研究会抄録

「政治と労働の接点-これからの政治参加の傾向と対策-」
講師:岡崎敏弘様、難波奨二様、オブ参加者様
場所:メロンディアあざみ野(横浜市青葉区)2025年10月17日14時から
発言広場
【遅牛早牛】 時事寸評「2026年4月の政局-変化する世界と政党の閉塞-」
まえがき
[ 人生に誤算はつきものではある。しかし、2月28日からはじまった米・イスラエルのイラン攻撃の展開は、クラウゼヴィッツの「戦争は、他の手段をもってする政治の継続である」とは逆向きあるいは無関係で、その脈絡のなさに思考回路がオンにならない。それに、元の政治がよく見えてないから、何が継続されているのか不明である。むしろ、政治は、他の手段をもってする戦争の継続であるといったほうが、とくにイスラエルにとっては当たっているのではないか。政治を外交に置きかえればさらにピタッとする。
ところで、4月の第3週の多くのコラムには「誤算」が踏んづけそうになるぐらい転がっていた。はたして誤算なのかしら。狙いがはっきりしないということでは、初めから成算があったわけではなく、いくつかの取りこぼしがあったので精算してみると、体制転換もせん滅も無理なので、何とか清算したいと思っても、ホルムズ海峡を人質にとられて出られなくなった、のか。
始まりは意図的で偶発ではなかった。しかし、その後の展開は目的を失っている。核が問題であれば、NPT体制を触らなければ国際世論を動かすことはできない。お灸をすえるだけにしておけばよかったのに、体制崩壊から民主化へと教条的な思考に支配されたのがまずかった。米国は敵からも味方からも翻弄されているのではないかと心配している。
ホルムズ海峡は晴れている。しかし、海峡を覆う闇は1週間たっても2週間たっても消えないだろう。そして、その闇がアジアを覆うのが恐ろしい。困ったものである。
さて、今回は自民党の中興が中心である。また、政党の興隆あるいは衰亡に影響するのは経済と安全保障であると筆者なりに指摘してみた。経済は完全に従属変数化している。消費税減税は中断したほうがいいし、日銀は早く利上げを実施しないとタイミングを失う、というよりも政府の従属物だと思われるよ、本文では触れてないが。
本文といえば、中では左派系政党との表現をつかっているが、文脈的には軽く護憲派あるいは立憲主義の意味である。憲法至上主義というか、長らくつづいた憲法原理主義への嫌悪感が若年層に広がっているのではないか。選挙にも影響したと思う。何ともいえない硬直感が嫌なのであろう。
ということで、次回は議席を伸ばしている野党を、取りあげる予定である。そんな場合ではない、となる可能性が高いかもしれない。]
1.既存政党の停滞と閉塞を横目にしながら、自民党の中興は本物か
失礼とは思うが、勢いのある新興政党は別にして、多くの政党はいささか党勢としては停滞期にあるのではないか。その中にあってとりわけ特異なのが「高市ブーム」によってもたらされた自民党の中興であろう。で、そこに持続性があるのかというのが今日の論点である。
現時点では、自民党の停滞が打破され復興期をむかえつつあるというのは尚早であろう。というのも、この議論には政党側と有権者側との2面があって、それぞれについて細かく分析する必要がある。しかし、実際のところ議論はまだまだ不十分なので、結論めいたことはいえない。
不十分であるというのは、たとえば2月8日の自民党の大量議席が、政党としての新たな魅力によって生みだされたのかと聞かれれば、「そうだ」と即答するにはためらいがあるからで、まあ世間の気分はなかなかに複雑ではないかしら。
そこでいくつかの評価点をあげれば、女性をトップに選ぶことができた、総裁選出が分かりやすかった、総裁選出では地方票が議員票よりもビビットに効いた、派閥解消などの「政治とカネ」への対処が多少なりともすすんだ、保守的傾向を鮮明にしながら対中姿勢を硬質化させた、などであろう。これらの5項目をまとめれば自民党の努力が優越しているといえる。
さらに、政党組織については「安定性」と「機能性」また「規模性」の3点においても他党よりも評価されているといえる。「とりあえずビールで」といった感じに近い、つまり無難な選択であると思われていることは間違いない。
しかし、「政治とカネ」問題にみられるように忌避感情が強く残っていたのでは、いくら優越性があっても忌避感情に埋れてしまうことも多いと考えれば、2月の総選挙では自民党への忌避感情がかなり緩和されたと解釈できると思われる。


