって?そりゃ早く喰わねぇからだ」と有名な小話を思い出す。とは言えいろいろな事情があったのだろう。外野があれこれ言っても仕方がない。これで中道に家が建ったのだから、当面野党として精進してほしいものだ。

◆ 時間がかかった理由の一つに、旧民進党陣営の流れ方への思いがあるのだろう。会派統一の呼びかけが必要だったのか、外野から見ると疑問ではあるが、当事者らの気分としては必須だったと推察する。ウェットでやさしいね。その点、立憲民主はドライである。とにかく拠点を固めること。同感である。昔のなじみに気を遣う余裕などありゃしない。サバイバルファースト。

◆ 早い話が、岡田氏がトライしてできなかった、あの重厚な無所属集団をバックに、そう、できなかった「まとめ話」が簡単にできる訳はないだろう。だから大きさは問わずにまず中道政党の柱を立てることが焦点であった。でないと、立憲民主も言いようがないと思う。

◆ 大雑把に言って、左派立憲民主、中道国民民主の二本柱で自公勢力に対抗することになる。だから野党連携をどのように構想するのか、という基本アイデアが大切で、当面架け橋プランコンペを見守りたい。案外共産党が名わき役を果たすかもしれない。が過去を思えば、それはないだろうと考えるのが普通なのだが。

◆ 連合の悪口を言う評論家がいるが、その趣旨の芯は、「連合は政治にくちばしを入れるな」という感情論である。巧拙はともかく、労働団体たるもの政策制度と政治にかかわるべきであり、これは国際的にみて常識である。

◆ 連合を構成する産業別労働組合は立憲民主派と国民民主派に分かれることになりそうだ。いささか苦言があるが、そこは呑み込みたい。難しい理屈は横に置き、ある意味わかり易い。民間労組を中心とする国民民主は当面苦戦することになるが、中道政策を推し進めればよい。一方、官公労組が寄り添う立憲民主は大いに上げ潮ムードであるが、官公労組の色合いを薄めることになるだろう。左派政党にとって官公労組は鬼門である。まして草の根政党をめざすのであればなおさら「既得権益で守られた集団」を抱え込むリスクに敏感にならざるを得ないだろう。

◆ リスクといえば、世間は公務員には冷たい。国民に顔を向けない公務員、官邸にすり寄る公務員と正直根拠なき(大多数の公務員にとっては極めて迷惑な)誹謗が起こるだろう。権力は人々の非難をかわす術に長けている。民間によって希釈された官公から、濃縮のままの官公へ。右からの攻撃再開が危惧される。統一運動の経験を持つ筆者としては心配である。

◆ 筆者は民間労組出身であるが、官公労働運動にも深い理解をもつ者と自負している。もちろん国民民主党を支援する立場にあるが、同時に昔の仲間には働く者の幸せつくりに貢献してほしいと願うし、いつの日か「小異を捨て大同につく」ことがあると信じている。小異をもって大同を捨てることは天意に反するものである。

加藤敏幸