遅牛早牛

遅牛早牛「気持ちはザワザワ、通りはサムザム、問題はゴロゴロ」

◇  「ⅭOVID‐19」まるでロボットみたいだけど、3月11日世界保健機構(WHO)はパンデミック(世界的大流行)を宣言した。宣言したからといって、何かが起こったり、変わったりするわけではないらしい。

パンデミックとは「全世界の人がこの感染症にさらされる可能性が高いと考えられている状態」(同マイク・ライアン氏)というが、以前からそう思っていた、ほとんどの人が。

◇ 本欄2020年1月24日付「2020年からの課題と予想-②-フェイク・ニュースと解散風が政治を劣化させる」で、嘘と噂から人々を守るのが政治の役割だと書いたが、現状は嘘と噂が蔓延している。免疫は医学用語であるが、免疫力は医学的に確認されていないという。にもかかわらず、メディアでは氾濫している。食品などの宣伝の場面でよく出てくる。はっきりしない用語を使って食品などを宣伝するのはよろしくないのではないか。とくに、深刻な症状の方の前では使わない方がいいと思う。

◇ この季節、花粉症なのでマスクが手放せない。それが市中から消えて久しい。ぜひ、病院など必要なところへ届けて欲しいものだ。ところで、マスクを着けなければいけないのか。年の初めには、感染者の飛沫をさえぎるという意味では有効であるが、感染予防ではあまり期待しないように、と聞いたが。ここ数日は、通勤電車もマスク着用率90%台に達している。なので、無着用で咳込むと空気が変わる。気のせいでしょうか。

◇ 新型なのでよくわかっていない。とくに、重症者の治療法が手さぐり状態で、人工呼吸器が命の綱となっているが、数が限られている。ここにも不安がある。今日、医療関係者が総力をあげて取り組んでいるが、それにしても 政府の説明は不十分ではないか、専門家の会見を定例化し、正しい情報を流してほしい。昨今、民放局の報道番組や、バラエティー番組に先を行かれ、政府広報がかすんで見える。

◇ PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査法と聞いても見当すらつかない。どんな検査法にも限界があることは分かる、だから感度があって、検査対象がごく微量であれば陰性と判断され、偽陰性となる。だから、かりに陰性であっても100パーセントのお墨付きではないことは理解できる。

  ところが、偽陽性もありうるという。もちろん、わずかな率だが、たとえば0.1パーセントであっても、100万人対象に検査をすれば1000人が陽性と診断される。そして、14日間自宅待機あるいは隔離、その上濃厚接触者の聞き取りや職場閉鎖など重たい対応を余儀なくされるが、1000人もでたら本当に対応できるのか。WHOは、「(疑わしい場合は)検査、検査、検査」といっているが、検査については検証が必要であること以外、素人にはわからない。

◇ いつまで続くのか。人類の歴史は感染症との戦いではなく共存だったと説く学者もいるから、COVID‐19も多くの人が感染すれば、いずれ普通のウィルス性感冒になるのでしょう。しかし、何千万人もが感染すると死亡する人が何万にもおよぶが、これは大変なことである。そういう意味で、早急な治療法の確立を期待したいし、既存薬が使えればいいのだが。また、一年近くかかるといわれているが、ワクチンや抗ウィルス薬の開発が急がれる。有効な治療薬が出現すれば、闇は一瞬にして消える。

◇ NYダウ、日経平均など世界の株が暴落、激変動している。「コロナショック」なんだろうけど、もともと高すぎた面もあり、低金利で無理やり支えられていた株高だったから、調整局面のきっかけがコロナだったということではないか。この辺りまではやむを得ないが、問題はこれからで、出口が見えない不安が不安を呼んでいる。とりあえず、金利を下げるなど、市中に莫大なマネーを供給するそうだが、COVID‐19には効きそうもない。もともと、感染症対策は封じ込め作戦が主流で、感染源だけでなく景気も封じ込めるから経済にはマイナスだ。個人消費を押し上げる効果はないだろう。さらに、これはこれで副作用がきつくはないか、また、バブルになるのか、という心配が残る。

