研究会抄録

ウェブ鼎談シリーズ第(14回)「戦後の労働運動に学ぶ」

ウェブ鼎談シリーズ第(14回)「戦後の労働運動に学ぶ」

講師:仁田道夫氏、石原康則氏

場所:三菱電機労働組合応接室

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発言広場

【遅牛早牛】 時事雑考「2024年2月の政局-政治と金から賃上げへ-」

【この時期、酒蔵がひらかれ新酒がひろうされる。秋に収穫された新米が仕込みをへて35日ほどで酒になる。灘、西宮、伊丹と近隣の酒どころでは蔵びらきに酒好きが列をなす。その一人としてならんでいる。ならぶことが楽しい。30分ほどで番がきて、利き酒セットを紙製ホールダーにのせる、そしてたかだか50ccほどをゆっくりと口にふくんでいく。多く飲むことがかなわなくなって久しいが、陶然とあたたかい海にしずんでいく感覚にかわりはない。ということで2月の生産性は低下してしまうのである。

 ところで、昨年10‐12月期の経済成長率がマイナス0.1%となり年率換算では0.4%の減速となった、尋常ならざる驚愕の落ちこみである。良くないとは思っていたがまさかマイナスになるとはと多くの専門家も驚きを隠せない、とか気楽にいってんじゃね~よ(失礼)と毒づきたくもなる。そりゃ実質賃金が前年比で2.5%も減少しているのだから、個人消費が失速するのも当然のことであり、個人消費がふるわなければ経済はマイナス成長となるのは必然といえる。だから経済専門家は想定の範囲内であったというべきであった。

 ゆゆしき事態の原因は「物価にノックアウトされた賃金」すなわち昨年の賃上げが不足していたことにあるわけで、まさにこの国の経営者の多くがケチで予見力がないことの証左であるといえる。

 といいながら、岸田政権の責任はひとまず措くことにする。それは、なんでもかんでも政府の責任にして一件落着とするマスメディアや経済評論家の無為無能ぶりをまずは浮きぼりにしたいためであって、政権政党にたいする責任追求はこのさい有権者にまかせて、ここでは反政権を装いながら、本当のところは自分ではなにも考えてない「ブルシット・ジョブ」にいそしんでいる連中にたいして最大級の罵詈雑言でなじりたおしたいのである。

 ほんとうに賃上げ不足であった。昨年の賃上げ率が連合や経団連また政府調査においても近年まれにみる高さであったことは事実ではあるが、それで充分ではなかったのである。本当は秋の物価上昇を想定し9月にも賃金交渉を再組織すべきであったと思う。大手のためではなく未組織、小企業のためにである。

 神経質な筆者の気分の反映のようではあるが、経済運営において、この時期年率換算で0.4%もの落ち込みは致命的とさえ思うわけで、本文でもふれているが、2024年の賃上げでは実質賃金の落ち込みをどこまでリフトアップできるのかが焦点となるであろう。とくに連合傘下の労働組合が要求満額を確保できたとしても国全体としてみれば昨年の物価さえもリカバリーできない可能性のほうが高いことから「岸田賃上げ路線」は逆風にみまわれるのではないかとじつは心配しているのである。経団連と連合は当年度の物価状況を見ながら年央にも追加交渉にふみきることを考えるひつようがあるのではと思う。

 なぜなら4月には5000以上の品目の値上げが予定されている。2月は消費の底である。消費者の不安が最高潮になれば1-3月の成長率がさらに下振れするであろう。また中小組合への回答は5月が山で、未組織、小企業での賃上げは夏場の最低賃金と連関している。つまり8月の実質賃金の水準次第では半永久的に雇用者所得の回復が見込めないという氷河期にむかうような雰囲気になるのではということである。

 そういうことで、賃上げの確証もないのに「物価安定目標2%」をかかげてきた日銀の能天気な庶民窮乏化策に怒りをおぼえるのであるが、与党や霞が関からそういった声がでないのはどうしてなのか、と首をひねっている。さらに経済政策では役にたたなかったということで与党の存在価値も疑われる季節にはいるのではないか。ということで、今回は「裏金事件」にゆれる永田町と賃上げへの期待を中心にまとめた。】

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