遅牛早牛

時事雑論「立憲民主党が政権を射程に入れるための要件」

◇ 立憲民主党が政権を射程に入れるためには何が必要であるのか、もちろん論点は多くそれらの全てを論考することはできないので、とりあえず三つの分野について考えてみる。一つは、近隣外交。二つは、人材。三つは、政策である。

◇ 近隣外交とは何か。それは、連立を組む相手との良好な関係づくりである。昨日までの立憲民主党は「近攻遠攻」であった。遠い自民党と近い国民民主党を攻めた。よくいわれる遠くとむすび近くを攻める「近攻遠交」は戦国時代の戦略であり、連立時代にはふさわしくない。近くとむすび遠くを攻める「近交遠攻」が正しいといえる。

 同党は、夏の参議院選挙の結果を受けてすこし軌道修正し、共同会派ができた。行政監視機能を高めることは長期政権がもたらすマイナスを国民視点からチェックするためにも有意義である。また、共同作業を通じて「近交」が深まる効果もあろう。衆議院においては雰囲気がずいぶん良くなったようである。しかし、参議院には木枯らしが吹いている。

 つまり、向こう三軒両隣と誼(よしみ)を通じあえないものがどうして天下を語ることができようかということである。また、「与えることは取ること」が理解できなければ外交を担うことは難しいであろう。立憲民主党が連立の盟主になるには、まず約定を整え、それを明らかにし、堂々たる近隣外交を展開すべきである。ただし、外交は主権国家同士の交わりであるから、「参院選で国民民主を解体し、総選挙に臨む」などといってはいけない。

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時事雑考「サクラ問題に権勢の落日を見る」」

◇ 「桜を見る会」をめぐり野党の攻勢が強まっている。会期末まで2週間を切り、予定されていた法案が積み残されることもあり、法案審議に力点を移すべきとの声がテレビでおなじみの評論家連から発せられている。

 まあそうではあるが、だからといってサクラ問題を放置してよいとはならない。いろいろな理屈をならべて問題の矮小化をはかる向きもあるが、この問題には性質の悪い病巣が潜んでいる。

◇ その一つが、無責任体質である。「内閣総理大臣 安倍晋三」の名前で招待状が送られているが、どうしてその人に送られたのか、はっきりしない上に、誰ひとり説明できないし、説明しようとしない。くわえて、肝心の名簿はシュレッダーで破棄したという、急ぐ必要もないのに。後世の検証を不可能にしたこれらの行為は行政として責任あるものといえるのか。これでは適切な対応であったことの証明ができないではないか。説明責任を意図的に放棄する行為である。それにしても、電子データがないなんてこのご時世に誰が信じますか。

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立憲民主党は野党第一党の重責を果たせるか?

◇ 野党第一党には重要な役割がある。それは政権を奪取することである。2019年晩秋を迎えた現在、野党第一党は立憲民主党である。今日、この役割をめぐり議論が錯綜している。つまり、第一党の鼎の軽重が問われている。

 

◇ 議論のひとつは、政権構想とそのためのロードマップが存在するのか、である。昨年来の「永田町の数の論理には与しない」という姿勢は政権獲得に背を向けていると捉えられていた。しかし、同じころ一部の幹部が「参議院選挙で国民民主党を解体し衆議院選挙に臨む」と声高に述べていたと聞くが、党の公式方針かどうかはともかく(このような覇権主義が公式に表明されることはないが)旧民進党勢力を糾合し、改めて政権奪取に向かう意欲の表明と受け取られた。しかし、肝心の参議院選挙の結果が2016年の民進党獲得議席32に遠くおよばなかったことから、振出しに戻ったというのが妥当な評価といえる。

◇ さて、そこでどうするのか。衆目の中で打ち出されたのが、統一会派の提案であった。基本政策の扱いなどの問題を抱えながらも共同会派としてスタートしたが、行政監視機能の強化という点では前国会に比べ前進したといえる。ただし、それは衆議院においてのことで、参議院では会派運営をめぐりひどい不協和音が聞こえてくる。さらに、行政監視以外の法案審議では衆参ともに深度不足のすっぽ抜け感がみられるなど結成効果をうんぬんできる段階には至っていない。ここらあたり、大向こうをうならせる技を見せないと「しょせん選挙対策」との批判をはねのけられないのではないか。

 今回の会派統合は政権構想とは次元の違うもので、高いレベルの国会共闘ではあるが、しょせん国対マターと関係者は受けとめている。つまり、不足感は否めない。

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時事雑考「朝鮮半島の統一、左派政治家の夢」

◇ 「同じ民族だからいずれ統一ということになるでしょう」と簡単に語る評論家が多いが、はたしてそうなのか。私は否定的である。「近づけば近づくほど遠くなる」、なぞかけではないが、そう思う。