   

◇ 米国では2700万余の人々が無保険だといわれ、これが不安の的となっている。残念なことに、医者にかかれない、休むに休めない状況にあるというではないか。医療補助など強力な所得補償がないと低所得者対策にはならない。感染者が無理して働きにでると大流行になりかねない。世界一のCDC(疾病管理予防センター)を抱え、数多くの貢献には敬意を表すが、いかんせん無医療保険者が多すぎる。感染拡大期に入ってしまうと、政治・経済への負の影響は計り知れない。秋の大統領選にも影響必至であろう。

 感染症対策の基本は国際協調であるが、各国首脳は言葉をだすばかりで中身はだしていない、どこに国際協力や協調があるのか。一国主義の弊害は大きい。とくに、新興国への援助をうまく作れるのか、国際社会のあり方が問われるであろう。

◇ 本欄2020年2月7日付「2020年からの課題と予想-③-国内政治は波乱含み」では、「(中国では)4月中にはピークアウトするのではとの期待予想を前提にすれば、世界規模での成長率でいえば、0.2%程度の落ち込みできりぬけられるのではないか。」と、勝手な予測を述べたが、数字をいえば甘かった。中国から2月遅れ、日本から1月遅れで、欧米、中東はじめ世界に広がり、残念ながら各国の水際作戦は失敗のようで、世界経済は厳しい局面を迎えている。どのぐらい厳しいかはここひと月で明らかになるだろう。いつも、貧しい人が苦しむが今回も例外ではないだろう。

 

◇ この2週間(38日から)世界同時株安が続いている。投資の専門家は、「今のところ金融システムが痛んでいるわけでもないので、感染が収まれば回復は速い」と、ある種の期待を述べている。そうはいっても、リーマンショックの時も、「幸いわが国の金融機関は直接保有していないので」、とかいっていたが、結果は大違いであった。

  地球規模で人の動きが止まり、外出が控えられ、興行が中止されれば景気は大きく沈み込んでしまう。中国から始まり、東アジアの問題と思われたのが、世界の問題になった。その日から世界の景気は後退し、体力のない国々は恐れおののいている。パンデミックが経済を凍えさせ、社会を浸食している。

◇ オリンピック・パラリンピック東京大会が揺れている。中止論、延期論、強行論と騒がしい。4月中か、5月初めに終息宣言が出れば、予定通り開催できる可能性はあるが、それでも遅れて感染が広がっている国や地域があるので議論は難しくなる。感染地域からの入国者の扱いが難しい。14日間隔離を日本国内で実施するのか。出場選手の気持ちもあるだろう。また、延期といっても簡単ではないだろう。楽しくない大会では成功とはいえない。前進も後退も、いずれも難しい。7月初め(?)の都知事選がさらに複雑になる。

 WHOの助言を受けてIOCが早めに決断すべきだと思うが、だれが決断するのか。費用負担も大きい。苦労して誘致したのに、とんでもないことにならなければいいのだが、国際政治の裏側に、無責任ご都合主義と刻まれていないことを祈りたい。

◇ このパンデミックによって潮目が大きく変わりそうである。とくに、政治、経済のあり方が問われるだろう。そういう意味で、大変革時代の幕開けとなるのか。とりわけ、11月のアメリカ大統領選挙がその第一幕となるのか、またなぜ古希を過ぎた古老の争いなのか、まさに一国にとどまらない歴史的選挙を迎えている。

 さらに、富の偏在をもたらす金融資本主義や行き過ぎるグローバリゼーション、方向感覚を失っている民主政治と似非民主政治、気候変動がもたらせる容赦のない災害、富める者のおごりと貧者の絶望、夢を金に換えるIT亡者などCOVID‐19よりも怖いものがぞくぞくと出現する、時代ですか。

◇雪やなぎ真白に白く朝の道

   

加藤敏幸