研究会抄録

ウェブ座談会シリーズ2「世の中何が問題か-振りかえる兵庫知事選とSNS選挙の行方」
講師:座談会は五十音順に伊藤、江目、佐藤、中堤、渡邊の各氏、司会は加藤、事務局は藤田
場所:メロンディアあざみ野(横浜市青葉区)
発言広場
【遅牛早牛】 時事雑考「2025年8月の政局―敗因は物価、政治とカネ、低賃金(構造問題)、日米関係の4項目」
まえがき [今回は参院選での自公の敗因と今後の政局がテーマである。とくに、総理総裁の石破氏の責任についても触れているが、党内での氏の責任追求については前々回と同じで、「ご勝手に」というのは変えようがない。ただし、石破氏を辞めさせる場合は、衆議院での多数派工作か、あるいは前回のような決選投票での日本維新の会や国民民主党の対応の再現が必要なので、総裁がほぼ自動的に総理に就任するというわけにはいかない。
さらに、X氏が総理に就任しても少数与党であることは変わらないので、連立拡大が不調におわれば、苦しい国会運営を余儀なくされ、不本意な政権運営になることは確実であるから、それを理解した上でのイシバ降ろしなのか、すこし疑問がある。連立拡大の確証をえてから総裁を変える手順でないと混乱するのではないか。
仮に石破氏続投であれば、連立拡大の時期は遠くなる。そうなると秋風が解散風になる可能性も生じる。少数与党の総理が解散風を纏う不思議な国会になるかもしれない。
トランプ関税への問題意識が政府内で統合化されていないようで、とうぜんわが国経済への深刻な影響も重要な課題であるが、世界経済が受けるダメージについても分析を急ぐべきであろう。
年初に指摘されていたトランプ流のリスクはいまだに軽減されていない。とくに個別状況への過剰な対応が多くの不確実性を生みだしている。そしてそれが経済活動を阻害している。経済がうまく回る理屈はゼロなのに株価が上がっている。まるで妖怪のようで、実に奇怪である。
プーチン氏とのアンカレッジ会談は停戦仲介者としては不発、交渉者としては接待過剰であった。交渉内容もさることながら、イベント優先のトランプ流が見透かされているようで、同盟国としては気持ちが悪い。まるで暗号が解読されているような。まあ、ヘッドラインづくりのためのイベントなんだから、ロシアもやり易いということか。
紛争はかき回すだけでは解決にはいたらない。ところで、戦争をしたくないトランプ流はもちろん評価されるべきではあるが、結果としてロシアに翻弄されているだけではないかと心配する声が増えている。米ロによるウクライナ処分となれば、NATOは崩れてしまう。嵌められたのか。自分で嵌まったのか。それとも、お疲れなのか。ディープ・ステートが実在するのならこんなことにはならなかった?ですね。
それにしても制裁としての関税政策に効果があったのか、むしろ足元を見透かされただけではないか。など、米国への信頼低下は同盟国にとっても難事であろう。
ということで、日米関係の揺らぎや綻びが自公政権の支持率を多少なりとも引き下げているというのが筆者の視点である。さらに、構造問題への対応の弱さもふくめ自民党の弱点が露呈している。
それにしても、国会議員たる者は週に一度はスーパーマーケットなどをめぐるべきで、ここ2年間の値上がりを直視すれば47議席は出来すぎである。40割れもありえたというのが感想であり、次はそうなるかもというのが今回の妄想である。]