研究会抄録

ウェブ座談会シリーズ2「世の中何が問題か-振りかえる兵庫知事選とSNS選挙の行方」
講師:座談会は五十音順に伊藤、江目、佐藤、中堤、渡邊の各氏、司会は加藤、事務局は藤田
場所:メロンディアあざみ野(横浜市青葉区)
発言広場
【遅牛早牛】 時事雑考「2025年10月後半の政局-高市総理、自維連立の誕生と行方-」
まえがき
 [トランプ訪日団への接遇は予想以上にうまくいったといえる。では予想のラインはどの程度であったのかについては、今回の日米会談の位置づけや目的にもかかわることから、想定はできるが証拠を示しながらの断定はできない。ただし、従来の関税交渉での5500億ドルもの日本による対米投資の性格と概要が少し見えてきたのが、ある意味成果といえるのではないか。
 筆者も「やらずぶったくり」ではないかという疑いを捨てきれていなかったのである。またその原因がトランプ大統領の独特の表現系にあったのだが(「利益の90%はアメリカのもの」がまだ引っかかっている)、意欲をもつ具体企業名もふくめ概要が報道されたことからすこし安心している。
 また、故安倍晋三氏をいい意味で触媒に使いながら、かなり巧妙にトップの人間関係を構築しながら、即発信していくという通常ではありえないアクロバティックな手法で、今日の日米同盟の深化あるいは黄金時代を演出しえたのは、実務レベルにおいての日米の信頼関係がそうとうなレベルに達している証拠ではないかとさえ思う。
 それは関税交渉時の、何かとドタバタとしていたものがすっかり洗われ、さらに新しいページがめくられた感じによって人びとに新鮮な驚きを与えてのではないか。
 さらに、今回の2泊3日の訪日が東アジアにかぎらず世界に向けての両国のイメージ向上をもたらすような、やや大げさではあるが、結構な外交成果をあげたのではないかと思っている。
 ほめ過ぎかもしれないが、高市氏には運を引き寄せる何かがある、あるいはこの訪問にかぎればトランプ大統領の評価も上がったように思えるのである。
 これで高市政権が紙細工といっても段ボール製であることが証明されたということであろう。
 10月も終わりに近づき、何かしら時代の変化を感じている。世界的な経済ショックへの予感はともかく、この2、3年のうちに終わるべきものが確実に終わり、新しい時代がはじまる的な感じがする、それもより困難な時代として。たぶん妄想なんだろうが。
 さて私事ではあるが、今年になって網膜黄斑変性の治療をうけている。眼球への注射こそ慣れたものの、その治療費には閉口している。逆にいえば国民健康保険がとてもありがたいと感じている。
 ところで、10年ちかく家庭の炊事係として複数のスーパーマーケットに毎日ではないが週に4日以上通っている。前半は小田急沿線、後半は阪神間である。食料品はやはり小田急沿線のほうが、2割はいい過ぎかもしれないがかなり高い。4年前からもともとの阪神間に帰ってきたのであるが、当初はスーパーマーケットでの支払いが安くなったことにウフフであった。それが今ではため息に変わっている。
 日用品や食料品は9割がた固定している(献立に進歩がない!)ので物価が手にとるように分かる。豚肉はおよそ2倍、鶏卵は特売が激減した。キャベツも白菜も大根も1/2個売り(1/3、1/4も)が多くなった、でも値段は変わらず軽くなったのが楽なだけ。年寄りの二人口なのでまだ耐えられるが、これが子供3人の5人家族ともなれば家計は火の車ではないかと心配している。
 というように日々の体験として物価上昇に追われていると、政治への不満が募るのである。日々の生活は待ってはくれない。また物価の番人である日銀が物価目標として2%を掲げているが、実質賃金が下がりつづけているのにどうしてそれが必要なのか、怒りをこめて疑問である。国の債務の減価をおもんぱかってのことであろうか。人びとには日銀のアキレス腱が見えているのだが、沈黙しているだけであろう。
 筆者は「日銀は国民の敵」と表現していた。しかし、円安で潤っている人も多そうなので「日銀は庶民の敵」とゆるめたが、表現はともかくドルが150円を超え、ユーロにいたっては170円をはるかに超えている。このレベルを正常といえるのか。ただ放置しているだけではないか。といった疑問がのこる。とりあえず、物価の番人という看板は外したほうがいいと思うが。
 といった歯ぎしりは措き、まずは、土台となる輸入物価を抑えなければ庶民の生活を支えることはできない。そこで玉突き論でいえば、円安は物価上昇の主な原因のひとつであり、物価上昇は生活の質を下げることから、生活苦をまねくもので、庶民の生活を考えれば円安にこだわる日銀は庶民に対していささかの同情心をも持たない非情な存在であるといえる。いな、ここまでしつこく円安にこだわるのはむしろ庶民に対し遺棄心をもっているからではないかと、まあいいたくなるではないか、というのは戯文であるが、利上げのタイミングを失ったのであれば、それは失政であろう。
 なお本文における政党名については、自民党は自民、立憲民主党は立憲、日本維新の会は維新、国民民主党は国民民主、公明党は公明、れいわ新選組はれいわ、日本共産党は共産、参政党は参政、日本保守党は保守と略す。また、議席数などは2025年10月28日時点のものである。]


