研究会抄録

ウェブ座談会シリーズ1「世の中何が問題なのか-アラコキ(古希)連が斬りまくる」
講師:参加者は五十音順で伊藤、江目、佐藤、中堤、三井各氏。司会は加藤、事務局は平川。
場所:メロンディアあざみ野
発言広場
【遅牛早牛】 時事寸評「2025年3月の政局-政党の老朽化と新陳代謝-」
[ まえがき 前回弊欄において、参議院選挙までは石破総理の退任の可能性はきわめて低く、さらに参議院選挙後もいずれかの野党との連立協議が整えることができれば引きつづき政権を維持できるであろうと予想し、そうならない障害として「重大な醜聞」の発生をあげた。今回の商品券配布がただちに辞任にはむすびつかない流れになってはいるが、参議院選挙およびその後の政権維持のためには「政治とカネ」問題を鮮やかにクリアするひつようがあるといえる。
今回のテーマは、わが国政治にパラダイムシフトが起こりうるのかという問いかけで、「政党の老朽化」をキーコンセプトに考察してみたが、政党においては支持層の新陳代謝が当面の争点になると思われる。また、立憲、国民民主には「脱労組と脱エスタブリッシュメント」を勧めるような書きぶりとなったが、現支持層の扱いはデリケートなもので、政党にとって簡単なことではない。
そういった本来簡単ではないことを実現するには、政界再編あるいは政党のリストラがひつようといえる。激変する世界情勢などに的確に対応していくためには、まず古い上着を脱ぎ新しいものを求めなければならない。脱ぐのは簡単だが、新しい上着を求めるには知恵と忍耐がいる。もちろん、古い知恵にたよるのは言外であるが、さりとてゼロはさすがにまずい。それにしても今の政治は、意識において「陳腐の絨毯に慣習の机と惰性の椅子」に支配されているばかりで、覚醒の泉にはなっていないのではないか。
次回は、トランプ流への対応を中心に妄想をかさねたいと思っている。]
1.この時期の商品券配布事件は自民党の劣化(老朽化)に原因がある
3月3日石破総理が10万円分の商品券を配布したことが騒動を起こしている。衆の新人議員に対する慰労懇親会での手土産を事前にくばったという。すでに3週間近くたっているのに、参予算委でくすぶり続けている。参議院には、衆議院から送付された予算案が30日経過すれば自然成立するので、それだけは避けたいという与野党共通の思いがある。また、予算委での審査はどうしても衆の二番煎じになりやすいことから、なんとか参議院の独自性を発揮したいとも思っている。
そこに、「総理の商品券配布」という醜聞が出現した。日ごろから争点不足気味の参予算委としては「政治とカネ」にからむ格好のテーマをえたことから、野党としては大いに湧きたちそれは今もつづいている。
配られた15人の議員は全員返したそうであるが、思わね手土産に驚いた議員もいたであろう。それにしても、なんと間の悪いことかと思う。と同時に前回の弊欄で「政党の老朽化」を指摘していたこともあり、あらためて自民党の感性や適応力の劣化(老朽化)を痛感している。
「今、何が大事なのか」といえば「2025年度予算案の年度内成立」であり「企業・団体献金問題の着地」であるのに、肝心の総理の足元から怪しげな付け届け文化が明らかになるとは、どう表現すればいいのか困惑のかぎりである。
しかし、どう考えてもあの石破氏のオリジナルな発想とは思えない。よくは分からないが、慣習化していたのかもしれない。であれば、「復興応援品にしましょう」のひと言がなぜ発せられなかったのか。思うに政権中枢の鈍感さと怠慢はやはり石破氏の責めに帰せられるものであろう。