 同じ民族であるから統一に向かう心情は理解できるが、心情だけでは結果は保障されない。国家の統一はさまざまな障害を克服して成されるもので、現在の大韓民国と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)との統一には、不可能と思わざるをえないほどの大きな障害が多く待ち受けている。ここで最も重要なのは、統一が本当に国民あるいは人民の幸せにつながるのかという点において大きな疑問があることで、これこそが最大の障害になっている。

◇ 第二次世界大戦の終結から東西冷戦によって分断された南北ベトナム、東西ドイツ、南北朝鮮のうち、前二者は統一された。残るは朝鮮半島の統一であるが、これは簡単なことではない。

 まず、ベトナムは1945年の日本の敗戦撤退の後、北ベトナム(ベトナム民主共和国)が中国・ソ連の支援を受けながら、フランス、アメリカとの戦いを制して統一にいたったもので、簡単にいえば武力統一である。統一後国名をベトナム社会主義共和国に改めている。

 次に、ドイツは1989年の冷戦終結により、ドイツ連邦共和国(西ドイツ)がドイツ民主共和国(東ドイツ)を吸収し統一にいたっており、これは経済力による統一といえる。もちろん、1973年には東西ドイツ基本条約が発効しており、国家として相互承認がなされるなど基盤は整っていたといえる。

 このように二例とも圧倒的な力の差こそが円滑に統一を導き、その後の安定を支えているわけで、両者の力の差がぼやけている場合は、たとえばイエメンのように南北統一を果たした後に内戦がぼっ発するという危険をはらむことになる。

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時事雑考「やはり環境問題でしょう、頭の痛い」

 「国連気候行動サミット」が922日開かれた。報道ではスウェーデンの16歳の少女グレタ・トゥンベリさんが大きな注目を浴びた。発言や立ち居振る舞いもさることながら、多くの国で確認できないが400万人以上が彼女に同調し、授業を休み座り込むなどの行動(Fridays For Future)をとっているという。その影響力に各方面が驚いている。「われわれを失望させることは許さない」と思いつめた鋭利な迫力が世界を駆け巡り、例によってプラスマイナスの反応を生んでいるようである。

 若い世代がこの先何十年かの地球環境に強い関心を持つことは当然で、平均気温が2℃以上も上昇すれば、地球上の生態系が破壊されその悪影響がもたらす災厄は計り知れない。被害という言葉を超える壮絶な悪事象を想像する力や、それらに対する感受性に世代間では違いがあることは間違いのない事実であろう。

 32年前の話であるが、1987年の民間連合の発足を期して、若年層の意識調査が行われた。その調査で政策・制度課題の優先順位を聞いたところ、トップが環境問題であった。当時の竪山会長(故人)が、報告書を眺めながら、「意外だけどなるほどなあ」とつぶやいていたのを覚えている。

 そのアンケートに答えた若者たちもすでに50歳台である。グレタ・トゥンベリさんの映像を眺めながらどう感じただろうか。知りたいと思う。

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時事雑考「臨時国会、野党は足並みをそろえ、しっかり議論を」

◇ 来月4日から臨時国会が始まる。20197月の参議院選挙の結果を受けて、顔ぶれも新たに久しぶりの活発な論戦が期待できそうである。ここ三か月あまり国会は本格的な議論を閉ざしたままであった。官邸の意向はともかく国会は国会として国民の負託にこたえる必要があるのだから、日米、米中、米朝、日韓など外交・環境問題、台風被害、消費税、景気下振れ、金利緩和競争と為替など経済と国民生活、年金など社会保障、幼保無償化など子育て支援、働き方改革など山のように溜まっている内外の課題に対し国会の場で積極的な議論を進めることは当然である。

 ここ数年、議会が官邸の付録の趣を漂わせてきているといった苦言も聞こえてくるが、この手の苦言も毎回聞かされると聞く方もいささかいやになると思うが、倦まずたゆまず言い続けることが大切ではないか。小さなあきらめが積もり積もって民主政治の弱体化をもたらすと思われるので、批判者は勇気をもって続けてほしい。野党に対しても同じ扱いが求められる。これは私を含めてのことである。

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複数野党は政権構想を事前に明らかにすべきではないか

近頃の選挙では、有権者は選択を強要されていないか

 今の時代、民主選挙が定着していることから有権者は主体的な投票行動をとっていると考えられているが、実態は政権政党への権力付与を追認する 選挙になっており、形式はともかく内容からいえば十分に自由とも公正ともいえない。

 また、投票は有権者一人ひとりの選択の結果であるから、初めに選択ありと思われている。つまり「選択」という主人公が目の前のいくつかの選択肢を評価し選別するものだと思われているようだが、ここ何回かの選挙を見る限りそうではなく、逆ではないかと思うようになった。つまり、選択肢が選択を強要しているのが真相ではないか、と。分かりやすくいえば、自公を選ばなければあの悪夢の時代に戻ってしまうぞという強迫に近い強要が暗黙の世界から匂ってくる。

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米中経済闘争の行きつく先は不毛の荒野か

ただただエスカレートしているが

 米中経済闘争がエスカレートしている。正直なところはた迷惑と思っている国がほとんどだろう。当初、トランプ政権は中国との貿易赤字の解消を目指していたが、知的財産権侵害や技術移転強要あるいは国有企業支援など中国経済の構造にかかわる課題を厳しく指摘していく中で、争いは経済闘争の様相を強め、もともと情報通信などのハイテク分野での技術覇権をめぐる争いが底流にあったことから、終りのない闘いになりつつある。

不安感をあおり、景気に悪影響

 争いの内容が試験問題のように初めから確定されたものであればまだしも、真の狙いが隠されたまま、表面に浮かび上がる時々のターゲットが大きく浮動している状況が、周囲に不安感を生み出し、その不安感が高率の関税応酬による実害を超えて世界景気に悪影響をおよぼしている。

 「何とかなるだろう、両国ともバカではないのだから」と楽観的に受け止めたいが、現実は極めて深刻である。子供でも日々の遊びの中で理解していることだが、それは「状況打開のために対抗策を打つ、これが新たな反撃を呼び起こし事態はさらに悪化する。この悪循環から脱却するためには一度負けなければならない。しかし負けることが戦略的好手であったとしてもそれは政治的敗北につながることから選択できない。ということで双方とも行き着くところまで行かざるを得ないというチキンゲームの不幸(わな)に陥ってしまう」ということで、第一の問題はその「行き着くところ」である。いまそのシナリオをめぐり世界中が作家顔負けの創作活動に没頭しているが、確かなことはほぼ100パーセント悲観シナリオにならざるを得ないことである。第二の問題は、このことが世界経済にとっての強力なブレーキになっていることである。

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時に苦みも要る、甘いだけでは切り開けない政治

◇ 山道では足元に気を配りながらうつむきに歩くので、谷に落ちることも石に躓くことも少ない。そのかわり目標とした山を見失い道に迷う。ふもとでは高い山は簡単に遠望できるがひとたび森に入ると木や近くの山に遮られ見えなくなる。

 だからといっていつも上を仰ぎうろうろしていると足元がおろそかになり谷底へ転落してしまう。このように、状況にもよるが遠望を保つことは難しい。

◇ 政治の世界においても同じことがいえる。当面する諸課題をそつなくこなし日々賄っているように見えても何のためにどこに向かっているのかが分からなくなってしまうことがある。つまり、遠望を欠き森に迷うがごとき事象が起こっている。

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すれ違う日韓、正面の北朝鮮はずぶとくしたたか

◇ 7月1日経済産業省は「大韓民国向け輸出管理の運用の見直しについて」と題し、同国に対し輸出管理上のカテゴリーの見直し(ホワイト国からの除外手続き開始)と特定品目の包括輸出許可から個別輸出許可への切り替え(7月4日、フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素)を発表した。(8月2日、従来のカテゴリーをABCDの4段階とし、韓国をBとしホワイト国の表現は廃止された)

◇ この発表をうけ、案の定というか日韓のメディアは徴用工問題への対抗措置との位置づけを前提に、まるで米中の関税報復合戦のミニ版のごとく大げさに取り上げたが、その結果「輸出規制問題」空間は大きく膨らんでいった。残念なことにこの歪められた第一印象は減衰することなく逆に増幅拡大され、特に韓国においては「日本からの経済報復にどう対応するべきか」という新たなテーマ設定がおこなわれ、本来の「特定品目とその製造技術の管理」という行政上のテクニカルな課題からは大きく離れた産業破壊とか侵略といった大時代的なテーマにすり替えられていった。これは意図的な曲解をベースに国内の団結強化をはかる政治ショーにほかならない。残念ながら現状は、冷静に問題の解決をはかるという国家間外交のイロハからは到底考えられない事態となっている。特に実務内容については韓国政府として当然把握していると思われることから、問題は分かった上での意図的曲解にあることから、対応策として何らかの話し合いを持つべきだという安易な対応が意味を持たないことは自明ではないか。(過去において、この意図的曲解にどれだけ悩まされてきたことか。)

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